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2012/11/24 (Sat.)

EF24-70mm F4L IS USM を見てきた

品川のキヤノン S タワーの近くに行く用事があったので、ついでに今度発売される EF24-70mm F4L IS USM の展示機を見に行ってきました。

キヤノン / EF24-70mm F4L IS USM

EF24-70mm F4L IS USM

まず第一印象は「お、L ズームのわりにけっこうコンパクトじゃないの」。今までのキヤノンフルサイズ用標準ズームのスタンダードである EF24-105/F4L に比べて長さで 14mm、重さで 70g 短く軽くなりました。隣に置いてあった EOS 6D+EF24-105/F4L の組み合わせは、ボディのほうが軽すぎていくらなんでもフロントヘビーすぎる印象を受けたので、もう当初から 6D とのマッチングを考慮して開発されたレンズなのでしょうが、5D3 との相性もすこぶる良いように思います。

EF24-70mm F4L IS USM

長さはこのくらい。EF24-105/F4L よりも取り回しは良さそうです。とはいえ EF24-105/F4L も 24-105mm という広いズーム域に F4 通し、IS と USM がついてさらに防塵防滴というがんばりすぎたスペックだったので、それでさらに小ささ軽さを求めるのは酷というものでしょうが、今回はズーム域を諦めた代償としてコンパクトさとマクロ機能という武器を手に入れました。70-200mm または 70-300mm 級の望遠ズームレンズとセットで運用するならば、こちらのほうが扱いやすいのではないでしょうか。

EF24-70mm F4L IS USM

外観は EF100L マクロに始まるキヤノンの新世代レンズのデザインを踏襲しているので、面構えも良い。

フィルタ径は 77mm です。

EF24-70mm F4L IS USM

望遠ズームではないので、手ブレ補正スイッチはオン/オフのみ。流し撮りモードとかはついていません。

EF24-70mm F4L IS USM

で、こちらが注目のマクロモードスイッチ。このスイッチを押し込みながらズームリングを回すことで、レンズがマクロモードに切り替わる仕掛けになっています。個人的には、この仕掛けは初代 α-7000 の標準ズームとして用意されていたミノルタ AF ZOOM 35-70mm F4 と同じ機構なので、ちょっと懐かしい(笑。
マクロモードに入るときも、通常モードに戻すときもスイッチを押し込まなくてはならないので、咄嗟のときの反応性には若干劣りますが、まあ簡易マクロとしては十分ではないでしょうか。

ちなみにこのスイッチはズームリングのロックレバーも兼ねているので、ワイド端にしたときに「LOCK」にセットするとレンズが動かなくなります。まあ、前玉の重さに対してズームリングのトルクがしっかりあるので、カメラを下に向けてもレンズが自重で下がってくることはまずないと思いますが。

EF24-70mm F4L IS USM

マクロモードにしてズームリングを回していくと、中群のレンズがグッと前に出てきてマクロモードになる、という仕組みです。ちょっと気になったのは、このオレンジのマクロ領域のどこにズーム位置を置くかによって、ピントの合う距離が変わってくること。マクロ領域ならどの位置でも近接のどの距離にもピントが合うということではなくて、まずはズームリングであらかたピントの合う距離を見つけてから、AF なり MF なりでフォーカスを決めるという使い方になるので、やはり専用のマクロレンズに比べると利便性は劣ります。

EF24-70mm F4L IS USM

それでも、簡易マクロとしてこれだけ寄れれば十分じゃないでしょうか。上の画像は、片手でマクロの AF をライブビューで合わせつつ、その画面をもう片方の手で撮影したので、微妙にピントが合ってませんが、このくらいのマクロ撮影まで対応できています。マクロ撮影といっても普段は等倍撮影することは滅多になく、最大 0.7 倍の倍率で撮影できればまず十分。よほど寄った撮影をしたいときには最初からマクロレンズを持って行きますしね。この「多少制限はあってもいざというときに『使い物になる』付加機能」というのは、重宝します。確かにこれがあれば 100 マクロ買わなくてもいいんじゃない、と考える気持ちも理解できます。

私の使い方ならば 5D3 の標準ズームはこのレンズで決まりかなあ。大きさ重さと価格、機能のバランスが絶妙だと思います。あとは画質次第。
でも最近シグマの 35mm F1.4 DG HSM が急激に気になってきているので、いずれは両方買うことは確定としても、どっちから買うかが問題(´д`)。

投稿者 B : 23:59 | Camera | DSLR | コメント (0) | トラックバック

2012/11/20 (Tue.)

シグマ山木社長が語る、新コンセプトレンズ群に込めた想い

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昨日に続いて、シグマの新コンセプトレンズのイベントレポートをお届けします。

SIGMA

山木社長は「製品には明確なコンセプトを設定することが重要」と言います。実際、「今ある技術の組み合わせでこういうのができた」というよりは、「こう使ってほしい」「こういうモノがつくりたい」という作り手の意志がなければ、モノの良さは伝わらない時代。まあモノだけ良くてもちゃんと伝え方を練らないと伝わらないものですが、まずは商品企画、コンセプトが明確でないことには話になりません。
そこでそれぞれのレンズのコンセプトを明確にするために「Contemporary」「Art」「Sports」という 3 ラインに製品を分類したのが今回の新しいアプローチなわけですが、別に大口径望遠レンズで芸術写真が撮れないわけじゃないし、Art ラインの単焦点レンズを日常使いにするのが悪いわけじゃない。山木社長も「別にコンセプト外の用途に使えないという意味じゃない」とは何度も仰っていましたが、まあある程度カメラを知っている人であればスペックから自分の用途に合ったレンズは選べるでしょうし、この区分はどちらかというと開発・商品化途上でのコンセプトのブレを抑えることと、ラインアップを分かりやすくすることでエントリーユーザーへの間口を広げよう、という意図で作られているように思います。

■Contemporary | 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM

SIGMA

まずは「Contemporary」シリーズの 17-70mm から。「現代的な」という意味を与えられたレンズの第 1 弾は、現在のシグマを代表する(性能的に、というよりは、ポピュラーな、という意味で)標準ズームレンズのリニューアルとなりました。17-70mm(28-105mm 相当)という広いズーム域に F2.8-4 という明るめのスペック、それに手ブレ補正と簡易マクロ機能までついた欲張りなレンズで、個人的にはカメラメーカー純正の APS-C 標準ズームよりもこっちを選んだ方が幸せになれるのではないかと思っています。実際、私も初めての 1 本はこれの初代モデルを買いましたし。

