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2012/03/13 (Tue.)

先月受験した TOEIC の結果

実は先月 2 年ぶりに TOEIC を受験していました。公開テストではなく勤務先での IP(Institutional Program:団体受験制度)ですが。で、近頃その結果が届きました。

去年の夏に買ったテキストは、買った直後くらいから本気で死にそうなくらい仕事が忙しくなってしまい、パラパラ読んだ程度で数ヶ月放置(汗。昨年末に、IP テストが実施されることを知って申し込み、年明けから慌ててちょっと勉強したんですが、せいぜい 2 週間くらいしかできませんでした(;´Д`)ヾ。私は通勤時間、中でも電車やバスに乗っている時間が短いので、通勤中にやるということもあまりできないんですよね・・・。

ちなみに去年の夏に買ったのはこのテキスト。

仲川 浩世 / TOEIC テストこれ 1 冊で全パートをモノにする ――500 点~860 点突破のための解法テク&実戦問題

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Amazon の評価はかなり高いこのテキストですが、Amazon のレビューといっても実際どんなレベルの人がレビューしているかまでは分からないので、あまり参考になるとも言えず(´д`)。2 週間集中的にやってみた感じでは、500~860 点という広い得点域をカバーしているため、内容のレベルが幅広い代わりに、ある程度以上のレベルの人には物足りないのではないかと感じました。私は、長文のリスニングは勉強になったけどそれ以外は「やった手応え」をあまり感じられなかったので、既に 700 点以上取れている人であれば「860 点」という謳い文句に惑わされずに、もっと難問を重点的にやるような教材を選んだほうが良いように思います。

  • 目標:700 点台前半から 750 点突破を目指したい、けど確実に取るために一応ダメモトで 800 点オーバーを目指す

  • 結果:90 点アップして 800 点台に乗りました!!!
これには自分自身正直びっくり。解いてる間は 700 点台に乗った前回のテストよりも手応えを感じなくて、これはもしかしたら点数下がっちゃうかもしれないなあ、と覚悟していたので、たいへん驚きました。
上記のテキストで付け焼き刃的に勉強した成果だとは思えないので、まぐれ当たりでなかったとすれば(笑)前回の受験時に買ったテキストで出題傾向(設問と答えの選択肢に同じ、または発音が似た単語が出てくる場合はまず引っかけで、答えは同じ意味の言葉を別の表現に言い換えているものが正解であることがほとんど、とか)を掴んでいたことと、あとは日常的に仕事で英語を使う機会が以前よりも確実に増えたことが要因じゃないかと自己分析しています。楽天やユニクロのように英語が社内公用語化されたわけではありませんが、業務メールの一部は英語で送られてくるし(以前は「Japanese Below」とかいって和文が添えられていることが多かったのに、去年くらいからなくなった)、英語の資料を日本語化する作業も定期的にあるし、年に何度かはほぼ英語しか使わない会議に出席する必要があるし(今までのところ、私が英語で発言する必要に迫られたことはありませんが、今後確実に出てくる・・・)。そんな環境で、知らず識らずのうちに英語に関する基礎体力が強化されていた、と思いたい(^^;;

ただ、社内で使う英語は業界用語の登場率が高いから理解できるだけということもあるし、何よりネイティブよりも日本人やアジア人の英語を聞く機会のほうが圧倒的に多いので、これが本当の英語力かと言われれば、自分でもちょっと疑問(笑。いずれにしても、TOEIC の点数が良ければ英語でスムーズにコミュニケーションできるというわけでもないので、個人的にはそろそろ十ウン年ぶりに英会話スクールにでも通って、自分で英語をちゃんと話せるようになる必要があるのかな、とは最近考えています。別に海外赴任したいわけじゃなくても、もう英語は避けて通れないスキルだと思うので・・・。

TOEIC のほうはとりあえず 800 点あれば、社内では海外赴任以外は何の仕事をするにしても応募資格がないということもないのですが、定期的にスコアを更新しなければ失効してしまうようなので、意識的に TOEIC 用の勉強も続けていく必要はあります。今度はもうちょっと高レベルに寄ったテキストを使って勉強してみるかな。

森川 美貴子 / TOEIC テストこれ 1 冊で全パートを完璧にする ――800 点~990 点達成のための解法テク&実戦問題&模擬試験

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投稿者 B : 00:27 | Book | コメント (0) | トラックバック

2012/01/19 (Thu.)

リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ

西田 宗千佳 / リアルタイムレポート・デジタル教科書のゆくえ

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iPad VS. キンドル』『メイドインジャパンと iPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電』『形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組』など、ここ数年 IT/家電系で注目のカテゴリについて精力的に出版を続けられている、ジャーナリスト西田宗千佳氏の新刊を読みました。
同じ「スマートデバイス」という題材を扱ってはいるものの、「デジタル教科書」が起点になっているという点で、本書は同氏の iPad やスマートフォンといった切り口の既存書籍とは少し趣が異なっています。学校は今の私には直接関係がない場所ですが、PC やタブレット、スマートフォンといったデバイスが教育の場にどう導入されていくのか?という興味はちょっと前からあったところ。

本書は慶応大学教授の中村伊知哉氏、AV/IT 系ジャーナリストの小寺信良氏、ジャーナリストの田原聡一朗氏、など私も名前を存じ上げている方から、NEC やソフトバンクのグループ会社など IT やコンテンツ流通に関わる企業の担当者、あるいは実際に教育の現場にいる方々、など幅広い関係者に対するインタビュー形式で綴られています。
中でも興味深かったのは、いろいろな立場の人が登場しているにも関わらず、大まかな方向性としては問題意識を持っている部分がほとんどの登場人物の間でかなり似通っていたこと。その山への登り方には差異があれど、「単に教科書をデジタル化すればいいという問題ではない」という点が共通だったことは、単にインタビュアーである西田氏の問題意識に引きずられてのことではないと思います。

