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2016/01/31 (Sun.)

孤獨的美食家

ある方より海外土産としていただきました。

久住 昌之、谷口 治郎 / 孤獨的美食家

孤獨的美食家

漫画『孤独のグルメ』の中国版です。『孤独のグルメ』は世界的にも地味な人気を誇っていて、かなり多くの国で現地語版に翻訳されて発売されていると聞いたことがありますが、まさかその実物を目にする機会があろうとは。
中国語でのタイトルは『孤獨的美食家』。何かのインタビューで、久住先生自身は「ゴローは別に美食家なわけじゃないから、このタイトルはちょっとニュアンスが違う」ということを仰っていましたが、直訳するとまあこうなりますね。

装丁は表紙からして国内版をかなり忠実に再現しています。

が、

孤獨的美食家

なんと中国版の表紙は題字とゴローちゃんのみ光沢コーティング仕様!(笑
これ、オリジナルより明らかにコストかかってます。

孤獨的美食家

帯にはなかなか壮大な謳い文句が。私は中国語は読めませんが漢字だけでだいたいわかります。
とりあえずゴローちゃんの「薄薄ーい本」ということはわかりました(違

さて、原語版は私自身熟読したと言って良いこの漫画。ゴローちゃんの「名台詞」が中国語だとどんな感じ(漢字、でもある)になるのか、見てみましょう。

孤獨的美食家

不要著急、只是肚子餓了而已。(焦るんじゃない、俺は腹が減っているだけなんだ)

おお、やっぱり漢字だけでだいたい想像できる。オリジナルの台詞を知っているからというのもあるけど。
それにしても「腹が減っている」を「肚子餓了」と書くと、もうなんか餓死しそうな勢いになってきます(笑

孤獨的美食家

外帯!原来還可以這様。(持ち帰り!そういうのもあるのか)

「持ち帰り」って「外帯」って書くのか。日本語だと着物の帯っぽい雰囲気になるけど、確かに「外に帯びる(=持って行く)」だもんなあ。勉強になります。

孤獨的美食家

最後那両盤...是致命一撃啊。(ラストの 2 枚...あれが効いたな)

「致命一撃」www
カッコつけてタバコ吸ってる場合じゃなくなってきました(笑

孤獨的美食家

哇鳴、我好像人類火力発電廠!(うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ)

これは完全にそのまんま(笑)。ゴローの比喩表現は言語の壁を越えるのか...!

このコマではむしろ注目すべきは「嚼嚼」「呑・咬」「呑・咬」じゃないでしょうか。原語だと「もぐもぐ」「はふ・はふ」「むしゃ・むしゃ」となっているのが動詞に置き換えられています。中国語は日本語に比べて擬音語や擬態語が少ない(というか日本語がやたら多い)と言われますが、体系が違う言語に翻訳するとこうなるという例なんでしょうね。勉強になるなあ。

孤獨的美食家

這種刻意的哈蜜瓜香料味!(このワザとらしいメロン味!)

日本語だと「ワザとらしいメロン味」とちょっと婉曲に表現しているのが、「蜜瓜香料味(メロンの香料の味)」と言われてしまうとミもフタもない印象になります(笑

孤獨的美食家

進食時的気分 應該是種 不被任何人打擾、自由的...該怎麼説、要有被救贖的 感覚才行。単獨的、安静的、豊饒的...(モノを食べる時はね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。独り静かで豊かで...)

来ましたよ、こどグル随一の名言。「単獨的、安静的、豊饒的」...やはり日本語よりもスケールが大きい感。国土の広い大陸のなせる業でしょうか、このゴローちゃんの顔が孟子か老子のように見えてきました(笑。

他にも、大阪の屋台の客が全員関西弁じゃなくて中国語でしゃべっていたり(この方言のニュアンスを中国語でどう表現しているのかはさすがに理解できなかった)、「俺は駅弁を食べ始めるのはせめて新横浜を過ぎてからだな」という台詞が中国語で表現されているのが妙にシュールだったり、これは日本語版に勝るとも劣らない独特の空気感。日本語版を読んであっても、いろいろと新たな発見があります。

そのうちドラマの聖地巡礼で台湾にも行こうと考えていますが、これで予習していけば完璧だね!(違

投稿者 B : 22:56 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2016/01/25 (Mon.)

