b's mono-log

2010/12/23 (Thu.)

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

5542-2969-194104

先日のイベントの際、シグマさんからみんぽす経由でレビュー用にレンズを一本貸していただきました。

シグマ / APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

50-500mm という高倍率超望遠ズームレンズ。被写体に関してはかなり雑食な私ですが、年に一度くらいサーキットに行ったり、たまに野鳥撮影に行ったりするたびに超望遠レンズが欲しくなる。だいぶ前からシグマの 120-400OS、150-500OS とキヤノンの 100-400L のどれかをそのうち買いたいなーと思っていました。
そんな折、シグマさんからこのレンズを借りられるとのことで、迷いなく応募した次第。本当は 150-500OS のほうを試したかったんですが、貸し出しリストになかったので。でも、150-500OS よりもこの 50-500OS のほうが描写が良いという噂もあり、また先日のイベントでは山木社長自ら「レンズメーカーはカメラ誌などの評価を意識してテレ端とワイド端の MTF を重視して設計するので、ズームの中間域では苦手な焦点距離があることが少なくないが、この 50-500mm はテレ端からワイド端まで 10mm ごとの MTF を取ってみても特性がほぼ一定」というくらい自信のあるレンズらしく、逆にこれを借りられて良かったかもしれません。今回のレビューで高倍率=使い勝手重視で画質はイマイチ、という先入観を過去のものとできるか。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

しかしこのレンズ、最大の弱点は大きくて重いこと。全長 219mm、重量 1,970g というサイズは私が持っているどのレンズよりも大きくて重いんです。イベント会場から自宅まで持って帰る途中、何度か後悔したほど(´д`)。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

私が持っているレンズの中で最も全長の長い EF70-200mm F4L USM と比較してみるとこんな感じ。二回りくらい長くて太く、重さは 3 倍弱。70-200mm F2.8L あたりと比べても一回り弱くらい違います。これはちょっと気合いを入れないと持ち運べないかな・・・。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

テレ端(500mm)にするとレンズ全長は 2 倍くらいに伸びます。カメラを構えながら「狙い撃つぜ!」とでも言いたくなる長さ(ぉ。
ズームリングはレンズ前方、フォーカスリングは後方になります。これだけ重いレンズなのでズームリングの感触もかなり重め。物理的に仕方ないのだとは思いますが、咄嗟の切り替えが必要なシチュエーションでは、キヤノンの一部望遠ズームで採用されているような直進ズーム方式のほうが扱いやすいかもしれません。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

フィルタ径は驚愕の 95mm。これだけ大きいとレンズフィルタ代もばかになりませんね・・・。
見ての通りフロントヘビーなバランスなので、ボディにつけると首からストラップで提げているのもちょっと辛い感じに。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

鏡筒の側面にはスイッチ類があります。AF/MF 切り替えスイッチ、OS(Optical Stabilizer:手ブレ補正)のモード切替スイッチ(OFF/通常補正/流し撮り用補正)、前方にはズームロックレバー。前述の通り前玉が重いので、ズームロックしていないとレンズを下向きに持ったときに鏡筒がずるずると伸びてきてしまいます。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

フィルタ径 95mm ともなると、レンズフードもかなり巨大です。参考までにΦ49mm な NEX の標準ズームレンズ用フードと比較してみました(完全にネタです。どうもあり(ry

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

さらに、APS-C 機で使う場合はイメージサークルが狭まるため、より効果的に遮光できるよう APS-C 用のフードアダプタを使ってフードを延長します(レンズとフードの間に入っている、少し質感の違う筒がアダプタ)。これをつけるとフードの全長が 2 倍くらいになるので、かなり効果は高そうですが、威圧感も増してしまいますね(笑。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

シグマの望遠レンズにはほぼ決まってセミソフトタイプのレンズケースが付属しますが、このレンズにもそれはそれは巨大なものが付属しています。私がこのレンズを買うとしても普段はカメラバッグに入れると思うので、このケースは使っても旅行のときくらいかなあ・・・。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

ということで手持ちのカメラバッグに入るかどうか?を試してみました。写真は CLUMPLER の 7 Million Dollar Home ですが、APS-C 用フードアダプタをつけなければギリギリ入ります。ただ、このレンズを入れただけで約 2kg なので、他のレンズはちょっと重量を考えながら入れていかないと担げないことになりそう(汗。
あと、一回り小ぶりな ARTISAN & ARTIST の ACAM-3000 には、縦入れでは全然入りませんでした。横向きには入るんですが、それだとほぼ他のものが入らなくなってしまうので、ダメですね・・・。

SIGMA APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM

ボディにつけてみました。APS-C 機としては大ぶりなはずの EOS 7D が小さく見える(笑。バッテリグリップを装着してようやく少しバランスが良くなるくらいなので、このレンズを使おうと思ったらある程度大きめなボディは必須でしょうか(ちなみに 7D のバッテリグリップとこのレンズの三脚座の高さは同じでした)。
バランス的にはフルサイズ機のほうが合いそうですが、EOS 7D ならば 500mm×1.6=800mm 相当(!)の超望遠ズームとして使えるので、それはそれでメリットがあると思います。しかしこの状態(バッテリグリップ+バッテリ 2 本)で総重量は 3,290g!新生児一人分より重いものを振り回すのは、かなり体力を必要としそうですね・・・。

あいにくモータースポーツシーズンも終わってしまっているので何を撮ろうか、という時期ですが、これから冬休みに入ることもあるので、いろいろ撮ってみます。

シグマ / APO 50-500mm F4.5-6.3 DG OS HSM (キヤノン用)

B003980YK6

5542-2969-194104

投稿者 B : 22:00 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2010/12/21 (Tue.)

シャープな描写とボケ味の両立 -シグマ モノフェローズイベントレポート (3)

SIGMA

[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]

シグマのイベント、プレゼンの後はシグマ製レンズを使っての撮影会でした。

このレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「みんぽす」のモノフェローズイベントに参加して書かれています。本レビュー掲載によるブロガーへの報酬の支払いは一切ありません。レビューの内容につきましてはみんぽすやメーカーからの関与なく完全に中立な立場で書いています。(唯一事実誤認があった場合のみ修正を行います)「モノフェローズ」に関する詳細はこちら。(WillViii株式会社みんぽす運営事務局)
みんぽす

撮影アドバイスはプロカメラマンの斎藤巧一郎先生、モデルは馬琴さん(赤いジャケットの方)と紗々さん(白いニットの方)。撮影には桜新町のハウススタジオ・HUDSON を利用しました。私はスタジオでの撮影は立ち会ったことはあるけど自分で撮るのは初めてなので、ちょっと緊張。

何本かレンズを試用させていただいたので、順を追って簡単なレビューを。
ちなみに、私が持参したボディは EOS 7D とα700。αマウントのほうがレンズの競争率は低いかと思って(ぉ

APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM

SIGMA

[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]

いやー、このレンズには驚きました。さすが「他社の新型 70-200/F2.8 の出来があまりにも良かったから設計をやり直した」という逸話を持つだけはあるというレンズです。この写真はレンズを EOS 7D につけてとりあえず一発撮ってみただけの写真ですが、それだけでズバンとこの画(ちょっと露出が失敗気味ですが)が撮れてしまうんだもの。
柔らかくボケた背景の中に、被写体だけをピシッと描き出す。そんな表現が相応しいレンズだと思います。これは気持ちいい。

SIGMA

[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]

70-200mm というのはポートレートに使ってよし、イベントやスポーツに使ってよし、風景(広角にはなりませんが)を撮ってよし、というスナップ写真以外には万能なレンズで、私もキヤノンの EF70-200mm F4L USM を非常に愛用しています。これもシャープで発色が良くてボケも素直、かつ軽くて扱いやすいので、私が最も使っているレンズと言っても良いですが、それと比べても(レンズのグレードが一段違うので、この比較はフェアではありませんが)このシグマの 70-200/F2.8 は明らかにレベルが一つ、いや二つ違う描写をします。被写体と背景の分離や暗部の描写などはさすが F2.8 といったところで、撮った写真を PC のディスプレイに表示した瞬間にハッと息を呑んでしまったほど。
キヤノンのほうの新型 70-200/F2.8 を使ったことがないので、比較してどうか、というのは分かりませんが、単体の性能として十分に魅力的だと感じました。これなら、プロスポーツ等の撮影でなければ十分検討に値するように思います。

SIGMA

[ Canon EOS 7D / SIGMA APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM ]

F2.8・・・なので、開放で撮るとそれなりにピントはシビアですが、光学ファインダを覗くだけで違いが分かるこのレンズ。もし撮影会の後にカメラ屋巡りが予定されていたら、かなり危なかったかもしれません(ぉ。
「いい 70-200」を使ったときの良さは、ある程度カメラ経験のある人ほど共感してもらえるんじゃないですかね・・・。

30mm F1.4 EX DC HSM

SIGMA

[ Sony α700 / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

私の中では「ダカフェレンズ」と呼んでいるこのレンズ。一度試してみたいと思っていました。このレンズはその名の通り、あの有名な『ダカフェ日記』でもよく使用されているレンズ(というか、ダカフェ日記がシグマとタイアップしてますね)で、独特の柔らかく優しい描写をしてくれます。私もスペックがかぶる EF28mm F1.8 USM を持っていなければ、このレンズを買っていたと思います。