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「Contemporary」が意味するところは「光学性能」+「利便性」。絶対的な光学性能ではなく必要十分な性能と利便性を兼ね備えた製品バランスを追求していて、普段使いやスナップ、旅行など幅広く使ってほしいとのこと。機能的に欲張りなのも利便性の追求ゆえんでしょう。利便性としては「できるだけコンパクトで軽い」という意味合いも含まれていて、この新 17-70mm は旧モデル比で 30% の小型化を実現しています。このシリーズは年々機能が増えていくトレードオフで少しずつ大型化していましたが、ここで一回り以上コンパクトになった意味は大きい。私はもう APS-C 機をメインでは使っていないので買うことはないでしょうが、まだ 7D がメイン機だったら初代 17-70mm からそろそろ買い換えを考えただろうな、と思います。

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鏡筒のデザインもずいぶん垢抜けましたね。今回の新コンセプトレンズ群のデザインには社外のデザイナーを起用しているとのことでしたが、このデザインを手がけているのは日本を代表する工業デザイナーの一人、岩崎一郎氏だそうです。最近では au の携帯電話「G11」などが記憶に新しいところですが、シグマ製品への採用のきっかけはかつて山木社長ご本人がインテリアショップを訪れた際、韓国の MUTECH 製電話機のデザインに一目惚れし、お店でデザイナーの名前を聞いて直接電話でアプローチした、とのこと。MUTECH の電話機は 10 年くらい前ですかね?私もインテリアショップで一目惚れし、ほとんど買いそうなところまで行った記憶があります。そして調べてみたらこの岩崎一郎氏が元ソニーのデザイナーだったことを知り、そりゃあ私の琴線に触れるわ、と妙に納得したという(笑。
ともあれ、一見穏やかな山木社長のこんなに熱いエピソードが聞けるとは、意外でしたね(^^;;。

さておき、当初「社外のデザイナーを採用」と聞いたときにはちょっと不安にもなりましたが、単なるアーティスト志向のデザイナーではなく、ちゃんと経験のある工業デザイナーを採用した、というのを聞いてとても安心しました。工業デザイナーというのは単に「カタチがカッコイイから」ではなく、設計的な都合とか合理性とか製造面での必要性まで考慮して、設計者と一緒に落としどころを見つける能力が求められるものなので。だって "design" ってもともと「設計」って意味なんですよ。

あと、細かいところではレンズ前面の円周に刻まれているスペックの文字が従来は白い印字だったところが、今回から黒いエンボスに変更されています。これは簡易マクロ機能が強力(フードをつけると被写体がフードに触れてしまいそうなくらい寄れる)なレンズ故に、被写体に刻印が映り込まないための配慮だとか。それほど単価が高いわけではないレンズなのに、こだわってますね...。

■Art | 35mm F1.4 DG HSM

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そして今回の新レンズの大本命がこれ、「Art」シリーズに属する 35mm F1.4 DG HSM。シグマとして(私が知る限り)初めての 35mm F1.4 で、30mm F1.4 DC にはじまるシグマの単焦点 F1.4 レンズシリーズのトリをつとめるレンズでしょう。もうね、見た目からしてソソります。

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「Art」シリーズが標榜するのは「最高の光学性能」+「アーティスティックな表現」。MTF(だけじゃないですが)などのスペック的な光学性能を極限まで追求した上で、単なるスペックではない芸術的な表現に生かせるレンズの味も兼ね備える、ということを目指しています。用途としては風景、ポートレート、静物、接写など、主に芸術として撮られる写真のためのレンズ。だからこそデジタル設計でソツのない写りをするだけでなく、そのレンズでしか出せない表現というのも狙っているのでしょう。

SIGMA

鏡筒デザインは、今回の新レンズ群で基本的には共通のイメージながら、Contemporary ラインとは微妙に異なる意匠が施されていたり、素材も部分的に変えてあったり(17-70mm はマウント部以外はプラスチック)、この鏡筒を見ているだけで欲しくなってしまいます。でも、今回のデザインコンセプトは「極力デザインしないデザイン」。確かに、余計なものをゴテゴテ付けて華美にしたわけではなく、ボディラインの繋ぎかたや素材の使い方、マットと半光沢のコンビネーション、そしてできるだけシンプルな線や円でまとめることで、長く使っても飽きの来ないデザインに仕上がっていると思います。そしてこれを見ると、今まで良いとも悪いとも思わなかった従来のシグマレンズのデザインが、急に野暮ったく見えてくるという(^^;;。デザインは好き好きなので賛否両論はあるでしょうが、私はこのデザイン、好きです。

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F1.4 の大きな前玉の、このえも言われないような曲面と紫色がかったコーティング。これだけでご飯三杯はイケル(ぉ

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レンズマウント付近の底面には「012」の刻印が。これは実物を見るまで全く知らなかった部分ですが、レンズの発売年を表しているのだとか。どのレンズもカメラの性能やレンズの製造技術の進歩に合わせて数年おきにリニューアルするものですが、その際に「何年に発売されたレンズか」で区別ができるように、とのこと。レンズの性能は基本的に新しい設計のものほどいいものですが、描写の味という点であえて古いレンズを使う、というオールドレンズ的な楽しみ方がいずれできるように、という想いが込められています。

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レンズフードも、スペックが刻まれている部分だけゴムが使われていたり、こういうところにまで凝っています。

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フードを付けるとただでさえ大きなレンズがさらに存在感を増してきます(汗。これ振り回すのはなかなか大変だわ...。

まあ大口径レンズというのは画質が良くてナンボ、外観や大きさ重さなんて二の次ですよ!というのが本音。じゃあ肝心の画質のほうはどうなのかというと、今回は軸上色収差の低減にこだわったそう。近年はカメラ内収差補正技術が進歩したこともあり、倍率色収差(画面の周辺部での色ズレ)はソフトウェア的に補正する技術が確立されていますが、軸上色収差(絞りを開いたときに、コントラストの高い部分で発生する色ズレ)は光学的に解決するしかないそう。それを極限まで抑えたのが今回の 35mm F1.4 だとか。