物欲なき世界

タイトルに惹かれて読んでみました。

菅付 雅信 / 物欲なき世界

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「モノが売れない時代」と言われて久しい現代。私がいる業界も例外ではなく、先細りの業界、と言われています。まあ世界はともかくとして、日本の内需向け産業全体に言えることだと思いますが、私なりにも原因はいくつか思い当たっていて、

  • 少子高齢化に伴い、消費欲の強い若者の購買力が落ちてきた
  • スマートフォンの普及で様々なものの価値がスマホに集約され、スマホと機能が重複する機器が売れなくなった
  • 適法/違法を問わず無料で消費できるコンテンツが増えた結果、コンテンツにお金を払う動機が薄れた
  • コンテンツの電子流通が普及したことを発端に、「所有しない」価値観が徐々に一般化してきた
  • 手軽で無料/安価な娯楽が増えた結果、旅行などの「金のかかる娯楽」への需要が減った
  • 日本人の価値観が多様化し、娯楽が多様化した結果、大ヒットが生まれにくくなった=あらゆるジャンルでフォロワー層が薄くなった
  • 娯楽が多様化し、時間消費が細分化した結果、好きなモノ・コトに対するこだわりが薄れた
  • 現代の若者は物心ついたときから物質的・情報的に過多な環境にあり、欲求のもとになる枯渇感がない
  • 「実質ゼロ円」「EDLP」などの販売手法が当たり前になった結果、モノの価値が認められにくくなった
といった要素の複合要因なんだろうなあと。もちろんこれ以外にもいろいろあるとは思いますが。 ただ、これらは私の感覚や仮説に過ぎず、誰かが社会構造の変化とそれに基づいた消費構造の変化についてまとめてくれないかなあ、と常々思っていたので、これは読まざるを得ないと思ったわけです。

読んでみた結果...お、おう。言わんとしていることは分からないでもないけど、結論は「反資本主義」。資本主義のど真ん中に生きている我々からすれば、だからどうしろと、という話に感じました。地球の大きさが有限である以上永遠の成長なんてないし、いつかどこかで規模の経済からは脱却しなくてはならないけど、特に成長もなく再生産を繰り返すだけの活動に経済は耐えられるのだろうかと。まあこれ自身が資本主義の重力に魂を引かれた奴の発想なのかもしれませんが...。
「モノからコトへ」とか「商品ではなくライフスタイルを売る時代」なんてのは業界によっては十年以上前から言われ続けていることだし、拝金主義・物欲主義から脱却して、自然回帰的なゆったりとした暮らしをすべき、みたいな話もいつの時代にもある(批判的な言い方をすれば)ファッションみたいなもの。もっと、世界的な産業構造の変化が最終的な消費行動にどう変化をもたらしているのかを語らないと、単なる事例紹介で終わってしまうと思います。

個別の事例の中にはいろいろと示唆に富んだものもありましたが、全体としてはちょっと求めていたものとは違ったかな。個人的には、本書の中で紹介されていたアスキー総研・遠藤諭氏の指摘が興味深かったです。要約すると、かつての我々世代の物欲というのは、所有すること自体が自己表現の一部だったし、情報源も限定されていたから自分自身が所有していることが重要だった。が、インターネットやソーシャルメディアを通じてコミュニケーションすることが一般的になると、情報源も多様化して自分自身の価値が相対的に低下するから、所有して見せびらかすことで自己顕示欲を満たせなくなってくる。そうすると所有することに価値がなくなる、というもの。そういう点では明らかに旧世代に入る私には理解しにくい話ですが(笑)、ロジックとしては分からなくもない。まあ、それを知りたければ本書よりも遠藤諭氏の著書を読むべきだったのか(ぉ。
私は「究極のエンタテインメントはプレミアムコンテンツでもアミューズメントパークでもなく、個人同士のコミュニケーションだ」というのが持論ですが、そういう意味で考えると、あらゆるモノもコンテンツも体験も、「コミュニケーションを通じて消費するためのネタ」に過ぎないのかもしれません。物欲なき世界、というのはある種、コミュニケーションそのものがエンタテインメント化した、成熟した世の中の姿なのかも。

投稿者 B : 23:59 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2016/01/09 (Sat.)

すごい家電 いちばん身近な最先端技術

西田 宗千佳 / すごい家電 いちばん身近な最先端技術

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暮れに発売されていた西田宗千佳氏の新著を、年末年始のお休みを使って読破しました。

ビジネス書や新書が多い氏の著作としては珍しい、講談社ブルーバックスからの発売。というわけで、読者もビジネスマンや IT/家電業界関係者よりはむしろ高校生くらいを想定し、かなり読みやすい文体と噛み砕かれた表現で書かれています。
タイトルの通り家電について書かれていますが、スマホや PC といった IT カテゴリではなく、純然たる家電がメイン。テレビやレコーダのような「黒物家電」も控えめで、ほとんどがいわゆる「白物」、つまり洗濯機や冷蔵庫などの生活家電のお話。

あらゆる分野の家電に関して、そのルーツから歴史、そして最新の製品に採用されている技術までを解説しており、これさえ読めば白物家電の基本的な部分は理解できてしまいます。もっと技術トレンド寄りなのかと思ったら、かなり基本的な部分から解説されており、業界関係者でなくとも理解しやすくためになる内容。

