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2012/08/22 (Wed.)

子育てできれいな歯並びを!

倉治 ななえ / 子育てできれいな歯並びを! -夢は矯正いらず

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クマデジタルさんが買っていたのを見て、そういえば私も歯並びについては最近気になっていたところなんですよ・・・と思って読んでみた本。

私は歯並びはかなり悪いほうです。具体的に言うと、歯並びだけ徳永英明に激似です(ぉ。母もほぼ同じ歯並びなので、完全に遺伝なのですが、小学校高学年になっても生え替わらなかった何本かの乳歯を歯科でまとめて抜かれたりした影響もあるかもしれません。そして、最近永久歯への生え替わりが始まっている長女も、永久歯の出てきかたが私にとてもよく似ているので、同じような感じになる可能性が高いと思っています。次女は次女で、下あごを突き出して遊ぶ癖があって、噛み合わせに不安が出てきています。
春に奥歯の詰め物が取れてから通っている歯科で、矯正と親不知の抜歯を強く勧められたのですが、「その経済的余裕があるなら、むしろ娘に矯正を受けさせたい」と断ったりしたこともあって(←これは本心)、歯並びについては強い関心を持っていたところでした。

この本は、自らも子育ての経験をもつベテランの矯正歯科の先生が執筆された本で、「きれいな歯並びがいかに大切か、そしていかに矯正だけに頼らずに、子育てできれいな歯並びを作るか」について書かれています。状況によっては矯正を併用した方がいいケースはあれど、多くの場合は子育てのやりかた次第できれいな歯並びは作れる、という内容。「子育てで」という時間のかかる手段を掲げているだけあって、即効性のある話は一切ありませんが、逆に言えば歯並びというのがそれだけ時間をかけて形成され、成長期であれば日ごろの過ごしかた次第である程度コントロールできる、という話でもあります。
ただ、ここに書いてあったことは、単に歯並びのためだけではなくて、子どもが健康に成長するために必要な過ごしかたやしつけの話だったりもするので、今歯並びで悩んでいる子の親御さんが即効性がないから読む意味がない、というものでもないと思います。

我が家の場合は、遺伝によるところが大きそうなので、かりにここに書かれていることを全て実践してもいずれ歯列矯正のお世話になる必要は出てくるでしょうが、仮にそうなるとしても、矯正の苦労を少しでも和らげてあげるために今から親がしてあげられることはたくさんあるんだな、と気づかされました。現実的な話をすると、育てかたで多少なりともまともな歯並びを獲得できていれば、後の歯列矯正に必要な金銭的負担もそれだけ楽になる、ということでもありますし。

私も歯並びについてはけっこうコンプレックスだったし、ウチは特に二人とも女の子だし、いろいろと考えさせられました。

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2012/07/25 (Wed.)

機動戦士ガンダム UC メカニック&ワールド ep1-3

機動戦士ガンダム UC メカニック&ワールド ep1-3

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最近サイカ先生クマデジさんのエントリーを読んで「グレートメカニック DX」誌のガンダム UC のページを読みたくなったんですが、残念ながら UC 以外はマクロスとアクエリオンくらいしか興味あるタイトルがなく・・・ガンダム UC のページだけ読みたいんだよ!と思っていたら、ちょうどそのガンダム UC パートだけを合冊にしたムックが発売されたじゃないですか(笑。思わず、脊髄反射で買ってしまいました。

とはいえこのムックは基本的に同誌の過去の号に掲載されたものの再編集なので、最新号に登場している RX-0 バンシィ関連の掲載はナシ。その代わり、ep1-3 に関する内容を既刊から加筆編集したものになっていて、かなりのボリューム感があり、OVA『ガンダム UC』のメカニックおよび世界観関連の設定資料集として非常に読み応えのあるムックになっています。それぞれの機体解説というよりもアニメの設定資料集というスタイルを取っていて、あの複雑なカトキメカの面構成をどうやって雰囲気を残しつつシンプル化したかとか、変型の途中経過の設定画とか、OVA を繰り返し観たならワクワクできる深さの内容。アニメ作品としては最新の作画でありながらも、一目で宇宙世紀ガンダムとわかる濃厚な描写がどういうこだわりで生み出されたのか、という、総作画監督兼メカニカルデザインの玄馬宣彦氏ほか、主要スタッフへのインタビュー記事は非常に興味深かったです。

早く ep4 以降が読みたい、けどそれにはグレートメカニック DX 本誌を買うしかなくて、まんまと双葉社の思惑に乗せられている感が半端ありません(笑。UC の BD リリーススケジュールから考えて、このムックの続巻も来年に ep4-5、再来年に ep6-7 という感じになるのでしょうか。ep4 以降の主要メカといえば、シャンブロ、ジェスタ、バンシィ、アンクシャ、ローゼン・ズール・・・という感じでシャンブロとバンシィ以外は脇役的なモビルスーツが中心ですが、特に ep4 は旧作からの再登場 MS が多いので、メカニック的には語りどころはたくさんあるはず。やはり続巻が楽しみです。

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2012/06/20 (Wed.)