とりあえず被写体に寄り気味になり、F1.4~1.8 くらいの設定にしてシャッターを切れば誰でも「ダカフェ風」のふんわり優しい雰囲気の写真が撮れてしまう魔法のレンズで、これからデジタル一眼レフを買ってお子さんを撮りたい新米ママにカメラの購入相談をされたら、私はまずキットレンズ(標準ズーム)の次にこのレンズを推しますね。

SIGMA

[ Canon EOS 7D / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

ただ、そこは 30mm という広角気味のレンズ(APS-C 専用なので、実質的には 45~48mm 相当の標準画角になりますが)なので、良くも悪くもポートレートを撮ろうと思ったら、かなり寄らなくてはなりません。家族の距離感ならば手を伸ばせば触れるくらい近いのが普通でしょうが、今回のようにモデルさんの撮影の場合、懐に入り込むくらいの気持ち(なんの格闘技だよ)で近寄らないと、凡庸な構図になってしまいます。
私は家族や友人以外の被写体にこうやって正対して撮るようなシチュエーションが初めてだったので、モデルさんに目線をもらうだけで照れてしまうというか、なんか勘違いしてしまいそうになるほどで(汗)このレンズを使ってモデルさんに近寄るのにはかなり勇気が要りました・・・。

SIGMA

[ Sony α700 / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

APS-C 用の標準単焦点という位置づけのレンズなので、近接ポートレート以外にもスナップやブツ撮りにも使える、とても使い勝手の良いレンズじゃないでしょうか。F1.4 なので絞り開放時の非常に浅い被写界深度も楽しめます。
描写に関しては、上の 70-200/F2.8 が被写体の輪郭を鋭く描写したのに対して、この 30mm は大きなボケの中に被写体がふわっと浮き上がってくる、とでも言えばいいのでしょうか。写真全体が柔らかい印象になり、人肌も滑らかに描写してくれるので、スナップ用途なら若干ハイキー寄りのセッティングで撮れば良い雰囲気に仕上がると思います。

MACRO 70mm F2.8 EX DG

SIGMA

[ Sony α700 / MACRO 70mm F2.8 EX DG ]

別名「カミソリマクロ」と呼ばれるこのレンズ。シグマ社内でも「描写のシャープさで言えばシグマレンズの中で最高」と作っている人たちが言うほどですから、性能は折り紙付きです。
しかしマクロレンズでありながら接写以外でも良好な描写で、普通にブツ撮りや中望遠レンズとしても使えてしまいそうな印象。

SIGMA

[ Sony α700 / MACRO 70mm F2.8 EX DG ]

マクロ撮影のセオリーとして、植物を接写してみました。拳大よりも二回りほど小さなサイズのサボテンですが、これだけ大写しにすることができます(これでもまだ等倍まで寄っていないので、実際にはもっと大きく撮れる)。しかしこれだけ寄って開放だとピントが非常にシビアで、この写真も微妙にピントの芯がよく見えませんね・・・。

SIGMA

[ Sony α700 / MACRO 70mm F2.8 EX DG ]

接写のサンプルをもう一枚。カミソリマクロの本領発揮とでも言うべき作例です。
接写時のピント合わせは手ブレもさることながら、呼吸をしたときの微妙な身体の揺れでもピントが外れてしまうので、三脚を使用するか、デジタルであることを活かしてとにかく枚数を撮るなり高感度にしてシャッタースピードを稼ぐなり、という工夫は必要ですね。

このレンズ、私は EF-S60mmEF100mm(初代)という二つのマクロレンズを持っているので持て余しそうですが、使いようによってはこの中間の焦点距離というのは使い勝手が良いかもしれません。APS-C ならば 105~112mm 相当の画角なので、100mm マクロの感覚で使えるでしょうし、1 本目のマクロとしては良い選択肢になると思います。

■オフショット編

SIGMA

[ Sony α700 / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

撮影会の本来の主旨とは少しずれますが、この怪しげなオジサン(ぉ)はサイカ先生。先日の友の会でも持ち込んでいた、ikan の一眼レフ用グリップとフォローフォーカス装置(今のところ、まだ国内に 1 台もしくは数台しかないそうです)を使って動画を撮影しているところですが、すごい画ですね・・・。

SIGMA

[ Sony α700 / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

この装置は、撮影中は常に「俺撮影業者だから!」オーラを出していないと間違いなく職質される危険なグッズだと思います(ぉ。でも、傍から見ているだけでも滑らかな動作で、普段一眼ムービーをあまり撮らない私ですら、ちょっと使ってみたくなりますね。




ところで、ここまで健全な写真ばかりでちょっと飽きましたかね?

ということで、最後に一枚だけ、サービスショットを貼っておきます。






いいですか?会社で見てませんか?









では、いきますよ?











SIGMA

[ Sony α700 / 30mm F1.4 EX DC HSM ]

(ぉ

モデルは今回の撮影会の準備にいろいろと骨を折ってくださった、しょういちさん。黙ってればけっこう二枚目なのに、基本的に面白いことしかしない人です(注:褒めてます)。
こんなネタ写真でも、背景をほどよくボカしてくれる、シグマの 30mm は化け物か!(ぉ

オチがついたところで(笑)、撮影会のレポートを締めたいと思います。シグマの山木社長をはじめスタッフの皆さん、斎藤先生、モデルのお二方、そして WillVii スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。

■関連エントリー
山木社長が自ら語る、シグマの歴史と今 -シグマ モノフェローズイベントレポート (1)
SD1:Foveon X3 センサの解像感の秘密 -シグマ モノフェローズイベントレポート (2)

5542-2969-193695

投稿者 B : 23:59 | EOS 7D | Minpos Review | Photograph | α700 | コメント (4) | トラックバック

2010/12/20 (Mon.)

SD1:Foveon X3 センサの解像感の秘密 -シグマ モノフェローズイベントレポート (2)

このレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「みんぽす」のモノフェローズイベントに参加して書かれています。本レビュー掲載によるブロガーへの報酬の支払いは一切ありません。レビューの内容につきましてはみんぽすやメーカーからの関与なく完全に中立な立場で書いています。(唯一事実誤認があった場合のみ修正を行います)「モノフェローズ」に関する詳細はこちら。(WillViii株式会社みんぽす運営事務局)
みんぽす

昨日に引き続き、シグマのイベントレポートをお送りします。今回は、先日の Photokina で開発が発表された、シグマ製デジタル一眼レフカメラの新製品「SD1」について。

シグマ、約4,600万画素・防塵防滴ボディの「SD1」 - デジカメWatch

SIGMA

レンズ開発に関するお話から、シグマという会社がとにかく品質と他社がやらないことをやる差異化戦略についてはよく理解できましたが、この SD1 をはじめとしたシグマ製デジタルカメラも、良くも悪くも非常に独自性の強い製品となっています。

シグマ製のカメラを語るときには、そのイメージセンサである「Foveon」(フォビオン)を抜きにしては語れないでしょう。

現在のデジタルカメラのイメージセンサのメーカーは限られていて、キヤノン、ソニー、パナソニック、富士フイルム、米 Kodak(昨年撤退)、そして Foveon くらいしかありません(ニコンもフルサイズセンサは自社製)。そして、これらの中でキヤノンとソニーの 2 社が圧倒的な市場シェアを誇っており、デジタルカメラで Foveon を採用しているのはシグマのみ。
また、Foveon 以外のイメージセンサは「ベイヤー配列」と呼ばれる一般的な原理を採用しているのに対して、Foveon は構造からして全く異なる、独自性の強いセンサになっています。

Foveon の歴史に関しては、シグマの公式コンテンツが分かりやすくまとまっています。

SDシリーズの誕生 | SIGMA SD15 : スペシャルコンテンツ

SIGMA

Foveon の創設者の一人が、カーバー・ミードという名前のこのおじいさん。CIT(カリフォルニア工科大学)の物理工学・情報工学の教授で、Foveon 以前には PC や iPod のタッチパッドのメーカーとして知られる Synaptics という企業の創始者の一人でもあるそうです。このほか、情報工学の世界ではとても有名なゼロックスのパロアルト研究所(現在の Windows や Mac OS で使われている、マウス操作を中心とした GUI の基礎を発明したことで有名)にも所属していたことがあるそうで、コンピュータ業界とは切っても切れない縁があります。

SIGMA

社名でありセンサの製品名である「Foveon」は、生物学用語である「Fovea Centralis(網膜中心窩)」を語源とした造語。何を言っているのかさっぱり分からないと思いますが(笑、

SIGMA

シグマの公式サイトの説明によると「人間の網膜の中心に位置し、視力と色に対する感度が最も高い部位」のこと。具体的には上の画像にあるとおり、人間の目の球体において、水晶体(レンズ)と正対する位置にある部位のことです。まさにカメラのレンズとイメージセンサの関係になぞらえた名称で、「最も感度が高い」という Foveon センサの特性にそれだけの自信を持っているわけです。

ちなみに、Foveon は数年前までは「Foveonics」という社名だったのが、Canon も Nikon も「~on」で終わる名前なので、カメラ関連の企業であることが分かりやすいように「Foveon」に改名したそうです。って言われるまで気がつかなかったよ!(ぉ
戦後の日本のカメラメーカーがこぞって Leica を意識した「~カ」というメーカー/ブランド名をつけたり、ニコンという名称が Zeiss Ikon を意識したものであると言われていたり(かつての社名であった日本光学のもじり、以外に「Nein Ikon(=Not Ikon)」の意味が込められているという説もある)、というようにドイツメーカーが日本メーカーに大きな影響を与えていたのと同じことが、今逆に起きているということなのかもしれません。

SIGMA

Foveon センサそのものの発明者は、ナショナルセミコンダクタという半導体メーカー(かつて PC 用の「Cyrix」という Pentium 互換 CPU を開発製造していたメーカー)の技術者であったディック・メリルという人物。しかしこの人も、理論的には Foveon センサでベイヤー型センサよりも高い画質が実現できるはず、ということを考えて特許まで取っていたものの、実際にセンサを製造するのは困難だと考えていたそうです。そこに、Foveon 社の当時の画像処理エンジニアであったディック・ライアン(現在は Google に移籍)が協力し、ついに Foveon X3 センサの実用化に成功しました。

SIGMA

Foveon X3 センサと一般的なベイヤー型センサとの違いは露光方式。ベイヤー型センサは輝度のみを検出するモノクロセンサであり、その上に R/G/B 各色のカラーフィルタを被せることで色情報として検出しています。
それに対して、Foveon X3 は「半導体は厚みによって吸収する光の波長が異なる」というシリコンの特性を応用し、センサの表面で青、中深度で緑、高深度で赤の光を捉えるという仕組みになっています。人間の身体も紫外線(短波長の光)は皮膚の表面が反応するために日焼けし、赤外線(長波長の光)は身体の芯から温まる、ということがありますが、それと同じような話です。

ベイヤー型センサが各画素で 1 色しか受けられないのに対して、Foveon X3 は 1 画素で 3 色を検出できるため、ベイヤー型センサと比べるとセンサの画素数の 3 倍相当の解像度が得られると言われています(実際にはシリコンの深部に行くに従って光が拡散してしまうため、理論ほどきれいにはいかないようですが)。
ビデオカメラでは、従来もプロ機などを中心に 3 板式(3CCD・3CMOS)の機種があり、カメラ内部でプリズムを使って光を 3 原色に分解し、R/G/B それぞれ専用のイメージセンサで受光することで解像度を高める、という手法が採られてきましたが、Foveon X3 はイメージセンサ 1 枚でこれと同じ役割を担っていると言えます。

SIGMA

また、ベイヤー型センサでは 1 ピクセルごとに R/G/B いずれかのカラーフィルタが貼り付けられていますが、フィルタの構成比は R:G:B で 1:2:1 になっています。これは人間の眼がグリーンに対する感度が高いため(モニタで R:100%、G:100%、B:100% それぞれを表示して見比べてみるとグリーンが一番明るく見えますよね?)、グリーンを優先的に処理したほうが見た目上の解像度が高く感じられる、という事実に基づいています。が、人間の感度が低いというだけで、光にはレッドとグリーンの要素も含まれるわけだから、それらもちゃんと解像してあげたほうが美しく見えるよね、というのが Foveon の考え方。
確かに、音楽でも MD や MP3 などの圧縮音源は音響心理学的に「人間の耳にはほとんど聞こえない周波数の音を間引くことでデータ量を減らす」というアプローチでデータを圧縮していますが、ちゃんと聴き比べるとやっぱり非圧縮音源のほうが音色が良く、再現性が高く感じられます。それと同じようなことを視覚に対して言っているのがベイヤーと Foveon の違い、と言えば分かりやすいでしょうか。

また、先述の通りベイヤー型センサではピクセルごとにカラーフィルタの色が異なるため、各ピクセルについているフィルタ以外の色が検出できません。そのため、イメージセンサの前面にローパスフィルタを置いて画像を「ぼかし」、各ピクセルが隣り合う別色のピクセルを(そのぼけた光の情報をもとに)類推して補完する処理を入れています。これにより、1,000 万画素のイメージセンサであればそのままフルカラーで 1,000 万画素相当の画像が得られるわけですが、実際にはいくら高性能なレンズを通ってきた光であっても、記録される直前にぼかし処理が入ることで「微妙に眠い」画質に劣化していることになります。
が、Foveon X3 であれば全ピクセルで RGB 全てを露光するその構造上ローパスフィルタが不要なため、レンズ本来の画質がそのまま得られる、というわけです。

SIGMA

こういうアプローチで開発された Foveon X3 センサですが、従来は同世代の他社製イメージセンサに比べて絶対的な解像度が見劣りするという弱点がありました。カタログスペック上は 1 ピクセルで 3 画素相当という計算で、現行の SD15 ならば 1,406 万画素相当と謳われていますが、実際のピクセル数は約 470 万画素。見た目の解像感が高いとはいえ、画素数は所詮 470 万画素相当では、Foveon の長所と短所を理解してくれるユーザー以外にはなかなか支持されなかったのも事実だと思います(そもそもカメラメーカーとしてのシグマの知名度など、他にも理由はあるでしょうが)。

が、来年発売される SD1 では Foveon X3 センサそのものの解像度を一気に 1,530 万画素に引き上げ、色解像度約 4,600 万画素相当という謳い文句だけでなく、センサ自体の解像度でも他社の現行製品と遜色ないレベル(APS-C で現在最高画素数となる EOS 7D でも 1,800 万画素)に並べた上で、画質で勝負しようとしています。これはもしかしたら初めて Foveon センサ搭載機を購入の選択肢に挙げて良いかもしれません。

SD1 は来春の発売に向けて目下開発中ということで、今回は残念ながら実機に触ることはできませんでしたが(欲を言えば試作機かモックにでも良いから触りたかった)、SD1 の試作機で撮影されたという写真のプリント(A0 判だったかな)を何枚か見せていただけました。

SIGMA

えー、Foveon で撮った写真のプリントをベイヤー型のカメラで撮った画像じゃ分からないと思いますが(ぉ)、雰囲気だけでも分かるかと。確かに非常に解像感が高く、

SIGMA

大判のデジタルカメラで撮影したわけでも、マクロレンズを使ったわけでもないのに、これだけ大きなプリントで産毛や毛穴、肌のきめまで克明に再現されています。写真の空気感が伝わってくるというか、大げさな話ではなく「立体感を持った写真」とでも言えばいいのでしょうか。
正直言って、今まで自分が使ってきたデジタル一眼レフの画質がぼやけていると感じたことがありませんでしたが、何か根本的に違うものを見てしまったような気がします。よく「シャープな描写」と表現されるシグマ製交換レンズ群の真の性能を活かせる Foveon X3 こそ、シグマのレンズに相応しい組み合わせなのかもしれません。個人的には、ツァイスレンズを Foveon で使ったらどんな画になるか・・・を一度試してみたかったりします。

なお、SD1 ではなく現行の SD15 ではありますが、ニューヨークの写真家 Bill Sullivan とシグマとのコラボレーション写真集 "Duane Park" で Foveon X3 のポテンシャルの高さを感じることができると思うので、ぜひご覧ください。

Duane

ちなみに、この SD1 の価格は現時点ではまだ未定ですが、「APS-C のデジタル一眼レフカメラとして非常識ではない価格」を目標としているとのこと。Foveon センサを付加価値と考えるならば、おそらく APS-C のハイエンド機である EOS 7D やニコン D300S クラスを狙ってくるのではないでしょうか。20 万円を超えるとフルサイズ機が見えてきてしまうので、量販店での実勢価格で 18 万円前後・・・あたりを予想します。
ただ、価格に関しては山木社長も言葉を濁しがちだったので、まだまだ新しい Foveon X3 センサの歩留まりが見えていないのかな、という気がします。量産性がコストに直結する半導体において、特殊なセンサにもかかわらず供給先が自社のみ、というのは、正直厳しいかと。だからこそ、歩留まりの問題さえクリアできれば強力な差異化に繋がるわけですが。
あとはファームウェアの仕上がり次第ですかね。DP1 あたりは正直使い勝手が悪く、じゃじゃ馬を乗りこなす愉しみを見出せなければ辛いカメラだったので、動作速度や操作性という点で当初からブラッシュアップされたものであることを期待します。

SD1 の国内お披露目は来年の CP+ あたりでしょうか?私も今から楽しみにしていたいと思います。

■関連エントリー
山木社長が自ら語る、シグマの歴史と今 -シグマ モノフェローズイベントレポート (1)

12698-2969-193476

投稿者 B : 23:59 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2010/12/19 (Sun.)

山木社長が自ら語る、シグマの歴史と今 -シグマ モノフェローズイベントレポート (1)

このレビューはWillVii株式会社が運営する国内最大級家電・ゲームレビューサイト「みんぽす」のモノフェローズイベントに参加して書かれています。本レビュー掲載によるブロガーへの報酬の支払いは一切ありません。レビューの内容につきましてはみんぽすやメーカーからの関与なく完全に中立な立場で書いています。(唯一事実誤認があった場合のみ修正を行います)「モノフェローズ」に関する詳細はこちら。(WillViii株式会社みんぽす運営事務局)
みんぽす

みんぽす」のイベントで、日本を代表する撮影機器メーカーのひとつであるシグマさんのセミナー兼撮影会に参加してきました。

SIGMA 株式会社シグマ

今回はシグマの山木和人社長から直接お話を伺えるまたとない機会、ということで、楽しみにしていました。

SIGMA

山木社長はときどきカメラ誌などのインタビュー(最近だと東洋経済誌の特集など)に登場されていますが、そういった媒体でお見かけするスーツ姿とは違い、今回はカジュアルウェアでのご登場。第一印象は「若い!」一般的なカメラメーカーの社長さんより随分お若いことは知っていましたが(現在 42 歳とのこと)、服装のせいもあってか本当に若々しく、かつ柔和な方でした。

シグマの創業者は山木社長のお父さんにあたる山木道広・現会長とのことで世襲制にあたります。世襲制には賛否両論ありますが、山木社長から私が受けた印象は「幼少の頃からカメラやシグマという会社に触れ、カメラ文化への理解と創業者精神をしっかりと受け継いでいる人」というもの。言葉の端々からそれが感じられ、会社の規模があまり大きくないからというのもあるでしょうが、サラリーマン社長じゃこうはいかないだろうな、というシグマの製品展開にとても納得できた気がしました。

SIGMA

シグマの創業は 1961 年。一般的な企業の年齢で言えば十分歴史ある会社ですが、国内のレンズメーカーとしては最後発。最大のライバルであるタムロンが今年 60 周年なので、それに比べると 10 年くらい若いことになります。

日本のカメラ/レンズメーカーは戦後、雨後の竹の子のように立ち上がり、それぞれが主にドイツのカメラメーカーを追いかけて(場合によっては模倣して)たくさんのカメラやレンズを発売してきました。オールドレンズを趣味にしていると今では名前も聞かないようなメーカーのレンズに、星の数ほど出会います。ペトリ、トプコン、コーワ、ヤシカ・・・ヤシカは CONTAX のおかげで今でも知っている人が多いですが(一応現在はエグゼモードがヤシカブランドのカメラを発売していますね)、コーワなんて今では「キューピーコーワゴールド」を作っているあの会社が昔はカメラ作っていたんですよ・・・。
そんな感じで大量に生まれたカメラ・レンズメーカーも次第に淘汰され、現在ではカメラメーカーはキヤノン、ニコン、ペンタックス、オリンパスの 4 社(に最近ソニーとパナソニックが加わりましたが)、レンズ(ほぼ)専業メーカーとしてはシグマ、タムロン、ケンコー/トキナー、コシナが生き残っているという状況です。でも、淘汰されたとはいえオリジナルだったはずのドイツを完全に追い抜いて、日本のカメラとレンズが世界中の市場で圧倒的なシェアを持っている、という状況に、日本人はもっと誇りを持って良いと思います。

ちょっと話が逸れたので元に戻して(笑)シグマの事業戦略がこちら。

SIGMA

「自社ブランド中心(=OEM ビジネスに頼らない)の事業展開」「他社との差別化」「内製化の徹底」。つまり、完全なる垂直統合モデルであり、国内生産にとにかくこだわっているということです。事業のコアとなる部分を自社で創り上げ、それを社会貢献と利益の源泉とする。企業にとって最も重要でありながら、特に昨今では最も難しいこと。オーナー経営だからこそ、ブレずにそれを追求できるのかもしれません。

そんなシグマの歴史はこの製品から始まりました。

SIGMA

いわゆるテレコンバーターです。当時はテレコンというとレンズ前玉の前に装着する「テレコンバージョンレンズ」が一般的だったらしく、それだとレンズのフィルタ径に依存してしまうので、もっと汎用性のある後玉とマウント間に装着するタイプのテレコンバーター(同じマウントであれば、原理的にはどのレンズにも使用できる)ができないか・・・という発想でした。
このテレコンはかなり売れたらしいですが、どうやら特許を取っていなかったらしく、今やどのメーカーからもテレコンバーターが発売されるという状況に(笑。

中古カメラ屋巡りが趣味だと、シグマのかなり古いレンズも目にする機会はあるのですが、歴史の始まりがテレコンバーターだとはさすがに知りませんでした・・・。

SIGMA

もうひとつ、変わり種はこちら。「Filtermatic シリーズ」という、レンズ内にカラーフィルタを内蔵して、フィルタ外付けを不要にしてしまったレンズ。今でこそカラーフィルタはデジタル処理してしまうので、レンズフィルタはプロテクタや円偏光フィルタ以外には特殊フィルタくらいしか使う機会がありませんが、当時はカラーフィルタの使用が今よりもポピュラーだったようです。3 種類のカラーフィルタが内蔵されていて、内部でターレット式に切り替えるギミックが内蔵されているらしいので、一つ買って分解してみたい(笑。

他にもいくつか代表的な過去のレンズの紹介がありましたが、徹底的な「他社との差別化」が、シグマという企業の血に流れているのだろうと感じました。

SIGMA

そんなシグマのレンズ製造拠点は、福島県の会津工場。最近ではほとんどのカメラ/レンズメーカーが海外工場での生産を行っていますが(例えばキヤノンは台湾やマレーシアでも生産。もちろん L レンズなどを中心に日本製もある)、シグマは完全に国内での生産で一貫しています。
確かコシナは長野に工場がありますが、やっぱりレンズの生産には水と空気がきれいじゃないと・・・というのがあるんですかね?

SIGMA

多くのメーカーが生産拠点の海外移転を進めているとは言っても、レンズは加工精度が命。いくらカメラがデジタルになり、設計がコンピュータシミュレーション中心になっても、製造プロセスはアナログ技術の塊です。おそらく、図面上で設計はできても生産技術がなければ狙った性能が出ないとか、そもそも作れないとか、そういうハードルがあるのだろうと想像します。
特に、削り出しで製造する試作品は職人芸の世界だそうで、普段は滅多に OEM を手がけない同社がまれに OEM の仕事を請けたときに削り出しの試作を持って行ったところ、「これ金型品ですよね?」と訊かれたことが一度ならずあるとのこと。それだけシグマの製造技術者は高い技術を持っているようです。

単に製造技術を国内に持っているというだけではなく、企画設計者と製造設計者が近くにいるということも重要で、OEM や海外生産だと設計者は「設計図を投げて終わり」なので多少性能に妥協しても作りやすい設計でないといけないところ(だから他メーカーでも海外生産は普及品クラスがほとんどで、高級レンズは国内で生産している)、設計と製造が近くにあるということは、そこで設計者と製造者が一緒に試行錯誤しながら性能と生産性を両立できる、ということです。

SIGMA

シグマという会社の転機は 1995 年、急激な円高が進んだ時期に訪れたそうです。現在のように世界中のカメラの大半が日本メーカー製という状況では、レンズメーカーのシグマもビジネスの大半は日本以外の国における販売によるもの。それが全て国内生産のまま円高になれば、製造原価は変わらずに利益だけが相場変動の分少なくなるということ。
この頃にほとんどの他メーカーが生産拠点の海外移転を推し進めましたが、シグマ(とコシナ)だけは国内にこだわる決断を下しました。
それはもちろん品質へのこだわりや総内製による利益率の確保、という側面もあるのでしょうが、おそらくはオーナー企業ならではの、創業者一族を中心とした「社員は家族のようなもの」という意識が働いたんじゃないか・・・と推測します。製造コストが即利益に直結する製造業では、こういう状況下では非常に困難な判断なだけに、ある意味うらやましい。

その「国内にとどまる」という決断を下すにあたり、改めて確認された内容がこちら。

SIGMA

やっぱり国内で製造する以上は「品質」しかないんですよ。1995 年に続き、ここ数年の日本企業が改めて直面しているのもこの問題です。海外の工場やメーカーではどうやっても実現できない品質で差異化を図り、それを付加価値として値下げ競争に巻き込まれないようにする。そんなことは誰もが分かっていることで、口で言うのは簡単ですが、実行するのはそう容易じゃない。そもそも、元から品質に絶対的な自信を持っていなければ採れない戦略です。
これをきっかけにレンズ設計・製造の評価基準を自ら上げ、品質改善系の取り組みにも力を入れることで、従来以上に高い品質のレンズを作るという方針を採ったそうです。具体的には「同時期に世に出ている他社製レンズと同等以上であること」を条件にしているとか。競合他社だって適当に作っているわけではないので、これは相当な覚悟だと思います。

そういえば、昔は「レンズメーカー製のレンズ=安物」というイメージだったのが、最近、特にシグマのレンズは「レンズメーカーにはない機能やスペックを持った、積極的に検討に値するレンズ」になっているような気がします。現に、私が EOS 30D のボディと一緒に買ったのもシグマの 17-70mm DC MACRO(OS・HSM なし)で、当時選択肢に挙げていたキヤノンの標準ズーム群と比較して「ズーム域が広い」「明るい」「簡易マクロとして使える」「質感も悪くない」「それでいて比較的安い」という、ほぼこれしかないというくらいに光っていたレンズでした。今では OS・HSM つきの後継機種が出ていますが、私は今でもこのレンズを EOS 7D の標準レンズとして愛用しています。

私はレンズメーカーではコシナとシグマが好きなのですが、コシナはツァイスレンズを出しているというだけではなく「カメラ文化というものが分かっている」というのがよく伝わってくるメーカーだから、というのがありました。シグマに対しては今まではどちらかというとレンズのスペックやシャープな描写に惹かれて、だと思っていたのですが、それにはちゃんと裏打ちされたものがあったのだなあ、と初めて知り、改めてこのメーカーが好きになりました。

ちなみにシグマといえば 200-500mm F2.8 という超弩級レンズや、150-500mm などのように超望遠ズームのリリースが相次いでいることもあって望遠系にこだわりのあるメーカーなのかな、と思っていたら、実際そうでもないんですね。

SIGMA

もともとシグマのレンズは 1970 年代後半に、当時としてはかなり珍しかったワイドズームレンズを手がけてから、広角レンズにかなりこだわりがあるとのこと。「他社と同等以上」をターゲットに、広角レンズではワイド端を業界最広でありつづけるよう開発を行っているとか。
シグマが今年発売したこの 8-16mm F4.5-5.6 DC HSM は、6 年前のカメラグランプリを受賞した 12-24mm F4.5-5.6 EX DG ASPHERICAL HSM と同じ技術者が設計しているとのことで、画質には折り紙付き。レンズ設計者、ってあまり名前が世に出ることはありませんが、「設計者の名前を信頼して買う」みたいな買い方もありかもしれないなあ、と思いました。

SIGMA

そして超定番、どのメーカーも威信をかけて開発してくるために性能競争が激しい 70-200mm も今年リニューアルされました。このレンズ、実際には「当時発売されていた他社の 70-200mm F2.8 級レンズ」をベンチマークに、それらよりも 1 ランク高い性能をターゲットに開発され、一度設計が完了していたにも関わらず、去年登場した他社の 70-200mm F2.8 があまりにも高性能だったために、一度設計をやり直したとか(!)。設計をやり直す、ということは即ちそれが発売されるまでに 2 台分の開発コストがかかり、なおかつ新製品の発売が遅れる(=売り上げが立つのがそれだけ遅れる)ということなので、経営判断的にはかなり苦しかっただろうと想像しますが、それができてしまうのも、コンパクトなオーナー企業ならではですかね。
確かに去年発売されたニコンの AF-S NIKKOR 70-200mm F2.8G ED VR II も、今年発売されたキヤノンの EF70-200mm F2.8L IS II USM も旧型を超える非常に高い評価を得ているレンズですが、「それらと同等以上」を目標に開発されたというのであれば、これもかなり期待ができそうなレンズです。70-200mm は(F4 ですが)私もかなり使用頻度が高いレンズなので、これよりも明らかに良い描写だったりしたら、やばいなあ・・・。

13337-2969-193475

投稿者 B : 23:59 | Camera | DSLR | Minpos Review | コメント (0) | トラックバック

2010/12/07 (Tue.)

Twonky を使ってみて、とりあえずのまとめ -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (4)

13075-2969-191070

Twonky のレビュー、ひとまずここまでのまとめ編をお送りしたいと思います。

Twonky Mobile

Twonky の目指すところは、家庭内のネットワーク機器が従来は機器ごとの仕様や制限をユーザーが理解して、組み合わせや使い方でもって「使いこなして」やる必要があったのを、Twonky が各機器の仲介役になることで、それぞれの機器の仕様の違いを吸収し、機器間をフラットに繋ぐことで、ユーザーが複雑なことを意識しなくてもホームネットワークを「自然に使える」ような世界を作ること。
また、スマートフォンやタブレット端末をリモコン的に使うことで、ネットワーク上のコンテンツをより直感的に、扱いたいように扱えるというのも大きなメリットです。Twonky Mobile のおかげで、私が以前からやりたかったことが、ほぼそのままに近い形で実現できそうなことも分かりました。

ただ、残念なことに我が家にはレンダラー(DMR)機能に対応した機器がなく、「BEAM」機能に関しては PC 用の TwonkyManager のレンダラー機能を使って擬似的に体験しただけでした。
というのも、自宅にある PS3 なら当然バージョンアップ対応している機能だろうと高を括っていたところ、いざ使おうとしてみたら比対応だった、という・・・。1 年前のインタビュー記事で開発者の方が「技術的には可能だが、商品性やコストの観点で優先順位は低い」ということを話しているようですが、ぜひとも今後の対応に期待。そういう意味では、我々ががんばって DMR の認知度をもっと高めていく必要もあるかと思います。
DMR に対応したら、今よりも稼働率が上がるだろうし、爆音爆熱の初代 PS3 から現行型に買い換えても良いかなあ・・・と言ってみるテスト(^^;;

さておき、Twonky がサポートしている DMR 機器の一覧は以下のフォーラムに随時アップデートされているので(英語ですがメーカー名と型番くらいなのでそんなに難しくありません)、参考になるかと。

Twonky Digital Home Forum • View topic - Devices that work with Twonky software

最近の DLNA 対応テレビや AV アンプならばかなり幅広く対応している印象です。我が家の BRAVIA は残念ながらギリギリ外れていますが、ここ 2 年以内くらいに発売されたものの多くが対応しているので、アナログ停波に向けて最近テレビを買い換えた人は対象になっているんじゃないでしょうか。

でも、これらの対応機器情報をもとに「機器間の差異を吸収して、再生側で対応しているフォーマットでコンテンツを送り出す」というのが Twonky のキモではあるものの、私が使ってみた限りでは再生できないフォーマットがいくつかあったので(特に HDV 方式の MPEG-2 動画が再生できなかったのは痛い)、実際にはまだまだ発展途上なのかなという印象を受けました。このあたりは今後に期待ですかね。

話を元に戻すと、Twonky は PC 用の TwonkyManager、Android 用の Twonky Mobile ともに DLNA 用のソフトウェアとしては非常に多機能で面白いと思いました。が、活用するにはまだまだ「使いこなし」が必要なレベルで、パケットビデオ社が目指す「ネットワーク上のコンテンツを、誰でも、いつでも、どこでも、どんな機器ででも気軽に楽しむことができる」という世界には、まだまだ超えるべきハードルがいくつもあるな、と感じたのも事実です。
ソフトウェア自体の不安定な挙動や不親切さが散見される部分は言うまでもなく改善が必要だと思います。が、それ以上に「DMS/DMP/DMR/DMC が全部入りであるからこその分かりにくさ」があると思うので、もしかしたら例えば思い切って初心者用にライト版のアプリを用意するとか、ソフトウェア自体に簡易モードと詳細モードを用意するとか、敷居を下げる工夫をしてみてもいいかもしれません。機能が分かれていないから分かりやすい、という考えもアリだと思うので、このあたりは見せ方次第かもしれませんが。

あと、これはイベントでも出ていた話ですが、ホームネットワークを語るときにカタカナ語やアルファベットの略語を避けて通れないことも大きいでしょう(そもそも「DLNA」自体がアルファベットの略語だし)。近いところの成功事例を挙げると、無線 LAN は「親機」「子機」というコードレス電話機の概念を持ち込むことで理解のハードルを下げましたが、これと同様に既存の概念を持ち込んで解りやすい表現をすることはできるんじゃないでしょうか。さすがに無線 LAN よりも複雑な仕組みなのでパッとは思い浮かびませんが(笑)、「やりたいこと」自体はシンプルなので、やりようはありそうです。

さておき、Twonky Mobile は最近使用頻度の下がっていた Xperia を活用するいいアプリケーションになってくれそうなので、引き続きしばらく使ってみたいと思います(その前に DMR 対応機器を入手しないと・・・)。理想を言うと、リビングで使うなら iPad を DMC として利用できるのがベストなんですが、Twonky のようなソリューションは Apple の AirPlay と競合する部分もあるし、AppStore での配信は難しいかなあ。ただ、DMC 単体のアプリとしては「DiXiM DMC」が iOS 用に出ているので、DMS/DMP/DMC 統合アプリとしてでなく、DMP/DMC 専用アプリとしてであれば Twonky for iOS が出せる可能性はありそうです。まあ最近では Android 系のタブレット端末に選択肢が増えてきているので、そちらを選んだ方が手っ取り早いかもしれませんが。

ということで、今後の Twonky のさらなる進化と改善に期待しつつ、レビューをいったん終わりたいと思います。お付き合いいただきどうもありがとうございました。
また、イベントその他でお世話になったパケットビデオ・ジャパンの皆様、本田雅一さん、同席されたモノフェローズの方々、および WillVii(株)の皆様にもこの場を借りてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

最後に、本件に絡んで本田雅一さんの blog がエントリーされていたので、リンクを張っておきます。

面白いものが、広まるとは限らない:パースペクティブ・アイ:ITmedia オルタナティブ・ブログ

私も似たような考えでオンラインでの情報発信を始めた部分があるので、この記事には非常に共感できます。また、DLNA については私もこのまま諦めてしまうには惜しいソリューションだと感じているので、今後もいろいろと試行錯誤してみたいと思います。

■関連エントリー
ホームネットワークの敷居を下げる「Twonky」 -Twonky モノフェローズイベントレポート (1)
デジタルメディアに自由を! -Twonky モノフェローズイベントレポート (2)
私がホームネットワークでやりたかったこと -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (1)
PC 用「TwonkyManager」を試す -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (2)
Android 用「Twonky Mobile」を試す -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (3)

13075-2969-191070

投稿者 B : 00:03 | Home Network | Minpos Review | PC | コメント (0) | トラックバック

2010/11/29 (Mon.)

Android 用「Twonky Mobile」を試す -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (3)

13075-2969-190292

昨日に引き続き、今日は Twonky の Android 用アプリ「Twonky Mobile」についてレビューを書かせていただきます。

と思ったら、INTERNET Watch で清水理史氏が既にレビューを書かれていて、これがとても解りやすくまとまっているので、これを読めば十分かもしれません(ぉ。

【清水理史の「イニシャルB」】 第416回:待望のAndoroid向けDLNA対応プレーヤー登場~パケットビデオ「Twonky Mobile」を試す -INTERNET Watch

さておき(笑)、レビューを始めます。
なお、レビュー用端末としては Android 2.1 化した Xperia を使用しています。

Twonky Mobile は、Android Market からダウンロードできます。残念ながら、PC 版とは違い Android 版は現時点で英語版のみ。それほど難しい英単語が出てくるわけではありませんが、DLNA の概念が絡むとちょっと難解になってしまうので、早いうちの日本語化を期待します。

Twonky Mobile

Android Market で「Twonky」で検索すると、「Twonky Mobile」のほかに「TwonkyServer Mobile」の 2 つが見つかりますが、Twonky Mobile には TwonkyServer Mobile の機能が含まれるので、通常は Twonky Mobile をダウンロードすれば良いでしょう(TwonkyServer Mobile は DMS だけの機能なのに対して、Twonky Mobile は DMS/DMP/DMC に対応)。2 つを同時にインストールしても、Twonky Mobile の起動時に「TwonkyServer Mobile をアンインストールしてください」という意味のエラーメッセージが表示されて起動できないので、意味がありません。

Twonky Mobile

インストールが完了すると、アプリ一覧に Twonky Mobile のアイコンが表示されるので、必要に応じてホーム画面にコピーします。

Twonky Mobile

アイコンをタップすると、Twonky Mobile が起動します。

Twonky Mobile

なお、Twonky Mobile が起動すると、バックグラウンドで TwonkyServer が動きだし、ステータスバーに Twonky の通知アイコンが表示されます。これが起動していると、他の DMP(DLNA 対応のテレビやオーディオ機器等)から Android 端末内の共有コンテンツを表示し、再生することができるようになります。スマートフォンで撮影した写真なんかも見られてしまうので、接続するネットワークによっては注意が必要ですね。

Twonky Mobile

これが Twonky Mobile のメイン画面。DLNA クライアント(DMC)をそのまま Android 機器の画面に表示したような見栄えになっていて、ここから「Music」「Videos」「Photos」のメディア種別を選択し、一覧表示できるようになっています。

上の画面キャプチャは Xperia でネットワーク上の NAS に入っている写真を一覧表示しているところです。ここで、表示したい写真をタップすると、

Twonky Mobile

再生画面に切り替わります。残念ながら、PC 用の TwonkyManager 同様に画像の拡大表示機能はなく、画面サイズにちょうど収まるように自動リサイズして表示するモードのみ。

Twonky Mobile

ただし、Android の画面回転機能に対応しているので、横長の写真であればこのようにしてほぼ画面いっぱいに表示することは可能です。

ただ、写真に限らず音楽でも動画でも、たまに「Unable to start Playback」というエラーメッセージが出て再生できないファイルがあるようです。コーデックが対応していないのが主な原因だとは思いますが、「再生できない」だけじゃなくてせめてその理由まで表示してくれないと、何が悪いのか対処のしようもないんですけど・・・。

ちなみに、この画面上に「Beam」という大きなボタンが表示されているのが目につくと思いますが、これが TwonkyBeam と同様の BEAM 機能。後述の設定でレンダラーを指定しておくと、ここで表示しているコンテンツを対象機器に BEAM(飛ばす)することができます。

Twonky Mobile

イメージ的には、こんな感じで Android 端末をリモコンのようにして、テレビやオーディオ機器にコンテンツを表示させることが可能。残念ながら私が買った BRAVIA(KDL-46X5050)は BRAVIA が DMR に対応する直前の世代の機種なので、これはあくまでイメージです(笑。
また、「BEAM」というとテレビに向けて操作するリモコン的な印象が強いですが、通信は赤外線ではなく無線 LAN 経由で行うので、わざわざテレビに向けて操作する必要はありません。

Twonky Mobile

この BEAM 機能が面白いのは、単に Twonky Mobile 上だけでなく、Twonky Mobile をインストールしておけば他の Android アプリからも BEAM が使えるようになるところ。Xperia の Mediascape ではメールアイコンをタップ、Web ブラウザでは例えば YouTube の再生ボタンを押した際に、上記のような選択画面が表示され、ここで「Beam with Twonky」を選択すると対象機器に BEAM できます。スマートフォンで撮影した写真だったり、見つけた YouTube 動画だったりを簡単にテレビでみんなと共有することができるわけです。

Twonky Mobile

Twonky Mobile には、他の DMS 上にあるコンテンツを Android 端末上にコピーすることができる「Copy to Phone」という機能が搭載されています。
この機能は、Twonky Mobile のコンテンツ一覧上で Android 端末にコピーしたいファイル名を長押しすると、メニューから「Copy to Phone」が選択できます。

Twonky Mobile

Android 端末にコピーしてきたコンテンツは、Xperia であればもちろん Mediascape にも反映されます。

通常であれば、PC や NAS に保存されているデータをスマートフォンにコピーしようと思ったら、スマートフォンを PC に接続するかメモリーカード経由でコピーする必要があったのですが、この機能を使えばスマートフォン上の操作でコピーが完結できてしまうので、かなり手間が省けます。デジカメで撮った写真のうちいくつかをスマートフォンに入れていつでも見れるようにしたい、というような用途では、けっこう使えるんじゃないでしょうか?

最後に、設定周りから見ていきます。設定画面は Android 端末のメニューボタン(Xperia の場合はホームボタンの左隣)を押し、表示されるメニューの中から「Settings」をタップします。

Twonky Mobile

設定メニューに並ぶのは以下のとおり。

  • Set Player : Twonky Mobile で操作する DMR の指定
  • Set Library : 同じく Twonky Mobile で操作する DMS の指定
  • Media Sharing Setting : この Android 端末内のコンテンツを Twonky Mobile で DMS として共有するための設定
  • Copy to Phone Manager : 他の DLNA 機器からこの Android 端末にコンテンツファイルをコピーする「Copy to Phone」機能の管理(ちゃんと使っていないので分からないのですが、コピー中のタスクを中断することができる?)
  • Set Copy to Phone Folders : 「Copy to Phone」でコンテンツを Android 端末内のどのフォルダに保存するかの設定
順を追って解説していきましょう。

Twonky Mobile

設定メニューの並び順どおりだと逆に分かりにくいので(笑)、まずは「Media Sharing Setting」から。ここでは、この Android 端末自身を DLNA サーバとして、端末内のコンテンツをネットワーク上で共有するための設定が行えます。

まず「Server Name」は、この端末の DLNA サーバの名称。デフォルトは「TwonkyServer Mobile」で、このままでも特に問題はありませんが、もし同じネットワーク内に Twonky Mobile/TwonkyServer Mobile が入った Android 端末が複数台ある場合は、適宜変更したほうがいいでしょう。

画面下半分に表示されている「Music」「Photos」「Videos」のチェックボックスは、どのコンテンツを共有するかの設定。スマートフォンで撮影する写真や動画は比較的パーソナルなものが多いでしょうから、ネットワーク上で誰かに覗かれたくない、という場合には「Music」だけ共有する、ということが可能です。
どのフォルダのコンテンツを共有するか、といった設定はないようで、Android 標準の音楽・写真・動画フォルダが自動的に共有されるようです(違っていたらごめんなさい)。

Twonky Mobile

続いて「Set Library」。ネットワーク上の DMS のどのコンテンツを操作するかを選択します。操作できるサーバは TwonkyServer だけでなく、DLNA 規格に準拠した DMS ならば基本的になんでも OK で、NAS 内蔵の DLNA サーバ機能、Windows Media Connect や VAIO Media plus といったサーバも表示されます。1 台の PC で複数の DLNA サーバソフトを動かしている場合は複数のサーバとして見えるので、ちょっと混乱しがち。あまり 1 台で複数のサーバソフトを起動させないほうが良いでしょう。

また、昨日書いたとおり、PC 用の TwonkyManager にはコンテンツのアグリゲーション機能が搭載されているので、ネットワーク上に複数台の DMS がある場合は、サーバ側でアグリゲーションしてしまえば、いちいちここでサーバを切り替えなくてもホームネットワーク内のコンテンツを全て操作できるのでラクだと思います。ただ、あまりにもコンテンツの量が膨大になってくると目的のコンテンツを探しにくくなるので、用途に応じて設定するのが良いでしょう。

この一覧に表示されている「TwonkyServer Mobile」は、さっきの「Media Sharing Setting」で指定したサーバ名ですね。端末内のコンテンツを DLNA 対応のテレビやオーディオ機器等で再生したい場合は、これを選択します。

Twonky Mobile

「Set Player」では、Twonky Mobile で操作する DMR をどれにするか選択します。「My Phone」を選択すると動画や音楽などのコンテンツはこの Android 端末のディスプレイやスピーカから再生されます。つまり、Twonky Mobile 自身を DMP として使うモード、と理解して良いでしょう。

「My Phone」以外には同一ネットワーク上に存在する DMR の一覧が表示されています。PC 用の TwonkyManager がある場合は、もちろんそれも表示されます。ここで「My Phone」以外の機器を選択すると、Twonky Mobile 上で選択したコンテンツがこの Android 端末上ではなく、選択した機器のディスプレイ/スピーカから再生されます。つまり、Twonky Mobile を DMC として使用するモードになります。

Twonky Mobile

「Set Copy to Phone Folders」では、「Copy to Phone」機能におけるコンテンツの保存先フォルダを指定できます。デフォルトでは SD カード内の「twonkymedia」以下のフォルダにコンテンツの種類(ミュージック/フォト/ビデオ)ごとに保存されますが、これを変更することも可能です。

かなり長くなってしまいましたが、Twonky Mobile に関してはこんなところです。英語版なので少し敷居が高そうに見えますが、慣れればそんなに難しいこともない、DLNA 対応アプリとしては比較的シンプルな作りになっています(ひとつのアプリ内で DMS/DMP/DMC に対応しているので、概念の理解がちょっとややこしいですが)。

応用次第でいろんな使い方ができるのがこのアプリの特長でしょうが、ユニークなのはやはり「BEAM」機能ではないでしょうか。Android 機器のユーザーであれば、これを使いこなすことができれば DLNA が楽しくなることは間違いないと思います。
Twonky Mobile は年内いっぱいは Android Market で無料配布されているので(年明けから有料化とのこと)、Android ユーザーな方はとりあえずダウンロードして試してみてはいかが。

■関連エントリー
ホームネットワークの敷居を下げる「Twonky」 -Twonky モノフェローズイベントレポート (1)
デジタルメディアに自由を! -Twonky モノフェローズイベントレポート (2)
私がホームネットワークでやりたかったこと -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (1)
PC 用「TwonkyManager」を試す -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (2)

13075-2969-190292

投稿者 B : 23:49 | Home Network | Minpos Review | Mobile | PC | Smartphone & Tablet | コメント (0) | トラックバック

2010/11/28 (Sun.)

PC 用「TwonkyManager」を試す -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (2)

13075-2969-190078
Twonky のレビュー、第 2 回目です。

イベントで主に取り上げられたのは Android 版アプリでしたが、その前に PC 版アプリを見ておいたほうが理解が深まると思うので、まずは PC 版から。

さらに前提知識として、DLNA で使用する 4 種類のデバイスクラスについて、以下に簡単にまとめておきます。

  • デジタルメディアサーバー(DMS)
  • コンテンツを溜めておき、下記の DMP や DMR に配信する機器。文字通り「サーバ」。PC や NAS などの機器が該当。
  • デジタルメディアプレーヤー(DMP)
  • DMS のコンテンツを再生するための機器。テレビやゲーム機などが該当。
  • デジタルメディアレンダラー(DMR)
  • DMS のコンテンツを再生するという点では DMP と同じだが、DMP は自分で操作用の UI(画面など)を持っているのに対して、DMR の操作は外部から行う。最近のテレビや高機能な AV アンプに内蔵されている機能。
  • デジタルメディアコントローラー(DMC)
  • その DMR の操作を行うのが DMC。DMS のコンテンツを一覧表示して再生したいものを選び、DMR に送り込むことができる。今後はスマートフォンやタブレット PC が DMC の主流になっていく、かも・・・。
といったところで、アルファベットの 3 文字略語だらけでこんがらがってきそうですね(´д`)。DMS と DMP は今までの DLNA でも一般的だったので知っている人も多いでしょうが、DMR と DMC は比較的新しい概念なので、あまり知られていないと思います。

今回はまず、ホームネットワーク上で扱うコンテンツは多くの人が PC に溜めていると思うので、PC 用の Twonky アプリケーションを解説してみます。

TwonkyManager

まず最初に Twonky アプリのダウンロードから。といっても、ダウンロードサイトは日本語ではないので、いきなり敷居が高いです(´д`)。日本におけるホームネットワークの敷居を下げたかったら、まずこういうところから手をつけたほうがいいと思いますよ・・・>パケットビデオさん。
トップページから辿っていってもいいんですが、迷いそうなのでズバリ試用版のダウンロードページへのリンクを張っておきます(今後リンク先変更により繋がらなくなる場合があるかもしれないのでご注意を)。

Twonky Suite Media Manager :: Connected Home :: TwonkyManager: Try It

Twonky のアプリケーションにはいくつも種類があって分かりにくいですが、Windows 用であれば「TwonkyManager」を選んでおけば、DMS・DMP・DMR・DMC 全ての機能が入っています。残念ながら TwonkyManager は Windows 版だけのようですが、DMS 機能を持った TwonkyServer は Mac/Linux 版、DMC 機能を持った TwonkyBeam は Mac 版も存在しているようです。
TwonkyManager は有償(US$19.95)ですが、まずは 30 日の期限つきの試用版でいいでしょう。

TwonkyManager

ダウンロードサイトが英語でちょっとヒヤヒヤするかもしれませんが、インストールはちゃんと日本語対応。基本的には何も考えずに「次へ」をクリックしていけば OK です。

TwonkyManager

セットアップの完了画面で「Internet Explorer 用の TwonkyBeam をインストールする」のチェックボックスはオンにして、TwonkyBeam をインストールしたほうがいいでしょう。IE を使わない人であれば、Firefox 版や Chrome 版の TwonkyBeam を別途ダウンロードしてインストールすれば OK。

TwonkyManager

セットアップがひととおり完了したら、デスクトップ上に作成されている「Twonky Manager」のアイコンをダブルクリックすれば、TwonkyManager が起動します。
PC の環境によっては、起動時に何度かファイアウォールソフトが通信の許可を尋ねてくるので、許可してあげましょう(遮断すると TwonkyManager が正しく通信できないので注意!)。

TwonkyManager

TwonkyManager の画面右上あたりにある歯車のアイコンをクリックすると、設定画面が表示されます。いくつかのタブに分かれていますが、1 枚目は「製品」タブ。ここでライセンスキーを入力すると、フルバージョン(製品版)にグレードアップできるようです。
また、私が何台かのマシンにインストールしてみたところ、PC 環境によっては英語版でセットアップされてしまうことがありましたが、ここから言語を変更することができました。

TwonkyManager

「プレーヤー」タブでは、同一ネットワーク上に存在する DMR を自動認識して表示してくれます。「プレーヤー」というタブ名ではありますが、おそらくここに表示されるのはレンダラー。ここ、混乱しそうなので注意が必要です。
この画面上では 2 台の TM Player(TwonkyMedia Player)が認識されていますが、1 台はこの PC 自身の TwonkyManager を、もう 1 台は別の PC の TwonkyManager を指しています。

TwonkyManager

こちらが設定画面で最も重要であろう「サーバー」タブ。これも「プレーヤー」画面と同様に、ネットワーク上の DMS を自動認識してくれるので、手動で設定する必要がないのはラク。もし 1 台の PC に TwonkyServer だけでなく Windows Media Connect などの DLNA サーバ機能が設定されている場合は、1 台の PC に対して複数の DMS が表示されます。

この画面の下半分に表示されている「アドバンスト設定」もけっこう重要で、TwonkyManager を使いこなせるかどうかはここの設定にかかっています。
特に「アグリゲーションを有効にする」のチェックボックス。これはネットワーク上の DMS のコンテンツをアグリゲート(集める)して、あたかも 1 台の TwonkyServer(TwonkyManager のサーバ機能)の中にあるように見せてくれる機能です。これを使えば、「あの写真どの PC/NAS に入れたっけ?」というのをわざわざ探す必要がなくなります。
このチェックボックスをオンにして「サーバを表示する」ボタンをクリックすると、

TwonkyManager

ネットワーク上にある、どのサーバを収集対象にするか、収集対象から外すかを選択できます。「自動コピー」というのは、おそらく他のサーバからアグリゲーション(一覧だけ見せる)ではなく TwonkyServer に実際にコピーしてきてしまう設定だと思います。

TwonkyManager

設定が完了(といっても、アグリゲーション以外はほぼ自動設定で使えてしまう)すると、TwonkyManager 上のプルダウンメニューにネットワーク上の DMS の一覧が表示され、ここから操作する DMS を選択することができます。アグリゲーションの設定がしてあれば、TwonkyManager を選択するだけでネットワーク上のコンテンツが全て操作できてしまうので、さらにラクになります。

TwonkyManager

コンテンツの再生は、TwonkyManager 上のタブから「ミュージック」「フォト」「ビデオ」のカテゴリを選択した上で、それぞれアルバム別や日付別、フォルダ別などの一覧から探していきます(キーワード検索も可能)。
↑の画面はネットワーク上の NAS(LinkStation mini)に入っている音楽を再生しているところ。当たり前のようにアルバムジャケットの表示やプレイリストにも対応しています。