本書はパナソニックの全面協力を得て執筆されているため、競合他社が引っ張っているトレンドに関しては弱い部分もありますが、その分パナソニックの開発陣への綿密な取材に基づいて書かれており、表面的な解説にとどまらない深みがあるのもポイントです。昨年末の小寺西田メルマガの忘年会でご本人にお会いした際にご本人からこの本の執筆にまつわるお話をいろいろ伺ったのですが、たとえばトイレ(便器)の開発には排水効率を検証するために「疑似便」を使っており、(汚い話ですみませんが)さまざまな状態を再現した疑似便の開発にも、それぞれのメーカーごとのノウハウが蓄積されている...というような話を伺いました。飲み食いしながらそんな話をするのもどうかとは思いますが(ぉ)、最終的には平易な内容にまとめられているものの、各ジャンルにおいて開発陣にそういったレベルの取材を繰り返したからこその深みが溢れています。

私はスマホや PC、カメラならばまだしも、白物家電に関しては実際に買い換える段になってようやく最新のトレンドを調べることがほとんど。三年半前に引っ越した際に大物の家電類を買い換えましたが、それ以降の状況は追いかけていませんでした。が、これを読む限りでは、現在の家電のトレンドは「ヒートポンプを活用した高効率な熱交換」と「センサと内蔵コンピュータを使った緻密な制御」で、エネルギー消費を抑えつつユーザーの利便性を高める、というのが製品カテゴリを問わず共通した方向性のようです。ちょっと前だと NFC を使ったスマホ連携みたいな派手目な(割には実利が少ない)機能ばかりが持ち上げられていましたが、実際には地味だけれど実利のある部分も着実に進化しているようですね。
白物家電というのは基本的に「家事を楽にして、生活の質を高める」という普遍的な目的によって買われるものなので、あらゆる家電が普及した現代ではもう進化の余地が少ない、あるいは進化しても買い換える必然性を感じない、と見られることが多いのが実情でしょう。が、ロボット掃除機だったり羽根のない扇風機だったり、あるいは BALMUDA のスチームトースターであったり、人間の本質的な欲求を見つめ直して新たな価値軸を提示することで、イノベーションを起こせる余地はまだまだあるはずです。そういう意味では、いったん進化の踊り場に差し掛かったスマホよりもむしろ、白物家電が今面白いのかもしれません。

大人が読んでも面白いですが、これは理工系に興味を持ち始めた中高生にこそ読んでほしい一冊だと思います。

投稿者 B : 22:32 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2015/10/25 (Sun.)

ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変える

西田 宗千佳 / ネットフリックスの時代 配信とスマホがテレビを変える

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西田宗千佳氏の新著を読了。

タイトルにこそ「ネットフリックス」と入っていますが、Netflix の話題一辺倒ではなく、むしろ Netflix の日本上陸を契機としたデジタルコンテンツ流通に起きている変化の「今この瞬間」を総合的にまとめた書物、と言えるでしょう。
電子書籍における Kindle、音楽配信における Spotify(これはまだ日本参入できていませんが)と並び、「SVOD の黒船」と言われている Netflix。この上陸によって国内の動画コンテンツ流通は大きく変わるのでは、と言われていますが、数年前に Hulu が上陸したときにも同じように騒がれたものの、Hulu によって業界構造が大きく変わったかと言われれば、実際そうはなっていません。そこには地上波という無料放送が圧倒的に強い放送事情だったり、狭い国土の至るところに TSUTAYA があるビデオレンタル事情だったり、複雑なコンテンツの権利関係だったり、アメリカと日本のお国事情の違いが反映されています。しかし、FTTH や LTE といった通信網の整備、放送や光ディスクメディアに先駆けた 4K フォーマットへの対応など、VOD に時代の追い風が吹いているのも事実。すぐに放送レンタルビデオ店がなくなって VOD が主流になるとは言いませんが、個人的には 3~5 年の間には VOD が放送やビデオレンタル業から見ても無視できない市場に育ってくるのではないか、と考えています。そういう意味で、誰かが現状をまとめてくれないかなと思っていたところに、ちゃんと出してくれるのがさすがの西田氏(笑。

書籍の内容は、宅配型 DVD レンタルから始まった Netflix のビジネスモデルの変遷、Netflix のコアコンピタンスとも言われている強力なレコメンド機能の秘密、オリジナルコンテンツ製作に注力する理由、など Netflix の(主にアメリカでの)強みを分析。その上で、Hulu・dTV・TSUTAYA といった国内の VOD サービサーを分析し、誰が勝つかではなく業界としてどこを目指し、今後の主戦場がどこになりそうかといった視点でまとめられています。
また、VOD サービスの視点だけで見ていては市場として伸びるかは断言ができないところ。そこは見逃し配信等に関連した放送局側の事情や、各個人のメインウィンドウがテレビからスマホに取って代わられてしまった現状、そして業界動向として相似形をとる音楽コンテンツ流通で何が起こったか...といったあたりからまとめられています。正直なところ、音楽の「定額聴き放題制」も実質的には今年始まったばかりなので何とも言えない市場ですが、少なくとも「光ディスクを買う/借りる」という消費スタイルを過去のものにしたという意味では、VOD の未来を占う上で重要なヒントが隠されていると思えます。