その問題意識というのは「単に教科書をデジタル化すること」ではなく、「校務や児童生徒とのコミュニケーションに IT を導入し、効率と効果を上げること」が必要で、教育の現場においてはむしろそっちのほうが重要度が高い、ということです。単に教科書がデジタルになっただけでは、ランドセルが軽くなったり調べ物がすぐにできるようになったり、資料がインタラクティブになったりはすれど、それ以上のことは少なく、紙でなくなることで逆に失うものもある。それよりは、教材としては紙とデジタルを共存させつつ、教育のプロセスそのものに IT を取り込んでいくことのほうが、意味があると考えられます。
個人的には、「デジタル教科書の本を読んでいたはずが、いつの間にか教育論、学校経営論、教育行政論の本を読んでいた」ような状態になりましたが(笑)、設備や機材を導入して機器メーカーにお金を落として終わり、というのは今までの IT 教育行政でもさんざん行われてきたことであり、これから求められていくのはそういう話ではない、ということは理解できます。確かに、私も中学の頃に学校にコンピュータ室が作られ、そこに数人に 1 台の割合で FM TOWNS(懐)が設置されましたが、数回の授業で使ったっきり、後に続くものがなかったことを憶えています。結局、道具は使い方次第で役に立ちもするし、無用の長物と化しもする。悪用すれば悪者にもなる。そういうことなのでしょう。

インタビュー内容の解釈が読者に委ねられている本書において、数少ない西田氏ご本人の見解が直接書かれている終章でのこの一言が、本書の内容を象徴しているのではないでしょうか。

機械を変えるのでなく「プロセスを変える」こと。
そういえば、私がかつて携わっていた SI という仕事も、SIer(システム提供者)の立場からすれば「機器やソフトウェアを導入してもらい、その対価を得ること」ですが、クライアントの立場からすると「業務プロセスを改善して業務の効率や効果を上げることが目的であって、機器やソフトウェアの導入はその手段」。システムエンジニアはまずクライアントの業務プロセスを分析し、効率の悪い部分の情報フローを変えたり、機械化できるところは自分たちの機器やソフトウェアを使って機械化することを目標に、要件を定義して新しいプロセスやシステムを実装していくのが仕事でした。つまり、プロセスを変えることこそが目的であり、システム化はそれを実現するための手段にすぎません。
個人的には、教育の場を聖域としてアンタッチャブルにするのではなく、産業界と連携してより費用対効果の高い教育を目指していくことが必要(もちろん、企業の都合で教育の方向性がねじ曲げられることはあってはならない)だと思っています。が、それは「機器/サービスベンダーの目線で商品を売り込むこと」ではなく、SI のように「教育の場に求められていることを客観的に定義して、それに最適な製品を機器/サービスベンダーが提案する」という順序でなければ、成功しないのだろうなと思います。

学校教育というのは、言い換えれば「この国の未来を担う人材を育成する行為」です。その目的は予め与えられた正解を導く手法を憶えさせることでも、単に子どもを偏差値の高い大学に入れることでも、逆に半端な教養しか植え付けないことでもありません。大人たちが、10~20 年後のこの国にどんな人材が必要か?その人材を生み出すためにどんな教育が適しているか?を考え、それを実施するためのプロセスを今一度基礎から練ることが求められているのではないでしょうか。つまりは、「未来のこの国のカタチをどうしたいか」というところからスタートしなくてはならない話なのだと思います。新しい時代を創るのは老人ではない。

世代ごとの投票率に偏りがあるせいか、とかく高齢者保護的な政策ばかりが目立つ昨今ですが、若者が自立できる国にならなければ、あとは移民を受け入れるくらいしか高齢者を支える術はいずれなくなってしまいます。そういう意味で、今後のこの国の教育のあり方を考えさせてくれる本書はすごく意義のある一冊ではないでしょうか。それなりに IT 用語も出てくるので読むにはある程度のリテラシが必要ではありますが、教育の現場に関わっている人だけでなく、子どもを持つ親御さん、あるいは IT カテゴリで少しでも教育に関係しそうな仕事に就いている人であれば、一読を勧めたい書物だと思います。

投稿者 B : 00:41 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2011/11/26 (Sat.)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN(単行本)完結

安彦 良和 / 機動戦士ガンダム THE ORIGIN (23) めぐりあい宇宙編

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2001 年に連載が始まった『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』がついに完結。最終巻を買ってきました。

連載されていた「ガンダムエース」誌のほうは読んでいなかったので(最終話が載った号だけ買いましたが)、前巻からラストまでの内容は把握しておらず。基本的には原作(アニメ)の内容を踏襲していることには変わりないのですが、アニメでは描かれなかった部分の裏付けや演出によってオリジナル以上に厚みが増していて、さらに画の力(安彦氏は漫画の全てを筆で描いている)もあって、ただただ圧倒されるばかり。
THE ORIGIN の魅力は「安彦良和氏自らが再構成して漫画化したファーストガンダム」というだけでなく、シャアとセイラの生い立ちや一年戦争の開戦前後など、アニメでは描かれていなかったエピソードを(半ば後付けながら)描かれていたり、アニメではやや無理があった設定や打ち切りに伴う終盤の唐突な展開に丁寧な補足がつけられていたり、という深み方向の充実度にあったことは間違いないと言えるでしょう。が、この最終巻に来て、ここまでの回に出てきたあの演出は、実はこれのための伏線だったのか!という驚きまで与えられ、読後の感想としては心底打ちのめされたような心境(笑。ファーストガンダムファンでこれを読んでいない人がいたとしたら、人生の半分を損していると言っても過言ではないと思います(ぉ。

私は愛蔵版も収集しているので、より大判で紙質も良く、カラー稿もちゃんとカラー収録されている愛蔵版の最終巻発売までまだしばらく楽しみが残っていますが、アニメ化プロジェクトのほうも気になります。どういう体制で制作・収録されるのか、そして公開形態はどうなるのか?これだけの作品を再映像化するというのは正直不安もありますが、多くのガンダムファンを満足させる映像作品に仕上がることを願ってやみません。

ともあれ、安彦先生、ひとまずは 10 年間本当にお疲れさまでした。ありがとうございました。

投稿者 B : 23:23 | Book | Comic | コメント (0) | トラックバック

2011/11/25 (Fri.)