オールドレンズ・ライフ Vol.2

澤村 徹 / オールドレンズ・ライフ Vol.2

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デジタル一眼におけるオールドレンズの第一人者・澤村 徹氏の最新のオールドレンズ本が発売されたので、さっそく読んでみました。1 年前に発売された玄光社のムック『オールドレンズ・ライフ』の続編にあたる本です。

同氏の著作としてはその間に『オールドレンズ レジェンド』を挟んではいますが、この 1 年の間にオールドレンズのベースに相応しいボディも NEX-7/5N、フジ X-Pro1、GXR MOUNT A12、OM-D、Nikon 1、PENTAX Q、とかなりのバリエーションが広がりました。センササイズも APS-C や m4/3 に始まって 1inch サイズや 1/2.3inch など、オールドレンズが本来想定していたフォーマットに近いボディを選べる時代になっています。個人的には、過去の名だたる 35mm フィルム一眼レフやレンジファインダ用レンズを本来のイメージサークルに近い APS-C ボディで使ってこそとは思っていますが、実用ではなく趣味の領域としてのオールドレンズならでは、性能本位ではないレンズの「味」というものや、思い入れのあるオールドレンズの再利用という意味で、他のフォーマットにもそれなりの楽しみはあるでしょう。

ということでここ 1 年の間にボディの選択肢も広がり、かつマウントアダプタも単にマウントを変換するだけでなくティルト対応絞り内蔵AF 対応絞り・AE 連動かつ手ブレ補正対応、など信じられないほどバリエーションも豊富になっています。ネタは豊富だけどテーマを絞るのが難しい時代になってきたよなあ・・・と思っていたら、今回のムックではシネレンズにフォーカスが当たっています。シネレンズといえば、高性能にも関わらずフランジバックが短くイメージサークルが小さいせいで従来の一眼レフには使用できず、フランジバックの短いミラーレス一眼(中でもイメージサークルの小さい m4/3 以下のフォーマット)が登場して初めて脚光を浴びたカテゴリ。m4/3 に加えて Nikon 1、PENTAX Q などの小型センサを搭載したボディが増えてきた今は、そこに注目する絶好のタイミングと言えるでしょう。
ま、軽く興味を持った程度の人でもオールドレンズの世界の概要を知れる、間口の広かった前作に対して、2 冊目でいきなりこのディープな世界に誘い込むというのは、このムックのシリーズ構成としてどうなんだ?とは思わざるを得ませんが(笑。

私は APS-C 派なので個人的にシネレンズにはそれほど興味を持っていませんが、まだ見ぬ沼の淵を覗き込むことができた、という意味ではなかなか楽しめる特集ではないかと思います。ホンネを言えばもっと他のオールドレンズについても書いてほしかったところですが、代表的なマウントと銘レンズに関しては、同氏のこれまでのオールドレンズ本である程度網羅されてきた気もするので、現時点を切り取った特集としては、うまくまとまっているのではないでしょうか。逆にこれ以上深掘りしようとすると、底なしの M42 沼やライカ M マウント沼に足を踏み入れることになるので、今くらいの深さで適当に浮かんでいるほうが幸せなのかもしれないなあ・・・とも思います(^^;;

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2012/06/18 (Mon.)

『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展

いくら好きでもそこまで行くか、と思われそうですが(笑)、『孤独のグルメ』の原画展を見に行ってきました。

米沢嘉博記念図書館|『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展
米沢嘉博記念図書館にて「孤独のグルメ」谷口ジロー原画展開催中 | 明治大学

『孤独のグルメ』谷口ジロー原画展

会場は神保町にある、明治大学の米沢嘉博記念図書館。初めて訪れた場所ですが、コミックマーケットの創始者の一人でありマンガ評論家である故・米沢嘉博氏の蔵書を収めた記念図書館とのことです。私はコミケには行ったことがないので詳しいことは分かりませんが、正直なところ、東京六大学の一角で大真面目にサブカル系の記念館を建てているとは知らなかったので、目から鱗でした。ほーいいじゃないか、こういうのでいいn(ry