個人的に Netflix と並んで注目しているのが、Amazon プライム・ビデオの動向。本書の中ではあっさりめにしか触れられていませんが、Netflix をはじめとする通常の VOD サービスが「コンテンツ配信自体を主軸とした真っ当なサービス」であるのに対して、Amazon プライム・ビデオは SVOD サービスでありながら、ユーザーによっては「Amazon プライムに加入していれば勝手についてくる SVOD サービス」という位置づけになるわけで、これが SVOD というサービスの価値にどういう影響を与えるか、にはとても興味があります。当初「お急ぎ便無料」から始まった Amazon プライムは今や様々な付加価値サービスの集合体となっており、単体のサービスに月額を払うのはもったいないけどこんなにあるなら ¥3,900/年 は全然高くない、という消費者も少なくないのではないかと。まあ、Amazon プライム・ビデオ単体に関しては、国内版 Netflix と同様にまだまだ始まったばかりであり、これからのサービスではあるのですが。

私自身は普段からたまに TVOD(単品レンタル相当の都度課金サービス)は利用しているものの、SVOD には加入していません。普段からドラマやアニメをそれほど観ていないということもあって、月額 1,000 円前後をペイするとは思えないのが理由なんですが、最近あまり観てない ANIMAX に月額払い続けてるよねとか娘たちが毎週借りてる TSUTAYA の DVD を SVOD に切り替えればそれだけでお釣りが来るよねとかセルフツッコミ要素がたくさんあるのも事実です(笑。まあ娘たちの TSUTAYA に関しては、物理的な上限を設けておかないといつまででも女児アニメを見続けるからあえてそうしているというのもありますが...。
ただやっぱり、個人的にもそろそろ普段から何かしらの SVOD サービスに触れていないと何かに乗り遅れるよなあ、と思っているフシもあったりして。そろそろ本気で何か検討しますかね。

投稿者 B : 21:47 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2015/10/16 (Fri.)

久住昌之先生のトーク&サイン会に行ってきました

漫画『孤独のグルメ 2』の発売を記念して開催された、原作・久住昌之先生のトーク&サイン会に行ってきました。

『孤独のグルメ2』発売記念 久住昌之さんトーク&サイン会開催【三省堂書店池袋本店】|お知らせ|扶桑社

久住昌之さんトーク&サイン会

三省堂の池袋本店にて開催。ゲストは『野武士のグルメ』等で作画を担当されている、土山しげる先生。って『孤独のグルメ』に関係する人じゃないのかよ!(笑
土山先生は、どこか豪快さを感じる画風とはちょっと違って、想像以上にダンディーなおじさまでした。昔から数々のグルメ漫画を執筆してきた方ですが、最新作は『野武士のグルメ』とは真逆の、まずい店に怒りをぶつける漫画『噴飯男(フンパンマン)』とのこと(笑。(※単行本化にあたり『怒りのグルメ』に改題)

久住昌之さんトーク&サイン会

トークショーは久住先生と土山先生の掛け合いで、たっぷり一時間。登壇された瞬間、久住先生の顔がちょっと赤いように見えて「やっぱり今日も一杯ひっかけてきたんだ」と思ったのは内緒です(ぉ

トークショーの内容は、ここには書けないようなきわどい話も連発していたので(笑)基本的には参加者だけのもの、ということで。一応、差し支えなさそうな範囲からかいつまんでメモ:

■漫画の話

  • 『孤独のグルメ』における料理の作画は、谷口ジロー先生ではなくアシスタントさんが描いている
  • 単行本 1 巻と 2 巻ではそのアシスタントさんが替わっていて、先代への対抗意識からか 2 巻のほうがより描き込みが細かい。そのため、1 コマ描くのに丸一日かけることもザラ
  • 食べ物を描くのはとても大変。漫画はモノクロだから、おいしそうに見せるのが難しい
  • 土山先生は食べるまでの過程(わさびを醤油に溶く描写とか)と食べるときの表情を使っておいしさを表現している
  • 久住先生が原作を書く際には、モデル店には三回は行く
  • ドラマはお店の紹介も含めてやっているが、漫画はあくまでフィクションとして描写しているので、人気が出るに従ってやりづらくなってきた

