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2013/08/17 (Sat.)

真夏の方程式

東野 圭吾 / 真夏の方程式

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先日劇場版を観てきたところですが、やっぱり原作も読んでおかないといけないでしょう。とはいえ、そろそろ本棚に紙の本を増やすのは文庫本であっても躊躇します。というわけで、以前の『聖女の救済』に続いて、図書館で借りてきました(笑。これでも予約して 3~4 ヶ月くらい待たされましたが...。電子書籍さえ出してくれれば喜んでお金を払うんですけどね。この際、本棚を逼迫したくなければ新品で買って読んだらブックオフに、というのは考えませんでした。

映画館で一度観ているので、犯人とトリックを知った上で読んだことになりますが、そういう視点で読むと、あの映画は原作にかなり忠実に作られていたということが分かります。前作『容疑者 X の献身』もそうでしたが、原作に敬意を払っている証拠ですかね。架空の海岸「玻璃ヶ浦」の映像をスクリーンに合わせてイメージどおりに表現した、という点では、この作品はむしろ映像作品のほうを映画館で観るのが真の楽しみ方ではないか、とさえ思います。
とはいえ、掘り下げ方はやはり小説に分があり、原作は被害者と容疑者、そしてその家族の想いと過去、それから警察側の捜査にまつわるエピソードを丹念に描写しています。事件発生の瞬間と種明かしは逆にあっさりしていて、ちょっと拍子抜けだったほど。まあ、今回は物理法則を用いた凝ったトリックもさほどなく、人間関係の描写に重きを置いた作品なので、これでいいような気もしますが、ますますガリレオシリーズではなく加賀恭一郎シリーズでも良かったのでは...と感じました。
対して映画は湯川と少年の信頼関係や川畑家との関わりにフォーカスしている印象。2 時間という映画の枠に収めるにはちょうどいい絞り方だったと思いますが、容疑者が死体遺棄に至る動機と、そもそもの環境問題と事件との関わりに必然性が薄くなってしまった感はあります。事件と川畑家に関わる重要人物を一人まるごとカットしていますからね...。

個人的には、作中で「変人」と評される湯川学のキャラクターには共感するところが大きいです。それは、とにかく理屈で物事を考え、実践で証明していくから。これだけロジカルに物事を考える人というのは現実社会には意外なほど少ないものです(だからこそ人には湯川が「変人」に見える)。
そんな湯川の考え方を象徴するような台詞が、今までのシリーズ以上に物語の要所要所に鏤められているのが印象的でした。

「理科嫌いは結構だ。でも覚えておくことだな。わかんないものはどうしようもない、などといっていては、いつか大きな過ちを犯すことになる」
「両立させたいというのなら、双方について同等の知識と経験を有している必要がある。一方を重視するだけで十分というのは傲慢な態度だ。相手の仕事や考え方をリスペクトしてこそ、両立の道も拓けてくる」
「この世に完璧なものなどない。存在しないものを要求するのは難癖以外の何物でもない」
...科学や技術、に限らず、この社会のありようを正しく認識し、より良い社会を目指していくためには必要な態度ではないでしょうか。私はこれを読んだとき、これはもしかして東日本大震災をふまえて書かれた話なのかな、と思ったのですが、雑誌に連載されていた当時は震災前。それだけ、この言葉が真理を突いている、ということなのでしょう。

あえて不平のひとつでも言わせてもらうならば、こういう認識ができる東野圭吾氏ならば、著作の電子流通にもっと前向きになってくれてもいいんじゃないか、ということでしょうか(笑。

投稿者 B : 00:00 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2009/11/23 (Mon.)

聖女の救済

東野 圭吾 / 聖女の救済

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ガリレオの苦悩』と一緒に図書館で予約していた本が入荷したとの連絡を受けたので、借りてきました。こちらの待ち人数も同じくらいだったので、近い時期に回ってきたもよう。

この作品は、作中の時間軸的には『ガリレオの苦悩』の第一話「落下る(おちる)」と第二話「操縦る(あやつる)」の間くらいに位置するエピソードだと思われます。ガリレオシリーズ的には『容疑者 X の献身』に続く、二作目の長編。

「完全犯罪」「この事件の答えは虚数解」「草薙刑事の恋」といったキーワードから、もしかすると『容疑者 X』を超える傑作になるのか!?とワクワクしながら読みましたが、あまり科学とは関係のないオチでちょっと肩透かしを食ったこともあり、個人的には『容疑者 X』ほどではなかったように感じました。それでも、犯人の悲愴なまでの決意や登場人物の心理的な駆け引き、そしてガリレオ本人よりも内海や草薙の視点を中心に描かれるストーリー、といったところは十分に楽しめました。あと今まさに事業仕分けで話題になっている「スプリング 8」(和歌山のヒ素カレー事件の成分分析にも使われた放射光実験施設)が登場するところもタイムリーで興味深かったですね。

でもやっぱり東野圭吾の作品は心理描写にこそその真髄があると思います。個人的には『容疑者 X』以降の作品のほうが好み。続編にも期待ですが、違うシリーズも読んでみたくなってきました。

投稿者 B : 23:54 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2009/11/11 (Wed.)

ガリレオの苦悩

久々に活字の本を読みました。

東野 圭吾 / ガリレオの苦悩

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ちょうど私が『容疑者 X の献身』を読んでいた頃に出版された探偵ガリレオシリーズの最新作ですが、今年の春頃に図書館に行ったついでに借りてみようと思ったら、確か 600~700 人待ちという状態(;´Д`)ヾ。とはいえおそらく区内の図書館で何冊かを回しているはずなので、700 人に順番に回るのを待つというわけではないだろうと思ってそのまま予約。そしたら半年以上経って完全に忘れていた今頃になって、図書館から入荷連絡が・・・(´д`)。
小説はハードカバーで買うと置き場所に困るので、基本的には文庫しか買わないんですが、こんなに待つなら(というか忘れていた)買ってしまえば良かったかなあ。

小説の内容はガリレオシリーズらしい、知的好奇心をくすぐる謎解きが散りばめられていますが、当初の「オカルト事件を科学的に解決する」というストーリーから徐々に「科学的事件を科学的に解決する」という組み立て方に変わってきていますね。これはこれで好きですが。
あと、『ガリレオの苦悩』というタイトルのとおり、前作『容疑者 X の献身』でかつての親友の罪を暴いてからのガリレオ=湯川の苦悩や、それに呼応してか従来よりも湯川自身にゆかりある人物にまつわる事件が増えていることなど、ずいぶん作風が変わってきていますが、やっぱり私は『容疑者 X』以降のこのタッチのほうが好み。あと、ガリレオの相棒役がテレビ版のヒロインである内海薫(柴咲コウ)にバトンタッチしているのも興味深いですね。私はテレビ版観てませんが・・・。

ちなみに本作と同時に貸出予約した長編『聖女の救済』のほうは、未だに図書館から入荷連絡がありません(´д`)。いつになることやら・・・。

投稿者 B : 23:59 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/11/30 (Sun.)

白夜行

東野 圭吾 / 白夜行

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ガリレオシリーズに続いて、東野圭吾の代表作を読んでみました。ガリレオのほうは新刊が出ていますが、ハードカバーの本を置くスペースがあまりないので(笑、文庫でこちらを。ガリレオとはだいぶ印象が違う作風ですが、それぞれの事件にちゃんと東野圭吾らしいトリックも仕込まれています。

予備知識全くなし(以前に山田孝之主演でテレビドラマ化されたことだけは知っていた)で読んだんですが、この物語すごいですね・・・。壮絶で救いようのない話を壮大なスケールで描いていますが、途中で嫌になることなく最後まで一気に読んでしまいました。
約 20 年前に発生したひとつの殺人事件、その被害者の息子と容疑者の娘。その後約 20 年にわたり、二人の周囲で巻き起こるいくつもの不可解な事件。接点がないように見えながら、どこかで奇妙な交わりをもつ二人の人生・・・。ガリレオシリーズではそれぞれの事件に明確な解が用意されていましたが、この作品では全てが推理や状況証拠にすぎず、真実は最後まで謎のまま。主人公であるはずの二人の主観では一切描かれず、すべて彼らに関わる誰かの視点で語られるという手法が、その印象を強烈に残しています。
結局二人の目的は何だったのか?それすらも分からない結末ではありますが、それもすべて読者の想像に任されています。深読みすればするだけ読める、実に深いミステリー。ちょっと軽い気持ちで読み始めた作品でしたが、良い意味で裏切られました。

投稿者 B : 23:59 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/11/15 (Sat.)

容疑者 X の献身

東野 圭吾 / 容疑者 X の献身

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探偵ガリレオ』『予知夢』ときて、一気に読んでしまったガリレオシリーズの三作目。短編が基本だと思っていたこのシリーズで、初の長編になっています。一作目を読んだときに、

個人的にはもっと犯人との駆け引きや、犯人側の心理も描いたような作風のほうが好きなのですが、

と書きましたが、いきなりその想いが叶ってしまいました^^;
それまでの短編からするとかなり長い作品ですが、湯川の親友であり最大のライバルでもある数学者が犯人、という、ガリレオシリーズらしいといえばらしいストーリー。ガリレオが主人公でありながら、常に犯人や草薙刑事の目線で物語が描かれるというこのシリーズの作り方のせいか、むしろこの作品の主人公は犯人である石神の方ではないかと感じたほど、犯人側をしっかり描写しているのが、私好み。

絶対こういう作品は冒頭に最大の伏線が張られているのだろう、と先読みしながら読んでいったんですが、えーそういうオチなの!というすさまじいトリックにしてやられました。最後まで読まないとそのトリックが解けないようになっているというのは推理小説としてはちょっと反則っぽいけど、目から鱗。で、トリックが明らかになったら唐突に物語も終わる、というあっさり感も、却って読後の余韻を煽っています。

まちがいなくここまで三作のベストはこれ。続編としてはつい最近新刊が二冊出たばかりらしいですが、文庫になるまで待つか否か、迷うところ・・・。

投稿者 B : 01:52 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/11/09 (Sun.)

予知夢

探偵ガリレオ』から、続けて一気に読んじゃいました。

東野 圭吾 / 予知夢

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福井晴敏も好きなんですが、大作が多いので読むのにそれなりに体力が要るのと、独特の歴史観・戦争観を受け止めなくてはならないので、ちょっと構えてしまうんですね。それに対してこのガリレオシリーズは、頭は使うけどどんどん読み進めていけるので、けっこう気に入りました。
前作に比べると、扱う内容が「難事件」から「オカルト事件」に寄ってきていて、より『トリック』然としてきた(初出はガリレオシリーズのほうが先ですが)ような気がします。いや、個人的にはどっちも好きなんですが。

非科学的と思われる事件を科学的もしくは論理的な推理によって解決する、がこのシリーズの醍醐味だと思いますが、最後のエピソード「予知る(しる)」の結びでは必ずしもそうではない(事件の解決そのものには論理的な説明がつけられているが、予知能力の実在を想起させるような)神秘的な表現がされていたり、こういうのもけっこう好み。

東野圭吾の作品、気に入ったので、あといくつか読んでみたいと思います。

投稿者 B : 23:13 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/11/08 (Sat.)

探偵ガリレオ

流行りだからってわけじゃないですが、富士に行くときに道中の暇つぶしに何となく買った小説。結局行きも帰りも待ち時間ゼロだったので、読む機会がなかったんですが、最近の通勤で読破しました。

東野 圭吾 / 探偵ガリレオ

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推理小説=長編という先入観があったので、読んでみて短編だったのにはちょっと驚きました。でも、それが却ってとっつきやすく、かつ簡潔な内容や文体にも似合っていると思います。テレビドラマのほうは、1 回だけ(しかも途中まで)しか見ておらず、『トリック』的な謎解きと『古畑任三郎』的な変キャラ主人公の話かと高を括っていたら、原作に良い意味で裏切られましたね。

東野圭吾は理系の技術者出身らしく無駄な表現のない(というか私は理系出身なのに文章が無駄に長すぎだ)あっさりとした文体で、物語もさほど抑揚なく淡々と進むし、犯人や犯行の描写も客観的であっさりしているので、小説としてはあまりドラマチックではない(そのわりに、犯行現場やタネ明かしの映像的表現は秀逸)ですが、この淡々とした描き方によって、逆に人はこんなに単純なことで人を殺せてしまう、という生々しさが浮き彫りになっている気がします。
個人的にはもっと犯人との駆け引きや、犯人側の心理も描いたような作風のほうが好きなのですが、でも、それは科学的なトリックを主役に据えたこの作品には相応しくないのかもしれません。

巻末の解説によると、ガリレオのモデルは佐野史郎だとか(!)。ドラマの福山雅治とは全然イメージが違いますが・・・。

投稿者 B : 22:45 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/07/04 (Fri.)

終戦のローレライ

4 月に読み始めたこの小説、ようやく読破しました。

福井 晴敏 / 終戦のローレライ (1)
福井 晴敏 / 終戦のローレライ (2)
福井 晴敏 / 終戦のローレライ (3)
福井 晴敏 / 終戦のローレライ (4)

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今まで読んだ福井作品の中でも最も長い作品です。でも、その分読み応えはありました。自分自身がどうしても文章を子細かつ冗長に書いてしまうタチなので、こういう作風には理解があるというか(笑。

映画の予告であらすじというか大まかな設定は知っていたので、「ローレライ・システム」というある種トンデモな設定ってどうなの、とちょっと不安ではありましたが、実際に読んでみたらとんでもない、面白いじゃないですか。前半はあまりストーリーの進展がないのですすみも遅かったですが、後半は一気に読んでしまいました。

太平洋戦争終結の間際、超能力を身につけた少女とドイツから持ち込まれたローレライ・システム、潜水艦《伊 507》が「第三の原子爆弾」を止めるために戦う、というストーリーだけ見ると明らかに B 級ですが、物語にリアリティを持たせる精緻な描写(まあ、ローレライ・システムだけはどんなに設定をつけても無理がある話ではありますが)と人間の描き方でここまで壮大な物語に作り上げてしまうか、と驚嘆させられる小説でした。背信や艦の乗っ取り、残酷とも言える極限状態や死の描写、主人公と対役以外はほぼ全員が死んでしまうクライマックスなど、福井作品らしい展開が満載で、この作品を読んだら『亡国のイージス』も『月に繭 地には果実』も読まなくても良いかも(笑。

太平洋戦争が舞台なだけあって、物語の中から現代の日本を透視させるような書き方になっているせいか、もしかしたら終章は蛇足だったのではないかと思います。彼らのその後は、読者の想像の中で決着させておいても良かったような(まあ、登場人物に何かしらの「救い」を与えてあげるのが福井晴敏の優しさだと思うので、これはこれで良いんですが)。
誰も責任を取ることをしようとしない、日本という国の社会・組織論とか、やはり日本的な組織のあり方では、「カイゼン」はできても無から有を生み出すような真似はできないんだろうとか、でもそれも旧来のムラ社会に明治維新以降のシステムだけの資本主義と民主主義、押しつけられた非戦が混ざり合って培われてしまった精神性なのだろうとか、最近自分が日々痛感させられている日本社会の負の側面が嫌でものしかかってくるような気がしました。
でも、この作品を通じて、良くも悪くも私の中の戦争観がちょっとだけ変わったような気がします。あと、何かに命を懸けることの意味とか。読むのにけっこう体力が要る作品でしたが、読んで良かったかな。

ただ、日本で映画化されたこれの DVD を観るのは、ちょっと怖いですね(;´Д`)ヾ。

投稿者 B : 01:15 | Book | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/05/01 (Thu.)

機動戦士ガンダム UC (4) パラオ攻略戦 特装版

最近ハマッている福井作品の新刊が出たので購入。

福井 晴敏 / 機動戦士ガンダム UC (4) パラオ攻略戦 特装版

私が福井作品にハマるきっかけになった UC の最新巻です。通常版ではなく、オマケプラモつきの「特装版」。
物語は徐々に核心に迫りつつあり、「えーこのキャラってこういう設定だったの-!」的なサプライズもありながら、どんどん読ませる福井節は健在。タイトルからしてそうですが、宇宙世紀の各シリーズとのリンクがちゃんと張り巡らされているので、宇宙世紀ファンにはたまらない内容といえると思います。かつ、他の福井作品を読んでいればニヤリとする設定も多く、そっち方面からのファンでも満足できる内容と言えるでしょう。あと、各キャラのセリフ回しは明らかにトミノ節を意識してますね。

で、これ、物語には確かに面白いんですが、なんか今回からいきなり挿絵が変わってるんですけど(;´Д`)ヾ。知らない間に安彦良和氏が降板していたらしい・・・正直言って安彦キャラをきっかけにこの作品に入った身としては、(小説自体の面白さはともかく)挿絵が違うと魅力半減なんですけど・・・。今後は挿絵は今の人で、安彦氏は表紙だけ担当になるみたいですが、むしろこれなら挿絵なしのほうが良いような。

オマケプラモも組み立ててみました。あくまでオマケはオマケなので、10 分もあれば組めてしまうものでしたが。

MG ユニコーンに装備できるビームガトリングガンのプラモです。今作にゲスト的に登場する武器ですが、重装感が出てかっこいいですね。ビーム兵器でガトリングガンタイプである必要性がイマイチ分からないんですが(ぉ、見た目のゴツさ的にはシールドよりも気に入ったかも。

投稿者 B : 23:54 | Book | GUNPLA | Hobby | Novel | コメント (0) | トラックバック

2008/03/07 (Fri.)

亡国のイージス

福井 晴敏 / 亡国のイージス (上)
福井 晴敏 / 亡国のイージス (下)

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月に繭 地には果実』に続いて読んでみずにはいられなかった作品。福井晴敏の代表作でもあります。

自衛隊ものって全く興味がなかったので、読み始めるまではモチベーションが続くか心配だったんですが、いやいやいや。むしろ一気に読んでしまいました。
序盤は説明的な部分が多く、小難しくてちょっと辛かったんですが、ある程度背景と主要キャラの人物像が分かってきたら急に面白くなりました。それぞれに抱えるものがある人々が、護衛艦という密室を舞台に繰り広げる群像劇。というのは前半だけで、それぞれの登場人物に感情移入し始めた頃に事件が起き、彼らが皆凄惨な結末に向かっていくさまは、まるで自分自身が「如月行」が「組織」の訓練の最終試験を受けたときに近い感情を抱かされました。

クライマックスはまさに(スケールやリアリティは異なるものの)『月に繭~』に勝るとも劣らない凄惨さで、ちょっと想像したくなくなるほどの残酷さ。平気でこんな表現ができてしまう精神には畏怖すらおぼえますが、その凄惨さがあるからこそ結末のカタルシスに至れるのかもしれません。ちょっとばかり浪花節的なクサさを感じさせる展開はありましたが、でも、個人的にはこういう男臭い展開はキライじゃない(笑。
長い歴史の中で、一部の人間が世の中に与える影響なんて小さなものだけど、その中で各個人が真実を見つけることこそが大切――というテーマは、舞台や表現手法こそ違えど『月に繭~』と同じで、福井晴敏が作品を通して人々に伝えたいことそのものなのかもしれません。

これがどんなふうに映像化されているかと想像すると、日本の映画界ではちょっと無理だろうと期待できない部分はあるけど、一応 DVD も観てみようかと思います。

投稿者 B : 23:39 | Book | Novel | コメント (2) | トラックバック

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