とはいえこの施設はかなりこぢんまりとした建物で、1F の半分くらいは米沢嘉博氏とコミケ関連の常設展示、残りの半分で原画展をやっている関係で、展示スペースはかなり狭いです。壁面 2 面+ショーケース展示程度なので、じっくり見ても 20~30 分程度あれば十分満足できるのでは、という規模。マンガの 4 話分に相当する原画と印刷が掲示されていて、このシーンの原画はこんなふうになっていたのか、というのを見比べることができます。また、原作の久住昌之氏が原稿用紙に書いた原稿も数枚見ることができ、久住氏の書いたセリフがそのままマンガに使われていることや、店内のレイアウトや客のディテールなどを久住氏が原稿上で補足している様子などが見て取れます。

展示されている原稿のひとつは、「うおォン」で有名な川崎の焼肉回。ドラマ版でもほぼそのまま実写化されたほど人気のある回をいきなり持ってきますか!と思いましたが、川崎の工業地帯の緻密な描写は本当に見応えがあります。

驚いたのは、印刷だと線が太めでバルキーな印象を持っていたこの作品が、原画では非常に繊細に描かれていたこと。この作品は人物にスクリーントーンをあまり使わず、井之頭五郎の髪の毛に至ってはサインペンのような太い線で描かれているので、全体的にシンプルな絵というイメージを持っていたのですが、対照的に料理の絵や背景については繊細なタッチで描きこまれ、スクリーントーンも細かく使い分けられていて、人物の描写とのコントラストが強いんですね。原画では印刷物以上にその繊細さが見えてきて、谷口ジロー氏は料理については情報量を多く立体的に見せて、それを食べる人の表情はシンプルかつ印象的に見せようとしてこう描いていたのか・・・というのがよく分かりました。まさに「ここに並んだ大量の原画がすべておかずとして立ち上がってくる」とでも言うのか(ぉ

会期は 9 月末までとのことですが、1 ヶ月単位で展示替えを行うそうで、おそらく壁面に掲示される原画が入れ替えられていくものと思われます。それほど規模の大きな展示ではないので、わざわざこのために神保町に行く、というよりは、山手線の環の中に用事があるときに、30 分ほど時間を作って立ち寄る、くらいの気安い感覚で見に行くのが良いかもしれません。神保町は渋めでうまそうな飲食店が多いので、原画展を見たら O.S.T. を聴きながら、何か入れていく店を探してそぞろ歩きしたくなること請け合い(笑。

久住 昌之、谷口 ジロー / 孤独のグルメ 【新装版】

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2012/05/16 (Wed.)

ソーシャルゲームのすごい仕組み

まつもとあつし / ソーシャルゲームのすごい仕組み

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西田宗千佳氏の『スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場』と同時発売され、一緒に買っていた本。私自身、MMORPG ならともかくソーシャルゲームはやったことがなく、でもどちらかというとスマートフォンとの親和性とかそういう観点で気になってはいた分野です。本書も買おうかどうしようか、という微妙な気持ちだったんですが、店頭でぱらぱらめくってみたら私の興味にフックするキーワードが多数目に入ってきたので、そのままレジまで持って行ってしまいました。

『ソーシャルゲームのすごい仕組み』って、いかにもソシャゲ万歳なタイトルなのがきになっていたんですが、内容はむしろソーシャルゲームの射幸心を煽る仕組みなどに対して批判的な見方が強かったり、ドラクエに代表される日本の伝統的ビデオゲームなどからソーシャルゲームに至る経緯、携帯電話キャリアやスマートフォンとの関係、SNS との関係・・・など、ソーシャルゲーム界隈をいたって客観的に見たもので、共感が持てるものでした。私はソーシャルゲームにはそこまで詳しくないので、改めての気づきが多かったのも収穫かも。
ソーシャルゲームがここ数年でここまで急激に大きくなった原因としては、ARPU の伸び悩みに苦しむ通信キャリアが請求スキームの一本化を利用してソーシャルゲームをうまく「利用した」ことや、ここ 1~2 年のスマートフォンの隆盛は無視できないでしょう。が、それ以上に、フリーミアム的な考え方やソーシャル性、ゲームクリアに対するインセンティブの与え方、確率に関して錯誤したくなる心境など、ゲームの要素をプリミティブなレベルまで分解して、そこに心理学的な要素を加えて再構築したことと、ネット企業的な巧妙なビジネスモデルが掛け合わされたことが大きいと思います。それが狙ってやったことか結果論かは判りませんが、負の側面を除いても、現在のソーシャルゲームは本書のタイトルが示すとおり「すごい仕組み」であることは確かでしょう。