■ドラマの話
  • ドラマの登場店にお客さんが来てくれるのは嬉しいが、増えすぎて常連さんが入れなくなるのは申し訳ない、とも思う
  • でもお店によっては常連席を別途確保してあったり、常連さんが巡礼のお客さんと仲良くなるなど、良かったこともある
  • Season2 か 3 でドラマの予算が増え、カメラをいい機材に交換したら大きくなって、狭い店内では逆に撮りにくくなった(笑
  • Season3 に登場した河津は河津桜くらいしか名物がなかったのが、今は「わさび丼の聖地」として盛り上がっている
  • Season5 で放送予定の台湾編は初の海外ロケで、極秘裏に撮影していたはずなのに、現地でロケ中に「ゴローさんだ!」といって写真が SNS にアップされ、日本のファンにもバレバレに(笑
  • 高崎で飲み屋に入ったら、他のお客さんに吉田類氏と間違えられた。その上、店主に「深夜にやってる孤独のなんとかって番組の最後に出てるよね、吉田類」と二重に間違えられた(笑

■グルメの話
  • お店を探すときは基本的に足で探す。食べログやネットで下調べしてから行くのは答を見ながら問題集を解くようなもので、力にならない
  • 店構えの印象でお店を決めることも多い。そういうのを「ジャケ買い」ならぬ「ジャケ食い」と呼んでる
  • こないだ、土山先生と一緒に行った西荻窪のおでん屋がすごくうまかった。近いうちに『野武士のグルメ』で取り上げる予定
  • ドラマのせいで「いつも昼から飲んでる人」と思われているが、仕事は飲まずにやっている。でも新宿のベルクに行ったときだけはどうしても飲んじゃう(笑。そういうときに限ってファンに見つかって「やっぱり」と思われるのが悔しい(笑

孤独のグルメ 2

トークショーの後には、単行本にサインをいただきました。先日スクリーントーンズの吉祥寺ライヴで 1 巻にもサインをいただいたところなので、2 冊合わせて家宝にします(笑

ドラマのほうは今後の台湾編も控え、いよいよ盛り上がってくるところです。今夜もこれから第 3 話・西荻窪編の放送ですが、トークに出てきたおでん屋さんもすごく気になります。これはもうちょっと寒くなったら、あの方を誘って行ってみるしかないかな。

久住 昌之、谷口 ジロー / 孤独のグルメ 2

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2015/09/28 (Mon.)

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

「巡礼ガイドの続編!そういうのもあるのか」

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

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というわけで、あの『孤独のグルメ 巡礼ガイド』の続編が発売されたので、さっそく買ってきました。まさかこれまで続編が出るとは思わなかった。
ちなみに原作 2 巻のほうは先週末にフライング販売されていましたが、こちらはフライングされていなかったので、今日買ってきました。出版社は同じなので、コミック扱いとムック(雑誌)扱いで販売解禁ルールが違う、とかそういうことですかね。

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

冒頭はもちろん松重さんのインタビューから。

素の松重さんらしい飾らない言葉で、撮影やそれぞれのお店に関するエピソードを話してくれていて、とても共感できる内容です。
ファンとしてはやっぱり「松重さん個人としてどの店がうまいと思ったか」は気になるじゃないですか。

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

箱根の「いろり家」には放送前に行った、という話は何かで読んで知っていましたが、木場の「カマルプール」と神宮前「シャンウェイ」には行きたくても混みすぎで行けてない、とは。個人的にも遠くて行けない箱根を除けば、Season4 の絶賛リピート巡礼店はこの二店と鳥越「まめぞ」なので、自分の味覚がゴローちゃん本人と同じ、というのはなんだか嬉しくなっちゃいます。
カマルプールとシャンウェイは実際に今でもなかなか予約が取れません(;´Д`)ヾ。

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

キャプションに誤記発見。日間賀島編でゴローが赤車海老を食べたのは、間食パートの「キッチン Barca」ではなくメインの「乙姫」のほうです。

この赤車海老、本当に濃ゆ~い味で、癖になりそうでした。

前作の巡礼ガイドが Season1~3 からのダイジェストだったのに対して、今回の巡礼ガイド 2 は Season4 をメインに、あとは前巻で収録されなかった Season1~3 と原作 1~2 巻の店舗からいくつかピックアップして掲載しています。Season4 が全 12 話中 10 話分のみの掲載で、日間賀島編と恵比寿編(+博多出張編)だけ省かれているのが微妙に気になりますが、出張費用が捻出できなかったのかな(笑

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

前巻からそうでしたが、「巡礼ガイド」と言いつつテキストは基本的にドラマおよび原作コミックのストーリーをなぞっているだけ。本当はもうちょっと映像外でのお店の楽しみ方とかを紹介してほしいんだけどなあ...と思います。一応、ドラマに比べると原作のほうが登場する料理が少ないからか、ゴローが食べた以外の料理に関してもいくつか紹介されていて、全店巡礼済みの私としてはむしろそっちのほうが興味深かったり(笑。下北のピザ屋のイカコンセロリ、ずっと気になってたんですよね。

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

あと、作中には全く登場しないけど渋谷の「魚力」は夜メニューの海鮮丼が本当に気になっていたので、この写真にはグッときてしまいました。駅から遠いけど、今度行ってみようかな...。