オールドレンズ レジェンド

オールドレンズレジェンド 本日発売です!: metalmickey's blog
澤村 徹 / オールドレンズ レジェンド

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最近、けっこう定期的に刊行されている澤村 徹氏著のオールドレンズ本の最新刊。既刊『オールドレンズ パラダイス』『オールドレンズ パラダイス 2』『オールドレンズ・ライフ』あたりが比較的オールドレンズ初心者向けに、「沼の入り口」へと誘う書物だったのに対して、本書は沼の深みに引きずり込もうと言うのか!というマニアックな一冊になっています(笑。

従来は EOS、m4/3、NEX など書籍ごとにテーマとするマウントを決めて、それに適合するレンズを紹介する、という体裁だったのが、今回はどちらかというとレンズ軸で語っていく内容。メーカーや発売時期が異なるほぼ同スペックのレンズ同士を比較してどう違うのか?という切り口でオールドレンズを比較する、今までにありそうでなかった切り口のオールドレンズ本です。

本家 Sonnar 対「ゾナーコピー」であるロシアの Jupiter、Flektogon(モノコート)対 Flektogon(マルチコート)、Zeiss 対 Zeiss Jena といえる Distagon 対 Flektogon(ただし中判用での比較)、Zeiss T* コーティング対 Rollei HFT コーティングがキモな究極の Planar 50mm 対決、同じ Y/C マウント内での Distagon 25mm 対ヤシカ ML 24mm、など、比較してみたかったけど自腹じゃ無理だったツァイスファンにはたまらない対決が多く、非常に読み応えアリ。他にも Summicron 対 Rikenon、Elmarit 対 Rokkor といったライカレンズと国産レンズの比較や、ミラーレス機の流行で注目の高まるシネレンズ比較など、ツァイスマニアでなくとも楽しめるのではないでしょうか。個人的には、今まで買ったオールドレンズ本の中で最も写欲と物欲をくすぐられた一冊でした。

私はここのところさっぱりカメラをいじる時間が取れていませんが、これを読んで久々に中古カメラ屋巡りをしたくなりました。欲しいけど保留にしていたレンズがいっぱいあるんだよなあ・・・。

投稿者 B : 00:27 | Book | Camera Mook | コメント (2) | トラックバック

2011/11/02 (Wed.)

Kindle 4 (初期セットアップ編)

Kindle 4、昨日に引き続き初期セットアップ編をお送りします。初期セットアップにも「へええ」と思わされるところがいくつかあったので、そのあたりを中心に。

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

Kindle 4

Kindle 4 のコールドブート時の画面はこんな感じ。大きな木の下で一人本を読む少年(?)・・・という、なんか友達がいなくてさみしい感じのモチーフです(ぉ

Kindle 4

初期セットアップでは、最初に言語を選択します。最近の iOS や Android などのマルチランゲージ端末も同じような感じですね。Kindle 4 の US 版では、ドイツ語・英語・米語・スペイン語・フランス語・イタリア語・ポルトガル語から選択します。これでアメリカ大陸と西欧はだいたい網羅できるというところでしょうか?近々と言われる日本参入時には、当然日本語に対応したバージョンが投入されるはずです。

Kindle 4

言語を選んだらまずはようこそ画面。設定に必要なステップ(Wi-Fi の設定と本体の登録だけ)が示され、簡単な手順ですぐにできますよ、と伝えてくれています。まあ Wi-Fi の設定というだけでハードルが高く感じるものなので、ゴールまでの道程が見えているだけでも不安のレベルは違うものでしょう。

Kindle 4

次のステップでは、いきなり周囲の Wi-Fi アクセスポイントの SSID 一覧が出てきました。私が今まで使っていた Sony Reader はスタンドアロン版なので、電子ペーパーの画面にこういういかにもデジタル的なものが表示されると、妙に新鮮に感じます(笑。
ここでは、自分が使用したいネットワークの SSID の「connect」を選択します。ついタップしたくなる画面ですが、Reader と違ってタッチパネルではないので(笑)カーソルキーで選択します。

Kindle 4

Wi-Fi のパスワードはソフトキーで入力します。ソフトキーの配列が QWERTY ではなくアルファベット配列なので、PC 文化な私には却って入力しづらい(´д`)。でもまあ、タッチパネルなわけでもないので、多くの人にはむしろこっちのほうがいいのか・・・。

Kindle 4

で、Wi-Fi に繋がる(=その先のインターネットに繋がる)と、いきなり「この Kindle は現在この人に登録されています:」といって自分の名前が表示されました。で、この登録のまま使うのか、違うアカウントで登録し直して使うのかを選択するわけですが、これにはちょっと驚いた。

で、もしかして出荷前にユーザーアカウントを設定して発送しているのか!?と一瞬思ったのですが、ふと考え直してみて、出荷時に個体のシリアルナンバーか MAC アドレス(おそらくは前者)を発注したユーザーアカウントと紐付けているのでしょう。で、本体がネットワークに繋がったら、Amazon のサーバで個体に紐づけられているアカウントを引っ張って、デフォルトとして表示させているという仕組み。まあ単純な仕組みですが、これができている商品って意外とない。
例えば Sony Reader も今年モデルは Wi-Fi か 3G を搭載しているんだから、同じことがでてもいいんじゃない?と思いますが、そこは原則として全ての買い物がユーザーアカウントと紐付けられている Amazon と、誰でも買える量販店でも販売している家電メーカー製品との違い。メーカー製品でも直販の場合だけは事前に購入者が特定できるわけで、ソニーストアで Sony Reader を買ったらそれくらいの UX は提供してくれてもいいような気はしますが(笑)なかなか簡単にはいかないようで。
そういえば Amazon で買う場合もギフトとして買う場合は、デフォルトのユーザーアカウントを指定しない状態で贈れるんですかね?もらったはいいけど、何も考えずに設定をずんずん進めていったら、贈り主のものとして設定されてしまったら、それは嫌だ(笑

Kindle 4

話が横道に逸れてしまいましたが、初期設定としてはこの手順までで完了。あとはユーザーガイドを読むか、いきなり Kindle Store で買い物をするか、を選んで使い始められます。PC と同期したり、自分のユーザーアカウントを改めて設定したり、いろいろと面倒な手順をほぼ全て省略させてくれることがどれだけ物事を簡単にするか、というのが非常によく分かるセットアップ手順でした。Amazon のビジネスモデルだからできる、という部分はあるでしょうが、他メーカーがここから学べるものは大いにあると思う。

Kindle 4

Kindle 4 で Kindle Store を表示するとこんな感じ。モノクロですが、それほど不自由な印象は受けません。画面表示の切り替えが電子ペーパーにしては速いこともあって、この中で十分にコンテンツを検索し、購入することができると感じます(ただ、キーボードがカーソル選択式なのがネックですが)。
去年、Sony Reader を買うときに、当時は海外版と違って日本で 3G モデルがなく、スタンドアロン版しかなかったことについては「ページ切り替えの遅い電子ペーパーでストアをブラウズするなんて考えられない」と思って気にも留めませんでしたが、これなら単体でも全然問題なく書籍の購入から読書まで完結できると思います。

