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パナソニックが有機薄膜 CMOS センサを開発

パナソニック、有機薄膜CMOSイメージセンサーを開発発表 – デジカメ Watch

パナソニックが新構造のイメージセンサ「有機薄膜 CMOS センサ」を発表しました。

イメージセンサメーカーとしては、ソニーが先端技術と圧倒的な生産キャパシティで市場を引っ張り、その後ろをキヤノンが追いかけているイメージ。パナソニックのセンサは近年では市場シェアを落としている(オリンパスのマイクロフォーサーズ機のセンサがパナからソニーに変更されたり)という印象のほうが強かったですが、今回の発表はその状況に一石を投じる可能性があります。

イメージセンサは約 6 年前に実用化された裏面照射 CMOS 以来、構造として新しいものが出てきておらず、それ以降の進化は主に半導体製造プロセスの進歩とカメラ側のシステム LSI(画像処理エンジン)の高性能化、画像処理アルゴリズムの進化によってもたらされてきたと言っても過言ではありません(その間、積層型センサも出てきましたが、あれは受光側ではなくデータ転送に効くもので、システム LSI の高性能化と両輪をなすものと見るべきかと)。今回の有機 CMOS センサは、久々にイメージセンサの構造を変えた新しい CMOS センサと言えます。
裏面照射 CMOS センサは、それまでオンチップマイクロレンズ→カラーフィルタ→配線層→フォトダイオードだったセンサの構造を文字通り裏返し、カラーフィルタの直下にフォトダイオードが来るようにしたことで、受光面積を稼ぐ仕組みでした。が、それでも各画素のフォトダイオード間には遮光膜が必要で(これがないと隣のピクセルに光が漏れて解像感が低下する)、その膜がフォトダイオードの受光量を制限していました。今回の有機 CMOS センサは、フォトダイオードの代わりに遮光膜が不要な有機薄膜を使用することで、センサの面積全体を使って受光できるようになったというもの。そんな夢のような素材の仕組みはこれだけの説明では理解しきれませんが(笑)、理論的には高感度性能やダイナミックレンジが大幅に改善することになるだけに、期待が高まります。

また、このセンサにより CMOS 方式では難しいと言われていた電子シャッターのグローバルシャッター化も可能ということで、動体/動画撮影時のローリングシャッター歪みが解消されるほか、メカシャッターを省いたカメラを作ることも可能になるわけで、今までにないカメラや撮影法が生まれる可能性も出てきます。現在の CMOS 技術でも高速シャッターやスーパースロー撮影が実現できているので、その先にはどういった映像表現があるのか、楽しみではあります。

とはいえ、現時点で発表されたのはあくまで技術のみ。技術的に作れることと量産できること、さらには一般消費者が買える製品に搭載できることは別の話なので、いつ・どんな形で製品が世に出てくるかもわかりません。いずれにしても半導体の話なので、まずは歩留まりが良く、高感度性能・ダイナミックレンジの差が出やすい小型センサから実用化されていくのではないでしょうか。
イメージセンサの世界は今やソニーの一人勝ち状態、そのソニーもスマホ需要の減速でデバイス部門が減収しているのが昨今の状況。デジタルイメージングの世界はちょっと停滞感が出てきていただけに、このあたりで新たな技術競争と需要の掘り起こしが始まることを、いちカメラユーザーとしても期待しています。

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