俺が巡礼ガイドに求めていた情報って、こういうものなんですよ。
最近、いろんな人から「全店巡礼したのなら、そろそろ本を出すべき」みたいなことを言われるようになって、どどど同人誌くらいなら...と勘違いしかかっている私ですが(ぉ)、公式の巡礼ガイドとは違う視点でまとめてみるというのも面白いのかな。

孤独のグルメ 巡礼ガイド 2

それから、コミック 2 巻の発売を記念してか、巻末のインタビューは原作コミックで作画を担当している谷口ジロー先生!まさか登場されるとは思っていなかったので、感涙です。
マンガ『孤独のグルメ』執筆のいきさつとか、食事シーンを漫画で表現することの難しさとか、緻密に書きすぎてイヤになってきた話とか(笑)これもファンなら必読のインタビューです。「SPA!」に一度掲載されたら次はいつになるのか分からないレベルでの不定期連載も、これだけ大変ならば仕方ないか、と思えてきます。

ドラマ Season5 はついに今週末からのスタート。この巡礼ガイド 2 で復習しつつ、Season5 の聖地巡礼の計画を立ててみるのも一興か。まあ既にいくつか具体的な計画を立て始めていますが(笑。

さあ、次はどの店に、何を入れに行こうか。

投稿者 B : 23:56 | Book | コメント (0) | トラックバック

2015/09/25 (Fri.)

孤独のグルメ 2

「ま、ひとり飯。誰気にすることなし」

久住 昌之、谷口 ジロー / 孤独のグルメ 2

孤独のグルメ 2

待ちに待った『孤独のグルメ 2』がついに発売されました。本来は一年ほど前の発売予定だったのが、いろいろあって延期を繰り返し、このタイミングに(ドラマのスタートに合わせたい、という営業的な意味合いもあったんでしょうけど)。公式な発売日は週明け月曜日ということになっているようですが、都内の大手書店では既に本日から販売解禁になっているようで、さっそく捕獲してきました。Amazon の発送や各電子書籍ストアでの配信はまだ始まっていないようです。

書店でお会計をする際にレジの若いお姉さんに「割り箸おつけしときますねー」という感じで一緒に袋に入れられた割り箸(コンビニかよ!)、ノーマークでしたがこれが先着特典らしいです。どことなく昨年発売されたカプセルトイシリーズに通じるものを感じます。デザインされているのは箸袋の部分だけで、割り箸そのものは普通っぽいですが、もったいなくて開封確認する勇気がありません(ぉ

孤独のグルメ 2

全 18 話+特別編という大ボリュームだった前巻(【新装版】の場合)に比べると、厚みは 2/3 くらいになってしまっています。収録されているのは全 13 話、先日「SPA!」に収録されていたパリ編を含む単行本未収録回をひととおり網羅していますが、逆に言えば単行本書き下ろしエピソードはなし。既存エピソードは全て一度読んでいた私としては新作を期待していただけに、ちょっと残念なところ。

孤独のグルメ 2

漫画の中のゴローちゃんは、1 巻に比べると饒舌で、オヤジギャグ満載のキャラになってきたように思います。昔はもっと寡黙でシブい大人の男(ただしたまに食材をダブらせたりする)だったと思うんだけどなあ...?まあ、このあたりはドラマ版松重五郎のキャラが原作にもフィードバックされてきている、ということなのでしょうか。

また、顔芸のほうにも磨きがかかっていて、

孤独のグルメ 2

なんで腹減ってるだけなのにこんな格闘マンガみたいな顔してるの!なんかオーラまで出てるし!(笑

やっぱりダジャレで笑わせるよりも、シリアスさが逆に可笑しいキャラクターのほうが、個人的には原作版ゴローに合ってるんじゃないかと思います。

孤独のグルメ 2

こちらは第 4 話の三鷹のお茶漬け回におけるひとコマですが、これ完全に「モノを食べる時はね(ry」の顔じゃないですか(トレス疑惑
この回、この表情の後に体術が飛び出すところまで含めて、1 巻の大山町ハンバーグ回の再現のようなエピソードになっています。

この店には私も実際に行きましたが、いろんな意味で聖地巡礼史上でも特にインパクトの強い店だったなあ...。

孤独のグルメ 2

余談ですが、ゴローの最新愛用カメラはどうやらソニー RX100 II のようです(アクセサリシューっぽい形から II 型と判断)。兄弟機種ユーザーとしてはとても嬉しい。久住さんも最近 RX100 シリーズ愛用してますよね。

というわけで待ちに待った最新巻、堪能しました。
収録されているお店には既にほぼ巡礼済みなので、レポート記事はこちらからどうぞ。

【飯テロ注意】『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート Season1~Season4&原作1~2巻 - NAVER まとめ

来週からはいよいよドラマ Season5 もスタート、こちらも楽しみです。

久住 昌之、谷口 ジロー / 孤独のグルメ 2

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投稿者 B : 23:56 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2015/09/02 (Wed.)

