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2011/11/01 (Tue.)

Kindle 4 (開梱編)

スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいる人が多いようで。私も興味はあったものの、上下巻のハードカバーを持ち歩いて読む気がしなかったので、電子書籍で読もうと考えていました。そしたら、Twitter のタイムライン上で「電子書籍で原語(英語)で読む」という意見がちらほら見受けられたので、日本語版より英語版のほうが安いし(笑)、英語の勉強がてら私も原語で読んでみようかな?と思い至りました。

ただ、いろいろ探してみた結果、私が持っている日本版 Sony Reader で英語版のジョブズ伝記を読む方法は今のところ自炊以外にはない模様。で、円高でもあるし、買ってまえ!ということで、Amazon.com から Kindle 4 を購入(笑

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

Kindle 4

Amazon.com から輸入したのはこれが初めてではないのですが、いつぶりか憶えていないくらい久々。で、パッと見では通常の Amazon のカートンと同じ段ボール箱ですが、これが Kindle の正式なパッケージです(!)。
私はあまり開梱レビューをやるほうではないのですが、珍しいパッケージなので軽く開梱レビューから。

Kindle 4

ポッキーの箱みたいな感じ(笑)でばりばりばりっと段ボールを開封して上蓋を跳ね上げると、いきなり Kindle 本体とご対面。実は開封するまで段ボールの中にちゃんとしたパッケージが入っていると思っていたので、これには驚きました(;´Д`)ヾ。まあ、極限までハードウェアコストを削った上で(というか、ハードウェアコスト的には逆ざやになっていてもおかしくない)本体をばら撒こうと思えば、このくらい徹底しなくてはならないということなのでしょうが。でも、ここまで徹底するくらいなら普段の荷物ももっと空気の少ないパッケージで送ろうよ(´д`)。

写真内で、本体の上の方についている白いものは開梱時に最初から付いていたものです。品質管理を若干疑いはしましたが、安いんだしいいよね・・・と納得した部分もあり。ただ、輸入品に白い粉ってやばいんじゃないの?と思ったのは事実です(ぉ

Kindle 4

本体を取り出すと、その下には USB ケーブルが隠れていました。同梱品はほぼこれだけ、というこの上なくシンプルな商品構成です。
しかし紙製の緩衝材とか、単純な構造ながら非常によく考えられていますね。

Kindle 4

ケーブルはなんとなく Apple を連想させるデザインイメージのもの。よく見るとコネクタ近辺に細かいバリが残っていたり、やや雑な作りではありますが、ちゃんと世界観を演出するだけのものを同梱しているあたりがニクいです。日本メーカー製品だと品質はちゃんとしててもほとんどデザインされていないケーブルが付いていて、気分的に萎えることも少なくないので。

Kindle 4

跳ね上げた箱の蓋の裏側にも、本体の固定を兼ねた緩衝構造と取説のホルダーが備えられていました。無駄のない梱包だ・・・。
ちなみに取説は各部名称と充電の仕方だけが記載された、これまたシンプルなもの。ユーザーは原則として最低限 Amazon を使って注文できるリテラシがある、ということで、チュートリアルやサポートにかかるコストを最小化しているように思えます。
取説の記載は各国語でありますが、日本国内での正規販売はまだないということで、日本語のページはなし。まあ現時点では Kindle の書籍自体に日本語版がありませんから、順当なところでしょう。

Kindle 4

本体。最初についていた画面保護用のフィルムを外した状態です。画面書き換え時以外には電力を消費しない電子ペーパーの特性を利用して、充電の仕方については最初から画面に表示された状態になっています。このあたりは Sony Reader も確か同じでしたね。

本体デザインはもう可もなく不可もなしの極致といったところで、愛着のわきようもありませんが、そこそこの質感となんと言っても安い価格が「まあ、こんなもんだよね」と思わせます。

Kindle 4

背面は滑りにくいラバー塗装が施されていて、滑りにくくなっています。Sony Reader も同じような処理がなされていましたが、私は歴代の Kindle を全て触っているわけではないので、どちらがオリジナルかは知りません(^^;;

Kindle 4

操作ボタンと microUSB 端子、および電源ボタン周り。電源ボタンは底面にあり、ディスプレイ下部には左からバックボタン、キーボード呼出ボタン、カーソルキー+決定ボタン、メニューボタン、ホームボタン。カーソルキーは書籍の表示中には左右がチャプター送り/戻し、上下がズームイン/アウトに割り当てられます。
このへんも可もなく不可もなし、といった感じですが、Sony Reader のデザイン十品ボタン配置/形状に比べればこちらのほうが使いやすいように思います。

Kindle 4

ディスプレイの左右にはこのように長めのボタンが 2 つずつついています。上の短いボタンがページ戻し、下の長いボタンがページ送りになっていて、側面を片手で掴んだ状態でもこのボタンを使ってページ操作ができるようになっているのは、よく考えられているなあ、と思いました。
Sony Reader だとページ操作キーは画面下のボタンを使うか、タッチスクリーン(光学式)を使うんですが、正直片手持ちだとどちらでも操作しにくい(´д`)。タッチ操作は「紙をめくる」動作を電子書籍の UX に取り込んだ結果でしょうが、個人的には無理に紙媒体のメタファを取り入れるより、使用方法から合理的な動作を逆算するほうが理にかなっていると思っているので・・・。

Kindle 4

Sony Reader(PRS-350)との比較。まあ Reader のほうは 5inch だし去年モデルなのでフェアな比較ではありませんが・・・。でも、電子ペーパーの質としては、写真で見ても分かるとおり、Reader のほうが白が白いというか、コントラストが高くて視認性が良いと感じます。逆に、画面の書き換えや全体的な処理については Kindle 4 のほうが高速なような・・・。Reader も今年モデルは去年よりも全体的な反応が良くなっていると(店頭展示機を触ってみた限りでは)感じたので、今年モデルと比較するとまた評価は変わるのかもしれませんが。