今のソーシャルゲーム業界で「二強」といわれる DeNA と GREE、両社はともに最初からソーシャルゲームをメイン事業とした企業ではなかったところ、DeNA はインターネットオークション事業で Yahoo! オークションに、GREE は SNS 事業で mixi にそれぞれ敗れたことで、業態転換に近い形でソーシャルゲームに参入した、ということはよく知られた話ですが、私も特に GREE がいつの間にかケータイゲーム/ソーシャルゲームの会社に変わっていたことに気づいたときはちょっと驚きました。そして、両社ともにソーシャルゲーム事業においては訴訟であったり法的にグレーな部分で話題になることが多く、ダーティなイメージがつきまとっていることも興味深い。
まさにここ 1 週間ほどの間に話題になっているところですが、消費者庁がコンプガチャを規制するという報道→大手ソーシャルゲームプラットフォーマーが一斉にコンプガチャの廃止を発表、という流れになっているところですが、問題はコンプガチャだけなのか。今回はいかにも業界側が「従ってみせた」という姿勢に見えるので、今後消費者庁や警察がどう動くか。コンプガチャ規制は始まりにすぎないと思います。

現時点でのソーシャルゲームはどちらかというと負の側面のほうが強い。とはいえ、本書でも書かれていますが、問題点を是正することで、社会に貢献できる新しい経済圏を作り得る可能性を秘めてはいると思います。既存ゲームメーカーの多くがソーシャルゲームとの接点を持つようになってもきているところですし、そろそろ健全な体質と産業としての成長性を両立できるビジネスモデルを再構築した上で、日本発の新たな文化として外貨を獲得できる分野に育っていってほしいところですが・・・。

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2012/04/21 (Sat.)

スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場

西田 宗千佳 / スマートテレビ スマートフォン、タブレットの次の戦場

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スマートテレビ。単語としては Google TV が出てくる前後くらいからありましたが、だいたい 2011 年の IFA あたりから頻繁に使われるようになったような印象です。IT/エレクトロニクスにおけるスマートフォン、(スマート)タブレットの次の潮流は間違いなくスマートテレビ、と言っても過言ではないくらいに最近スマートテレビに対する注目が高まりつつあります。
この『スマートテレビ』は、スマートフォンやタブレット、およびそれらの上で閲覧できるさまざまなコンテンツの電子流通周りを追い続けてきたジャーナリスト西田宗千佳氏の最新の著書。業界動向を表面的に追っかけたものではなく、スマートテレビが出現してきた背景を技術的、マーケット的、および業界構造的観点から掘り下げてあるので、それほど専門知識がない人でも「スマートテレビで今、何が起きているのか」をフラットに把握できるでしょう。

先日、鴻海(世界最大手の EMS として有名な Foxconn の親会社)がシャープの筆頭株主になったことを引き合いに出すまでもなく、今やテレビ事業は多くの経済誌に国内の電機メーカーの「お荷物」とまで評されるようになってしまいました。テレビにこれ以上の高画質化は求めていない、別にスマートテレビだといってアプリが使いたいとも思わない、「安ければそれで十分」という意見もあるでしょう。が、もしそれをジャーナリストや業界関係者が言っているのであれば、それは産業の「いま」しか見ていない、狭いものの見方だと思います。

スマートテレビとは何か?テクノロジー的な観点から言えば、従来よりも性能と汎用性の高い半導体と OS を搭載し、コンピュータ化してネットワークに接続されたテレビということになるでしょうか。用途の面から言えば、Web ブラウジングができるテレビ、動画配信サービスが受けられるテレビ、アプリが動かせるテレビ、従来の十字キーつきリモコン以外の新しいインターフェースで操作するテレビ、スマートフォンやタブレットと連携するテレビ、などいろいろあります。が、どれも正しいし、そのどれもが正しくない。いや、正確には「どれかだけでは正しくない」と言ったほうが良いでしょうか。
そういえば、1 年ほど前のイベントで「そもそもスマートフォンって何?スマートフォンって、ハードウェアだけ見たらそれ自体が賢いわけではなく、アプリやサービス、ネットワークとの組み合わせで賢くなれる電話」という問いかけがありましたが、それとほぼ同じことがスマートテレビにも言えると思います。