オールドレンズ・ライフ Vol.5

澤村 徹 / オールドレンズ・ライフ Vol.5

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前作からちょうど一年、澤村 徹さんのムック『オールドレンズ・ライフ』の最新刊が発売されたので、さっそく購入。このシリーズも気がつけばもう 5 冊目ですが、未だとどまるところを知らない勢いを感じます。

Vol.4 の時点で α7 シリーズによる「35mm 判レンズ本来の画角での撮影」および縮小光学系マウントアダプタによる「APS-C ボディでの擬似 35mm 判画角での撮影」が可能になっており、オールドレンズ本としては一旦行き着くところまで行った感がありました。オールドレンズって毎年新製品が出てくるものでもないし(笑)、さすがにそろそろネタが枯渇してきたのでは、と思っていたら、今回の主なトピックは

  • 旧東独・ロシアレンズ特集
  • 中判オールドレンズ特集
  • 現行 MF レンズ特集
  • まだまだ出てくる新型マウントアダプタ
という、かなり上級者路線を攻めてきました。

オールドレンズの入り口といえば旭光学やオリンパスの旧ズイコー、あるいはヤシカ/コンタックス用ツァイスレンズあたりが定番ですが、ツァイス・イエナを中心とした旧東ドイツレンズや安価なツァイスコピー品であるロシアレンズ側にも、広く深い沼が広がっています。特にイエナ製レンズはオールドレンズとは思えない安定した描写を誇っており、ツァイスにしては安価なこともあって入門用として比較的手を出しやすいのも事実。私もイエナ製の MC Sonnar 135/3.5 は一本持っていたりします。
とはいえ入手性がも情報も限られているこのあたりのレンズにいきなり手を出す初心者もいないでしょう。この『オールドレンズ・ライフ』シリーズは初心者をあまり考慮せずにいきなり沼の深いところから始まることが多いですが(笑)、それでも今回のは今までよりもさらに深淵からスタートしている、と言えます。私もさすがに、中判オールドレンズに手を出す予定は今のところないかな(笑。

個人的注目はやはり現行 MF レンズ特集。少し前までは新品で買える MF レンズといえばライカかコシナ製ツァイス/フォクトレンダーくらいしか選択肢がありませんでしたが、オールドレンズブームのもとで新規に MF レンズを発売するメーカーが複数現れてきました。中でも、今回のムックは富岡光学(ヤシカ/コンタックス用ツァイスレンズを OEM 生産していたメーカー)の Tominon 55mm F1.2 の復刻版にあたる木下光学「Kistar 55mm F1.2」、そしてマウントアダプタメーカーとして有名な Hawk's Factory が Tsubasa ブランドで開発したレンズ第一弾「Swallow 35mm F2」の発表の場を兼ねています。それほど重要な媒体になったと考えると、初期の頃から応援してきたファンとしても嬉しい限り。
一口に現行 MF レンズと言っても、過去の名玉の描写を再現することにこだわったものから既存レンズにないスペックを目指したもの、そして MF でありながら現代的な高解像度を実現しようとしたものまでバラエティに富んでいます。オールドレンズはアジア方面の需要増で年々値上がり傾向にありますが、現行 MF レンズであれば価格が安定しており入手しやすいという利点もあり。いきなりオールドレンズ、ではなくまずは現行 MF レンズから始める、という選択肢もあると言えます。

個人的にはやっぱり東独かなあ。イエナの Flektogon 20/4、35/2.4 は以前から手に入れたいレンズではありました。最近、AF でラクをしてばかりだったけど、AF レンズはめぼしいところはだいたい揃えてしまったので、改めてオールドレンズ収集に走りたくなってきました。

投稿者 B : 21:55 | Book | Camera Mook | コメント (0) | トラックバック

2015/07/27 (Mon.)

猫は忘れない

東 直己 / 猫は忘れない

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二年前から読み進めていた、東直己「ススキノ探偵シリーズ」の最新巻を読了。

「俺」の学生時代を描いた前作『半端者』から打って変わって、時間軸は『旧友は春に帰る』の続き。「俺」は順当に齢を重ねて五十代半ばにさしかかっています。
いつもの仕事と同じように、知人の水商売のママが旅行中に飼い猫の世話をすることになった「俺」。飼い主の不在中に餌を与えるためにマンションに入ったところ、当の飼い主の刺殺体を発見してしまい...という、いつもとはちょっと違うところから物語は始まります。いつもススキノでグダグダしているところから始まっているので読み進めるのに時間がかかりますが、今回は最初から引き込まれた感じ。