Kindle 4

で、いきなり端末が自分のユーザーアカウントと紐付けられているから当然なのですが、セットアップが完了した時点で、書棚(自分が所有しているアイテムの一覧)には購入済みの書籍(私の場合、Kindle が到着する前に Android 版の Kindle アプリでジョブズ伝記は購入済みだった)が表示されて、それが読みかけだった場合には開くと途中のページから始まる、という「クラウドベースのサービスだったらできて当たり前のこと」が当たり前にできるようになっています。これは気持ちいい。私が持っているスタンドアロン版の Sony Reader ではできないことです(泣。

Kindle 4

あと、書棚には自分宛(自分の名前入り)のウェルカムレターが入っていて、これも読むことができます。まあ技術的に大したことをやっているわけではありませんが、こういう細かな心遣いがファンを作るところでもあったりするので、意外に重要という。

セットアップも完了したので、これからジョブズ本を読んでいきたいと思います。基本的に私は本を読むのは遅い方ではないと思っているのですが、さすがに英語をそこまで読み慣れているわけでもないので、読破までにはけっこう時間がかかるかなあ。

しかし Kindle でこれだけ良いなら、より完成度が高まったと評判の Sony Reader の新モデルも買ってみたくなったなあ・・・。去年モデルの Pocket Edition はスタンドアロンだし、画面が小さいし、メモリ容量は小さすぎるし、で今や不満しかありません(´д`)。今後買うなら最低でも 6inch だな・・・。

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

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投稿者 B : 23:12 | Book | eBook | コメント (0) | トラックバック

2011/11/01 (Tue.)

Kindle 4 (開梱編)

スティーブ・ジョブズの伝記を読んでいる人が多いようで。私も興味はあったものの、上下巻のハードカバーを持ち歩いて読む気がしなかったので、電子書籍で読もうと考えていました。そしたら、Twitter のタイムライン上で「電子書籍で原語(英語)で読む」という意見がちらほら見受けられたので、日本語版より英語版のほうが安いし(笑)、英語の勉強がてら私も原語で読んでみようかな?と思い至りました。

ただ、いろいろ探してみた結果、私が持っている日本版 Sony Reader で英語版のジョブズ伝記を読む方法は今のところ自炊以外にはない模様。で、円高でもあるし、買ってまえ!ということで、Amazon.com から Kindle 4 を購入(笑

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

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Amazon.com から輸入したのはこれが初めてではないのですが、いつぶりか憶えていないくらい久々。で、パッと見では通常の Amazon のカートンと同じ段ボール箱ですが、これが Kindle の正式なパッケージです(!)。
私はあまり開梱レビューをやるほうではないのですが、珍しいパッケージなので軽く開梱レビューから。

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ポッキーの箱みたいな感じ(笑)でばりばりばりっと段ボールを開封して上蓋を跳ね上げると、いきなり Kindle 本体とご対面。実は開封するまで段ボールの中にちゃんとしたパッケージが入っていると思っていたので、これには驚きました(;´Д`)ヾ。まあ、極限までハードウェアコストを削った上で(というか、ハードウェアコスト的には逆ざやになっていてもおかしくない)本体をばら撒こうと思えば、このくらい徹底しなくてはならないということなのでしょうが。でも、ここまで徹底するくらいなら普段の荷物ももっと空気の少ないパッケージで送ろうよ(´д`)。

写真内で、本体の上の方についている白いものは開梱時に最初から付いていたものです。品質管理を若干疑いはしましたが、安いんだしいいよね・・・と納得した部分もあり。ただ、輸入品に白い粉ってやばいんじゃないの?と思ったのは事実です(ぉ

Kindle 4

本体を取り出すと、その下には USB ケーブルが隠れていました。同梱品はほぼこれだけ、というこの上なくシンプルな商品構成です。
しかし紙製の緩衝材とか、単純な構造ながら非常によく考えられていますね。

Kindle 4

ケーブルはなんとなく Apple を連想させるデザインイメージのもの。よく見るとコネクタ近辺に細かいバリが残っていたり、やや雑な作りではありますが、ちゃんと世界観を演出するだけのものを同梱しているあたりがニクいです。日本メーカー製品だと品質はちゃんとしててもほとんどデザインされていないケーブルが付いていて、気分的に萎えることも少なくないので。

Kindle 4

跳ね上げた箱の蓋の裏側にも、本体の固定を兼ねた緩衝構造と取説のホルダーが備えられていました。無駄のない梱包だ・・・。
ちなみに取説は各部名称と充電の仕方だけが記載された、これまたシンプルなもの。ユーザーは原則として最低限 Amazon を使って注文できるリテラシがある、ということで、チュートリアルやサポートにかかるコストを最小化しているように思えます。
取説の記載は各国語でありますが、日本国内での正規販売はまだないということで、日本語のページはなし。まあ現時点では Kindle の書籍自体に日本語版がありませんから、順当なところでしょう。

Kindle 4

本体。最初についていた画面保護用のフィルムを外した状態です。画面書き換え時以外には電力を消費しない電子ペーパーの特性を利用して、充電の仕方については最初から画面に表示された状態になっています。このあたりは Sony Reader も確か同じでしたね。

本体デザインはもう可もなく不可もなしの極致といったところで、愛着のわきようもありませんが、そこそこの質感となんと言っても安い価格が「まあ、こんなもんだよね」と思わせます。

Kindle 4

背面は滑りにくいラバー塗装が施されていて、滑りにくくなっています。Sony Reader も同じような処理がなされていましたが、私は歴代の Kindle を全て触っているわけではないので、どちらがオリジナルかは知りません(^^;;

Kindle 4

操作ボタンと microUSB 端子、および電源ボタン周り。電源ボタンは底面にあり、ディスプレイ下部には左からバックボタン、キーボード呼出ボタン、カーソルキー+決定ボタン、メニューボタン、ホームボタン。カーソルキーは書籍の表示中には左右がチャプター送り/戻し、上下がズームイン/アウトに割り当てられます。
このへんも可もなく不可もなし、といった感じですが、Sony Reader のデザイン十品ボタン配置/形状に比べればこちらのほうが使いやすいように思います。

