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ブリッジ・オブ・スパイ [PS Video]

ブリッジ・オブ・スパイ

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劇場公開時に評判の高かった映画の配信が始まっていたので、PlayStation Video にて鑑賞しました。

近年はもはやエンタテインメントというより社会派という印象が強まりつつある、スティーブン・スピルバーグの最新監督作です。作品としては『リンカーン』以来かな。

第二次世界大戦中に実際にあった、アメリカと旧ソ連のスパイ交換取引にまつわる映画。弁護士が主人公という設定のため、法廷劇かと思ったら必ずしもそういうわけではなく。主演がトム・ハンクスのサスペンスというと『ダ・ヴィンチ・コード』的な展開を期待しがちですが、それともちょっと違う。スパイ交換に伴う各国の政治的な駆け引きと、トム・ハンクス演じるドノヴァン弁護士と旧ソのスパイ、アベル大佐の静かな信頼関係、あたりが物語の軸となっています。
劇中には映画らしい派手なシーンはほとんどなく(米軍偵察機の撃墜シーンくらい?)全体的に暗く、地味な映像が続きますが、全編を通じて緊張の糸が張り詰めているような作品。所々、トム・ハンクスっぽい皮肉やコミカルなシーンが挟まれていなければ、疲れていたかもしれません。

人質交換の舞台はまさに「壁」で東西が分かたれた頃のベルリン。私はベルリンの壁崩壊の当時まだ小学生だったので、東西ドイツ分断時代の話は文献等からの知識しかありませんが、映画とはいえ映像でその現実を見るのはなかなか重いものがあります。特に、壁を乗り越えようとした市民が衛兵に射殺されるシーンは衝撃的。
でも、そういう映像はこの映画にとってはあくまで背景で、本題は政治、もしくは政治と人道のどちらを優先するか、という部分。旧ソ支配下の東独の立場とか、多民族国家たるアメリカの価値観とか、そういったものは現代の日本人からはなかなか想像ができないところですが、しかしそういうことを共感はしないまでも理解することが、国々が…というより人々が平和裡に共存していくには不可欠なことなんだろうなあ、と映画の本質とは関係ないことを思いながら見ていました。

台詞で全てを説明せずに映像的演出で伝えてくるシーンも多く、複雑なテーマをよく映像化したなあ…としみじみ感じた映画でした。淡々とした作風が逆にいい。
そういえば『シンドラーのリスト』も未見だけど、この機会に観てみようかなあ。

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