ただ、怪しい人物は序盤にいかにもという形で登場し(しかし「俺」はそれを怪しいとは思わない)、結局その人物が犯人だった...という点で、ミステリー的にはあまり驚くような話ではありません。「俺」も歳を取ってアクション的な動きも減っているし、酒を飲むよりも飲まれるような場面は増えたし、ホームズやポワロのような推理能力でもなければ、そろそろ肉体派探偵としてやっていくのは限界じゃないですかね。このシリーズ、全般的に「俺」が主体的に事件を解決する話は少なく、むしろ「俺」が入り込むことで状況が引っかき回され、真相のほうから勝手に「俺」のところにやってくる、というスタイルが多い。今回も最終的にはそういうオチで、「俺」が謎を解く場面が今まで以上に少なくなっています。
でも、このシリーズ自体がそういうものだ、と考えると、逆に事件や推理は物語に彩りを添える要素にすぎず、「俺」とその関係者たちがススキノ周辺で生きる様子そのものを楽しむことが本質なのだということに気づけば、そういう視点で楽しめるようにも思います。このシリーズにここまで付き合ってきた読者であれば、既にそういう読み方になっているのかもしれませんが(笑。

そういえばこの作品は映画『探偵は BAR にいる』の公開後に刊行された今のところ唯一の作品ということになりますが、この物語に登場する猫のナナについ話しかけては「だからそういうのやめろって」と独りツッコミを入れる様子が、劇場版で「俺」を演じる大泉洋の姿と重なって見えました。小説版の「俺」は大泉洋とは似ても似つかぬ太った中年ですが、キャラクター的にはちょっと当て書きが入りつつあるのかな、という気がします。

長らく付き合ってきた「ススキノ探偵シリーズ」も、刊行されている分はとりあえずこれで終了。続編は番外編として JT が展開する Web 媒体「ちょっと一服ノベルズ」で一時期展開されていたようですが、その先は不明。そろそろ探偵業も限界だろうけど、製作中と言われている映画第三弾の公開に合わせて動きがあるんでしょうか。とりあえず番外編を読みながら、続報を待ちたいと思います。

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2015/06/28 (Sun.)

半端者 -はんぱもん-

東 直己 / 半端者 -はんぱもん-

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「ススキノ探偵シリーズ」の続編をひさびさに読了しました。続編といっても前作の続きではなく、シリーズ第一作『探偵はバーにいる』よりもさらに遡って、主人公「俺」がまだ北大の学生だったころのお話。あとがきによると、映画『探偵は BAR にいる』の制作を記念して書かれた物語とのことです。

このシリーズは序盤がダラダラすることが少なくなく、主人公が学生であるせいか、この物語はそのあたりが余計に強調されていたような気がします。読者としてはそのせいで序盤の進みが悪く、なかなか読み進めるモチベーションが保てずに、ちょっと時間がかかってしまいました。が、話が動き始めてからはページをめくる手(といっても電子版だけど)が止まらなかったのは、このシリーズならではと言えます。

学生時代の物語、というと派生するシリーズに登場した松井省吾君のことを思い出しますが、彼とは似ているようでいてまたずいぶんと違う。ススキノでそれなりに飲み慣れていながらも、その道に生きる人々との付き合い方はまだ知らない。その割に正義感だけは強くて妙なトラブルに首を突っ込んでばかりいる...というのはその後の作品にも通ずるところですが、そのアプローチが未熟なあたりが、タイトルの『半端者』たる所以。後のストーリーに登場する重要人物との出会いについてもいろいろと描かれており、ここまで読んできた人であれば感慨深いものを感じることでしょう。特に、後のすべてのシリーズに登場する高田や○○についてのくだりは、ファンならば読みたかった話ではないでしょうか。

「俺」がススキノで発生するいくつかの事件に首を突っ込みながらも、最終的にそれを解決するのは多くが「俺」以外の誰か、という点では後続する時間軸のストーリーと一致しています。あくまで首を突っ込んで引っかき回すまでが役割で、それをきっかけに事態が半自動的に進んでいく...というのがこのシリーズの持ち味ですが、そのルーツとして意識的に描かれた物語、という印象。でも、凄腕の探偵が推理によって難事件をどんどん解決していくよりも、こちらのほうがリアリティがあるとも感じます。
ミステリー的には、作中で発生したあれこれの事件が一つの結末に収斂していくことを想像しながら読み進めていましたが、その結末はけっこう散漫な、それぞれの話として終わった感じ。結末としてはちょっと物足りなかったものの、学生時代に起きたことって何でもけっこうこんな感じだったかもな、と思うと、妙に納得してしまうものがありました。そういう意味では、この作品は話の結末そのものよりも、「俺」の行動規範を改めて確認するための物語だった、と言えるのかも。

このシリーズも、刊行済みの作品では残すところあと一つとなってしまいました。映画は続編が作られているらしいので、小説版も映画の新作のタイミングで続きが出てくる可能性はありますが、ひとまずは残り一作。すっかりおっさんになった「俺」の物語を、続けて読んで行こうと思います。

投稿者 B : 21:56 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック