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カシオがデジタルカメラ市場から撤退

カシオ、デジタルカメラ市場からの撤退を表明 – デジカメ Watch
カシオ「デジカメ市場の完全撤退」の衝撃、戦犯にされた”カメラ事業 赤字49億円” | BUSINESS INSIDER JAPAN

カシオがデジタルカメラ市場からの撤退を発表しました。

カシオと言えば今年の CP+ にもブースを出しておらず、かなり厳しそうだな…まあ今のカシオが注力しているセルフィー路線は CP+ の客層と合っていないし(CP+ 自体が女性層やライトユーザー層の取り込みを模索しているのに皮肉だけど)限られたマーケティング予算の割り振りを考えるとそういう判断もあるよなあ、とは思っていましたが、あれは既に撤退へのカウントダウンだったのかもしれません。

コンパクトデジカメ市場はここ 5~6 年で急激に縮小していて、量販店のカメラ売り場を見に行っても一部ハイエンドモデルを除けば並んでいるのはほぼ 2~3 年前に発売された機種が今でも並んでいる、みたいな状況になっていますし、売り場自体も縮小が続いていました。他のカメラメーカーはレンズ交換式に注力し、数量よりも単価を上げることで事業の生き残りを懸けていましたが、ほぼコンデジしか持っていないカシオにはその戦略が採れず袋小路にはまってしまったということでしょう。
カシオのコンデジは日本市場では存在感が薄くなって久しかったですが、2011 年に発売した TRYX がアジア圏でのセルフィーブームに乗って大ヒットし、しばらくはその路線で安定した事業を行っているとは聞いていました。が、セルフィーカメラの位置づけが次第にスマホに奪われ、そこも厳しくなった結果が今なのでしょう。


古参デジカメユーザーとしては、カシオは事実上世界初のデジカメ「QV-10」で市場を生み出したカメラ史に名を刻む存在であるだけに、今回の撤退は本当に残念です。

QV-10

世界で初めて液晶ディスプレイを搭載し、レンズ部が回転するという「デジタルならでは」の価値を提案した QV-10 の存在は偉大でした。初期のデジタルカメラはレンズ回転機構を取り入れ、フィルムカメラではできなかった形状や撮り方を目指した製品が多数ありましたが、QV-10 はそれに多大な影響を与えたと言って良いでしょう。

またカシオ製デジカメの「中興の祖」と言える初代 EXILIM、EX-S1 も忘れてはいけません。

「カシオ EXILIM」、「ソニー サイバーショットU」比較レポート

同時期に発売された Cyber-shot U(DSC-U10)と同じソニー製センサを搭載しながら全く異なる商品性を持たせ、商業的には本家センサを搭載する Cyber-shot U よりも成功したと言われる EXILIM。その後、全然薄くない普通のデジカメにも「EXILIM」ブランドを冠すようになるほどのターニングポイントをもたらした製品でした。

おお、そういえば↑そうでした。カシオは昔からセンサメーカー以上にセンサの特長を活かした商品企画がうまかったし、また「デジタルならでは」の提案を最も続けてきたカメラメーカーだったと思います。今のようにコンデジもレンズ交換式も伝統的な形のカメラしかなくなり、どのメーカーもユーザー層の拡大よりも既存ユーザーからの搾取高性能高価格路線に走っている状況を残念に感じている身としては、フィルムカメラの呪縛を断ち切って新しいことに挑戦し続けてきたメーカーが撤退することは、本当に悲しい。

ただ「デジタルならでは」の価値の多くがスマホに吸収され、単体カメラとしての差異化がセンサやレンズに集約されてしまった現在では、残念ながらこの状況は避けられなかったのかもとは思います。Android 搭載カメラとかアプリ対応カメラみたいな挑戦も出てこなくなって久しいですし。私が(今でも写真を撮ることは好きだけど)以前ほど新しい機材にときめかなくなってしまった理由を今回のニュースで改めて突きつけられたようで、何とも複雑な気持ちです。
しかし、少なくともカシオのカメラ関連技術や技術者の方たちがこれで埋もれてしまうのではなく、新たなフィールドでその技術を活かす自由を与えられたのだと思いたい。彼らがカメラという形に束縛されることなく、イメージング領域で新しい提案をしてくれることに引き続き期待したいです。

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