実は、用途の面から見ると、ここ 4~5 年のテレビはすでに「スマートテレビ」と言えるほどの機能性は備えていながらも、快適でない操作性、互換性の低いプラットフォーム、そして何より限られたハードウェアリソースのせいで「機能はあるのにほとんど使われない」ものがほとんどでした。この部分からしても、フィーチャーフォンとスマートフォンの対比によく似た状況にあると言えます。それが、スマートフォンの高性能化・低コスト化に伴い、テレビにも共通のプラットフォームを持ち込むことでユーザビリティと互換性の水準が一気に高まるのが、今起きようとしている「スマートテレビ」の本質と言って過言ではないでしょう。
ただ、私個人の見立てとしては、「電話機兼ハンドヘルドインターネット/メール端末」であった携帯電話からスマートフォンへのシフトや、「ノート PC のバリエーション的な存在、もしくは大画面化したスマートフォン」的なタブレットの位置づけのような明快さではなく、「基本的には放送を受像し、ときどきパッケージコンテンツを再生して楽しむもの」というテレビへの固定概念が強く、「テレビ画面を単なるディスプレイと認識して、そこで何をするか」というパラダイムシフトを起こすのに必要なカロリーが高いことが、スマートテレビの悩みの一つではないかと思っています。
とはいえ、スマートテレビにまつわる要素の全てを一気に認知させることは難しいでしょうから、その中からキラーとなり得る要素を見出して、それをテレビのパラダイムシフトの象徴にしてしまうのが最も近道でしょうが。個人的には、もしスマートテレビがスマートフォンと同じようなシナリオで普及していくとするならば、ユーザビリティ、つまり従来のテレビにはない気持ちの良い使い勝手や、常に持っているスマートフォンがそのままリモコンになるような操作性が鍵を握るような気がしているのですが。でもたぶん、それだけでも足りないような気もするし。

まあ、さっき「スマートテレビの悩み」とは書きましたが、現時点で国内において真の意味で今の「スマートテレビ」と呼べる製品は発売さえされておらず、これから、おそらく今年の夏から冬にかけて最初の製品群が出てくるでしょうから、現時点で悲観するのもどうかとは思います。実際の市場を見ると、スマートフォンは少なくとも今年はまだ成長基調にあるので、テレビ側がアナログ停波に伴う買い換え需要直後の冷え切った状況であることも併せて考えると、スマートテレビはスマートフォン市場が横ばいになる頃に初めて「ポスト・スマートフォン」的に需要が盛り上がってくるような動きをするのではないでしょうか。そういう意味では、日本におけるスマートテレビの普及は、もしかすると海外よりも遅い立ち上がりになる可能性もあると思いますし、通常のテレビの買い換えサイクルとスマートデバイスのハードウェアの陳腐化のスピードとのギャップをどう埋めるか、も課題になるでしょう。
汎用のプラットフォームと汎用のプロセッサを使う限り、スマートテレビもスマートフォンと同じく「Apple と Google 以外は誰も儲からない」市場になるリスクも高いと思います。でも、Google が今のように「UX で生活を変える」という部分に興味を持っていない限りは、それが実現できるのは Apple か、そのライバルとなる機器メーカーやサービスベンダーしかなく、それが実現さえできればメーカーもその顧客も幸せになれる目はある。そうでなければ、たとえ有機 EL テレビの低価格化が実現できたところで「安ければそれで十分」のスパイラルから脱することはできないでしょう。それはマクロ的な観点で見れば、みんなにとって不幸だと思います。

考えるべきことはたくさんあって、明確なゴールもない。潮流が来るのは判っていても、何が真の価値なのかさえ理解できていない人も少なくない。難しい分野だとは思いますが、少なくとも「進むべき方向の輪郭」は描かれている、そんな一冊だと思います。製造業に限らず、さまざまな分野でのコンバージェンスやクロスオーバーが進み、本質的な価値の再構築が求められている今だからこそ、むしろテレビ以外の産業に関わっている人に読んで、以て他山の石としてほしい書物だと感じました。

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2012/03/13 (Tue.)