こうして比較してみると、キッチリとしたハードウェアの作り込みという点では Sony Reader のほうがモノとしてよくできていると感じますが、製品ではなく商品全体としての合理性や UI のこなれ具合という点ではやはり Kindle に優位性があるとも思います。個人的には Kindle のようにこなれていて Sony Reader 並みの品質を持った端末で、Reader Store や Kindle Store といったストアの垣根を越えてコンテンツを扱いたいんですが、贅沢な望みでしょうか。今のところそのベストな解は、今年モデルの Sony Reader をハックして各ストアのアプリをインストールすることなのでしょうが(笑。

Kindle 4

ということで、明日の初期セットアップ編に続きます。

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

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投稿者 B : 23:59 | Book | eBook | コメント (0) | トラックバック

2011/10/04 (Tue.)

F1 速報をスマートデバイスで読む

多くの情報がインターネットベースで済んでしまうようになった昨今、紙の雑誌を買うこともほとんどなくなりましたが、私は「F1 速報」だけは毎号買っています。F1 関連のニュースもニュースサイトで網羅されてはいますが、レースの細かい考察やマシンの技術解説、チームの裏事情といった情報はなかなかネットには出てこず、雑誌頼み。こういうのはチームやスタッフとの長年の付き合いから得られる取材の成果でしょうから、それこそ既存媒体の強みを発揮できている雑誌だなあ、と思います。

F1 速報は木曜日発売で、以前は恵比寿にある某モデルカーショップで水曜日に早売りが出ていたので、わざわざ買いに行ったものでしたが、3 年ほど前に潰れてしまって以来、発売日にしか買えなくなりました。しかも最近は忙しすぎて書店が開いている時間帯に帰れず、読みたいのに読めない・・・という状況が続いていて、この雑誌こそ早く電子版を出してほしい、と思っていたら、ようやく始まったようです。

『AS BOOKS』がiPhone/iPad用アプリをリリース - インフォメーションニュース ・ F1、スーパーGT、Fニッポン etc. モータースポーツ総合サイト AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

AS BOOKS

三栄書房が扱うモータースポーツ誌全てが対象ということで、F1 速報だけでなく AUTOSPORT、Racing on なども電子化。しかも、紙版よりもちょっとだけ安い。対応プラットフォームは iOS、Android。ということで、私もさっそく iPad でダウンロードしてみました。

AS BOOKS

App Store で「AS BOOKS」アプリをダウンロード。ただ、このアプリは雑誌の管理と閲覧のみの機能で、購入はブラウザからオートスポーツブックスの Web サイト上で行います。ちょっと導線としては分かりづらいような・・・。

さておき、今回は F1 速報の前戦シンガポール GP 号を購入しました。
購入が完了すると、オンライン(オートスポーツブックス)の自分のアカウントの本棚に登録されて、そこから該当する雑誌のサムネイルをタップすると、AS BOOKS アプリで雑誌が開きます。雑誌の閲覧方法はいったんスマートデバイスにダウンロードするか、オンライン上の雑誌データをそのまま開くか(つまりはストリーミング)を選べます。

AS BOOKS

iPad で F1 速報を開いたときのイメージはこんな感じ。鮮やかな IPS 液晶のおかげで、カラーコンテンツもきれいに表示されています。ただサイズは紙版に比べると一回り小さく、ちょっと凝縮感がありますね。

AS BOOKS

iPad の画面に 1 ページ全体が映るように表示させたところ。紙媒体よりもちょっと小さめですが、文字の可読性はなんとか大丈夫。読めるレベルです。

※著作権保護の観点から、テキストの一部にモザイクを入れていますが、三栄書房さんから物言いがついたら取り下げます(^^;;

AS BOOKS

最大までズームしたところ。拡大するとそれなりに JPEG っぽい圧縮ノイズは目立ちます。が、実用的に閲覧するサイズ、という意味ではまあ許容範囲。

AS BOOKS

なお、iPad を横にしてやると、自動的に画面も 2 ページ見開き表示になってくれます。サイズ的にはさすがにテキストの判読が厳しいレベルになってきますが、雑誌コンテンツは特に写真の見開きが多いので、そういうものの全体像が掴めるのはありがたいです。Sony Reader でコミックを読む際にも、見開き表示に対応していないのが物足りなかったので、やっぱり雑誌やコミックを楽しむなら大画面のタブレットのほうが向いていると思います。

AS BOOKS

ただ、残念なことに、見開きは左右のページが完全にギャップレスにはなっておらず、微妙に繋がっていません。ページ間に空きピクセルはないものの、若干寸詰まりになってしまっています。例えば↑のページでは、「VODAFONE」の「F"O"N」のあたりのピクセルが数列欠落しているのが判るでしょうか。全体表示で、見開きのあくまで「雰囲気」としては楽しめるレベルではありますが、「見開きページだとページ間が切れる」という紙の特性に対する電子版のアドバンテージになり得ると思っていただけに、もったいない。

AS BOOKS

F1 速報の中でも最もフォントサイズが小さいページのひとつ、津川哲夫氏のテクニカルチェックのコーナー。単ページ表示でも読みにくいレベルですが、拡大表示なら問題なく読めます。写真に関しては、ある程度の拡大率までついてきてくれる解像度を持っているので、こういう細かい写真が重要なページでも特に不満はありません。

AS BOOKS

続いて操作性について。F 速は細かなレース展開や各種データなど、各レースごとのデータベースとしては馬鹿にできない情報量を持っています。紙媒体ならいざ知らず、電子書籍でページをぺらぺらめくりながら情報を漁っていくのでは効率が悪すぎます。が、電子版 F 速はちゃんと検索に対応しており、テキスト検索で欲しい情報を探し出すことができます。
ページを拡大したときにテキスト部分に圧縮ノイズが見えたので、単に画像データとしてしか保持されていないのかと思ったら、ちゃんとテキスト情報も埋め込まれているんですね。

AS BOOKS

検索結果をタップすると、該当ページにジャンプします。で、検索した文字列の前後を含む箇所がハイライトされています。ただ、(プラットフォームやアプリのバージョンにもよるのかもしれませんが)ページによってはハイライトの位置が該当の文字列とは少しずれた位置についていることもあり、まだまだ枯れてないアプリなんだなあ、というのが見える一面も。

AS BOOKS

前ページのサムネイル一覧も表示できます。
私は F 速を頭から順にではなく、けっこうあちこち行ったり来たりしながら読むほうです。特にレース内容についてはスカパー!で観て、かつニュースサイトでチェックした上で自分の blog に感想を書いているので、あまり重視していません(笑。雑誌にはむしろチーム事情やテクニカル情報を求めているので、買ったらまず開くページは「村山文夫のグランプリ天国」(←なぜ
さておき(笑)、そういういかにも雑誌的な行ったり来たり読みも、サムネイル一覧からなら比較的自然に行えます。

あと、読んでいて気づいたんですが、電子版には広告がほぼ入っていません。まるまる広告のページがないだけでなく、ページ半分が広告、というようなページでも、その部分が白紙になっているという徹底ぶり。広告費の問題が(紙媒体ではない、という契約の観点で)解決されていないのか、それとも電子版の販売時期と広告の有効期間とのアンマッチが原因なのかは分かりませんが、ちょっと驚きました。というか、一般誌に入っているような広告と違って、こういう専門誌の場合、私は広告を見てチームグッズの発売状況をチェックしていたりもするので、広告がないのはむしろ残念だったりして・・・。

AS BOOKS

この「AS BOOKS」アプリはマルチプラットフォームになっていて、iOS だけでなく Android 版も用意されています。なので、Xperia でも読むことができます。一度コンテンツを購入したら追加料金なしで別プラットフォームで読めるという、コンテンツ配信のあるべき姿。まあ、Xperia だとさすがに画面が小さくて読みづらいので、基本的に F 速が発売される木曜日にはカバンにタブレットを入れて通勤することになると思いますが。
ただ、悔しいことに現時点では「AS BOOKS」アプリの Honeycomb(Android 3.x)対応版がリリースされておらず、Android タブレットで F 速を読むことができません。雑誌の紙のサイズは見開き等を考えても 4:3 よりも 16:10 くらいのアスペクト比向きだし、Android タブレットは iPad よりも解像度が高いので(Retina Display な iPad HD が出るという噂もありますが)、むしろ Honeycomb 版を早く出してほしいんですけどね・・・。

あと、Web ストアで書籍を購入し、管理と閲覧をプラットフォームごとのアプリで行うという方式は(導線のわかりにくさはさておき)マルチプラットフォームへの対応のしざまとしてはよくできていると思います。が、欲を言えば、「出版社ごとに本棚がある」という仕組みはスマートではないんですよね。これは三栄書房さんの問題というよりは、出版業界側の問題だと思いますが、買う書店はバラバラでもいいけど、自分の本を管理する書棚はひとつであるべきでしょう。そもそも雑誌の電子配信そのものすらまばらにしか始まっていない状況で言うのも酷だとは思いますが、業界の人々には是非ともその実現を目指してほしいです。

ともかく、F 速の電子化は長年の希望だったので、ようやくといった感じです。F 速は毎号買うけど、かさばるのでシーズンオフには別冊の「F 速 PLUS」だけ残して棄てちゃうんですよね・・・。むしろ PLUS と毎年の総集編も、今ならキャンペーン価格で出てるし、この際電子化して本棚を空けたいほど。紙版の所有者向けにもう少しお得になるキャンペーンとか、ないものですかね・・・。

投稿者 B : 22:22 | Book | F1 | eBook | コメント (0) | トラックバック

2011/09/17 (Sat.)

形なきモノを売る時代

西田 宗千佳 / 形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組

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ジャーナリスト西田宗千佳氏の新刊を読了しました。最近、電子書籍やスマートデバイス、あるいはコンテンツのデジタル流通絡みの記事では必ずと言って良いほど名前をお見かけする西田氏ですが、本書はまさにそれらの取材の集大成といえる内容にまとまっています。また、ある意味では昨年の『世界で勝てるデジタル家電』の続編と言っても良いかも。

毎度毎度、西田氏と本田雅一氏の取材範囲の広さと掘り下げの深さには感嘆しますが、今回も内容は幅広く、スマートフォンやタブレットの話に始まって、スマートテレビ、サブスクリプション型のコンテンツ配信やクラウドサービス、グリーやモバゲーなどのソーシャルゲーム業界の話、販売・マーケティング観点でのノンパッケージコンテンツ流通の話、というように、クラウドとスマートデバイス時代に考えておくべきほぼ全てのことを網羅しています。

私はこのあたりの業界動向をかなりフォローしているほうなので、どちらかというと「識っている話を分かりやすく整理してくれる」というような意識で読んでいましたが、それでもソーシャルゲーム方面はあまり追いかけていなかったので、とても勉強になりました。ビジネスモデルを理解しているつもりでも、市場規模とか海外での状況とか知らないことも多かったので、「貧困ビジネス」と高を括らずに学ぶ必要があることを思い知りました。
実は昨日、東京ゲームショーを見に行ってきたのですが、初出展となったグリーは TGS の会場ではどう見ても異質。明らかに浮いており、客の入りもイマイチでしたが、PSP や DS のゲームにもソーシャルの要素が取り入れられたり、ソーシャルゲーム出身でありながら PSP 版が発売されるようなタイトルも増えてきているので、そう遠くない未来にソーシャルゲームと従来型ゲームの垣根はなくなっていくでしょう。

個人的には最近、クロスオーバーとかコンバージェンスといった単語でよく表現しているのですが、デバイスやソフトウェア技術の進歩、そして何よりクラウド化・・・というと大げさですが、とにかく「ネットワークに繋がること」で、いろんな製品やサービス、コンテンツのボーダーレス化が進んでいると感じています。
例えば、ひとつの動画を観る際、それがクラウドから提供されるものであれば、コンテンツを観るためのディスプレイとしてはテレビやタブレットの間で「使用時間の取り合い」が発生する(つまりテレビとタブレットが競合している)ことになるし、でもその動画が「どこまで観たかの『しおり』」を機器間で共有し、自宅のテレビで観ていた続きを外出先でタブレットで観るのであれば、テレビとタブレットは連携することになります。そんなことが普通になっていく時代に、「テレビだから、これはこういうもの」というように自分で自分に枷をつけていては、競合(それは競合他社のテレビにかもしれないし、タブレットやスマートフォンにかもしれません)に敗れることになる。自分の守備範囲を自分で規定せず、真にあるべき UX を起点としてハードウェアやソフトウェア、サービスの実装に落とし込んでいって初めて競争する資格を与えられる。そう思います。

ちなみに、この本は英題が『The Tablet Age(タブレットの時代)』となっていますが、それについて共感したのは特にこのくだり。

ネットワークの世界になり、低価格に大量のコンテンツを楽しめる世界がやってくるのは間違いなく、その受け皿として「タブレット」はきわめて有望だ。タブレットは、ディスクというメディアの存在を想定しない、史上初の「ネットネイティブ・コンテンツプレイヤー」となる。その際、メディアやデータを「所持しない」「所持できない」世界が同時にやってくることになる。
快適ではあるが今までと違う常識とルールの中で、我々はコンテンツを楽しむことになる。

日本においてはタブレットの市場はまだ立ち上がったばかりで、今後本当に成功するかどうかすらまだ判らない状況にあるのは事実だと思います。が、個人的には去年 iPad を買ってみて、多くの家庭においては PC よりもタブレットこそが主な生活空間で使うコンピュータとして相応しい、と確信しました。逆に、iPad に飽きた/使いどころがない、と言っている人は、多くがモバイル PC の代わりとして使おうとし、PC と同じことができないことに失望した人ではないでしょうか。
でも、個人的には家庭内ではタブレットが、外出先ではスマートフォンが、コミュニケーションや情報検索、コンテンツ流通の受け皿になっていくことは間違いないと思っています。いや「タブレット」「スマートフォン」とカタチを規定してしまうことさえ適切ではないのかもしれず、今後ディスプレイを備えた機器の多くが「スマートデバイス的な何か」になっていくのではないか、と思います。そこには物理的なディスプレイの大きさの違いのみが存在し、テレビ、タブレット、スマートフォンというのは機能的な差はなく、名前は大きさを示すだけの言葉になっているのかもしれません(まあ、2~3 年でそれが現実になる、とは言いませんが)。

なんか書物の感想とは直接関係のないことばかり書いてしまいましたが(笑)、本書は、本田雅一氏の最新刊『iCloud とクラウドメディアの夜明け』と似たところも多いですが、内容的にはちょうど良い補完関係にあり、まとめて読むと何かが見えてくるような気がします。この先の 2~3 年を考えるならともに必読の一冊、と言えるでしょう。

投稿者 B : 12:00 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2011/08/23 (Tue.)

Sony Reader Pocket Edition に最近物足りなくなってきた件

今月に入ってから、出張だ帰省だと長時間の移動が多くなっています。まあ最近仕事に追われているので移動時間の多くは仕事に割いてしまっているんですが、移動中は電波の通じない状況に陥ることもままあり。そういうとき、先日のコミック対応以降ようやくまともに使うようになった Sony Reader が活躍してくれます。

んが、今まで使っていなかったから気がつかなかった(当たり前だ)Reader の欠点がいろいろ見えてきてしまい、ハードウェア・・・というかファームウェアの作りに不満がたらたら。例えば、

Sony PRS-350

書籍一覧は基本はサムネイル表示なんですが、続き物だとタイトルの文字列が途中で切れてしまう(それもたったの 8 文字で切れてしまう!)ので、よっぽど表紙にでかでかと巻数が書いてないと、どれがどれだか判りません(´д`)。

じゃあ、ソートすればいいのか、と思ったんですが、

Sony PRS-350

ソートの種類はいくつかあるものの、「タイトル」でソートしても関数がきれいに並び変わるわけじゃないっぽい。なんかデータベースのつくりがまともじゃないような気がします。これは Reader のローカル DB だけじゃなくて、Reader Store の書籍一覧のソートも変な感じなので、余計にたちが悪いです。なんか 2 バイト文字の扱いをちゃんと考慮してないんじゃないかという、謎のソートをしてくれます。
他にも、「ファイル名」というユーザーには何の得にもならないソート種別があったりとか。全体的に謎。

Sony PRS-350

でも、とりあえず解決策は見つけました。書籍の一覧画面で「OPTIONS」ボタンを押すと、表示方法が「一覧」「タイトル」「サムネイル」から選択できるようになり、

Sony PRS-350

「タイトル」を選択すると、タイトルがちゃんと全部表示されるようになりました。
サムネイルがないとものすごく味気ないですが、こうじゃないと 40 巻もあるコミックはどれがどれだか判らないので・・・。

でも、やっぱりソートはタイトル順にしても変な並びで出てきます。具体的にいうと、巻数の数字(2 バイト文字)が、0、1、9、5、3、7、2、8、4、6、という順にソートされます(´д`)。あほかと・・・。

Sony PRS-350

他にも、Pocket Edition の 2GB という内蔵メモリ容量(外部メモリスロットなし)は、活字(じゃないけど)の本なら問題ない容量に思えましたが、コミックだと 1 冊当たり 40MB 前後の容量を食うので、全 40 巻のコミックだと 2GB(実効約 1.5GB)にギリギリ足りないくらい。画面サイズ的にもコミックを読むにはちょっと物足りないですし、購入時にコミックを想定していなかったとはいえ、Pocket Edition を買ったのは失敗だったかもしれません・・・。

そろそろモデルチェンジ、という噂もあるので買い換えたくなる機種の発売に期待しますが、それでも現状では単なる 3×3 EYES 専用機となっているので(ぉ)、コンテンツ側が揃わないと買い換えは厳しいかなあ。

投稿者 B : 23:59 | Book | eBook | コメント (2) | トラックバック

2011/08/19 (Fri.)

iCloud とクラウドメディアの夜明け

本田 雅一 / iCloud とクラウドメディアの夜明け

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テクニカル(だけじゃなくなりつつありますね、最近は)ジャーナリスト本田雅一氏の新書を読んでみました。
従来は Web メディアへの執筆が多かった氏も、ここのところ『3D 世界規格を作れ!』『これからスマートフォンが起こすこと。』と書籍の出版が相次いでいますね。メディアの逆行というよりは、現在の世の中が単発の記事ではなく書籍として残しておくべき転換点に来ているということなのかもしれません。また、近著 3 点ともにずいぶん違う方向性のタイトルではありますが、デジタル機器とコンテンツ流通の関係性、およびそれに関わる企業動向を追ったジャーナリズムであるという点で共通しており、繋がったストーリーになっています。個人的には、3 冊の中ではこの本が最も自分が今向いている方向性に近かったかな。

タイトルには「iCloud」が冠されていますが、本田氏ご本人曰くこれは出版サイドがつけたタイトルで、特に iCloud だけをフィーチャーした著書ではありません。主に Apple の iCloud とソニーの Qriocity の対比を軸にしながら、Google や Amazon のクラウドサービスを絡めて今後のクラウドメディア――クラウド化するメディア、ではなく、メディア化するクラウド――を読み解く内容になっています。

個人的に強く同意したのはこのくだり。

そこでアップルは、パソコンをデジタルハブとして使うことをあきらめ、従来はパソコンのコンパニオンであったデバイスと同じ位置づけとし、パソコンを含む各デバイス間の情報共有の中心をクラウドの中に置くことにした。このことをジョブズは「パソコンの格下げ」と表現した。もはやデジタルワールドはパソコンを中心に回ってはいないというのだ。

従来の iOS デバイスは「Mac の周辺機器」だったのが、iOS と Mac OS X の垣根が低くなり、iPhone や iPad と Mac でできることの差が小さくなっていくに従い、独立したデバイスとしての性格が強くなってきました。このあたりは、(iPhone や iPad が初期セットアップに Mac/PC 必須なのとは対照的に)Android が PC を必要としないデバイスとして生まれてきたことの影響も少なくないでしょう。が、先日の iCloud の発表によって、クラウドそのものを機器のハブとみなし、Mac も iOS デバイスも「クラウドのコンパニオンデバイス」として同列に扱われていくことが明らかになりました。
このあたりは PC や Android デバイスの観点から見るともっと明らかで、クラウドから見ると PC もスマートデバイスも、表示能力が違う程度で概念的には同じような情報端末にすぎません。スマートデバイスはリアルタイムコミュニケーションやコンテンツ消費に向き、PC はよりクリエイティブな作業に向いているから違うものだ、という異論はあるでしょうし、それはその通りなのですが、クラウドから見たときのクライアントとしてのレベル感は同じ。「クラウド・ブラックホール」とも表現されるように、今後あらゆる付加価値はクラウド側に吸収され、多くの人にとって PC の利点は「ハードウェアキーボードがついていること」だけになってしまう日が来ても、おかしくありません。そういう意味では、中期的には「PC」「スマートデバイス」というカテゴリ分けも、適当なものではなくなっていくのかもしれません。

では、あらゆる価値がクラウド側に吸い込まれていくと、クライアントとしてのハードウェアに残された価値は何なのか?単なるコモディティ化の未来が待っているだけじゃないのか?という話になってきますが、その問いに対する答えの一つはこれでしょう。

ソニーは特定の技術に縛られる形でコンテンツが流通する現状を是正し、ハードウェアメーカー間の競争環境を促す形でクラウドを活用しようとしている。利用者を特定のエコシステムへの依存から解放することで、新たな競争環境を作れると考えているからだ。一方、アップルは現在のダウンロード型デジタル配信での支配的な位置を引き継ぎつつ、情報リポジトリとクラウドメディアを組み合わせ、情報やコンテンツの管理からユーザーを解放しようとしている。それぞれの道を歩んでいるが、最終的に消費者の得られる利が大きい点は同じだ。

iTunes のようにサービスとハードウェアが密結合した状態は、アーキテクトの視点で見れば最も美しいですし、その囲い込みを甘受している限りはその中で過ごすのが最も気持ちが良い。ただ、例えば iOS が「Apple が作った箱庭」と呼ばれるように、不自由も多く、App Store のように自由競争が制限された環境でもある。つまりそれはある面では進化が阻害されているということでもあります。
それよりは、サービスとハードウェアの結びつきは多少緩めにして、サービスとハードウェアそれぞれの選択権をユーザーに委ね(場合によっては複数のサービスを利用しても良い)、サービスはサービスの、ハードウェアはハードウェアの完成度やコストで競争できるほうがより良い未来に近づける(あるいはハードウェア開発が得意なソニーのような企業の場合、現在の状況よりも自社の強みを発揮しやすい)、という考え方。言い換えれば、iTunes で買った曲をウォークマンで聴ければ今よりもっと嬉しいし、逆に iPhone で SME の楽曲も聴きたいでしょう?という話でもあります。以前はカセットテープなり CD なり共通のメディアがあって、どのメーカーのハードウェアでも問題なく使えていたのに、デジタル配信になって不便になったよね?という話です。

現在の iTunes のようなダウンロード型コンテンツ販売の時代は終わりを告げ、これからはサブスクリプション型のストリーミング配信の時代が来る、と言われても、多くの人にはまだまだピンと来ないかもしれません。しかし、テレビがコンテンツ配信の王者だった時代が終わり、CD や DVD といったパッケージメディアの終焉も近づき、情報端末のほとんどで Wi-Fi 搭載が当たり前になり、ハードウェアの付加価値や「ものを持つこと」の意味がどんどん認められなくなってきた今、世の中の流れは確実にそこに向かっていると言えます。私もハードウェアやパッケージメディアを収集・所有することに喜びを覚える世代なので、そんな時代が来てしまったら寂しいという思いもありますが、価値が所有から体験に移ってきていることは間違いがありません。
本書は『これからスマートフォンが起こすこと。』と同じく、2~3 年後には「もう当たり前になったことが書かれている本」になってしまうのだろうと思います。が、PC やスマートデバイスが好きな人、コンテンツ流通に関わる人、あるいはもっと大きく「ものづくりと産業」のこれからに興味がある人、であれば、一読しておく意味のある書物ではないでしょうか。

投稿者 B : 23:35 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2011/08/14 (Sun.)

TOEIC のお勉強(改めて)

最近、仕事上で英語の必要性が妙に高まってます。別に海外担当なわけでも海外赴任したいわけでもないんですし、楽天やユニクロのように社内の公用語英語になったわけでもないですが、なんか会社の流れ的に英語ベースのコミュニケーションの度合いが高まっているので、もうちょっと勉強しないとダメかなーと。
去年、3 週間の勉強で TOEIC は 700 点台に乗ったんですが、自分的にはもう少しスキルが欲しい。なので、とりあえず 750 点くらいを目指してみることにしました。

で、いろいろ探してみたら TOEIC の必勝法まとめサイトってけっこうあるもんですね。

TOEIC700点-800点を短時間で取る勉強法、参考書

とりあえずこのサイトでざっと参考書を見て、改めて基礎から整理するのに良さそうな本を一冊買ってみました。

仲川 浩世 / TOEIC テストこれ 1 冊で全パートをモノにする ――500 点~860 点突破のための解法テク&実戦問題

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500~860 点ってターゲットが広すぎて薄く浅くになりそうですが、ヤマ張りっぽくせずに全般的な復習からやるならこのくらいがいいのかな、と。ひととおりやったら次に苦手分野(自覚している限りでは、やはり長文のリスニングと読解)のテキストを買って鍛えようかなと思っています。
今はしっかり勉強する時間がちょっと取れませんが、空き時間とかにちょこちょこやりながら、最終的には仕事の状況を見ながら年明け~春くらいの受験で 750 点を目指してみたいと思います。仕事的には 800 点はないといけない部署や会社もあるので、750 点が取れたら次は 800 点かな。べつに海外赴任したいわけじゃないので、それ以上はいいや(笑。

まあ、実際の仕事上は文章はそこそこ読めるしリスニングもある程度できるので、TOEIC のようなテストよりもむしろ会話のトレーニングをする必要があるんでしょうが、英会話学校に行く余裕もなかなかないしなあ(´д`)。

投稿者 B : 23:58 | Book | コメント (0) | トラックバック

2011/06/10 (Fri.)

オールドレンズ・ライフ

澤村 徹 / オールドレンズ・ライフ

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オールドレンズ パラダイス』『オールドレンズ パラダイス 2』の澤村 徹氏の新刊。『パラダイス』はほぼ EOS ユーザーのための本、『パラダイス 2』はマイクロフォーサーズの本だったのに対して、今回の『オールドレンズ・ライフ』は NEX とマイクロフォーサーズをターゲットに書かれています。今まで、他の企画本の中で NEX+マウントアダプタも扱った本、というのはありましたが、もしかしてオールドレンズのための本で NEX をメインに扱っているのは本書が初めてではないでしょうか?というか、最近オールドレンズ本で新刊を出してくれるのは澤村氏くらいしかいないわけですが(笑。

本書を読むと現時点でこんなにあったのか!と驚くほど幅広いバリエーションのマウントアダプタが E マウント、マイクロフォーサーズマウント向けにリリースされていることが分かります。以前、CP+ で KIPON の Ivan Zhang CEO にお話を伺ったときにはマウントアダプタのメイン市場は米中欧とのことだったので、ミラーレス機の登場により世界的にマウントアダプタ遊びが流行しているのでしょう。

なお、これまでのオールドレンズ本はどちらかというと「このレンズをデジタルで使いたい!」というモノ寄りのアプローチで書かれていて、写真よりもカメラをガジェットとして楽しむカメラ好き向けの本という印象が強かったと思います。が、本書は A4 判ということもあり作例中心の作りになっていて、「このレンズを使いたいから」ではなく「こんな写真を撮りたいから、オールドレンズを使う」というレンズ選びの一助となっているところが、従来のオールドレンズ本とは一線を画しています。私はメカからでも入れますが(笑)やっぱりこれが本来のレンズ選びの順序ですよね。仮にオールドレンズに手を出さないまでも、クッキリカッチリしたデジタル向けレンズの画作りとは違う、こんな世界もあるんだーということを眺めて知るだけでも、読んでみる価値はあるんじゃないでしょうか。

という感じで、オールドレンズ初心者にもお勧めな間口の広い本だとは思いますが、既にミラーレス機でマウントアダプタ遊びをしているユーザーもなかなか侮れない深さも本書は併せ持っています(笑。ミラーレスがなかった頃は、マウントアダプタ遊びといっても EOS に Y/C マウントのツァイスレンズをつけるか、あるいは広大な M42 星雲に足を踏み入れるか、の事実上二択に近い状況でしたが、フランジバックの極端に短いミラーレス機の登場によって、私も愛する CONTAX G、あるいはキヤノン FD、ミノルタ MD という名だたる死蔵レンズ、誰もがあこがれるライカ L・M マウントレンズ、そしてマニアックなシネレンズの世界・・・など、沼の広さも深さも格段に大きくなっています(笑。そんな世界へと誘ってくれる、恐ろしい一冊でもあったりします。

友人関係を誘ってもなかなかこっちの世界に来てくれる人がいないんですが(ぉ)、ミラーレスを買って純正レンズに飽き足らなくなったら、この本をパラパラとめくってみるだけでも面白いかもしれませんよ・・・!