Kindle 4

ディスプレイの左右にはこのように長めのボタンが 2 つずつついています。上の短いボタンがページ戻し、下の長いボタンがページ送りになっていて、側面を片手で掴んだ状態でもこのボタンを使ってページ操作ができるようになっているのは、よく考えられているなあ、と思いました。
Sony Reader だとページ操作キーは画面下のボタンを使うか、タッチスクリーン(光学式)を使うんですが、正直片手持ちだとどちらでも操作しにくい(´д`)。タッチ操作は「紙をめくる」動作を電子書籍の UX に取り込んだ結果でしょうが、個人的には無理に紙媒体のメタファを取り入れるより、使用方法から合理的な動作を逆算するほうが理にかなっていると思っているので・・・。

Kindle 4

Sony Reader(PRS-350)との比較。まあ Reader のほうは 5inch だし去年モデルなのでフェアな比較ではありませんが・・・。でも、電子ペーパーの質としては、写真で見ても分かるとおり、Reader のほうが白が白いというか、コントラストが高くて視認性が良いと感じます。逆に、画面の書き換えや全体的な処理については Kindle 4 のほうが高速なような・・・。Reader も今年モデルは去年よりも全体的な反応が良くなっていると(店頭展示機を触ってみた限りでは)感じたので、今年モデルと比較するとまた評価は変わるのかもしれませんが。

こうして比較してみると、キッチリとしたハードウェアの作り込みという点では Sony Reader のほうがモノとしてよくできていると感じますが、製品ではなく商品全体としての合理性や UI のこなれ具合という点ではやはり Kindle に優位性があるとも思います。個人的には Kindle のようにこなれていて Sony Reader 並みの品質を持った端末で、Reader Store や Kindle Store といったストアの垣根を越えてコンテンツを扱いたいんですが、贅沢な望みでしょうか。今のところそのベストな解は、今年モデルの Sony Reader をハックして各ストアのアプリをインストールすることなのでしょうが(笑。

Kindle 4

ということで、明日の初期セットアップ編に続きます。

Amazon / Kindle Wi-Fi 6" E Ink Display

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投稿者 B : 23:59 | Book | eBook | コメント (0) | トラックバック

2011/10/04 (Tue.)

F1 速報をスマートデバイスで読む

多くの情報がインターネットベースで済んでしまうようになった昨今、紙の雑誌を買うこともほとんどなくなりましたが、私は「F1 速報」だけは毎号買っています。F1 関連のニュースもニュースサイトで網羅されてはいますが、レースの細かい考察やマシンの技術解説、チームの裏事情といった情報はなかなかネットには出てこず、雑誌頼み。こういうのはチームやスタッフとの長年の付き合いから得られる取材の成果でしょうから、それこそ既存媒体の強みを発揮できている雑誌だなあ、と思います。

F1 速報は木曜日発売で、以前は恵比寿にある某モデルカーショップで水曜日に早売りが出ていたので、わざわざ買いに行ったものでしたが、3 年ほど前に潰れてしまって以来、発売日にしか買えなくなりました。しかも最近は忙しすぎて書店が開いている時間帯に帰れず、読みたいのに読めない・・・という状況が続いていて、この雑誌こそ早く電子版を出してほしい、と思っていたら、ようやく始まったようです。

『AS BOOKS』がiPhone/iPad用アプリをリリース - インフォメーションニュース ・ F1、スーパーGT、Fニッポン etc. モータースポーツ総合サイト AUTOSPORT web(オートスポーツweb)

AS BOOKS

三栄書房が扱うモータースポーツ誌全てが対象ということで、F1 速報だけでなく AUTOSPORT、Racing on なども電子化。しかも、紙版よりもちょっとだけ安い。対応プラットフォームは iOS、Android。ということで、私もさっそく iPad でダウンロードしてみました。

AS BOOKS

App Store で「AS BOOKS」アプリをダウンロード。ただ、このアプリは雑誌の管理と閲覧のみの機能で、購入はブラウザからオートスポーツブックスの Web サイト上で行います。ちょっと導線としては分かりづらいような・・・。

さておき、今回は F1 速報の前戦シンガポール GP 号を購入しました。
購入が完了すると、オンライン(オートスポーツブックス)の自分のアカウントの本棚に登録されて、そこから該当する雑誌のサムネイルをタップすると、AS BOOKS アプリで雑誌が開きます。雑誌の閲覧方法はいったんスマートデバイスにダウンロードするか、オンライン上の雑誌データをそのまま開くか(つまりはストリーミング)を選べます。

AS BOOKS

iPad で F1 速報を開いたときのイメージはこんな感じ。鮮やかな IPS 液晶のおかげで、カラーコンテンツもきれいに表示されています。ただサイズは紙版に比べると一回り小さく、ちょっと凝縮感がありますね。

AS BOOKS

iPad の画面に 1 ページ全体が映るように表示させたところ。紙媒体よりもちょっと小さめですが、文字の可読性はなんとか大丈夫。読めるレベルです。

※著作権保護の観点から、テキストの一部にモザイクを入れていますが、三栄書房さんから物言いがついたら取り下げます(^^;;

AS BOOKS

最大までズームしたところ。拡大するとそれなりに JPEG っぽい圧縮ノイズは目立ちます。が、実用的に閲覧するサイズ、という意味ではまあ許容範囲。

AS BOOKS

なお、iPad を横にしてやると、自動的に画面も 2 ページ見開き表示になってくれます。サイズ的にはさすがにテキストの判読が厳しいレベルになってきますが、雑誌コンテンツは特に写真の見開きが多いので、そういうものの全体像が掴めるのはありがたいです。Sony Reader でコミックを読む際にも、見開き表示に対応していないのが物足りなかったので、やっぱり雑誌やコミックを楽しむなら大画面のタブレットのほうが向いていると思います。

AS BOOKS

ただ、残念なことに、見開きは左右のページが完全にギャップレスにはなっておらず、微妙に繋がっていません。ページ間に空きピクセルはないものの、若干寸詰まりになってしまっています。例えば↑のページでは、「VODAFONE」の「F"O"N」のあたりのピクセルが数列欠落しているのが判るでしょうか。全体表示で、見開きのあくまで「雰囲気」としては楽しめるレベルではありますが、「見開きページだとページ間が切れる」という紙の特性に対する電子版のアドバンテージになり得ると思っていただけに、もったいない。

AS BOOKS

F1 速報の中でも最もフォントサイズが小さいページのひとつ、津川哲夫氏のテクニカルチェックのコーナー。単ページ表示でも読みにくいレベルですが、拡大表示なら問題なく読めます。写真に関しては、ある程度の拡大率までついてきてくれる解像度を持っているので、こういう細かい写真が重要なページでも特に不満はありません。