先月受験した TOEIC の結果

実は先月 2 年ぶりに TOEIC を受験していました。公開テストではなく勤務先での IP(Institutional Program:団体受験制度)ですが。で、近頃その結果が届きました。

去年の夏に買ったテキストは、買った直後くらいから本気で死にそうなくらい仕事が忙しくなってしまい、パラパラ読んだ程度で数ヶ月放置(汗。昨年末に、IP テストが実施されることを知って申し込み、年明けから慌ててちょっと勉強したんですが、せいぜい 2 週間くらいしかできませんでした(;´Д`)ヾ。私は通勤時間、中でも電車やバスに乗っている時間が短いので、通勤中にやるということもあまりできないんですよね・・・。

ちなみに去年の夏に買ったのはこのテキスト。

仲川 浩世 / TOEIC テストこれ 1 冊で全パートをモノにする ――500 点~860 点突破のための解法テク&実戦問題

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Amazon の評価はかなり高いこのテキストですが、Amazon のレビューといっても実際どんなレベルの人がレビューしているかまでは分からないので、あまり参考になるとも言えず(´д`)。2 週間集中的にやってみた感じでは、500~860 点という広い得点域をカバーしているため、内容のレベルが幅広い代わりに、ある程度以上のレベルの人には物足りないのではないかと感じました。私は、長文のリスニングは勉強になったけどそれ以外は「やった手応え」をあまり感じられなかったので、既に 700 点以上取れている人であれば「860 点」という謳い文句に惑わされずに、もっと難問を重点的にやるような教材を選んだほうが良いように思います。

  • 目標:700 点台前半から 750 点突破を目指したい、けど確実に取るために一応ダメモトで 800 点オーバーを目指す

  • 結果:90 点アップして 800 点台に乗りました!!!
これには自分自身正直びっくり。解いてる間は 700 点台に乗った前回のテストよりも手応えを感じなくて、これはもしかしたら点数下がっちゃうかもしれないなあ、と覚悟していたので、たいへん驚きました。
上記のテキストで付け焼き刃的に勉強した成果だとは思えないので、まぐれ当たりでなかったとすれば(笑)前回の受験時に買ったテキストで出題傾向(設問と答えの選択肢に同じ、または発音が似た単語が出てくる場合はまず引っかけで、答えは同じ意味の言葉を別の表現に言い換えているものが正解であることがほとんど、とか)を掴んでいたことと、あとは日常的に仕事で英語を使う機会が以前よりも確実に増えたことが要因じゃないかと自己分析しています。楽天やユニクロのように英語が社内公用語化されたわけではありませんが、業務メールの一部は英語で送られてくるし(以前は「Japanese Below」とかいって和文が添えられていることが多かったのに、去年くらいからなくなった)、英語の資料を日本語化する作業も定期的にあるし、年に何度かはほぼ英語しか使わない会議に出席する必要があるし(今までのところ、私が英語で発言する必要に迫られたことはありませんが、今後確実に出てくる・・・)。そんな環境で、知らず識らずのうちに英語に関する基礎体力が強化されていた、と思いたい(^^;;

ただ、社内で使う英語は業界用語の登場率が高いから理解できるだけということもあるし、何よりネイティブよりも日本人やアジア人の英語を聞く機会のほうが圧倒的に多いので、これが本当の英語力かと言われれば、自分でもちょっと疑問(笑。いずれにしても、TOEIC の点数が良ければ英語でスムーズにコミュニケーションできるというわけでもないので、個人的にはそろそろ十ウン年ぶりに英会話スクールにでも通って、自分で英語をちゃんと話せるようになる必要があるのかな、とは最近考えています。別に海外赴任したいわけじゃなくても、もう英語は避けて通れないスキルだと思うので・・・。

TOEIC のほうはとりあえず 800 点あれば、社内では海外赴任以外は何の仕事をするにしても応募資格がないということもないのですが、定期的にスコアを更新しなければ失効してしまうようなので、意識的に TOEIC 用の勉強も続けていく必要はあります。今度はもうちょっと高レベルに寄ったテキストを使って勉強してみるかな。

森川 美貴子 / TOEIC テストこれ 1 冊で全パートを完璧にする ――800 点~990 点達成のための解法テク&実戦問題&模擬試験

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2012/01/19 (Thu.)

リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ

西田 宗千佳 / リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ

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iPad VS. キンドル』『メイドインジャパンと iPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電』『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組』など、ここ数年 IT/家電系で注目のカテゴリについて精力的に出版を続けられている、ジャーナリスト西田宗千佳氏の新刊を読みました。
同じ「スマートデバイス」という題材を扱ってはいるものの、「デジタル教科書」が起点になっているという点で、本書は同氏の iPad やスマートフォンといった切り口の既存書籍とは少し趣が異なっています。学校は今の私には直接関係がない場所ですが、PC やタブレット、スマートフォンといったデバイスが教育の場にどう導入されていくのか?という興味はちょっと前からあったところ。

