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マーケティングの仕事と年収のリアル

私の友人でありマーケティングの同志でもある山口義宏さんが新著を出版されたとのことで献本いただきました(ありがとうございます)。

山口義宏 / マーケティングの仕事と年収のリアル

マーケティングの仕事と年収のリアル

山口さんはこの春にも『「ブランディング」 顧客体験で差がつく時代の新しいルール』を出版されたところで、本業や講演などにもお忙しいにも関わらず精力的に活動されていますね。特に宣伝を頼まれているわけではありませんが、いつもとはちょっと違うテーマの内容であり、長年仕事でマーケティングに関わってきた私としても「会社を離れたときの自分の市場価値ってどうなのか」というのは最近まさに気になっていた部分でもあるので、興味深く読ませていただきました。

本書は以下のような構成で書かれています。

  • 事業会社とマーケティング支援会社の違い(業務範囲や長所短所、年収レンジ等)を解説
  • マーケティング従事者の職務を 6 つのステージに分け、それぞれの役割と求められるスキルを整理
  • マーケッターを「8 つの流派」に分類し、自分自身のキャラや他流派との相性を把握
  • 社内外で評価されるスキルのポイントと磨き方
  • キャリアアップのための「見極め方」
  • 上記をふまえ、代表的なキャリア構築パターンとその歩み方を解説

私は自分自身があまりキャリア構築に積極的ではなかったこともあり、こういう整理の仕方で自分のキャリアを捉えたことがありませんでしたが、読めば読むほどなるほど、という話。自分もマーケティングに関わるさまざまな立場・スタイルの人を見てきたので、納得感があります。中でも流派の話はデフォルメされていて面白い(笑。
おそらく自分を分類するならば流派はブランディング派と実践知ストリートファイト派の中間くらいだろうし、キャリア構築に関しては今まではコミット型だと思っていたけど実際は王道キャリアアップ型になる必要に迫られているのでは?と思っています。キャリアステージがスペシャリストからブランドマネージャーの戸口あたりで足踏みしている状況が数年続いていてどうしたものか…と悩んでいたタイミングでもあり、そんな折に自分のキャリア構築に必要な地図を提示してもらえた感覚。しかも、キャリアステージや事業会社/支援会社、企業規模などに応じて目安となる年収のレンジがズバリ書かれていて、人生設計と照らし合わせながらどこを目指すべきか考えることもできる。下世話な話だけど年収って幸福度に大きく影響するので、自分や家族がどういう人生を送りたいか考える上では重要です。


タイトルにこそ「マーケティングの」とついていますが、ちょっと汎化させながら読むことができればかなり幅広い職種のキャリア構築に応用できる内容なのではないでしょうか。具体的な年収はあまり参考にならないかもしれないし、スペシャリスト筋のエンジニアにもちょっと違う話かもしれませんが、事業会社 or 支援会社、マネジメント or スペシャリスト、アラサーでの見極め、三年単位でのキャリアの棚卸しと見直し…多くの職種がこれらの観点でキャリア構築を考えることができるのではないかと思います。

私はかれこれ十数年マーケティングに携わってきましたが、主には仕事を通じて何を実現するか、自分の商品やサービスでどうお客様を喜び驚かせて成功に結びつけるか…に集中するあまり、自分のキャリア形成についてはそれほど興味を持っていませんでした。数年前、たまたまキャリアの節目と言える時期に声をかけてくれたヘッドハンターに話を聞きに行き、自分の市場価値を客観的に見たらいくらくらいになるのかを把握してみようとしたことはありますが、その程度。今にして思えば転機と言えるタイミングは何度かあって、あのときに異動なり転職なりといった選択をしていたら今どういう人生を送っていたのだろう…というのは、この歳になってようやく想いを馳せるところだったりします。
四十代に入り、ポテンシャルではなくほぼ経歴と実績だけで評価されるステージにある今、自分にはどういう選択肢があるのか。あるいは三十代のうちに何をしておくべきだったのか。そういうことを考えがちだった昨今の私にはタイムリーな内容だったと言えます。

マーケティングと一口に言っても様々な職務があるものですが、本書は何らかの形でマーケティングに関わっている人であれば一読して損はありません。特にマーケティング関係の仕事に就こうとしている学生さんから現職の三十代前半までの人は必読と言って良い(現職の人の方が納得感は強いでしょう)。私も十年前にこの本があればもうちょっと違ったやり方でキャリアを歩んでいたかもしれませんが、年齢的に選択肢が減ってきた現在でも勉強になり、勇気づけられる一冊でした。

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