投稿者 B : 00:04 | Book | Camera Mook | コメント (0) | トラックバック

2011/06/01 (Wed.)

これからスマートフォンが起こすこと。

本田 雅一 / これからスマートフォンが起こすこと。 ―携帯電話がなくなる!パソコンは消える!

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去年の『3D 世界規格を作れ!』がとても良い本だったので、引き続き期待していた本田雅一氏の新著。個人的には、高画質高音質方面よりも(こっちはこっちで趣味としては好きなんですが)むしろモバイルやコミュニケーションの世界にこそイノベーションを感じる志向性なので、発売を楽しみにしていました。

内容的には例によってとても本田さんらしい、業界を幅広くかつ深く取材した上で、フラットに現状と少し先の未来を整理したものと言って良いでしょう。フィーチャーフォンとスマートフォンの違い、ハードウェア/ソフトウェア面からみたスマートフォンの性質、タブレットの台頭、PC とスマートデバイスの今後の変遷、クラウドと 4G モバイル通信、Facebook をはじめとしたソーシャルメディアの存在感が増すこれからのインターネットについて、パッケージメディアからサブスクリプション型のコンテンツ配信モデルあるいは UltraViolet などを利用した新しいコンテンツ流通モデルへの変化、そしてそれらをふまえて各分野で誰が今後の勝者になるのか・・・といったように、スマートフォンやモバイルデバイスに関わるあらゆる事象を網羅的にまとめた一冊になっています。この分野は IT 産業の中でも現在もっとも進化のスピードが速い分野なので、2~3 年後には本書の内容はもう古い、つまり現実のものとなっている可能性が高いですが、そういう意味ではある種予言的でもあり、仕事/趣味的興味を問わずこのあたりの世界に携わっている人であれば、漏れなく読んでおくべき書だと思います。
個人的には、自分自身がこのあたりの事象の渦中にいることもあって、ほとんどが知っていることではあったのですが、個々の内容としてはよく知っていることであっても、こうやって全体の構造を改めて理解させてくれるという意味で、読む意義があったと感じました。内容の深さという点では少し食い足りない部分も多かったですが、ちょうど先日のスマホ業界 楽屋裏トークが結果としてそこを掘り下げる内容だったこともあり、併せて非常に勉強になりました。

フィーチャーフォンの多くがスマートフォンに取って代わられる・・・というか、スマートフォンがフィーチャーフォン化していく流れは、端末コストの面から言ってもネットワークとサービスの独立性(による自由競争の活発化)という面から言っても理にかなったものであり、止めようがないことだと思います。また同様に、PC の多機能/高性能をそこまで必要としない多くのユーザーにとって、スマートデバイスのほうがよりライフスタイルに適した製品であることも事実だと思います。本書のサブタイトルにもなっている「携帯電話がなくなる!パソコンは消える!」というのはいかにもキャッチーさを狙ったもので、さすがに極論であり反語ですが、それでもある面での真理を突いていると言えるのではないでしょうか。コミュニケーションに PC を使わずにすべてケータイで済ませてしまう世代がいるように、フィーチャーフォンも PC も買わずにスマートフォン(またはスマートデバイス)ですべてを完結させるユーザー層、あるいは世代というものは、間違いなく出現するでしょう。

また、本格的なクラウド時代が到来し、スマートデバイスの台頭によってハードウェアそのものの存在感は薄れていく、だから Apple のようにそこそこの原価で UX に関わる部分にはコストをかけ、少品種大量生産で稼げるビジネスモデルこそ正義だ、みたいなことは最近よく言われますし、それはある種の真理ではあると思います。でも、「おわりに」に書かれていたこの言葉には、私も確信を持っていたい。

わたしはこれからしばらくの間、消費者が"装置そのもの"に強い興味を抱かなくなる時代が来るだろうと考えている。スマートフォンを通じて得られる価値は絶大だ。しかし、その価値の多くは通信の"向こう側"にある。(中略)しかし、時が経てばハードウェア、ソフトウェア、サービスが一体化することで、消費者の興味が"製品"そのものに戻ってくるとも確信している。

これは当然、「ハードとソフト、サービスが一体化した先のこと」であり、現状のままハードウェアだけを豪華にすればいいという話ではありませんし、すべてを Apple がデザインした箱庭的世界観(で、多数の熱狂的ファンを抱える現在の状況)こそこの理想的な状態だという考えかたもあるでしょう。が、我々はまだ「ハードとソフト、サービスが完全に一体化した未来」を見ていない。そのときにどんな世界が待っているか、いや、どんな世界を創れるか。

その競争は、すでに始まっています。

投稿者 B : 23:05 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2011/02/18 (Fri.)

