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2016/10/17 (Mon.)

EOS M5 レビューのまとめ

EOS M5 の借用期間が終了しました。
本当はもう少しいろいろ撮りたい気持ちもありましたが、ここでいったん私なりの感想をまとめたいと思います。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

EOS M5 は APS-C センサ搭載ミラーレスカメラでありながら、手に持ったときのサイズ感はマイクロフォーサーズな OM-D(E-M5/10 系)のそれに近くて軽快感と凝縮感がありました。おそらくグリップの出っ張りが小さめなのが功を奏しているのでしょうが、その割には握ったときの安定感も備えているのがなかなかに秀逸。α が重厚長大路線に向かっているのを寂しく感じている身としては、このコンパクトさは魅力ですね。
ただプラスチック主体の外装やダイヤル類の感触は EOS ではなく PowerShot の系譜で、EOS D ユーザーとしてはここはもっと剛性感や道具としての抑制の効いた触感に仕上げてほしかったと思います。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M22mm F2 STM ]
22mm(35mm 相当)、F2.8、1/250 秒、ISO200、-1/3EV

しかし写りは EOS そのものなんですよね。すごく華があるわけじゃないけど大きく外すこともなく、安心してカメラに任せられる感覚があります。
特に EF-M22mm との組み合わせでは力のある画を描いてくれるので、これ以外の焦点距離は他のカメラを使っても、これだけのために EOS M5 と 22mm を買っても良いかも...とつい考えてしまうレベル。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ]
11mm(18mm 相当)、F8、1/60 秒、ISO500、-1/3EV

これは JPEG 撮影してから Photoshop で暗部を少し持ち上げてやった一枚ですが、ノイズ処理のうまさも EOS らしさ。この暗部階調の粘りが「EOS らしい画」を生み出しているのではないかとも思います。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM ]
21mm(34mm 相当)、F8、1/400 秒、ISO100、+1/3EV

標準ズームレンズ EF-M15-45mm はなんでもソツなく撮れますが、あまり面白みはないですね。標準焦点域の EF-M レンズは 15-45、18-55、18-150 と三本ありますが、もう一段上のクラスのレンズが一本欲しいところ。50mm 前後相当の単焦点レンズもラインアップされておらず、この上がいきなりマウントアダプタ経由での L レンズというのはさすがに飛びすぎです。
EF-M レンズのラインアップ自体がもともと若者や女性を意識して揃えられてきたところに、この M5 がやや唐突に「大人の趣味のために」と言い始めたので、レンズがついてきていない印象が強い。今の状態ではキットレンズしか使わない層か EF レンズを複数本所有している層でないと満足できないんじゃないでしょうか。「M5 を買ったらキットレンズの次にはこれを買うべし」というレンズが 22mm のほかにも 1~2 本あれば、もっと人に勧められるカメラになるんだけどなあ。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM ]
15mm(24mm 相当)、F3.5、1/640 秒、ISO100、+1/3EV

製品発表時にも書きましたが、他のカメラを使わずに M5 だけ使うととてもよくまとまったカメラだと思います。タッチ&ドラッグ AF はとにかく素晴らしいし、あまり深く考えなくてもいい画が撮れる。でもミラーレス市場には超絶スペックの α、ミラーレスとして画質とサイズのバランスが絶妙なオリンパス、色表現とレンズが魅力のフジ X、動画に特化した LUMIX、番外編としての sd Quattro(ぉ)と特色のあるカメラが揃っていて選び放題。ユーザー層の厚い EOS D ならばソツのなさが最大の武器になるでしょうが、群雄割拠のミラーレス市場では積極的に進める理由にはなりにくいんですよね。
まあ、そういうのもキヤノンのエースナンバーである「5」を冠したカメラだからこそ抱いてしまう期待なのかもしれません。M5 の場合は初代 EOS M から数えて五世代目の意味にすぎないでしょうが、EOS ユーザーとしては、ね。これがもし「EOS Kiss M」というネーミングだったら 180° 違う印象だったような気もします。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | SIGMA 50mm F1.4 DG HSM A014 ]
50mm(80mm 相当)、F8、1/200 秒、ISO100、-2/3EV

それから残念なのはやっぱり EVF の色味ですね。↑の写真は EVF で見た印象に近づけるように現像したものですが、なんてことない夕暮れでもこれくらいドラマチックに見えます。でも背面液晶で見ると全く違う印象に見えるという。EVF の配置や見え方にこだわり、タッチ&ドラッグ AF まで EVF に最適化したのなら、EVF の見栄えもリアルを追求してほしかったところ。まあこの濃厚な表現は写欲を刺激してくれる効果が絶大なので、あとで記憶色に合わせて RAW 現像する前提であれば、この EVF もアリだと思います(笑

総じて安定感・安心感という意味では玄人好みのする、とてもよくまとまったカメラだと思いますが、「いままでのミラーレスに、満足しているか?」という挑戦的なキャッチコピーに煽られる期待感からすると物足りない部分があることも事実。しかし AF 性能やタッチ&ドラッグの操作性、プラットフォームが変わりながらも EOS のそれを引き継いでいる画質など、一眼レフがミラーレスに置き換わる未来を予見させるだけのものは感じられました。このまま、EOS の中で下剋上を起こすことに遠慮せずに、どんどん進化させてくれることを期待します。

キヤノン / EOS M5

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■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ
EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランスを見る
EOS M5 レビュー (6):スナップ撮影に持ち出してみる
EOS M5 レビュー (7):動体撮影性能を試す
EOS M5 レビュー (8):EF マウントアダプタを使って撮る

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投稿者 B : 22:05 | Camera | DSLR | Minpos Review | Photograph | SIGMA 50/F1.4 DG HSM A014 | コメント (0) | トラックバック

2016/10/15 (Sat.)

EOS M5 レビュー (8):EF マウントアダプタを使って撮る

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EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF28mm F1.8 USM ]
28mm(45mm 相当)、F2.8、1/4000 秒、ISO100、-1EV

キヤノン EOS M5 のテスト撮影、先週までは悪天候が多くてあまり腰を据えて撮影できませんでしたが、今週末は気持ちの良い秋晴れ。改めて撮りに行ってきました。今回は EF マウントアダプタを使って一眼レフ用レンズを中心に撮ってみました。

まずは昔から愛用している EF28mm F1.8 USM。だいぶ古い設計のレンズですが、収差はそれなりにありながらも現在でも十分通用する描写をしてくれます。弱点の色収差はボディ内蔵のレンズデータを使って補正してくれることもあり、安心してガンガン使っていけます。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Carl Zeiss Planar T* 85mm F1.4 ZE ]
85mm(136mm 相当)、F8、1/400 秒、ISO100、+1/3EV

続いて他社レンズ。コシナの Planar 85/1.4 ZE です。F8 まで絞り込めばクラシックな構成のレンズとは思えない解像度の高さを発揮します。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Carl Zeiss Planar T* 85mm F1.4 ZE ]
85mm(136mm 相当)、F1.4、1/4000 秒、ISO100、+1/3EV

絞り開放だと合焦部でも少し緩めの描写になりますが、それが Planar の味。

ピント面が紙のように薄くて扱いの難しいレンズでも、EVF ならではのピント拡大機能のおかげで EOS 5D よりも撮りやすい。ピント拡大の操作(フォーカスエリア選択ボタン→タッチで拡大箇所選択→ダイヤルで拡大率選択)は α のピント拡大機能よりも使いやすいと思います。が、あえて言うならば拡大表示時にいちいち SET ボタンを押さなくてもシャッターボタン半押しで全体表示に戻って欲しいし、コシナ ZE レンズのように電磁絞り式のレンズだと、絞り優先 AE 時に絞り選択ダイヤルが拡大率選択ダイヤルに変わってしまうので、MF するよりも先に絞り値を決めておく必要がある、というのが面倒。オールドレンズを使い慣れていると絞り開放で MF→レンズ側の絞りリングで絞り変更という手順を踏むので、これと手順が違うと扱いづらいんですよね。EOS M シリーズ自体があまりオールドレンズ遊びを重視していないカメラなのだと思いますが、せっかく EVF がついたのならここの操作性にはこだわってほしかったところです。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | SIGMA 50mm F1.4 DG HSM A014 ]
50mm(80mm 相当)、F2.8、1/1600 秒、ISO100、+1/3EV

シグマ [Art] 50/1.4。超音波モーター搭載の EF マウントレンズで、キャノン純正の USM レンズと同じ操作感で使えます。
こういうスポーツ撮影でも十分な AF 性能を発揮してくれました。先日も書いたとおり、タッチ&ドラッグ AF で被写体を選択してからカメラ側の動体追尾機能に任せて追っかける、という撮り方がむちゃくちゃ使いやすい。これに慣れると他のカメラで動体を撮る気がしなくなりそうです。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | SIGMA 50mm F1.4 DG HSM A014 ]
50mm(80mm 相当)、F2.8、1/3200 秒、ISO100、+1/3EV

解像度もボケも素晴らしいレンズ。EOS M5 と組み合わせると完全にフロントヘビーになってしまう点だけが惜しい(笑。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF28mm F1.8 USM ]
28mm(45mm 相当)、F2.8、1/400 秒、ISO100、-2/3EV

ふたたび EF28mm F1.8 USM。けっこう寄っても使え、APS-C だと 45mm 相当になる標準レンズとして扱いやすい一本。
EF-M レンズでは今のところ大口径レンズと言えるのが 22mm F2 しかなく、せっかくの APS-C センサの大きなボケ(マクロフォーサーズ機と比較した場合)を作画に活かせないのがもったいないところ。かといって F1.4 級のレンズをつけるとバランスが悪くなってしまいますが、この EF28mm F1.8 は EOS M5 の標準単焦点レンズとして許容できるサイズ感で、キットズームからのステップアップにオススメです。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF28mm F1.8 USM ]
28mm(45mm 相当)、F8、1/2500 秒、ISO100、-1/3EV

けっこう長らく EOS 5D/7D 系と α7 シリーズばかり使ってきたので、久しぶりに流儀の違うボディを使うと、このカメラのポテンシャルをどうやって引き出してやろうか?と逆に自分の普段開けない引き出しを開かせてくれるように感じます。これはなかなかいい刺激になりました。

操作性に不満がないわけではないけれど、撮れる画はやっぱり EOS の流れを汲む安定感があり、安心してカメラにディテールを委ねられますね。全部自分でこだわるのもいいけど、ある程度は機械に任せながら一点だけ自分のこだわりを入れる、というのが大人の趣味というやつなのかも。そういう意味では、とてもよくできたカメラだと思います。

キヤノン / EOS M5

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■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ
EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランスを見る
EOS M5 レビュー (6):スナップ撮影に持ち出してみる
EOS M5 レビュー (7):動体撮影性能を試す

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投稿者 B : 22:25 | EF28/F1.8 USM | Minpos Review | Photograph | Planar 85/F1.4 ZE | SIGMA 50/F1.4 DG HSM A014 | コメント (0) | トラックバック

2016/10/11 (Tue.)

EOS M5 レビュー (7):動体撮影性能を試す

キヤノン EOS M5 のレビューですが、今回は以前から気になっていた動体撮影性能について検証してみました。

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イベント時のハンズオンでも動く被写体は用意されていましたが、被写体がちょっと小さすぎ/距離が近すぎでうまく撮るのが難しく、もう少し現実的なシチュエーションでの動体撮影で試してみたいと思っていました。

というわけで、条件を揃えて他のカメラとも比較してみることに。
比較対象は EOS-1D 7D Mark II とソニー α6000。どちらも本気の動体撮影性能をアピールしている機種で、EOS M5 と比較するのはちょっと申し訳ない気もします。本来は 80D や Kiss、M3 あたりと比較するのが良いんでしょうが持っていないので、あえて上位クラスのボディとガチンコ比較。

被写体は駅のホームに入線してくる電車です。速度を落としながら向かってくる被写体なので本気のスポーツ撮影に比べればぬるめですが、なかなか同条件で比較できる動体の被写体ってないもので。
撮影設定はシャッター速度優先 AE・サーボ AF(AF-C)・速度優先連写・シャッタースピード 1/500sec.・ISO AUTO・画角 72mm 相当・RAW+JPEG 記録で揃えました(後述する一部例外を除く)。運行に迷惑のかからない場所で手持ち撮影なので、少しずつ構図がずれているのはご容赦を。

■EOS M5+EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM

EOS M5 + STM

まずは EOS M5 とキットレンズにあたる EF-M15-45mm。少しは苦戦するかと思ったら、いきなり全コマしっかりピントが合ってきました。これには少し驚いた。
RAW+JPEG 記録だとサーボ AF 使用時で 7 コマ/秒、16~17 コマでバッファが詰まってしまい 2 秒程度しか連写できないので、動く被写体を追いかけたいときは JPEG 記録に割り切った方が良いかもしれませんが、それにしても十分使い物になるレベルです。

また、タッチ&ドラッグ AF は動体撮影に使うと改めて素晴らしさを実感できます。追尾 AF 機能を有効にしておけば、被写体が登場した際にタッチ&ドラッグで被写体をダイレクト選択すれば、あとはカメラが被写体をオブジェクト認識してオートで追いかけてくれる。これは従来の一眼レフで方向キーを使ってチマチマ AF フレームを動かしたり、自動選択 AF でカメラの被写体認識に頼るのとは次元の違う快適さ。このまま像面位相差センサの性能が向上し、専用位相差センサの性能と同等以上になった暁には、一眼レフよりも動体撮影に適したカメラに進化できるに違いありません。

■EOS M5+EF24-70mm F4L IS USM

EOS M5 + USM

ではマウントアダプタ経由の USM レンズだとどうか?ということで、EF24-70mm F4L でも試してみました。一般的にミラーレスカメラにマウントアダプタをかますと AF 機能に何らかのエクスキューズが出がちですが、少なくとも EF/EF-M アダプタでキヤノン製の USM レンズを使っている限りでは、EF-M レンズと遜色ない AF 性能が出ています。
先日の記事で「USM レンズをつけるとデフォルト設定のコンティニュアス AF の動作が不快」とは書きましたが、自分自身が意図して AF を使いたい場面では USM の動作による振動はさほど気になりません。

■EOS 7D Mark II+EF24-70mm F4L IS USM(位相差 AF)

EOS 7D Mark II Phase Detection AF

続いて比較対象の EOS 7D Mark II。位相差 AF(光学ファインダ使用時)で速度優先連写を使うと、RAW+JPEG 記録でも秒間 10 コマ連写で最大 24 コマの記録が可能(公称スペックを上回っていますが、SanDisk Extreme CF 120MB/s メディア使用時の実測値)という暴力的な性能に頼れます。
さすがにクラスの違うボディ、圧倒的な性能ですが、EOS M5 と比べてみて気がついたのは、AF ポイントが位相差センサの配置に依存するのは、今となってはやや扱いづらいということ。M5 のデュアルピクセル CMOS AF は撮像素子のほぼ全面で AF が可能なため、被写体が画面上のどこにいても追えるのに対して、7D2 の位相差 AF は位相差センサの範囲外に被写体があるときは AF が合わせられません。65 点自動選択 AF かラージゾーン AF を使ってカメラ任せにするのが定石ですが、こういう背景と前景がごちゃっとした構図だと、自動認識では狙ったところに AF が合ってくれないことも多いんですよね。そもそも全面で AF が可能で被写体をタッチで直接選択できる M5 の操作性を味わってしまうと、最初の AF の食いつきの時点でまどろっこしさを感じてしまいます。

7D2 のモータースポーツや野鳥レベルの動きにも追随できる AF 性能や多彩な AF プログラム、AF フレーム切り替え機能などはスポーツ撮影には最適なのですが、これにタッチ AF が加わってほしくなりますね。光学ファインダの仕組み上、まず無理だとは思いますが...。

■EOS 7D Mark II+EF24-70mm F4L IS USM(デュアルピクセル CMOS AF)

EOS 7D Mark II Dual Pixel CMOS AF

デュアルピクセル CMOS AF は 7D2 にも搭載されているので、同条件で撮影してみました。デュアルピクセル CMOS AF を使うと少し連写性能が犠牲になるのか 20 コマでバッファが切れてしまいましたが(それでも公称スペックは RAW+JPEG 時で最大 18 コマなので十分)、EOS M5 よりも多く記録することができます。
AF の効き具合としては M5 の DPCMOS AF と遜色ない感じ。ただ AF フレームの選択はカーソル操作になるので、M5 のタッチ&ドラッグ AF に比べると瞬間的に被写体に AF を合わせる速さは比べものになりません。やはり 7D2 の DPCMOS AF はライブビューのためというよりは EOS MOVIE のためにある、という印象。

■α6000+E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS

α6000

最後は α6000。ミドルクラスの APS-C ミラーレスということで、M5 と比較対象になりそうなのはこの α6000 か α6300 でしょう。
ひとつ言い訳をすると、他のカメラではシャッタースピード 1/500 で固定していたのが、これだけ私の誤操作で 1/400 の設定になっていました。そのため微妙に被写体ブレがあり、電車にビシッとピントが合っている感がやや欠けています。あと標準ズームレンズの解像感は EF-M に比べると劣りますね...PZ16-50 じゃなくてツァイス銘の 16-70mm を使えば良かったかも。

さておき、ミラーレスでありながら連写性能は EOS 7D2 に匹敵するレベルにあるというのが改めてすごい。動体への AF の食いつきという点では 7D2 にはさすがに劣りますが、それでも運動会レベルなら十分以上な性能はありますからね。
この電車でのテスト撮影では M5 との差はあまり感じられませんでしたが、AF 追随で秒間 11 コマという連写性能を活かしてベストショットが撮れる可能性を高められるのが α6000 シリーズの武器だと思います。


というわけで今回の比較テストでは、AF の追随性という部分ではそれほど大きな差は出ませんでしたが、連写速度と連続撮影枚数ではけっこうな差がつきました。逆に言えば、動体 AF 性能だけで言えば数年前とは違い、ミラーレスでも今は十分に動体撮影に堪える(少なくともちょっとしたスポーツレベルでは)ことは間違いないと思います。
それから、タッチ&ドラッグ AF のおかげで、今回テストしたカメラの中では被写体に最初に AF を食いつかせる操作は EOS M5 が最も快適だったことは改めて書き添えておきたいと思います。静物やポートレートはともかく、動体撮影がタッチ&ドラッグ AF でここまで快適になるとは思っていませんでした。この機能はこのカメラだけに留めておくのは非常にもったいない。一日も早く他社も含む全てのカメラに搭載してほしいと思える、新世代の操作性だと感じます。

キヤノン / EOS M5

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■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ
EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランスを見る
EOS M5 レビュー (6):スナップ撮影に持ち出してみる

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投稿者 B : 23:59 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2016/10/10 (Mon.)

EOS M5 レビュー (6):スナップ撮影に持ち出してみる

キヤノン EOS M5 のレビュー、ここのところ休日もなんだかんだ予定が入ったり雨だったりでなかなか集中して写真を撮る時間が取れていませんが、この連休に合間を見て少しスナップ撮影に持ち出してみました。

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EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M22mm F2 STM ]
22mm(35mm 相当)、F8、1/50 秒、ISO200、-1/3EV

まず気に入ったのがパンケーキレンズである EF-M22mm。ミラーレスカメラではボディのコンパクトさを活かす純正パンケーキレンズが用意されていることが多いですが、コンパクトさ重視で画質は必ずしも高くない、というものも少なくありません。しかしこの EF-M22mm は見た目の印象を裏切る解像力を持っていて、家に帰って PC で拡大表示してみて驚きました。ピクチャースタイル「ディテール重視」と組み合わせるとさらにその力を発揮し、こういう被写体でも砂利の一つ一つまで描写してくれます。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M22mm F2 STM ]
22mm(35mm 相当)、F2、1/800 秒、ISO200、-1/3EV

そしておいしいのがこの周辺光量落ち。EOS M5 のデフォルト設定ではレンズの周辺光量補正がオンになっていますが、これを敢えてオフで撮ってやると、オールドレンズばりのヴィネットが楽しめます。色乗りは良くカッチリ解像しながらも周辺がストンと落ちる。オールドレンズ好きには逆に現代的すぎて物足りないでしょうが(笑)、これは積極的に構図に利用したくなります。というかこのレンズを使う際は基本的に周辺光量補正オフで撮りたいです(笑。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M22mm F2 STM ]
22mm(35mm 相当)、F2.8、1/60 秒、ISO400、-1.7EV

最短撮影距離 15cm まで寄れてかつ F2 なので、レンズでありながら積極的に背景のボケを作りにもいけて、なかなか応用範囲が広いレンズです。私はこれの EF 版ともいえる EF40mm F2.8 も愛用していますが、それ以上に積極的に使いたくなるレンズかもしれません。気がつけばこのレンズでばかり撮っていて、それじゃあレビューにならないからわざわざ他のレンズに付け替えるという(笑

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ]
11mm(18mm 相当)、F8、1/10 秒、ISO200、-2/3EV

続いて広角ズーム、EF-M11-22mm。カメラ内でのソフトウェア補正の効果もあるのでしょうが、歪みが少なくスキッとした描写が心地良い。さすがにワイド端では流れますが、中央部はカッチリ解像していて、これくらい撮れれば十分じゃないでしょうか。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ]
12mm(19mm 相当)、F8、1/800 秒、ISO400、+1.3EV

個人的には、何故か一眼レフよりもミラーレスのほうが広角で撮りたい気分を呼び起こしてくれる気がします。ファインダを覗くと「空間を切り取る」という感覚になりがちですが、ミラーレスはライブビュー主体で撮れることで、肉眼での視界とカメラのフレームが地続きに感じられるからかもしれません。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon E70-200mm F4L USM ]
200mm(320mm 相当)、F4、1/30 秒、ISO2500、-1/3EV

この写真は陽がだいぶ落ちてきて、でも手ブレ補正のない旧 EF70-200/F4L で撮りたかったので、ISO2500 まで感度を上げて撮った一枚。それでも手ブレするから 20 枚くらい連写した中から 1 枚選んでます。
普段使っている α6000 だと、ISO2500 まで上げるともう少しノイズが多い印象ですが、M5 はうまく抑え込んでいますね。EOS は他メーカーに比べると積極的にノイズを消す画作りをする傾向にありますが、それは EOS M でも同様のようです。人によってはもう少しディテールを残しておいてほしいという向きもあるでしょうが、私にはこれくらい抑え込んでくれたほうが扱いやすい。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ]
22mm(35mm 相当)、F8、1/40 秒、ISO200、-1/3EV

これは夕景の一枚ですが、クマデジタルさんがおっしゃるとおり EOS M5 は EVF 表示が鮮やかすぎ、背面液晶は地味すぎるようです。EVF で見ていたこの夕景はもっとドラマチックでしたが、撮影後に背面液晶で確認してゲンナリ、自宅の PC で見直して「ああ、肉眼では確かにこんな感じだったかな」となりました。
EVF が実際よりも鮮やかに見せてくれることで、ファインダを覗き込んでいる間の写欲を刺激してくれるという点ではメリットがあると言えるかもしれませんが(笑)、せめて EVF と背面液晶の発色傾向は合わせておいてほしかったですね。後で RAW 現像するにしても、現場である程度の感触が掴めないとこれで OK なのか、設定を変えて別テイクも押さえておいたほうが良いのか、ちょっと判断がしづらいので。

キヤノン / EOS M5

B01LYTH7FZ

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EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ
EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランス

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投稿者 B : 23:10 | EF70-200/F4L USM | Minpos Review | Photograph | コメント (0) | トラックバック

2016/10/05 (Wed.)

EOS M5 レビュー (5):ボディとレンズのバランス

EOS M5 の発売前実機レビュー、いよいよ実写編といきたいところですが...その前に。
前回のイベントではさまざまな EF/EF-M レンズが用意され、自由に試せる状況ではあったのですが、ハンズオンの時間が絶対的に足りない状況で、あれこれ試したいレンズがあったにも関わらず試しきれませんでした。というわけで、今回はまず本体と同時にお借りした EF-M レンズと、私の防湿庫に収まっている EF マウントレンズ群とボディのバランスを見てみたいと思います。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

まずは EF-M マウントの標準ズームレンズ、EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM。
先日のイベントで試用したのは新しい高倍率ズーム EF-M18-150mm でしたが、こちらの EF-M15-45mm はよりコンパクトな標準ズームレンズです。

EF-M18-150mm も高倍率ズームとしてはコンパクトかつ軽量にまとまっていましたが、EOS D のサブシステムとして使うならコンパクトなレンズとの組み合わせを身上としたいところ。個人的にはこちらの EF-M15-45mm とのバランスのほうが好みです。

EOS M5

このレンズ、使わないときにはコンパクトでとても良いのですが、撮影時はマイクロフォーサーズ系の標準ズームレンズ同様に側面のレバーを引きながら鏡筒を伸ばしてやる必要があります。こうなるとせっかくのコンパクトさが損なわれてしまいますが、まあこの状態で持ち運ぶわけではないので、カメラを取り出してから撮り始めるまでの手間が増えることを気にするかどうか、といったところ。

EOS M5

それともう一つ残念なところは、マウントがプラスチック製であること。しかもマウントだけではなく外装までプラスチックです。元々が小型軽量で安価な EOS M10 のキットレンズ向けに開発されたものだからやむを得ないとは思いますが、直近の EF-M レンズ群(EF-M28mm MACRO、EF-M55-200mm、そして今回発表された EF-M18-150mm までも!)が軒並みプラマウントというのはいくらなんでも残念。強度的には樹脂製でも実用上問題ありませんが、「趣味のための道具」として位置づけられている M5 がレンズキットとして発売するのが全てプラマウント、というのは寂しい話です。

EOS M5

続いて広角ズームレンズである EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM。こちらはマウント・外装ともに金属製で、少し重いけどひんやりした高級感があります。やっぱりいいミラーレスカメラのレンズはこうあってほしい。
このレンズも撮影時には鏡筒を伸ばす必要がありますが、17-35mm 相当を担う広角ズームとしてはコンパクトで悪くない。

EOS M5

こちらは単焦点のパンケーキレンズ、EF-M22mm F2 STM(付属の薄型フードをつけた状態)。私も気に入っている EF40mm F2.8 STM のミラーレス版のようなレンズで、常にボディキャップ代わりにつけておいても良いくらい。やっぱりミラーレスはこういうコンパクトなレンズで気軽に楽しんでナンボ、という部分はあると思います。最近の他社はどんどん重厚長大方向に行っているので、EOS M ではこういうレンズとの組み合わせが評価されてほしいところ。

EOS M5

続いてマウントアダプタ経由で EF レンズを装着してみます。まずは 5D の定番、EF24-70mm F4L IS USM。
かなりフロントヘビーな印象にはなりますが、現在の EF-M レンズには入門グレードのレンズしか揃っていないので、画質を求めてしっかり撮ろうと思ったらこういうレンズと組み合わせざるを得ません。EOS D のサブシステムとして使うならこういう組み合わせの出番も多いんじゃないでしょうか。あるいは M5 から EOS D へのステップアップを考えるなら、まずはレンズから揃えていくというアプローチもアリだと思います。

EOS M5

望遠は EF70-200mm F4L USM(IS なしの旧モデル)。F2.8 だと大げさになりすぎますが、F4 との組み合わせならアリ。L レンズの使用も想定したというグリップのホールド性も、これくらいのレンズとの組み合わせであれば良いバランスを感じさせてくれます。

EOS M5

単焦点は、古いながらも気に入っている EF28mm F1.8 USM。ちょっと緩めの描写をするレンズですが、その緩さがまたいい雰囲気を出してくれます。
EOS M5 で使うと 45mm 相当となり、ほぼ標準単焦点レンズの画角になります。EF-M には 28mm MACRO もありますが、明るくてボケる標準単焦点代わりにはならないので、こういうレンズを一本持っていると重宝するはず。

EOS M5

F1.4 級の単焦点レンズは EOS M5 にはアンバランスだと思いますが、このレンズは F1.8 でコンパクトに収まっているので、M5 に組み合わせてもいい感じ。
そういえばこのレンズは私が EOS 30D 用の初めての単焦点レンズとして買ったものでした。APS-C でもフルサイズでも扱いやすい画角で、将来のステップアップ後も長く使えるオススメのレンズです。

EOS M5

で、その「F1.4 級の単焦点レンズ」代表はシグマの 50mm F1.4 [Art]。50mm の最重量級レンズを持ってくるとさすがにアンバランス感が強い(笑。M5 とのバランス的には EF50mm F1.8 STM くらいが良いでしょう。
このレンズはキヤノン製ではありませんが、互換レンズだから当然マウントアダプタ経由で EOS M5 でもちゃんと動きます。

EOS M5

なお、マウントアダプタ経由で EF レンズ(互換レンズ含む)を使う際には注意点があります。デフォルト設定だと常にレンズが駆動しているため、非 STM 系の EF レンズ使用時にはレンズのカタカタした駆動が手に伝わってきてやや不快。これはシャッターボタンに触っていなくても常に AF 駆動し続ける「コンティニュアス AF」がデフォルトでオンになっているためで、STM レンズ(マウントアダプタ経由も含む)ではほとんど気になりませんが、USM などの超音波モーター搭載レンズはこういう駆動に向いていないため、振動が手に伝わってきてしまうんですよね。シャッターボタンを半押ししなくても AF が決まるからレスポンスは良く感じるのですが、マウントアダプタ主体で使う場合はこの設定項目はオフにしておいたほうが扱いやすいと思います。

EOS M5

とどめに Planar T* 85mm F1.4 ZE。MF 専用レンズですが、これも当然使えます。
EOS D のようなフォーカスエイド(ピントが合っている場合、シャッターボタン半押しで該当する AF フレームが赤く光ってくれる機能)こそありませんが、ミラーレス機らしくピント拡大機能があるため EOS D 以上に正確な AF が狙えます。これだけピントが薄いレンズでも積極的に絞り開放から使っていけるので、もはや OVF 機でこのレンズを使う気がしなくなるほど(笑。
ただ EOS M5 で使うと 136mm 相当となって使えるシチュエーションが限られてしまうので、そのままの画角で使えるフルサイズ版 EOS M の登場が待たれます。

EOS M5

このレンズもまた、ミラーレスで使うには重量バランスが悪い一本ではありますが、ミラーレスの登場で今まで持て余していた MF レンズが再び日の目を見た、という人も少なくないのではないでしょうか。
MF 撮影時には AF フレーム選択ボタンを押すと前面ダイヤルでフォーカス拡大率が選択できるという操作性は、なにげに α E マウントのフォーカス拡大操作(フォーカス拡大ボタンを押した後、決定ボタンのトグルで拡大率変更)よりも直感的で扱いやすいとさえ感じます。

キヤノン / EOS M5

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■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編
EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ

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投稿者 B : 21:05 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2016/10/01 (Sat.)

EOS M5 レビュー (4):新機構の付属ストラップ

先日、モノフェローズイベントに参加させていただいたキヤノン EOS M5 ですが、引き続いてレビュー用に実機をお借りすることができました。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

EOS M5 の発売は 11 月下旬予定。つまり現時点では未発売、ということになります。
このタイミングで実機レビューをする機会をくださったキヤノンさんとみんぽすに感謝。ありがとうございます。

さっそく実写を、といきたいところですが、M5 が届いたらまず確認したかったことがありました。

EOS M5

それがこの付属ストラップ。
先日のイベントで「M5 では新しいストラップコネクトパーツを採用していて、簡単にストラップの脱着が可能」という説明がありましたが、資料ベースでの説明だったしハンズオン機にはストラップがついていなかったから具体的なことは分からなかったんですよね。今回の貸出機には製品版相当の付属品が同梱されていて、ようやくその仕組みが分かりました。

一見、ストラップの先端にプラスチックパーツで D カンが装着されているように見えますが、

EOS M5

このプラスチックカバーはストラップに沿ってスライドさせることができます。

EOS M5

D カンは D カンでただの D カンではなく、ちょっとした知恵の輪のような具合でストラップを通してあり、ワンタッチとはいかないまでも比較的簡単な手順でストラップをつけ外しすることが可能。これは今までにありそうでなかった、コロンブスの卵的アイテム。

カメラストラップの脱着機構というと、Peak Design のようなアンカーリンク方式や JETGLIDE のようなバックル方式がありますが、いずれも意図しない脱落(ユーザーが正しくセットしていなかったという原因も含め)のリスクがゼロとは言えません(まあまず問題はないでしょうが)。最初に説明だけ聞いたときはこの構造が分かっておらず、カメラメーカーが標準添付するストラップで脱着機構つきというのはムチャするなあ、と思ったものですが、これなら納得。プラスチックカバー自体も意図しない状況で外れにくいようになっているし、万一カバーがずれても簡単にはストラップは脱落しそうにありません。

ミラーレスはボディが小型なものが多く、ガチで撮るときはネックストラップが必要だけど撮影が主目的ではないときに持ち出すならリストストラップに付け替えたい、と思うことが少なくありません。今まではそのニーズにまともに応えてくれるストラップは Peak Design くらいしかありませんでしたが、この機構ならそういう付け替えもやりやすい。基本的にはどんなカメラストラップでも適合するはずなので、このコネクトパーツだけ単品販売してくれたら、手持ちのミラーレスカメラは三角カンを全部取り替えるんだけどなあ。

EOS M5

ちなみに M5 付属のストラップは、従来の EOS M のロゴがプリントされた細身のストラップから、より幅広で刺繍ロゴのものに刷新されました。「趣味のための道具」として今までの EOS M とは異なるこだわりを持って作られたものであることを、このストラップからも感じます。
まあ私は試用期間中も別のストラップを使うつもりですが...。

キヤノン / EOS M5

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■関連リンク
EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編
EOS M5 レビュー (3):実写編

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投稿者 B : 23:05 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (2) | トラックバック

2016/09/19 (Mon.)

EOS M5 レビュー (3):実写編

キヤノン EOS M5 のレビュー、三回目は実写編です。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

今回の体験イベントでは EOS M5 本体と新発表の EF-M18-150mm だけでなく、多数の EF レンズも用意されていました。↑の写真は標準単焦点レンズのフラッグシップたる、EF50mm F1.2L USM。M5 のボディデザインは白レンズ(望遠系の L レンズ群)にも対応できるグリップ感やバランスを目指したというだけあって、これだけフロントヘビーなレンズを装着してもホールド感は悪くありません。

では以下に私が撮影した実写サンプルをいくつか掲載していきます。
※使用した EOS M5 はベータ機であり、最終製品の画質とは異なる可能性があります。また記録形式は JPEG Large/Fine で撮影したものを Adobe Photoshop CC にて縮小して掲載しています。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
92mm(147mm 相当)、F6.3、1/25 秒、ISO800

まずは高倍率ズーム EF-M18-150mm で撮影した写真から。APS-C 向け高倍率ズームというと 180-200mm が一般的ですが、ここをあえて 18-150mm に抑えたのはできるだけ鏡筒を短く仕上げて標準ズーム代わりに使ってほしい、という狙いでしょう。このレンズをつけるとミラーレスとしてはやや大きめになりますが、標準ズームつきの Kiss よりコンパクトにまとまるので、程良いサイズ感だと思います。
このレンズ、高倍率ズームにしては柔らかいボケ感が得られますが、点光源はやや濁った表現になってしまっていますね。でもそんなに悪くない。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
57mm(91mm 相当)、F7.1、1/20 秒、ISO800

ピント面はシャキッと心地良い描写。これが標準ズーム相当ならば安心して任せられます。
デュアルピクセル AF の効果か、咄嗟にカメラを構えてもフォーカスの食いつきは上々です。ミラーレスにありがちな合焦付近でのピントを探るような挙動がなく、スッと合うのが気持ちいいですね(最近のミラーレスならミドルレンジ以上はだいぶスッと合うようになっていますが)。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF50mm F1.2L USM ]
50mm(80mm 相当)、F1.2、1/800 秒、ISO800、-1EV

マウントアダプタ経由で、先ほどの EF50/1.2L。滅多に触れないレンズなのでつい嬉しくなって絞り開放で撮っちゃいましたが、さすがに開放だとピント面でも少し緩さがありますね...。
背景あたりには ISO800 でもそれなりにノイズ感が出ちゃっていますが、これは発売までに改善されると思いたい。センサの素性的には EOS 80D と同等の画質を期待していいんじゃないかと思います。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
138mm(221mm 相当)、F6.3、1/40 秒、ISO800、+1EV

EF-M レンズに戻してデュアルピクセル AF による動体撮影のテスト。とはいえ夜の屋内で走り回る鉄道模型の流し撮りはなかなか厳しい条件です。自分でもこういう被写体のセットアップはやったことがありますが、被写体が小さくてレンズからの距離が短いぶん、実際の電車やクルマの撮影よりも撮影条件がシビアになりがちなんですよね...。
流し撮りを何度か試してみましたが、最初の食いつきは良くても追い続けるのはちょっと難しいかもしれません。ただ撮影環境が厳しかったのも事実なので、これは改めて屋外で動体撮影を試してみたいところ。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
150mm(240mm 相当)、F6.3、1/100 秒、ISO800、+1EV

EF-M18-150mm、テレ端のボケ味はかなりいいですね。ミニチュアの撮影ながら、まるでサンニッパで実際の電車を撮影したかのような迫力と柔らかくて大きなボケが味わえます。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
100mm(160mm 相当)、F6.3、1/125 秒、ISO800

しかしいきなり借りたカメラで制限時間内に動体撮影、というのもなかなかハードルが高いですね...。シャッタースピード優先モードで試しましたが、ここは素直に流し撮りモードで細かな設定はカメラ任せにすべきでした。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM ]
92mm(147mm 相当)、F6.3、1/10 秒、ISO800、+1EV

30 分あまりの時間の中で撮影もしながら、開発陣に個別の質問もしながら、だとちょっと時間が足りなかった感があります。カスタマイズの幅が広い 5 ダイヤル機なので設定次第で自分好みのカメラに作り込めそうという感触は得られましたが、もう少し慣熟する時間が欲しかったかな。

EOS M5

[ Canon EOS M5 | Canon EF24-70mm F2.8L II USM ]
26mm(42mm 相当)、F2.8、1/30 秒、ISO6400

最後は EF24-70/F2.8L II で夜景。HDR モードで撮ってみました。三脚なし、手ブレ補正なしでもそれなりに撮れるものですが、これは RAW で撮って現像したかったかな。

実写してみた感覚では、画質についてはまだ評価する段階にありませんが、操作性は「タッチ&ドラッグ AF」の快適さに尽きますね。タッチパッドの反応がやや良すぎる印象もあって多少の慣れは必要ですが、慣れるともうカーソルキーによる AF フレーム移動はまどろっこしすぎてやってられない、と思います。どんなに AF 性能が良くても、AF のタイムラグ以上に AF フレーム選択のための操作に何倍も時間がかかるもの。それが素早く直感的に行えるカメラこそが新に「速写性の高いカメラ」である、というのを M5 に触れてみて実感しました。

キヤノン / EOS M5

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EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編
EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編

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2016/09/18 (Sun.)

EOS M5 レビュー (2):タッチ&ドラッグ AF 編

先日のイベントでいち早く触ってきた EOS M5 のレビューを続けていきます。
今回は、これが EOS M5 最大の特長ではないかと思っている「タッチ&ドラッグ AF」について。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

EOS M5 では、マウントの正面左下にボタンが一つ備えられています。一眼レフであれば絞りプレビュー(現在の一眼レフではシャッターを切る瞬間以外は絞り開放状態でファインダを覗くことになるため、設定した絞り値での状態を撮影前に確認するための)ボタンがある位置ですが、ミラーレスは原則として「絞り値や露出補正、WB などの設定値を反映した画が撮影前からモニタや EVF に表示されていて、シャッターを切るとその状態が記録される」ため、絞りプレビューボタンは必要ありません。
なので最初に製品写真でこのボタンを見たときには何故?と思ったわけですが、EOS M5 ではこのボタンは絞りプレビューのためではなく、新機能である「タッチ&ドラッグ AF」の設定オンオフのためのボタンでした。

EOS M5

「タッチ&ドラッグ AF:は、M5 のタッチパネル液晶を EVF 使用時にも AF 操作に使用するための機能です。今までのミラーレスカメラでは、液晶がタッチパネルに対応していても EVF 使用時にはタッチパネルは使えないのが一般的でした。ミラーレスで EVF 使用時にもタッチパネルが使えるのは、パナソニック LUMIX の一部機種とオリンパス E-M10 Mark II くらい。3 番目のメーカーとしてキヤノンが採用したことで、今後この機能は EVF 搭載ミラーレスのトレンドとなる可能性があります。

EVF 使用時にタッチパネル液晶をあたかもノート PC のタッチパッドのように扱って、より直感的な AF 操作を可能にするのが「タッチ&ドラッグ AF」です。イメージセンサのほぼ全面で AF が可能になった現代のミラーレスカメラにおいて、AF フレームをカーソルキーでチマチマ操作するというのはいかにも時代遅れ。今まで「タッチは初心者向けの機能だから、上位機種には必要ない」と非公式に言っていた某メーカーは EOS M5 を触って猛省してほしい。

EOS M5

タッチ&ドラッグ AF の仕様はこんな↑感じ。タッチパネルの挙動は絶対位置と相対位置の 2 パターンから、タッチパネルの作動エリアは全面/半分/1/4 の 7 パターンから設定可能。

第一印象では「当然全面絶対位置が分かりやすくていいんじゃね?」と思いましたが、実際に触ってみると EVF 使用中はタッチパネルが見えないので、相対位置のほうが感覚的に扱いやすい。しかも基本的にグリップを握りながら右手親指で操作するので全面使う必要はない。そうすると鼻が当たって誤動作しないように右半分くらいの設定にしておくのがちょうど良さそう、という結論に達します。
開発陣も試行錯誤だったようで、社内のいろんな人に試してもらいながら「慣れてくると 1/4 くらいの作動エリアでも十分」とか「指の長さの個人差によっても使いやすさが違ってくる」といった発見があったとのこと。このあたりは使いながら自分なりに最も扱いやすい設定を探っていくのが良さそうです。

EOS M5

タッチ&ドラッグ AF のオンオフはボディ前面のボタンで切り替えますが、それ以外は設定画面の「タッチ&ドラッグ AF 設定」で変更します。一度好みを見つけたら滅多に変更することもないでしょうし、位置的にはここでいい。

EOS M5

位置指定は「絶対位置」「相対位置」から選択します。デフォルトは絶対位置で、使い始めは確かにこのほうが分かりやすい。でも慣れてくると相対位置のほうが遙かに使い勝手が良いと思います。

EOS M5

タッチ領域の設定はお好みで。親指操作が基本になる以上、右半分くらいから始めるのが良いでしょうが、あとは指の長さやクセ次第で「右上」「右下」に限定しても良いでしょう。

EOS M5

EVF にも工夫が。ライブビューをあえて縮小表示にし、ホワイトバランスやピクチャースタイルなどの撮影設定アイコンをライブビューにかぶせず枠外に表示させたり、縦位置撮影時には EVF の表示も縦型に切り替わったりするようになっています(縦表示機能は富士フイルムも採用していますが)。このあたりの仕様は PowerShot G5 X のものを引き継いできているようですが、EOS 初の EVF 搭載ミラーレスとしてはもっと OVF に近い使い方を意識したコンベンショナルな仕様にしてくると思っていたので、良い意味で裏切られました。

ざっくり言ってEOS 80D相当のものをコンパクトな筐体に詰め込んだ」というのが EOS M5 を端的に説明した表現だとは思いますが、この EVF とタッチ&ドラッグ AF からは一見 EOS のミラーレス版でありながら、現行 EOS とは違うカメラとしての方向性を目指した M5 の本質が見えてきます。
EVF の表示遅延が実用上問題ないレベルになり、グローバルシャッター搭載 CMOS センサの開発もついに実現(まあこれがコンシューマー向けのカメラに搭載されるのはもう少し先でしょうが)。「2020 年の東京オリンピック向けに出てくる EOS-1DX3 はもうミラーレスかもしれませんね」なんて話を同席したサイカ先生ともしていたのですが、実際に一眼レフからミラーレスへの本格的な世代交代がそろそろ始まろうとしています。EOS M5 は、その歴史の中でもひとつのマイルストーンとなるかもしれません。

キヤノン / EOS M5

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EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編

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2016/09/16 (Fri.)

EOS M5 レビュー (1):ハードウェア編

昨日発表されたキヤノンの新型ミラーレスカメラ「EOS M5」。みんぽすモノフェローズ向けの先行体験イベントが開催されたので、品川のキヤノンマーケティング本社にお邪魔してきました。

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キヤノン / EOS M5

EOS M5

「いままでのミラーレスに、満足しているか?」という挑戦的なキャッチコピー。
私も含め、私の周りの EOS ユーザーの多くがサブ機として他社のミラーレスカメラを購入し、けっこう満足してしまっているのが実際のところではないでしょうか(笑。むしろ満足できなかったのは本流の EOS に遠慮して中途半端な内容だった従来の EOS M シリーズのほうだと思います。とはいえ、他社のミラーレスカメラも決して完璧ではなく、「ここがこうなっていたら」と思っていた部分も確かにありました。ミラーレスにようやく本気で取り組み始めたように見える今回の M5 はその回答になっているのか、という観点でイベントに参加しました。

今回は、まずハードウェアの話から。

EOS M5

イベント会場に入ると、一人一台ずつのハンズオン機が用意されていました。

佇まいはまさにミニチュア版 EOS という趣で、今までの EOS M とは一味違います。ファインダ部の形状が 5D(Mark II あたり)の意匠を彷彿とさせ、エースナンバー「5」が与えられていることも含めキヤノンがこの機種にかけた意気込みが伝わってきます。

EOS M5

α7 II と並べてみると、EOS M5 のほうが一回り小さい。センササイズからして違うので直接比較することにあまり意味はありませんが、こうして見ると EOS らしさを保ったままミニチュア化したようなカメラであることがなおよく分かります。

EOS M5

グリップと操作ダイヤル周り。M5 は今までの EOS の中で最も多い 5 ダイヤルを搭載していますが、さすがにここまで増えてくると EVF を覗いた状態でどのダイヤルが何の機能だったか、を覚えて使いこなすにはある程度の慣れが必要だと思います。
ダイヤルの操作感は明確なクリック感をもち「カチカチ」という音が出るタイプ。EOS D(レフあり版 EOS)のダイヤルは程良いクリック感はありつつも動作音を抑えたつくりになっているのとは全然違って、PowerShot を使っているような感覚に陥ります。ボディサイズ的な制約があるから EOS D と同じようにはできないとはいえ、ダイヤルへの加飾も含めこのあたりは PowerShot 寄りの思想で作られているのね...と感じる部分。

EOS M5

デザイン検討過程で作られた 3D プリンタ製のモックも数点展示されていました。
M5 を最初見たときに「M3 に EVF をパイルダーオンしたような形状だな」と思っていたら、ごく初期のモックは M3+外付け EVF を一体化+アクセサリシューという形状になっていて(これはたぶんデザイン確認というより EVF 搭載時のサイズ感の確認用に作られたのではないかと思う)やはり当初からそういうアプローチで検討されていたことが窺えます。
しかしグリップやダイヤルの形状は M3 をベースにしながらも細かく変更が加えられていて、EVF を搭載することで変わった重量バランスやマウントアダプタ経由で EF レンズを装着したときの安定感にも配慮した握りやすさになっています。出っ張りを極力抑えながらもホールド感のあるこのグリップはなかなか秀逸。

EOS M5

モードダイヤルは左肩に移設されました。併せて、M3 では右肩にあった電源ボタンが M5 では左肩のモードダイヤル下に電源レバーとして搭載されています。M3 の電源ボタンは押しづらかったから、これは歓迎。配置も含めて EOS D と共通性が高まっているのはサブ機としても扱いやすい部分です。

EOS M5

背面。EVF は他社のミラーレス機に比べると開口が小さいように見えますが、覗き込んでみると見え味はそんなに悪くない。
操作ボタンの配置は従来の EOS M を踏襲しているように見えて実は配置がガラッと変わっており、AE ロックと AF フレーム選択ボタンが EOS D での配置に近いものになりました。

EOS M5

チルト液晶はヒンジがボディ下側についているというちょっと変わった構造。
これはチルト時に EVF の出っ張りが液晶を覆ってしまわないようにという配慮でもありますが、

EOS M5

下に 180° チルトすることで自撮りにも対応するという、なかなかよく考えられたつくりになっています。このカメラを使う人がどれくらい自撮りするかは分かりませんが(笑)、日本人はともかく海外は男性でも自撮りする人が多いので、そういう需要はありそう。
でも個人的にはここはチルトではなくバリアングルにしてほしかった。縦位置で撮ることが多いので、縦でもハイアングル/ローアングル撮影したいんですよ...。

EOS M5

NFC は底面に。5D Mark IV ではグリップ側面に NFC があって、スマホに接続するときにはグリップ以外の部分でボディを支えなくてはならないのが欠点でした。底面ならばグリップを持った状態でペアリングできるので扱いやすいですね。これは外装がプラスチックであることが功を奏しています。

EOS M5

側面にはリモート端子、マイク端子、microUSB 端子が隠されています(HDMI はグリップ側に搭載)。
しかしこの microUSB はあくまで PC 接続用であり、USB 充電には対応しないとのこと。これがあるとないとで旅行時の荷物量が変わるし、想定外にバッテリが切れたときの対応のしやすさも変わってくるので、イマドキ USB 端子がついているモバイル機器は須らく USB 充電に対応すべき、というのが私の持論。PowerShot のほうは G7X2・G9X あたりから既に USB 充電に対応しているのに、M5 は非対応というのはちぐはぐだし、何とかならなかったのかと。

EOS M5

というわけで、EOS M5 はこれをもって「いままでのミラーレスに満足できなかった人の不満を解消できる」というのはちょっと言い過ぎでは?とは思うものの、よく見ると細かいところまでいろいろとブラッシュアップされて、EOS D ユーザーのサブ機としての扱いやすさは確かに向上しています。
あとは実際に使ったときの扱いやすさや AF の速さと正確さ、それに画質がどうかというのが重要なところ。次回からそのあたりも順に見ていきたいと思います。

キヤノン / EOS M5

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2016/03/21 (Mon.)

BenQ HT3050 レビューのまとめ

だいぶ間が空いてしまいましたが、BenQ HT3050 のレビューをまとめたいと思います。

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BenQ / ホームシアタープロジェクター HT3050

BenQ HT3050

HT3050 は色再現性にこだわったホームシアター向けプロジェクタということで、ここまでは Blu-ray プレイヤー+AV アンプ+スクリーンを備えたホームシアター環境を前提としたレビューをしてきました。が、これからの時代であれば、Blu-ra ではなく VOD サービスの配信映像をプロジェクタで映す、ということも一般化してくるでしょう。
VOD の映像を HT3050 で観るには、以下の 3 パターンがあるかと思います。

■セットトップボックスや Blu-ray プレイヤー、ゲーム機等の VOD 機能を使う
Amazon Fire TV や Apple TV などの STB 導入のハードルも低くなっていますし、手持ちの BD プレイヤーや PlayStation 4 などにビルトインされている VOD アプリを使えば初期投資を抑えることができます。これらの機器は本来テレビに接続することを前提に作られているので、使い勝手的にはテレビで使うのと同じ。

■スマホやタブレットとプロジェクタを MHL で接続

BenQ HT3050

VOD はテレビではなくスマホやタブレットで利用している人も多いのではないでしょうか。スマホやタブレットのほうが、操作性やレスポンスの点で据置機よりも扱いやすいことが多いですからね。その場合はスマホやタブレットを MHL ケーブルで HT3050 に繋いでやると、タッチパネルの操作性はそのままに大画面に投影することができます。上の写真で使っているのは MHL-HDMI アダプタなので別途 USB 給電が必要になりますが、HT3050 は HDMI1 が MHL に対応しているので、MHL ケーブルさえ用意すればプロジェクタから機器側に給電してくれます。iPhone/iPad の場合は Lightning-HDMI アダプタが必要になります。

■スマホやタブレットから Chromecast 経由でプロジェクタに出力

BenQ HT3050

スマホやタブレットをプロジェクタに MHL で接続するのは確実な方法ですが、それなりの長さのケーブルが必要になることと、ケーブルがぶら下がることでスマホやタブレットの置き場所に制約が出ることがデメリット。
もうひとつの方法は、Google の Chromecast を使ってスマホ/タブレットから映像をワイヤレスで HT3050 に飛ばすことでしょう。HT3050 についている USB 端子を給電に利用して、Chromecast を HT3050 に接続することができます。
私が試してみた限りでは、ワイヤレスによる遅延を感じることも特になく、MHL で接続しているのと大きく変わらない操作感が得られました。

Chromecast のデメリットは、iPhone/iPad からでは対応アプリでなければキャストできないことでしょう。Android であれば「画面のキャスト」機能を使って画面自体をミラーリングできるのでどんなアプリでもキャストできますが、iOS 機器はアプリ側の対応が必須。iOS の場合は有線で接続するか、Apple TV を利用した方がスマートでしょう。

いずれにしてもスマホ/タブレットから VOD を利用する場合に、問題になるのは音声の出し方。HT3050 に直接あるいは Chromecast 経由で入力すると、音声は HT3050 の内蔵スピーカかオーディオ出力端子から出すしかなくなってしまうので、せっかく画面が大きいのに音質は微妙、ということになってしまいます。音質やサラウンドにこだわるのであれば、スマホ/タブレットまたは Chromecast をいったん AV アンプやシアターセットに接続し、そこからの HDMI スルー出力で HT3050 に接続したほうが良いです。我が家の AV アンプは HDMI 以前の時代のものなので、プロジェクタよりもアンプの買い換えが先決と言えます(泣

BenQ HT3050

閑話休題。

ここまで一ヶ月あまり HT3050 を試用させていただいて、その間いろんな映像作品を鑑賞しました。DLP の「黒がしっかり沈む」性質は液晶プロジェクタに対するアドバンテージであり、宇宙モノの SF 作品を中心に、手持ちの BD ライブラリをついもう一度見返したくなりますね。

BenQ HT3050

映画ももちろんいいですが、スポーツやコンサートなどの映像も大画面で観るとテレビとは次元の違う迫力や臨場感が得られて、またいい。
プロジェクタを買ったはいいけどスクリーン出したりいろんな機器の電源入れたり部屋を暗くしたりの手間が面倒で稼動率が下がりがちな人もいると思いますが(私だ)、プロジェクタ向きのコンテンツって別に映画だけじゃないので、いろいろ観て稼動率を高めることが満足度を高めるコツだと思います。

BenQ HT3050

この HT3050 の下位機種として HT2050 という機種もあり、どちらを選ぶかは悩ましいところだと思います。基本スペックに共通点が多く、どちらも素性のいい DLP パネルのパキッとした発色が得られるはず。

HT3050 は Rec.709 に対応しているのに対して、HT2050 は Rec.709 には非対応な代わりにランプ出力が 10% 高い。おそらく H3050 のほうが Rec.709 に対応するために色の濃いカラーフィルタを搭載して輝度が犠牲になっているのでしょう。HT2050 はその輝度の高さや、HT3050 同様に搭載していると思われる「壁スクリーン」(壁紙の色に合わせて発色をシフトさせるモード)を活かして、照明をつけたまま使うリビングシアターが主用途になる場合に性能を発揮するのではないでしょうか。
いっぽうで HT3050 のほうは Rec.709 が活きる環境、つまりスクリーンを用意して暗室で再生できる状態が必要でしょう(言い換えれば、そうでないなら HT2050 で十分かも、と思います)。

BenQ HT3050

私は HT3050 をちょうど返却したところですが、プロジェクタがない生活(まあ、かなり旧機種ならまだ持ってるけど)に戻るとちょっと寂しい。先に AV アンプを買い換えなくてはならないのでプロジェクタの買い換えはもう少し先ですが、早く買い換えたくなってきました...。

BenQ / ホームシアタープロジェクター HT3050

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■関連リンク
BenQ HT3050 レビュー (1):Rec.709 に対応したフル HD プロジェクタ
BenQ HT3050 レビュー (2):設置・設定について
BenQ HT3050 レビュー (3):画質について
BenQ HT3050 レビュー (4):製作者の意図を正確に再現する Rec.709 対応

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投稿者 B : 22:35 | Audio & Visual | Minpos Review | Visual | コメント (0) | トラックバック