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比較対象としてまず見せられたのは、他社(どこのメーカーかは不明)の 35mm F1.4 レンズで撮影された解像力チャート。確かに絞り開放では軸上色収差が発生し、白のエッジにマゼンタやグリーンが乗ってしまっているのが見えます。F2.8 まで絞ればほぼ解消されるとはいえ、これでは F1.4 を使う場合には、保険としてちょっと絞って 1、2 枚...という撮り方になるでしょう。
これは他社比較だけでなく、同社の現行 F1.4 レンズ(50mm や 85mm)でも発生しており、特に他社のレンズの性能が悪いというわけではありません。逆に言えば、MTF 曲線などの性能で比較しても、キヤノンやニコンの 35mm F1.4 と極端な差はなく、差異化するために軸上色収差の補正にこだわった、とのこと。

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で、これがその 35mm F1.4 DG HSM で撮影された同じチャート。先ほどの画像と比べると、F1.4 でも大幅に収差が抑えられているのが分かります。これなら積極的に絞り開放から使っていけそうですね。

とはいっても、我々は別にチャートを撮影するのが趣味じゃないので、実際の被写体を撮るとどうなるのか、が重要です。そのあたりについては、また追って(という引き延ばし

■Sports | 120-300mm F2.8 DG OS HSM

SIGMA

「Sports」シリーズを代表するのは 120-300mm F2.8。スポーツ撮りレンズの代名詞と言えば「サンニッパ」、つまり 300mm F2.8 ですが、このレンズはそれを 120mm スタートのズームレンズにして撮影領域を広げようという超意欲的なレンズです。しかもズーム全域で F2.8、それでいて他社のサンニッパの半額近い価格なので、驚くしかありません(それでも一般人に買える価格ではありませんが)。

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このシリーズのポイントは「光学性能」+「高い運動性能」。近年発売されている同社の望遠ズームレンズ群は光学性能が高いものが多いですが、それに加えて高い運動性能(光学手ブレ補正やフォーカスリミッター機能など)でスポーツ撮影の厳しい要求に応えることを目指しています。さらに、このシリーズのレンズには基本的に防塵防滴機能と後述するカスタムファンクションを持たせるとか。スポーツや飛行機、野鳥などが被写体となる望遠ズームレンズの用途では、天候に左右される屋外での使用が多いため、防塵防滴機能を求める向きが多いです。今年のオリンピックではプロカメラマン内のカメラシェアでキャノンとニコンのどちらが勝っているかが話題になりましたが、このプロ仕様のレンズで、プロのスポーツ撮影にシグマレンズがどの程度食い込めるでしょうか。このあたりは、単なるレンズスペックだけでなく、カメラ側の AF 機構とのマッチングも重要になるだけに、そう簡単ではないと思いますが、期待はしたいです。

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サンニッパでさらにズームなんだから前玉だってモンスター級にデカいですよ。105mm 径のフィルタなんて滅多に売ってるものじゃないし、MC プロテクタ 1 枚買うだけでも 1 万円コースですよ(;´Д`)ヾ。

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なお、カスタムファンクションですが、このレンズではフォーカスリミッターのカスタム設定機能が用意されるとのこと。今回の展示品は試作機だったのでスイッチがありませんでしたが、フォーカスリミッタースイッチに「CUSTOM 1」「CUSTOM 2」の 2 つの設定が用意され、ユーザーが PC 経由で設定した 2 種類のフォーカスレンジを覚えさせることができるとか。まあメーカー側が用意しているフォーカスリミッター機能なんて、あくまで「一般的によく使うであろうフォーカスレンジ」として設定されているだけなので、被写体や撮影場所によって変わって当然。それを 2 種類覚えさせておけば、デフォルト値と合わせてあらかじめ 3 パターン準備しておけるので、これなら多くのシチュエーションでより的確な撮影ができるでしょう。

SIGMA

まあ、これだけ長くて重い(レンズだけで約 3kg!)ので、いくら長玉を振り回し慣れている私でも、これはちょっと腰が引けてしまいますが(´д`)、より撮影領域の広がったサンニッパ、と考えれば、とても魅力的ではあるんですよね。

ちなみにこのレンズの現行品はまだ 1 年半前に発売されたばかりなので、今回のリニューアルにあたって光学仕様は変更されていないそうです。作り直しても現時点ではこれ以上の性能になる見込みが薄いため、今回は防塵防滴やカスタムファンクションの付与にとどめた、とのこと。でも同様の考え方で他の望遠レンズ群もリニューアルされてくるとしたら、これはまた魅力的なものになりそうです。

■USB Dock

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今回の新レンズ群のカスタムファンクション機能などを使うために必要なのがこの USB Dock です。これを介してレンズを PC に USB 接続することでいくつかの操作が行えるとのことですが、ほぼレンズに直接 USB ケーブルが刺さっているように見える外観は、ちょっと異常(笑。

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この USB Dock を介してできることは、(レンズによって異なる可能性はありますが)AF の微調整、上述のフォーカスリミッターの設定、AF の動作モードを合焦速度優先/スタンダード/精度優先の切り替え、それからレンズファームウェアのアップデート、が現時点では想定されています。AF 微調整に関しては、中級機以上であればカメラ側に機能が用意されていることも多いですが、カメラ側の設定では「レンズの全焦点域に対して AF 位置を前後にずらす」ことしかできないのに対して、このツールを使えば焦点域ごとに細かく AF 位置の調整ができること。まあそこまで自分でいじれる人は稀でしょうから、通常であればメーカーのサービスセンターが使っているツールをユーザーに開放するようなものでしょうか。
この USB Dock に対応する調整ツールは「SIGMA Optimization Pro」という名称のソフトウェアとして、年明けには無償ダウンロード提供されるとのことです。まあ USB Dock がないと使えないとは思いますが...って、そういえばレンズは各社マウント用が発売されていますが、USB Dock もマウント別に発売されるということですかね?質問してくるのを忘れていました...。

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さておき。これらの新レンズ群のうち、真っ先に発売日が決定した(SA マウント用が 11/23、EF マウント用が 11/30)「Art」シリーズの 35mm F1.4 DG HSM を、このイベントの中で試用することができました。おそらく国内において一般ユーザーがこのレンズを試写するのは初めてになるんじゃないかと思いますが...写りのほどは、待て次回(ぉ。

■関連エントリー
シグマ山木社長が語る、同社のものづくりのフィロソフィー

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2012/11/19 (Mon.)

シグマ山木社長が語る、同社のものづくりのフィロソフィー

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ずいぶん久しぶりに「みんぽす」のイベントに参加してきました。

今回参加してきたイベントは、近年レンズメーカーとしてだけでなくカメラメーカーとしての存在感も増してきたシグマ。私はもともとシグマのレンズを好きで(価格の割に性能が良く、またかりっとした描写も好みで)使っていましたが、ちょうど 2 年前のイベントに参加して以来、すっかり同社のファンになってしまいました。特に近年発売されているレンズはいわゆる「互換レンズメーカー」のイメージを払拭する高画質なものやマニアックなスペックを突いたものが多く、中でも私が実際に購入した超望遠ズーム 50-500OS は大のお気に入りとなっています。

そんなシグマの「今」を、ふたたび山木社長自ら語っていただきました。

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山木社長には 2 年前のイベント以来、CP+ ではもれなくお会いできていますが、この 2 年の間に起きた震災や円高、そして創業者である山木道広氏の逝去といった困難を乗り越え、苦労されてきたんだろうなというのが窺える顔立ちになっていました。でも、一見社長とは思えない柔らかさ、腰の低さというのは変わらずで、我々にも気さくに声をかけてくださいます。

そんな山木社長のみならず、シグマの考える「写真」とは、『写真はレンズで決まる』ということ。

一眼レフには毎年のように新しい製品が発売されますが、基本的にはボディの進化は撮影領域を広げる(AF の高速化だったり高感度対応だったり連写性能の強化だったり操作性の向上だったり Wi-Fi などの付加機能だったり)ことがほとんどで、イメージャの性能で画質や解像度は確かに変わるとはいえ、描写を決めるのはあくまでレンズ。そういう意味で、『「写真」はレンズで決まる』というのは間違いないでしょう。むしろ「このレンズを使いたいからこのボディ(マウント)を選ぶ」というほうが、カメラ選びの順序としては正しいのではないかと思うほどです。実際、私も EOS や NEX を選んだのは、フランジバックやセンササイズなどの要素がオールドレンズと相性が良い、というのが大きかったですし。

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では、そのレンズの良し悪しを決めるポイントは何かというと、三つ。

SIGMA

「良い設計」「良い品質管理」「良い製造」。

当たり前すぎて何を今さら言っているのか分からない、と言われるかもしれませんが、製造業において、この三つは当たり前のように最も大事で、なおかつこの三つすべてを完璧にこなすことがいかに難しいか。政治的なものや営業的なものだったり、従業員の教育だったり、部品ベンダーのクオリティだったり、そもそもの経営戦略だったり、いろんな要素に影響されるもので、おそらく製造業で「この三つすべて完璧にこなせています」と誰に対しても胸を張れる企業ってほとんどないのではないでしょうか。すべての顧客を 100% 満足させることはまずできないし、工業製品である以上不良をゼロにすることはできません。でもそれに限りなく近づける努力は当然するのが企業なので、それをどういう哲学とアプローチで実現しようとしているか、が重要なわけです。

■「良い設計」とは

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良い設計とは、「経験豊かな技術者」と「明確な商品コンセプト」のもとで商品開発が行われていること。これも製造業的には自明と言えば自明な話ですが、シグマには長年、職人芸的にレンズ設計を続けている設計者が多くいるそうです。山木社長のご幼少の頃は、シグマの会社の上に山木家の自宅があったそうで、今ではベテランとなっている設計者の方から当時は「カズちゃん」と呼ばれていたのだとか。そのくらい古くから在籍している設計者さんの技術を受け継いできたものが、今のシグマの画質に繋がっているのでしょう。コンピュータ設計全盛の今、最新のレンズを買えばどれも破綻のない描写で、普通に使う分には何の不満もない(逆に言えば、面白みに欠ける)のですが、シグマのレンズ設計はこの継続性によってそこに「シグマらしさ」を足されているのではないかと思います。

SIGMA

それから「明確な商品コンセプト」。これは先日の Photokina で発表されたとおり、今後の同社のレンズは「Contemporary」「Art」「Sports」のいずれかのシリーズとして発売する、既存レンズもこの枠組みに当てはめていく形で順次リニューアルする、というものです。若干、乱暴な整理の仕方にも見えますが、少なくとも「だいたいこのくらいのスペックのレンズをこれくらいの価格で」みたいな作り方よりも、こういう枠組みを適用することで「どんなユーザーがどういうシチュエーションで何を撮るためのレンズか」ということを最初に定義して、それを商品企画や設計、製造、あるいは営業担当まで共有することでブレない商品開発ができ、顧客にもレンズを選んでもらいやすくなる、ということかと思います。
続いて、この新コンセプトに基づく 3 本の新レンズの解説がありましたが、そうとう長くなるのでその話は次回に(笑

■「良い品質管理」とは

SIGMA

ニコン D800 の 3,600 万画素に代表されるように、近年はイメージセンサの高解像度がまた進んでいます。ほんの 5 年前ならば 1,200 万画素、高くても 1,400 万画素というところだったのが、最近では最低でも 1,600 万画素。2,400 万画素クラスも当たり前になりつつあって、最上位は 3,600 万画素、となれば、レンズもそのイメージャで使われることを前提にしなくてはならない。最近、各社が 24-70/F2.8 や 70-200/F2.8 のようなメインどころのレンズを相次いでリニューアルしてきているのも、そのあたりに背景があるのでしょう。が、イメージャの性能が上がり、レンズの性能が上がったのに、そのレンズを検査する MTF 測定器はレンズの性能を超えられているのか?というと、シグマが導入している検査機器は一般的な業務用機器(ベイヤー型センサ搭載)で、レンズ側の限界が見えていなかったとのこと。
そこで着目したのが同社が SD1、DP1/2 Merrill に搭載している Foveon X3 センサ。APS-C サイズで 4,600 万画素相当という解像度を持っているセンサであれば、当面はどのメーカーのボディよりも高精細なので、じゅうぶんに検査機器としての役割を果たせます。ということで、SD1 のセンサを応用してフルスクラッチで開発した MTF 測定器「A1」(「A」は会津の「A」)を用い、製品は全数検査にかけられているとのこと。

ちなみに、SD1 のセンサは APS-C サイズ、でも同社のレンズの多くはフルサイズ対応だよね?...という推論で「フルサイズ対応の Foveon X3 センサの開発がもう完了しているのではないか」ということを聞かれることがあるそうなのですが、現時点ではまだそういうことはないとのこと(笑。フルサイズ用レンズは、この APS-C サイズの Foveon X3 をセンサシフトさせながら計測することで、検査を実施しているそうです。

■「良い製造」とは

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以前のイベントのときにも書きましたが、シグマのレンズはすべて会津工場で一貫生産されています。現時点で、すべてのレンズを国内のみで製造しているのは、シグマとコシナ(長野県)の 2 社だけだそうです(他のメーカーは、国内生産と海外生産を併用、または完全に海外生産)。国内製造の利点については以前書いたとおりですが、やっぱり設計と製造が近くにいる、というのは生産効率と品質を高める上では非常に大きな意味を持つはずです。

そしてまた、現社長自身が創業者一家に生まれ育ち、会社を家族の一員として認識していることも、会津工場での一貫生産にこだわり、地元の雇用創出を目指す、という方針につながるのでしょう。同じ「雇用を守る」という言葉でも、他の企業や政治家が口にするのとは微妙にニュアンスが違う。そういう印象を受けました。まあ、上場企業でそういうアプローチが取れるかというと、株式というシステム上そう簡単ではないのも事実なのですが。

そう考えると、「良いレンズをつくること」そのものがシグマの経営方針と密接に繋がっているんだなあ、というのがよくわかります。それはいたずらに規模を追わない企業形態をとっているからできること、でもありますが。

SIGMA

ここで今回のゲスト、写真家の塙真一氏が登場。実際に今回の 35mm F1.4 を試してみての感想(EF35mm F1.4L と使い比べてみてどうか、という誰もが知りたい突っ込んだ話まで!)や、レンズにまつわるよもやま話を山木社長と二人で話してくださいました。塙さんは今回初めてお会いしましたが、ユーモアがあってとても楽しい方ですね。自分自身が本当に写真やカメラが好きで、我々アマチュアカメラマンをある意味仲間だと思って接してくださっているのがよく伝わってきました。そして、人にカメラやレンズを勧めるのがとてもうまい(笑
個人的には、最近特にポートレートの撮り方を重点的に勉強中なので、ポートレートに強い塙さんのお話をいろいろ聞けたのは嬉しかったです。

SIGMA

でも今回は山木社長のこの表情に尽きますよ。商品をまるで自分の子どものような視線で見つめ、嬉しそうに話す表情。商品のいち担当者が商品に深い愛を注いでいる例はいままでたくさん見てきましたが、経営トップがひとつひとつの商品にこういう顔をするのは、私はほかに見たことがありません。製品の画質がいいのはもちろんなんですが、この方の「家族」がつくったレンズだからこそ、使いたい。そう感じさせるだけのものが、この表情にはあると思います。

そして、最近のシグマには、画質や製品バランスの方向性だけでなく、企業のフィロソフィーとして、カール・ツァイス社に流れるこの哲学と通じるものを感じます。

「ずるがしこさではなく、徹底した正確さと信頼性、もういっぽうでは、商品の投げ売りではなく、安定した価格と、顧客に対する専門的アドバイスとサービス、そしていつも同じようにもうしぶんない応対」

あらゆるものがソフトウェア化され、ものの価値がクラウドやサービスに吸い込まれていく中、カメラという商品ジャンルは実直な「ものづくり」が今でも比較的通用する数少ないジャンルのひとつだと思います。長い目で見れば、カメラも平準化する価値観に飲み込まれていく時代が来るのかもしれませんが、少なくとも最後まで「光学というアナログ技術」は残る。国内に産業を残すことにこだわり、技術力と品質で勝負するシグマという会社を、ひとりの日本人として今後も応援したいと思います。

というわけで、レンズの話は明日に続きます。

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投稿者 B : 01:24 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2012/11/08 (Thu.)

SIGMA 35mm F1.4 DG HSM

シグマ、大口径広角レンズ「35mm F1.4 DG HSM」を正式発表 - デジカメWatch

キヤノンの EF24-70/F4L、EF35/F2 IS に続いて、シグマもリークが出回り始めた直後に正式発表がきました。新コンセプトのひとつ「Art」シリーズの第一弾として、35mm F1.4 DG HSM。

近年シグマが力を入れている大口径単焦点シリーズとして 30mm F1.4 DC、50mm F1.4 DG、85mm F1.4 DG ときたら、次は 35mm F1.4 DG というのが順当なところでしょう。「Art」シリーズの嚆矢としてこれ以上相応しいレンズもないと思います。描写に関しては既存の大口径単焦点シリーズで折り紙付きなので、これもかなり期待が持てるレンズ。一日も早く実機に触ってみたいところです。明らかにこのクラスとしてはデカくて重そうだけど(笑。

そして驚いたのが、標準価格約 12 万円というところに対して、キタムラ価格で早くも 9 万円を切っているところ。まあカメラメーカー純正のレンズに比べてレンズメーカー(シグマをレンズメーカーと限定していいか、という定義の問題はさておき)のレンズは安めに販売されやすいとはいえ、8 万円台となれば話は違います。EF35/F2 IS が同じくキタムラ価格で 6 万円台後半、EF35/F1.4L で 15 万円付近なので、画質さえ良ければ異常なほどのバーゲン価格。個人的にはまずフルサイズ対応標準ズームレンズが欲しいところですが、同じ金額出すならシグマの 35mm F1.4 と 50mm F1.4 を買ったほうが私の嗜好的には幸せになれるんじゃね?という本末転倒なことさえ考え始めています(ぉ。

シグマの新レンズ群はせいぜい年明けの CP+ で正式発表かな、と思っていろいろ算段していたので、ちょっと予定が狂ってしまいました(;´Д`)ヾ。実機はできるだけ早く触る機会を作りに行くとして、予算取りをどうするか(汗。

投稿者 B : 00:35 | Camera | DSLR | コメント (0) | トラックバック

2012/11/07 (Wed.)

EF24-70/F4L IS、EF35/F2 IS 正式発表

キヤノン、ハイブリッドIS・マクロ機能搭載の「EF 24-70mm F4 L IS USM」 - デジカメWatch

EF24-70mm F4L IS USM

昨日突然リークが出回り始めたと思ったら、いきなり正式発表がきました。EF24-70/F4L と EF35/2 IS。

やっぱりフルサイズユーザーとしてはこの EF24-70/F4L は魅力的なスペックで、F4 通し、手ブレ補正内蔵、なおかつ最短撮影距離 20cm/0.7 倍のマクロ撮影機能とくれば、普段使いの標準ズームレンズとしてこれ以上求めるものはありません。
このレンズ、私の中では既に次に欲しいレンズの筆頭なんですが、定価が 15 万円超。キタムラ価格でも 13 万円強と、EF24-105/F4L の白箱を狙っていた身としてはさすがに予算オーバー。それでも EF24-70/F2.8L に比べれば 2/3 程度の価格ではあるんですが、おいそれと買える値段ではありません。ちょっと購入の算段を作り直さなくてはならなくなりました(´д`)。

キヤノン、22年ぶりにリニューアルした「EF 35mm F2 IS USM」 - デジカメWatch

EF35mm F2 IS USM

そして EF35/F2 IS。現在でも定評の高い旧 EF35/F2 を現代の技術でリニューアルすれば画質が良いのは当然、それに IS がつく、というのは魅力的ではありますが、やっぱりいくら IS がついたとはいえこのスペックで定価 8 万、というのはどういうユーザーを想定しているのかイマイチよく分かりません。旧 EF35/F2 なら 3 万円そこそこで買えてしまうのに...。やっぱり、旧 EF35/F2 の役割は EF40/F2.8 STM が受け継いだ、と考えるのが自然でしょうか。

そんなことよりも(ぉ)今回まず買おうと思ったのはこれ。

キヤノン / レンズキャップ E-67II

キヤノンのレンズフロントキャップがようやくリニューアルされ、ツマミがキャップの中央寄りになりました。今までの外周についているツマミは正直使いにくくて(´д`)。この方式、どうやら近年まで他社のパテントがあったようですが、特許の期限が切れたとのことでここ数年でじわじわと各メーカーが採用し始めましたね。キヤノンはその中でも最後発でしたが、ようやく切り替えてきてくれました。私は手持ちのレンズで使用頻度の高いものについては、一通り置き換えてしまおうと思っています。

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2012/11/06 (Tue.)

キヤノンとシグマの新レンズの話

EF 24-70 f/4L IS & EF 35 f/2 IS « Canon Rumors

キヤノンの新レンズの噂が出てきました。それも単なる噂じゃなくて製品画像つきのスペック情報。コラでなければこれはほぼ確定情報とみていいんじゃないでしょうか?スマホと違ってカメラ系の噂サイトでそういうコラ画像が出回ることって少ないし(笑。

まずは何と言っても EF24-70mm F4L IS USM でしょう。今まで、F2.8L が買えない一般人向けのフルサイズ対応標準ズームレンズと言えば EF24-105mm L IS USM がその代名詞でした。でもこれもかれこれ発売から 7 年が経過し、最近の高画素機にはちょっと力不足だとか、いやいや最近のロットは画質が改善されてるとか、いろいろ言われるようになっていました。とはいえ、24-105mm という広いズーム域と F4 通しという(ズームとしては、の)明るさ、そして何より威力を発揮する光学手ブレ補正、というがんばりすぎたスペックは魅力で、EOS 5D Mark III の標準ズームレンズとして近々手に入れてやろうと企んでいました。そこにこれですよ。

EF24-105 に比べればテレ端はずいぶん短くなるけど 5D3 を持ち歩くときはたいてい EF70-200mm F4L USM も携行しているから焦点距離的にはカバーできるし、何より最新設計による画質と、100mm マクロ譲りのハイブリッド IS が魅力的。実売価格が EF24-105 とどういう関係になるか分かりませんが、今買うなら 24-70 のほうかな。これは正式発表が楽しみなレンズです。

あとは EF35mm F2 IS。長らくリニューアルが待望されていたレンズですが、ようやく登場、しかも IS つきになりました。今年の CP+ で発表された EF24mm F2.8、EF28mm F2.8 に続いての広角単焦点レンズの IS 化になります。が...いくら IS がついたからといって高そう、というのがネック。最近のボディは高感度性能が向上したから夜景も手持ちで...というニーズが増えてきたことは分かりますが、そこそこの値段でなければちょっと買いにくい。その点、40mm STM のバランスはなかなか気に入っています。

新製品ニュース | シグマ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM | Shuffle by COMMERCIAL PHOTO

そしてこちらはシグマの新レンズの話。シグマからの正式発表の前に、玄光社のサイトに掲載されてしまった模様。Photokina で発表された新コンセプト製品群のこけら落としは 35mm F1.4 になるようです。価格帯が違いそうですが、同じ 35mm ならば EF35mm F2 IS よりはこっちのほうが試してみたいかな。

EF40mm STM は 5D3 で愛用しているし、こないだ買った Sonnar も換算 36mm 相当だし、最近 35~40mm 周辺の画角の面白さに目覚めつつあるので、ぜひ一度使ってみたいレンズです。おそらく近々(一両日中にも?)正式発表がありそうなので、楽しみに待ちたいと思います。

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2012/09/23 (Sun.)

SIGMA CONCEPT BOOK

一昨日、帰宅したところ、こんな荷物が届いていました。

SIGMA CONCEPT BOOK

シグマからの荷物なんて、初めてじゃないでしょうか。

それも、山木和人社長から「ロイヤルカスタマーのみなさまへ」というレター入り。嬉しいじゃないですか。イベント等で何度かお会いしたこともあるだけに、なおのこと嬉しいです。

SIGMA CONCEPT BOOK

中身はシグマとしては初めてとなる「コンセプトブック」という冊子でした。似たような雰囲気の冊子として、私はキヤノンの「禁断の書」こと L レンズカタログも一冊持っているので、さらにシグマからも物欲の深淵に引きずり込まれるのかよぉ、と覚悟してページをめくってみました。

その中に広がっていたのは、こういう世界。

SIGMA CONCEPT BOOK

ページの大半を割いて、会津の風景と、シグマの会津工場におけるレンズ製造の現場が紹介されていました。ワールドワイドで同じものを配布するためか、中にはいっさい文字はありません。むしろ文字がないことで、そこに写っている職人さんたちの真剣な息遣いが聴こえてくるような気さえします。

SIGMA CONCEPT BOOK

福島県にあるシグマの会津工場は、昨年の震災で大きな影響を受けましたが、現在は復旧して生産もすっかり軌道に乗っているもよう。シグマのレンズは全てこの会津工場で生産されています。

ちなみに、この会津工場の様子は、今回の Photokina に合わせてコンセプトムービーとしても公開されています。

コンセプトブックとはまたちょっと趣が違いますが、これもこれでいいですね。

「ものづくり」という単語が最近神格化されすぎているというか、それがそぐわないような分野でさえ「日本のものづくりが云々」と言ってしまうような風潮には、私はちょっと疑問を感じている部分はあります。でも、デジタルカメラの時代になり、設計がデジタルだったり、カメラ内で収差補正するのが当たり前になっても、カメラレンズの製造というのはアナログ技術の結晶。「ものづくり」という言葉がこんなに相応しい分野もそうはないと思います(単に高品質で高価なレンズだけあればいい、というわけじゃなくてね)。

そのあたりの話は、Photokina でジャーナリストの本田雅一氏のインタビュー記事やカメラマンの桃井一至氏による山木社長へのインタビュー動画でも語られています。

【フォトキナ】インタビュー:シグマ山木社長に交換レンズ新コンセプトを訊く - デジカメWatch

あとは Photokina で開発発表された 3 本の新レンズの商品写真とか。

SIGMA CONCEPT BOOK

外装デザインの品位がずいぶん良くなりましたね...これはグッとくる。

この冊子は Photokina に合わせて、シグマレンズを 2 本以上オンライン登録しているユーザーに送られたもののようです。

オンラインユーザー登録|株式会社シグマ

今まであまりオンラインユーザー登録するメリットを感じなかったのですが(不定期にメールニュースが送られてくる程度)、これは CR 活動を従来よりも強化する方向とみていいのかな。私自身、シグマレンズは何本か持っていて、シグマのいちファンである自覚はありましたが、それほど高価なレンズばかり買っているわけでもないのに「ロイヤルカスタマー」と言われてしまうと、逆に申し訳なくなってきます(笑。

規模が大きな会社ではないので、キヤノンやニコンと同じことをやってもしょうがないしできない、だから DP Merrill のような万人受けはしないけど一部のユーザーに強烈に支持される製品をリリースして企業価値を高めていく。ここ数年のシグマからは明確にその意志を感じることができていましたが、今回の Photokina 絡みの一連の活動はさらにそれを補強したのではないでしょうか。こういう言い方はアレですが、誰に何をどう売っていくべきか解っているね、と感じます。
しかもどうやらミラーレスもしくは新しい DP シリーズ向けレンズと思われる特許も出願されているようで、引き続きシグマから目が離せそうにありません。

シグマ / DP1 Merrill

B00931S35G

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2012/09/19 (Wed.)

ZEISS for NEX

New Family of Lenses for Mirrorless System Cameras | Camera Lens Blog

Carl Zeiss Planar 32mm F1.8

なんか、出たーーーーー。

ソニーでもコシナでもなく、本家ツァイスからミラーレスカメラ向けのレンズ群。12mm F2.8(18mm 相当。焦点距離的には Biogon または Hologon?)、32mm F1.8(48mm 相当。画像からすると Planar で確定のもよう)、50mm F2.8 Macro(75mm 相当。おそらく Makro-Planar と思われる)の 3 本ですが、どれもミラーレス用としては魅力的な焦点距離。しかも、コシナツァイスと違っていずれも AF 対応ですよ!これは期待できます。
現時点で対応マウントはソニー E マウント、フジ X マウントが明らかになっていますが、追ってキヤノン EF-M マウントに対応する可能性はあるでしょう。マイクロフォーサーズに関しては、公式のコメントによると「新レンズは APS-C を前提に開発したため、m4/3 のイメージセンササイズに最適化されておらず、現時点で m4/3 対応については検討中」といったニュアンスのようです。
なお、光学式手ブレ補正機構の内蔵は残念ながらナシ。焦点距離的にも、画質的にもこのクラスのレンズには光学式手ブレ補正は必須ではない、というスタンスのようですが、どちらかというと画質低下を嫌ってという意味合いのほうが強いものと思われます。

ちなみにこれらのレンズの製造は「信頼できる光学機器メーカーに生産を委託しており、日本で製造される」という話なので、以前交換レンズ事業への再参入を発表していた京セラオプテックがになっている可能性が限りなく高そうです。YASHICA/CONTAX の撤退以来 8 年ぶりに京セラオプテックがツァイスレンズを手がけるとなると、これまた胸が熱くなりますね。

価格はいずれも 1,000 ユーロ(10 万円)前後になる見込み、とのことですが、NEX 用の Sonnar E 24mm F1.8 ZA がそのくらいの価格帯であることを考えれば、こんなものかと。
発売は 2013 年中頃とのこと。他にも買いたいレンズがまだたくさんあるというのに、お金が続かないんですけど!

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2012/09/18 (Tue.)

Contemporary/Art/Sports

新コンセプトに基づくプロダクト・ラインおよび新製品3機種を同時発表|株式会社シグマ
【フォトキナ2012】シグマが「35mm F1.4」など新レンズを開発発表 - デジカメWatch

Photokina に合わせてカメラ/レンズ関連の発表が相次いでいますが、シグマからもブランドコンセプトに関わる大きな発表がありました。レンズのラインアップを「Contemporary(標準および廉価系モデル)」「Art(大口径および広角系モデル)」「Sports(望遠~超望遠系モデル)」に分け、今後はこのコンセプトに従って製品開発を行っていくとのこと。今までのラインアップでは DG(デジタル一眼カメラに最適化されたフルサイズ対応レンズ)、DC(APS-C 専用レンズ)、DN(ミラーレスカメラ向けレンズ)という区分けで、なおかつ高品位なモデルには「EX」銘をつけていましたが、今後は DG/DC/DN の区分は残しつつ、EX は適宜 Art/Sports のいずれかに分類されていくということでしょうか。まあ、例えば私も愛用する APO 50-500mm OS なんかは、EX と謳っても良いほどの高画質でありながら「開放 F 値固定ではない」という理由でノーマルレンズ扱いでしたから、今回の新ブランディングのほうがスッキリはするのかも。

ということで、今回の新コンセプトに合わせて開発が表明されたレンズはこの 3 本。

35mm F1.4 DG HSM

  • 17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM

  • シグマの APS-C 向け標準ズームレンズの代名詞と言ってもいい 17-70mm の最新版。スペックは既存モデルから変わっていませんが、より小型化されているとのこと。私も初代 17-70mm は今でも使っていますが、シャープな描写と扱いやすい焦点域に簡易マクロ機能までついていて、APS-C 機の最初の一本にベストな選択肢だと思います。現行モデルはさらに手ブレ補正と超音波モーターまで搭載しているので、標準ズームとして買わない理由はないくらいに良いレンズ。

  • 35mm F1.4 DG HSM

  • ここ数年、続けざまにリリースされているシグマの大口径(F1.4)単焦点レンズシリーズ。30mm(APS-C 専用)、50mm、85mm と来たら次は 35mm F1.4 か 135mm F1.8 ですよね。既存の F1.4 レンズの描写はいずれも高い評価を得ているので、これもかなり期待できそうです。見るからに大きく重そうなレンズではありますが、例えば Distagon 35mm F1.4 とか EF35mm F1.4L もやたら大きく重いレンズなので、ここは仕方のないところでしょうか。最近のシグマは、ツァイスばりに小ささ軽さよりも画質重視な傾向がありますが、デカい前玉好きとしては、このレンズはアリ(笑。

  • 120-300mm F2.8 DG OS HSM

  • 大口径超望遠レンズの常識を覆した「サンニッパズーム」こと APO 120-300mm F2.8 のリニューアルモデル。といっても現行機種も昨年発売されたばかりなので、リニューアルにしてもちょっと早いな、というところ。それだけ今のシグマを象徴するレンズのひとつということでしょうね。現行モデルの 25 万円前後という価格はスペックを考えればむしろ安いとさえ思えますが、レンズ単体で約 3kg となると、おいそれと手が出ないレンズでもあります(笑。スペック的にはフォーカスリミッターを新搭載したことくらいが変化点で、光学性能は特に変わっていないようです。

今回発表されたレンズはいずれも外装デザインを社外デザイナーに委託したとのことで、シグマらしからぬ(失礼)高級感が出てきたように見えます。今年から山木和人 CEO 体制となり、昔の「廉価な互換レンズメーカー」のイメージから脱却し、「イメージャやカメラまで手がける総合光学機器メーカー」に進化しようという同社の方向性をより具現化したブランドスイッチじゃないでしょうか。今はまだ表面的な変化しか見えてきていませんが、今後のさらなる動きにも期待ができそうです。

私は最近フルサイズ対応レンズのラインアップを増やしたいと考えていることもあり、35mm F1.4 は価格次第では購入を検討してみたいところ。正式発表が楽しみです。

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2012/09/17 (Mon.)

Canon EOS 6D

キヤノン、35mmフルサイズ小型軽量モデル「EOS 6D」 - デジカメWatch

Canon EOS 6D

まもなく Photokina が開幕というタイミングですが、キヤノンがここにきて廉価版フルサイズ機「EOS 6D」を発表してきました。

EOS 5D Mark III の下位機種で、今のところ併売されている旧機種 5D Mark II を置き換える製品。3 機種のスペックを並べるとこんな感じです。

モデル EOS 6D EOS 5D Mark II EOS 5D Mark III
イメージセンサ 35mm フルサイズ CMOS センサ
有効画素数 約 2,020 万 約 2,110 万 約 2,230 万
ISO 感度 100-25600
(拡張 50-102400)
100-6400
(拡張 50-25600)
100-25600
(拡張 50-102400)
AF 測距点 11(クロス 1) 9 61(クロス 9)
ファインダ視野率 約 97% 約 98% 約 100%
ファインダ倍率 約0.71倍
連写性能 約 4.5 コマ/秒 約 3.9 コマ/秒 約 6 コマ/秒
液晶モニタ 3inch 約 104 万ドット 3inch 約 92 万ドット 3.2inch 約 104 万ドット
記録メディア SD CF CF+SD
GPS 内蔵 非対応 GP-E2(外付)
Wi-Fi 内蔵 WFT-E4 II B(外付) WFT-E7B(外付)
約 144.5mm 約 152mm
高さ 約 110.5mm 約 113.5mm 約 116.4mm
奥行き 約 71.2mm 約 75mm 約 76.4mm
撮影時重量 約 755g 約 905g 約 950g

なかなか絶妙なラインですね。5D3 に対してはしっかり遠慮しつつ(笑)、5D2 はちゃんとリプレースできるスペックを押さえてきているという印象です。そして 5D2 よりも 150g、5D3 よりも 195g も軽く、ほぼ APS-C 機並み。CF スロットを廃止したりいろいろ削っているにしても、フルサイズ対応のペンタプリズム搭載機でこの軽さはちょっと驚きました。明確に「APS-C 機からステップアップしてほしい」というメッセージが伝わってくる気がします。7D のような高速連写機はともかく、「いつかはフルサイズ」と憧れている二桁 D 機ユーザーに良い選択肢を提示していると思います。
個人的には 5D3 を買ってしまった以上、6D に惹かれる要素はあまりない(強いて言えば Wi-Fi 搭載はうらやましい)のですが、価格次第では気になる人は少なくないんじゃないでしょうか。

私はもともと IT 畑の人なので、カメラを本気で弄り始めた頃は「半導体の進化は微細化と高性能化の歴史。ボケ量はともかく、純粋な画質という意味ではいずれ小型センサでも遜色ない性能を得られる日が来る。だから APS-C やフォーサーズが主流になる可能性は高い」と思っていました。小型センサの性能が飛躍的に向上しているのは事実ですが、それと同時に大型センサの生産性が高まり、フルサイズ機が買いやすくなってきたのが昨今の状況だと思います。現時点では実際に APS-C が販売数量上の主流であることは間違いないのですが、ここにきてニコンが D600、キヤノンが 6D という廉価版フルサイズ機を相次いで投入してきたことを考えると、「3~5 年後にはレンズ交換式カメラの主流はミラーレスになり、レフ有りの一眼は市場縮小しつつフルサイズが中心になる」という可能性もひとつ考えられるのではないかと。
まあ上位機種 30 万、下位機種 20 万という価格帯ではすぐにそうはならないでしょうし、逆に「このスペックに 20 万出すくらいなら、あと 10 万足して上位機種を買う」という人の方が現時点では多いのではないかと思いますが、15 万円前後まで値下がってきたら少し潮目が変わりそうな気がします。

でも 15 万円というと今の 5D2 がその価格帯になってきてるんですよね...。性能的にはまだまだ一線を張れる機体ではあるし、6D と比較しても劇的なスペック差があるわけでもないので、むしろこっちのほうがお買い得かもしれません。

キヤノン / EOS 5D Mark II

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投稿者 B : 21:06 | Camera | DSLR | コメント (0) | トラックバック