本書は慶応大学教授の中村伊知哉氏、AV/IT 系ジャーナリストの小寺信良氏、ジャーナリストの田原聡一朗氏、など私も名前を存じ上げている方から、NEC やソフトバンクのグループ会社など IT やコンテンツ流通に関わる企業の担当者、あるいは実際に教育の現場にいる方々、など幅広い関係者に対するインタビュー形式で綴られています。
中でも興味深かったのは、いろいろな立場の人が登場しているにも関わらず、大まかな方向性としては問題意識を持っている部分がほとんどの登場人物の間でかなり似通っていたこと。その山への登り方には差異があれど、「単に教科書をデジタル化すればいいという問題ではない」という点が共通だったことは、単にインタビュアーである西田氏の問題意識に引きずられてのことではないと思います。

その問題意識というのは「単に教科書をデジタル化すること」ではなく、「校務や児童生徒とのコミュニケーションに IT を導入し、効率と効果を上げること」が必要で、教育の現場においてはむしろそっちのほうが重要度が高い、ということです。単に教科書がデジタルになっただけでは、ランドセルが軽くなったり調べ物がすぐにできるようになったり、資料がインタラクティブになったりはすれど、それ以上のことは少なく、紙でなくなることで逆に失うものもある。それよりは、教材としては紙とデジタルを共存させつつ、教育のプロセスそのものに IT を取り込んでいくことのほうが、意味があると考えられます。
個人的には、「デジタル教科書の本を読んでいたはずが、いつの間にか教育論、学校経営論、教育行政論の本を読んでいた」ような状態になりましたが(笑)、設備や機材を導入して機器メーカーにお金を落として終わり、というのは今までの IT 教育行政でもさんざん行われてきたことであり、これから求められていくのはそういう話ではない、ということは理解できます。確かに、私も中学の頃に学校にコンピュータ室が作られ、そこに数人に 1 台の割合で FM TOWNS(懐)が設置されましたが、数回の授業で使ったっきり、後に続くものがなかったことを憶えています。結局、道具は使い方次第で役に立ちもするし、無用の長物と化しもする。悪用すれば悪者にもなる。そういうことなのでしょう。

インタビュー内容の解釈が読者に委ねられている本書において、数少ない西田氏ご本人の見解が直接書かれている終章でのこの一言が、本書の内容を象徴しているのではないでしょうか。

機械を変えるのでなく「プロセスを変える」こと。
そういえば、私がかつて携わっていた SI という仕事も、SIer(システム提供者)の立場からすれば「機器やソフトウェアを導入してもらい、その対価を得ること」ですが、クライアントの立場からすると「業務プロセスを改善して業務の効率や効果を上げることが目的であって、機器やソフトウェアの導入はその手段」。システムエンジニアはまずクライアントの業務プロセスを分析し、効率の悪い部分の情報フローを変えたり、機械化できるところは自分たちの機器やソフトウェアを使って機械化することを目標に、要件を定義して新しいプロセスやシステムを実装していくのが仕事でした。つまり、プロセスを変えることこそが目的であり、システム化はそれを実現するための手段にすぎません。
個人的には、教育の場を聖域としてアンタッチャブルにするのではなく、産業界と連携してより費用対効果の高い教育を目指していくことが必要(もちろん、企業の都合で教育の方向性がねじ曲げられることはあってはならない)だと思っています。が、それは「機器/サービスベンダーの目線で商品を売り込むこと」ではなく、SI のように「教育の場に求められていることを客観的に定義して、それに最適な製品を機器/サービスベンダーが提案する」という順序でなければ、成功しないのだろうなと思います。

学校教育というのは、言い換えれば「この国の未来を担う人材を育成する行為」です。その目的は予め与えられた正解を導く手法を憶えさせることでも、単に子どもを偏差値の高い大学に入れることでも、逆に半端な教養しか植え付けないことでもありません。大人たちが、10~20 年後のこの国にどんな人材が必要か?その人材を生み出すためにどんな教育が適しているか?を考え、それを実施するためのプロセスを今一度基礎から練ることが求められているのではないでしょうか。つまりは、「未来のこの国のカタチをどうしたいか」というところからスタートしなくてはならない話なのだと思います。新しい時代を創るのは老人ではない。

世代ごとの投票率に偏りがあるせいか、とかく高齢者保護的な政策ばかりが目立つ昨今ですが、若者が自立できる国にならなければ、あとは移民を受け入れるくらいしか高齢者を支える術はいずれなくなってしまいます。そういう意味で、今後のこの国の教育のあり方を考えさせてくれる本書はすごく意義のある一冊ではないでしょうか。それなりに IT 用語も出てくるので読むにはある程度のリテラシが必要ではありますが、教育の現場に関わっている人だけでなく、子どもを持つ親御さん、あるいは IT カテゴリで少しでも教育に関係しそうな仕事に就いている人であれば、一読を勧めたい書物だと思います。

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2011/11/26 (Sat.)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(単行本)完結

安彦 良和 / 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (23) めぐりあい宇宙編

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2001 年に連載が始まった『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がついに完結。最終巻を買ってきました。

連載されていた「ガンダムエース」誌のほうは読んでいなかったので(最終話が載った号だけ買いましたが)、前巻からラストまでの内容は把握しておらず。基本的には原作(アニメ)の内容を踏襲していることには変わりないのですが、アニメでは描かれなかった部分の裏付けや演出によってオリジナル以上に厚みが増していて、さらに画の力(安彦氏は漫画の全てを筆で描いている)もあって、ただただ圧倒されるばかり。
THE ORIGIN の魅力は「安彦良和氏自らが再構成して漫画化したファーストガンダム」というだけでなく、シャアとセイラの生い立ちや一年戦争の開戦前後など、アニメでは描かれていなかったエピソードを(半ば後付けながら)描かれていたり、アニメではやや無理があった設定や打ち切りに伴う終盤の唐突な展開に丁寧な補足がつけられていたり、という深み方向の充実度にあったことは間違いないと言えるでしょう。が、この最終巻に来て、ここまでの回に出てきたあの演出は、実はこれのための伏線だったのか!という驚きまで与えられ、読後の感想としては心底打ちのめされたような心境(笑。ファーストガンダムファンでこれを読んでいない人がいたとしたら、人生の半分を損していると言っても過言ではないと思います(ぉ。

私は愛蔵版も収集しているので、より大判で紙質も良く、カラー稿もちゃんとカラー収録されている愛蔵版の最終巻発売までまだしばらく楽しみが残っていますが、アニメ化プロジェクトのほうも気になります。どういう体制で制作・収録されるのか、そして公開形態はどうなるのか?これだけの作品を再映像化するというのは正直不安もありますが、多くのガンダムファンを満足させる映像作品に仕上がることを願ってやみません。

ともあれ、安彦先生、ひとまずは 10 年間本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。

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2011/11/25 (Fri.)

オールドレンズ レジェンド

オールドレンズレジェンド 本日発売です!: metalmickey's blog
澤村 徹 / オールドレンズ レジェンド

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最近、けっこう定期的に刊行されている澤村 徹氏著のオールドレンズ本の最新刊。既刊『オールドレンズ パラダイス』『オールドレンズ パラダイス 2』『オールドレンズ・ライフ』あたりが比較的オールドレンズ初心者向けに、「沼の入り口」へと誘う書物だったのに対して、本書は沼の深みに引きずり込もうと言うのか!というマニアックな一冊になっています(笑。

従来は EOS、m4/3、NEX など書籍ごとにテーマとするマウントを決めて、それに適合するレンズを紹介する、という体裁だったのが、今回はどちらかというとレンズ軸で語っていく内容。メーカーや発売時期が異なるほぼ同スペックのレンズ同士を比較してどう違うのか?という切り口でオールドレンズを比較する、今までにありそうでなかった切り口のオールドレンズ本です。

本家 Sonnar 対「ゾナーコピー」であるロシアの Jupiter、Flektogon(モノコート)対 Flektogon(マルチコート)、Zeiss 対 Zeiss Jena といえる Distagon 対 Flektogon(ただし中判用での比較)、Zeiss T* コーティング対 Rollei HFT コーティングがキモな究極の Planar 50mm 対決、同じ Y/C マウント内での Distagon 25mm 対ヤシカ ML 24mm、など、比較してみたかったけど自腹じゃ無理だったツァイスファンにはたまらない対決が多く、非常に読み応えアリ。他にも Summicron 対 Rikenon、Elmarit 対 Rokkor といったライカレンズと国産レンズの比較や、ミラーレス機の流行で注目の高まるシネレンズ比較など、ツァイスマニアでなくとも楽しめるのではないでしょうか。個人的には、今まで買ったオールドレンズ本の中で最も写欲と物欲をくすぐられた一冊でした。

私はここのところさっぱりカメラをいじる時間が取れていませんが、これを読んで久々に中古カメラ屋巡りをしたくなりました。欲しいけど保留にしていたレンズがいっぱいあるんだよなあ・・・。

投稿者 B : 00:27 | Book | Camera Mook | コメント (2) | トラックバック