AS BOOKS

続いて操作性について。F 速は細かなレース展開や各種データなど、各レースごとのデータベースとしては馬鹿にできない情報量を持っています。紙媒体ならいざ知らず、電子書籍でページをぺらぺらめくりながら情報を漁っていくのでは効率が悪すぎます。が、電子版 F 速はちゃんと検索に対応しており、テキスト検索で欲しい情報を探し出すことができます。
ページを拡大したときにテキスト部分に圧縮ノイズが見えたので、単に画像データとしてしか保持されていないのかと思ったら、ちゃんとテキスト情報も埋め込まれているんですね。

AS BOOKS

検索結果をタップすると、該当ページにジャンプします。で、検索した文字列の前後を含む箇所がハイライトされています。ただ、(プラットフォームやアプリのバージョンにもよるのかもしれませんが)ページによってはハイライトの位置が該当の文字列とは少しずれた位置についていることもあり、まだまだ枯れてないアプリなんだなあ、というのが見える一面も。

AS BOOKS

前ページのサムネイル一覧も表示できます。
私は F 速を頭から順にではなく、けっこうあちこち行ったり来たりしながら読むほうです。特にレース内容についてはスカパー!で観て、かつニュースサイトでチェックした上で自分の blog に感想を書いているので、あまり重視していません(笑。雑誌にはむしろチーム事情やテクニカル情報を求めているので、買ったらまず開くページは「村山文夫のグランプリ天国」(←なぜ
さておき(笑)、そういういかにも雑誌的な行ったり来たり読みも、サムネイル一覧からなら比較的自然に行えます。

あと、読んでいて気づいたんですが、電子版には広告がほぼ入っていません。まるまる広告のページがないだけでなく、ページ半分が広告、というようなページでも、その部分が白紙になっているという徹底ぶり。広告費の問題が(紙媒体ではない、という契約の観点で)解決されていないのか、それとも電子版の販売時期と広告の有効期間とのアンマッチが原因なのかは分かりませんが、ちょっと驚きました。というか、一般誌に入っているような広告と違って、こういう専門誌の場合、私は広告を見てチームグッズの発売状況をチェックしていたりもするので、広告がないのはむしろ残念だったりして・・・。

AS BOOKS

この「AS BOOKS」アプリはマルチプラットフォームになっていて、iOS だけでなく Android 版も用意されています。なので、Xperia でも読むことができます。一度コンテンツを購入したら追加料金なしで別プラットフォームで読めるという、コンテンツ配信のあるべき姿。まあ、Xperia だとさすがに画面が小さくて読みづらいので、基本的に F 速が発売される木曜日にはカバンにタブレットを入れて通勤することになると思いますが。
ただ、悔しいことに現時点では「AS BOOKS」アプリの Honeycomb(Android 3.x)対応版がリリースされておらず、Android タブレットで F 速を読むことができません。雑誌の紙のサイズは見開き等を考えても 4:3 よりも 16:10 くらいのアスペクト比向きだし、Android タブレットは iPad よりも解像度が高いので(Retina Display な iPad HD が出るという噂もありますが)、むしろ Honeycomb 版を早く出してほしいんですけどね・・・。

あと、Web ストアで書籍を購入し、管理と閲覧をプラットフォームごとのアプリで行うという方式は(導線のわかりにくさはさておき)マルチプラットフォームへの対応のしざまとしてはよくできていると思います。が、欲を言えば、「出版社ごとに本棚がある」という仕組みはスマートではないんですよね。これは三栄書房さんの問題というよりは、出版業界側の問題だと思いますが、買う書店はバラバラでもいいけど、自分の本を管理する書棚はひとつであるべきでしょう。そもそも雑誌の電子配信そのものすらまばらにしか始まっていない状況で言うのも酷だとは思いますが、業界の人々には是非ともその実現を目指してほしいです。

ともかく、F 速の電子化は長年の希望だったので、ようやくといった感じです。F 速は毎号買うけど、かさばるのでシーズンオフには別冊の「F 速 PLUS」だけ残して棄てちゃうんですよね・・・。むしろ PLUS と毎年の総集編も、今ならキャンペーン価格で出てるし、この際電子化して本棚を空けたいほど。紙版の所有者向けにもう少しお得になるキャンペーンとか、ないものですかね・・・。

投稿者 B : 22:22 | Book | F1 | eBook | コメント (0) | トラックバック

2011/09/17 (Sat.)

形なきモノを売る時代

西田 宗千佳 / 形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組

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ジャーナリスト西田宗千佳氏の新刊を読了しました。最近、電子書籍やスマートデバイス、あるいはコンテンツのデジタル流通絡みの記事では必ずと言って良いほど名前をお見かけする西田氏ですが、本書はまさにそれらの取材の集大成といえる内容にまとまっています。また、ある意味では昨年の『世界で勝てるデジタル家電』の続編と言っても良いかも。

毎度毎度、西田氏と本田雅一氏の取材範囲の広さと掘り下げの深さには感嘆しますが、今回も内容は幅広く、スマートフォンやタブレットの話に始まって、スマートテレビ、サブスクリプション型のコンテンツ配信やクラウドサービス、グリーやモバゲーなどのソーシャルゲーム業界の話、販売・マーケティング観点でのノンパッケージコンテンツ流通の話、というように、クラウドとスマートデバイス時代に考えておくべきほぼ全てのことを網羅しています。

私はこのあたりの業界動向をかなりフォローしているほうなので、どちらかというと「識っている話を分かりやすく整理してくれる」というような意識で読んでいましたが、それでもソーシャルゲーム方面はあまり追いかけていなかったので、とても勉強になりました。ビジネスモデルを理解しているつもりでも、市場規模とか海外での状況とか知らないことも多かったので、「貧困ビジネス」と高を括らずに学ぶ必要があることを思い知りました。
実は昨日、東京ゲームショーを見に行ってきたのですが、初出展となったグリーは TGS の会場ではどう見ても異質。明らかに浮いており、客の入りもイマイチでしたが、PSP や DS のゲームにもソーシャルの要素が取り入れられたり、ソーシャルゲーム出身でありながら PSP 版が発売されるようなタイトルも増えてきているので、そう遠くない未来にソーシャルゲームと従来型ゲームの垣根はなくなっていくでしょう。