Sony Reader 用ブックカバーをようやく入手

よーうやく入手しました。

ソニー / ブックカバー PRSA-SC35 (ブルー)icon

PRSA-SC35

Reader 本体は入手したものの、ブックカバーが在庫切れでなかなか買えず。最近ようやく少し在庫状況が改善してきたようで、やっと買えました。本当はミヤビックスあたりから互換品でよさげなのが発売されたらそっちを買おうと思っていたんですが、なかなか出てこないので・・・。

PRSA-SC35

カバーは表紙にあたる部分が合皮。背表紙と裏表紙にあたる部分がラバー風の素材でできており、質感と触感(持ちやすさ)をうまく両立していると思います。

PRSA-SC35

Reader 本体の取り付けは、内側についているこの樹脂パーツの突起に、Reader の凹みをはめ込むだけというとてもシンプルな方法。同じやり方でサードパーティからユニークなカバーが出てこないかなーと思っているんですが、なかなか出てきません(´д`)。

PRSA-SC35

こんな感じで、だいぶ本らしくなりました。カバーをつけると当然厚みは増してしまいますが、しっかりした作りの割には薄いので、ぜんぜん許容範囲。

ブックカバーにこだわらず、ソフト/セミソフトケース系ならば汎用品がいろいろ使えるんですが、移動中のスキマ時間に電車やバスの中で読むことを考えると、いちいち出し入れしなくても使えるカバータイプがいいので、そうなると現状ではこの純正ブックカバー(バリエーションとしてはライト付ブックカバーiconもある)か、ソニーストアの同時購入特典の PORTER 製カバーくらいしかないのが、ちょっと寂しいところ。

これでやっと Reader を持ち歩いて読書できる環境が整ったわけですが、相変わらず配信(Reader Store 以外のサイトも含め)されているコンテンツに自分の読みたいものがない(´д`)。今のところプリインストールされている『ソニー自叙伝』のお試し版(第一章のみ)を読んだのと、自分で転送した『3D 世界規格を作れ!』の PDF 版の見え方をチェックしたくらいしか使っていなかったりします・・・。
そこまで投資する気はなかったけど、やっぱり当面は自炊環境を整えておいたほうが良いのかなあ(´д`)。

投稿者 B : 00:35 | Book | eBook | コメント (2) | トラックバック

2011/01/24 (Mon.)

ヤマダ電機の暴走

立石 泰則 / ヤマダ電機の暴走

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人に勧めておきながら自分で読み切れていなかった書籍を、ようやく読了。

日経ビジネス・週刊ダイヤモンド・東洋経済などの経済誌でここ数年、よく特集が組まれるようになったこともあって、私もヤマダ電機の仕組みについてはある程度知っているつもりでした。この書物はそういった既知の情報が網羅されているのに加えて、創業者の山田昇氏(現会長)の生い立ちから創業期に至る話まで掘り下げられているので、知らなかった情報や観点が得られて非常に興味深い内容でした。

専門学校を卒業後ビクターに就職し、組織の限界を感じて独立、松下電器(現パナソニック)系列の販売店を経て総合家電量販店化。群馬県に生まれて現在では全国ネットワークを網羅するようになった「国内家電流通の王者」は、「安さこそ価値」という信念のもと規模の拡大と調達コストの圧縮を両輪に、ひたすら拡大路線を突き進んでいます。それは、「タイムマシン経営」という言葉が認知されるようになる遙か以前から、アメリカ最大の家電量販店 Best Buy の経営手法を日本で再現しようとしていたのかもしれません。

いっぽうで、いち顧客として見たときのヤマダ電機は、私の自宅から最も近くにある大手家電量販店の一つであり、価格も(量販店としては)最安値クラスであるにも関わらず、これだけ電気屋好きな私がなぜか積極的には行きたいと思えないお店です。それはおそらく低価格にこだわるあまり、「売れ筋のものを大量に調達して仕入れ価格を下げる代わりに、売れ筋でないものはバッサリ切る」というヤマダ電機の売り方に私の好みがあっていないからだと思います。
私はどちらかというと売れ筋 No.1 でとにかく安い商品よりも、最先端であったりハイエンドであったり何か人と違うものであったり、ニッチ商品(よく言えばこだわりの強い商品)を好む傾向があると自覚しています。それに対してヤマダ電機には「ヤマダ電機が売りたい商品」しかないから、行っても楽しくないのでしょう。こう感じるのは私や私の親しい仲間うちくらいのものかと思っていたら、本書の中にも「ヤマダ電機に行って目当ての商品がなかったらヨドバシに探しに行くけど、最初にヨドバシに行って売っていなかったらヤマダには行かない」という消費者の例が挙げられていて、そういう顧客は案外少なくないんだなあ、と改めて気づかされました。電気製品にこだわりがなく、壊れたら初めて電気店に行って、置いてある選択肢から選ぶ・・・という高齢者が多い地方(ヤマダ電機も地方発祥の電気店)と、リテラシが高く指名買い顧客の多い都市部(カメラ系量販店の出自)とで顧客(全てではないにしろ)の行動が大きく異なる、ということに気がついていないか、気がついていてもどう対応して良いか分からないのかもしれません。もしくは、そういう顧客であっても価格になびく、と考えているのか。

まあ、価格差が一定以上に大きくなれば、嗜好品以外はコモディティ的要素が強くなり、低価格に流れる顧客の割合が大きくなるのは経済の原理だと思うので、それは否定してもしょうがないですが。
でも、例えばユニクロが価格以外の価値を提案するようになって、多くの顧客がもつユニクロのイメージが変わってきたのに対して、ダイソーを「ブランド」と認知している顧客がどれだけいるか?を考えれば、「価格が最大の価値」という戦略は、諸刃の剣であると思います。

さておき、本書は家電業界関係者のみならず、家電業界(の流通寄りの部分)に興味がある人や、マーケティングや経営戦略に興味がある人も読んでおいて損はない一冊だと思います。いろいろな観点で読める本だとは思いますが、私はこの本を読んで「価値」とはどういうことか、改めて考えさせられたなあ。

投稿者 B : 00:23 | Book | Business | コメント (1) | トラックバック