個人的には最近、クロスオーバーとかコンバージェンスといった単語でよく表現しているのですが、デバイスやソフトウェア技術の進歩、そして何よりクラウド化・・・というと大げさですが、とにかく「ネットワークに繋がること」で、いろんな製品やサービス、コンテンツのボーダーレス化が進んでいると感じています。
例えば、ひとつの動画を観る際、それがクラウドから提供されるものであれば、コンテンツを観るためのディスプレイとしてはテレビやタブレットの間で「使用時間の取り合い」が発生する(つまりテレビとタブレットが競合している)ことになるし、でもその動画が「どこまで観たかの『しおり』」を機器間で共有し、自宅のテレビで観ていた続きを外出先でタブレットで観るのであれば、テレビとタブレットは連携することになります。そんなことが普通になっていく時代に、「テレビだから、これはこういうもの」というように自分で自分に枷をつけていては、競合(それは競合他社のテレビにかもしれないし、タブレットやスマートフォンにかもしれません)に敗れることになる。自分の守備範囲を自分で規定せず、真にあるべき UX を起点としてハードウェアやソフトウェア、サービスの実装に落とし込んでいって初めて競争する資格を与えられる。そう思います。

ちなみに、この本は英題が『The Tablet Age(タブレットの時代)』となっていますが、それについて共感したのは特にこのくだり。

ネットワークの世界になり、低価格に大量のコンテンツを楽しめる世界がやってくるのは間違いなく、その受け皿として「タブレット」はきわめて有望だ。タブレットは、ディスクというメディアの存在を想定しない、史上初の「ネットネイティブ・コンテンツプレイヤー」となる。その際、メディアやデータを「所持しない」「所持できない」世界が同時にやってくることになる。
快適ではあるが今までと違う常識とルールの中で、我々はコンテンツを楽しむことになる。

日本においてはタブレットの市場はまだ立ち上がったばかりで、今後本当に成功するかどうかすらまだ判らない状況にあるのは事実だと思います。が、個人的には去年 iPad を買ってみて、多くの家庭においては PC よりもタブレットこそが主な生活空間で使うコンピュータとして相応しい、と確信しました。逆に、iPad に飽きた/使いどころがない、と言っている人は、多くがモバイル PC の代わりとして使おうとし、PC と同じことができないことに失望した人ではないでしょうか。
でも、個人的には家庭内ではタブレットが、外出先ではスマートフォンが、コミュニケーションや情報検索、コンテンツ流通の受け皿になっていくことは間違いないと思っています。いや「タブレット」「スマートフォン」とカタチを規定してしまうことさえ適切ではないのかもしれず、今後ディスプレイを備えた機器の多くが「スマートデバイス的な何か」になっていくのではないか、と思います。そこには物理的なディスプレイの大きさの違いのみが存在し、テレビ、タブレット、スマートフォンというのは機能的な差はなく、名前は大きさを示すだけの言葉になっているのかもしれません(まあ、2~3 年でそれが現実になる、とは言いませんが)。

なんか書物の感想とは直接関係のないことばかり書いてしまいましたが(笑)、本書は、本田雅一氏の最新刊『iCloud とクラウドメディアの夜明け』と似たところも多いですが、内容的にはちょうど良い補完関係にあり、まとめて読むと何かが見えてくるような気がします。この先の 2~3 年を考えるならともに必読の一冊、と言えるでしょう。

投稿者 B : 12:00 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック

2011/08/23 (Tue.)

Sony Reader Pocket Edition に最近物足りなくなってきた件

今月に入ってから、出張だ帰省だと長時間の移動が多くなっています。まあ最近仕事に追われているので移動時間の多くは仕事に割いてしまっているんですが、移動中は電波の通じない状況に陥ることもままあり。そういうとき、先日のコミック対応以降ようやくまともに使うようになった Sony Reader が活躍してくれます。

んが、今まで使っていなかったから気がつかなかった(当たり前だ)Reader の欠点がいろいろ見えてきてしまい、ハードウェア・・・というかファームウェアの作りに不満がたらたら。例えば、

Sony PRS-350

書籍一覧は基本はサムネイル表示なんですが、続き物だとタイトルの文字列が途中で切れてしまう(それもたったの 8 文字で切れてしまう!)ので、よっぽど表紙にでかでかと巻数が書いてないと、どれがどれだか判りません(´д`)。

じゃあ、ソートすればいいのか、と思ったんですが、

Sony PRS-350

ソートの種類はいくつかあるものの、「タイトル」でソートしても関数がきれいに並び変わるわけじゃないっぽい。なんかデータベースのつくりがまともじゃないような気がします。これは Reader のローカル DB だけじゃなくて、Reader Store の書籍一覧のソートも変な感じなので、余計にたちが悪いです。なんか 2 バイト文字の扱いをちゃんと考慮してないんじゃないかという、謎のソートをしてくれます。
他にも、「ファイル名」というユーザーには何の得にもならないソート種別があったりとか。全体的に謎。

Sony PRS-350

でも、とりあえず解決策は見つけました。書籍の一覧画面で「OPTIONS」ボタンを押すと、表示方法が「一覧」「タイトル」「サムネイル」から選択できるようになり、

Sony PRS-350

「タイトル」を選択すると、タイトルがちゃんと全部表示されるようになりました。
サムネイルがないとものすごく味気ないですが、こうじゃないと 40 巻もあるコミックはどれがどれだか判らないので・・・。

でも、やっぱりソートはタイトル順にしても変な並びで出てきます。具体的にいうと、巻数の数字(2 バイト文字)が、0、1、9、5、3、7、2、8、4、6、という順にソートされます(´д`)。あほかと・・・。

Sony PRS-350

他にも、Pocket Edition の 2GB という内蔵メモリ容量(外部メモリスロットなし)は、活字(じゃないけど)の本なら問題ない容量に思えましたが、コミックだと 1 冊当たり 40MB 前後の容量を食うので、全 40 巻のコミックだと 2GB(実効約 1.5GB)にギリギリ足りないくらい。画面サイズ的にもコミックを読むにはちょっと物足りないですし、購入時にコミックを想定していなかったとはいえ、Pocket Edition を買ったのは失敗だったかもしれません・・・。

そろそろモデルチェンジ、という噂もあるので買い換えたくなる機種の発売に期待しますが、それでも現状では単なる 3×3 EYES 専用機となっているので(ぉ)、コンテンツ側が揃わないと買い換えは厳しいかなあ。

投稿者 B : 23:59 | Book | eBook | コメント (2) | トラックバック

2011/08/19 (Fri.)

iCloud とクラウドメディアの夜明け

本田 雅一 / iCloud とクラウドメディアの夜明け

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テクニカル(だけじゃなくなりつつありますね、最近は)ジャーナリスト本田雅一氏の新書を読んでみました。
従来は Web メディアへの執筆が多かった氏も、ここのところ『3D 世界規格を作れ!』『これからスマートフォンが起こすこと。』と書籍の出版が相次いでいますね。メディアの逆行というよりは、現在の世の中が単発の記事ではなく書籍として残しておくべき転換点に来ているということなのかもしれません。また、近著 3 点ともにずいぶん違う方向性のタイトルではありますが、デジタル機器とコンテンツ流通の関係性、およびそれに関わる企業動向を追ったジャーナリズムであるという点で共通しており、繋がったストーリーになっています。個人的には、3 冊の中ではこの本が最も自分が今向いている方向性に近かったかな。

タイトルには「iCloud」が冠されていますが、本田氏ご本人曰くこれは出版サイドがつけたタイトルで、特に iCloud だけをフィーチャーした著書ではありません。主に Apple の iCloud とソニーの Qriocity の対比を軸にしながら、Google や Amazon のクラウドサービスを絡めて今後のクラウドメディア――クラウド化するメディア、ではなく、メディア化するクラウド――を読み解く内容になっています。

個人的に強く同意したのはこのくだり。

そこでアップルは、パソコンをデジタルハブとして使うことをあきらめ、従来はパソコンのコンパニオンであったデバイスと同じ位置づけとし、パソコンを含む各デバイス間の情報共有の中心をクラウドの中に置くことにした。このことをジョブズは「パソコンの格下げ」と表現した。もはやデジタルワールドはパソコンを中心に回ってはいないというのだ。

従来の iOS デバイスは「Mac の周辺機器」だったのが、iOS と Mac OS X の垣根が低くなり、iPhone や iPad と Mac でできることの差が小さくなっていくに従い、独立したデバイスとしての性格が強くなってきました。このあたりは、(iPhone や iPad が初期セットアップに Mac/PC 必須なのとは対照的に)Android が PC を必要としないデバイスとして生まれてきたことの影響も少なくないでしょう。が、先日の iCloud の発表によって、クラウドそのものを機器のハブとみなし、Mac も iOS デバイスも「クラウドのコンパニオンデバイス」として同列に扱われていくことが明らかになりました。
このあたりは PC や Android デバイスの観点から見るともっと明らかで、クラウドから見ると PC もスマートデバイスも、表示能力が違う程度で概念的には同じような情報端末にすぎません。スマートデバイスはリアルタイムコミュニケーションやコンテンツ消費に向き、PC はよりクリエイティブな作業に向いているから違うものだ、という異論はあるでしょうし、それはその通りなのですが、クラウドから見たときのクライアントとしてのレベル感は同じ。「クラウド・ブラックホール」とも表現されるように、今後あらゆる付加価値はクラウド側に吸収され、多くの人にとって PC の利点は「ハードウェアキーボードがついていること」だけになってしまう日が来ても、おかしくありません。そういう意味では、中期的には「PC」「スマートデバイス」というカテゴリ分けも、適当なものではなくなっていくのかもしれません。

では、あらゆる価値がクラウド側に吸い込まれていくと、クライアントとしてのハードウェアに残された価値は何なのか?単なるコモディティ化の未来が待っているだけじゃないのか?という話になってきますが、その問いに対する答えの一つはこれでしょう。

ソニーは特定の技術に縛られる形でコンテンツが流通する現状を是正し、ハードウェアメーカー間の競争環境を促す形でクラウドを活用しようとしている。利用者を特定のエコシステムへの依存から解放することで、新たな競争環境を作れると考えているからだ。一方、アップルは現在のダウンロード型デジタル配信での支配的な位置を引き継ぎつつ、情報リポジトリとクラウドメディアを組み合わせ、情報やコンテンツの管理からユーザーを解放しようとしている。それぞれの道を歩んでいるが、最終的に消費者の得られる利が大きい点は同じだ。

iTunes のようにサービスとハードウェアが密結合した状態は、アーキテクトの視点で見れば最も美しいですし、その囲い込みを甘受している限りはその中で過ごすのが最も気持ちが良い。ただ、例えば iOS が「Apple が作った箱庭」と呼ばれるように、不自由も多く、App Store のように自由競争が制限された環境でもある。つまりそれはある面では進化が阻害されているということでもあります。
それよりは、サービスとハードウェアの結びつきは多少緩めにして、サービスとハードウェアそれぞれの選択権をユーザーに委ね(場合によっては複数のサービスを利用しても良い)、サービスはサービスの、ハードウェアはハードウェアの完成度やコストで競争できるほうがより良い未来に近づける(あるいはハードウェア開発が得意なソニーのような企業の場合、現在の状況よりも自社の強みを発揮しやすい)、という考え方。言い換えれば、iTunes で買った曲をウォークマンで聴ければ今よりもっと嬉しいし、逆に iPhone で SME の楽曲も聴きたいでしょう?という話でもあります。以前はカセットテープなり CD なり共通のメディアがあって、どのメーカーのハードウェアでも問題なく使えていたのに、デジタル配信になって不便になったよね?という話です。

現在の iTunes のようなダウンロード型コンテンツ販売の時代は終わりを告げ、これからはサブスクリプション型のストリーミング配信の時代が来る、と言われても、多くの人にはまだまだピンと来ないかもしれません。しかし、テレビがコンテンツ配信の王者だった時代が終わり、CD や DVD といったパッケージメディアの終焉も近づき、情報端末のほとんどで Wi-Fi 搭載が当たり前になり、ハードウェアの付加価値や「ものを持つこと」の意味がどんどん認められなくなってきた今、世の中の流れは確実にそこに向かっていると言えます。私もハードウェアやパッケージメディアを収集・所有することに喜びを覚える世代なので、そんな時代が来てしまったら寂しいという思いもありますが、価値が所有から体験に移ってきていることは間違いがありません。
本書は『これからスマートフォンが起こすこと。』と同じく、2~3 年後には「もう当たり前になったことが書かれている本」になってしまうのだろうと思います。が、PC やスマートデバイスが好きな人、コンテンツ流通に関わる人、あるいはもっと大きく「ものづくりと産業」のこれからに興味がある人、であれば、一読しておく意味のある書物ではないでしょうか。

投稿者 B : 23:35 | Book | Business | コメント (0) | トラックバック