さらに、再生したいデータを右下の「再生先プレーヤーにコンテンツをドロップ」にマウスでドラッグ&ドロップすることで、DMR にコンテンツを送り込むことができます。

TwonkyManager

フォトモード。私は 10 年くらい前からの写真を NAS に溜め込んでいるので、この機能がいちばん使うかな。

TwonkyManager

TwonkyManager 内での写真の表示はこのサイズまでで、画面いっぱいに写真を表示したり、部分的に拡大したりできないのが残念。また、一眼レフ等で撮影した 1,000 万画素オーバーの写真はサイズが大きすぎるためか、表示には 5 秒くらい待たされてしまうのがちょっと辛い。これは私の環境(NAS に入っている写真を無線 LAN 経由で表示している)のせいで遅い、というのはあるかもしれませんが。

TwonkyManager

ビデオモードでは、再生できる映像フォーマットに制限があるようです。MPEG-1 や MPEG-4、WMV などのフォーマットは問題なく再生できるのですが、HDV Handycam から取り込んだ HDV(MPEG-2 TS)形式の動画が再生できませんでした。我が家では、今でこそ AVCHD の Handycam を使っていますが、去年までは HDV を使っていたので、溜め込んだ動画の再生という点ではこれは厳しい。「コーデックがインストールされていない」旨のエラーメッセージが表示されていますが、他のアプリでは同じ動画ファイルが問題なく再生できているんですけどね・・・。
パケットビデオ社としては「機器の仕様やコンテンツの形式を意識せずにホームネットワークが使えるようになる」ことを目指しているとのことなので、このあたりは今後の対応に期待です。

TwonkyManager

また、ビデオモードではネットワーク上のデジタルレコーダ内のデータも閲覧可能です。が、DTCP-IP(録画したデジタル放送をネットワーク上の他の機器で再生するための規格)に対応していないため、一覧には録画されているタイトルまでは表示できますが、その動画を再生することはできません。これができるならホームネットワークを使いたい、というユーザーは多いでしょうが、デジタル放送の著作権保護は日本独自規格なので、対応の望みは薄いかな・・・期待はしたいですが。

こういう感じで、確かにホームネットワークの扱いをラクにしてくれそうな統合型ソフトウェアではあるのですが、設定が分かりにくかったり、「不明なエラーが発生しました。」というような対処のしようが分からないメッセージが表示されたり、「もうちょっと気が利いてくれたらいいのに」と思ってしまう部分が散見されるのも事実です。
特に、設定や操作上で分からないことに対してヘルプで調べようと思っても、

TwonkyManager

ヘルプは情報量が少ない上に目次形式のみでキーワード検索もできず、そもそも日本語ヘルプの内容が旧バージョン(1.1。使っているバージョンは 2.0.4 なのに!)という時点で、全然親切じゃありません。
DLNA 自体が小難しい概念だし、TwonkyMedia はあまりにも多機能なアプリなので少し難解なのは仕方ないと思いますが、こういう周辺情報だったり、英語しかないダウンロードサイトだったり、そういう部分の整備がまずは重要だと思います。>パケットビデオさん

話を少し元に戻すと、PC 版 TwonkyManager に付属してくる「TwonkyBeam」は、こんな感じで Web ブラウザに機能を追加してくれます。

TwonkyBeam

ブラウザ上で再生している映像・静止画・音楽などをネットワーク上の MDR に「BEAM」(送り込むことをビーム送信に喩えている)することが可能。
ふつう、インターネット上のコンテンツを例えばテレビで表示したいと思ったら、テレビに内蔵されている Web ブラウザ(これがまた、操作性が悪かったり対応していないファイル形式があったりして、使い勝手が良くない)を使うか、PC でいったん保存してからメモリーカードなり DLNA なりを経由しないと表示できませんでした。が、TwonkyBeam を使えば「リアルタイムで変換しながら DMR に勝手に送ってくれる」ので手間が全然違います。ネット上のコンテンツを別にテレビで観たいとは思わないよ、という人もいるかと思いますが、YouTube で見つけた動画を家族や友だちにも見せたい(でも、スマートフォンや PC の小画面じゃちょっと)と思うことってけっこうありますよね?そういうときに活躍してくれそうな機能です。
DMS/DMP として見ると TwonkyManager と同等以上のアプリは他にも存在しますが、私はこの「BEAM」機能こそが Twonky の醍醐味だと思っています。

ということで、次回はこの「Beam」をよりそれらしく使えるスマートフォン用アプリ「Twonky Mobile」についてレビューしてみたいと思います。

■関連エントリー
ホームネットワークの敷居を下げる「Twonky」 -Twonky モノフェローズイベントレポート (1)
デジタルメディアに自由を! -Twonky モノフェローズイベントレポート (2)
私がホームネットワークでやりたかったこと -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (1)

13075-2969-190078

投稿者 B : 14:18 | Home Network | Minpos Review | PC | コメント (0) | トラックバック

2010/11/24 (Wed.)

私がホームネットワークでやりたかったこと -DLNA アプリ「Twonky」レビュー (1)

少し間が空いてしまいましたが、これから数回に分けて Twonky のレビューをエントリーしていきたいと思います。

13075-2969-189598

まずは前置きとして、私が以前からホームネットワーク(DLNA)でやりたいと思っていたことについて。

私は IEEE 802.11b 方式の無線 LAN が製品化され始めた 2000 年頃には、既に自宅に無線 LAN 環境を構築していました(それ以前にも有線 LAN 環境を作っていた)。でもその当時は PC 間でのファイル共有やルータを使った複数 PC のインターネット接続に使用していた程度。それが変わったのは、 2004 年に AirMac Express が出たときです。
AirMac Express を購入して、自宅のネットワークを以下のような構成にしました(図はかなり簡略化して描いています)。

2004 年頃

当時から、iTunes では「他のコンピュータの iTunes ライブラリを操作する」ことができたので、それと AirMac Express の AirTunes(現在は「AirPlay」に改称してますね)を利用して、「母艦である自作機の HDD にある iTunes のライブラリを、リビングのノート PC 上の iTunes で操作して、音は AirMac Express に繋がったステレオセットから出す」という使い方をしていました。
当時から、数千曲単位で音楽ファイルが溜まってきたら、操作はリモコンなんかよりも PC や PDA の画面を使ったほうが遙かに快適と信じていたので、この使い方はまさに「そう、こんな使い方がしたかった!」といった感じで、かなり愛用していました。この頃使っていたノート PC が VAIO U101 で、リビングでリモコン的に使うにはちょうど良いサイズ感だったから、というのもありました。

それが 5~6 年経って、現在のホームネットワークはこんな環境(こちらもかなり簡略化しています)。

現在

リビングで使用する AV 機器の大半が DLNA 対応になり、NAS も導入しました。ただ、子どもが産まれてから音楽は「主にポータブルオーディオで聴くもの」という生活になってしまったこともあって、引越した際に AirMac Express の配線はいったんやめ、音楽に関しては現在は DLNA ベース(楽曲データは NAS に入れてある)でごくたまに使う程度、になっています。
撮影した写真や動画は全て NAS に入れてあるので、リビングでは BRAVIA や PS3 の DLNA クライアント機能で再生することはできるんですが、画面表示までに時間がかかったり、特にデジタル一眼レフで撮った高画素数の写真はリサイズの処理がうまくいかないのか、ギザギザした表示になってしまって美しくないので、DLNA 自体が「年に数度」使う程度の機能になってしまっています。

でも、DLNA でやりたかったのはこんな現実じゃなくて、もっと快適に操作できるはずだったし、表示速度や画質ももっと満足のいくものになるはずと思っていました。そして、以前 AirTunes でやっていたような、「PC やスマートデバイスでコンテンツを操り、ワイヤレスでテレビやスピーカに飛ばす」ということを写真や動画でも同じように、もっと快適にやりたいと思っていました。

そういえば、同じようなコンセプトで「エアタクトシステム」という、世に出るのがあまりにも早すぎた製品もありましたね・・・。

Twonky を使うことによって、今度こそそんな世界が我が家にもやってくるのか?ホームネットワークには既に何度か「裏切られた」私としては、期待半分、不安半分ですが、これからしばらく試用してみたいと思います。

やや余談ですが、私が使用しているバッファローの NAS「LS-WS1.0TGL/R1」の設定画面に、今見ると見覚えのあるロゴがあることに気づきました。

LinkStation mini

この「PVConnect」というロゴは、間違いなくパケットビデオ社のもの。オフィシャルサイトの解説を見ても抽象的すぎて残念ながらよく解りませんが(笑)、おそらくは Twonky ベースのサーバソフトウェアが LinkStation にも採用されているということでしょう。そういえば、セミナーの中で「PV 社のソフトウェアは既に NAS をはじめ数多くのネットワーク機器で採用されている」という話を伺っていたのでした。

ちょっと調べてみると、「http://[NAS の IP アドレス]:9050/config」という URL に Web ブラウザからアクセスすると、LinkStation の TwonkyServer の設定画面に直接アクセスできるようです。

TwonkyMedia Server

これが設定画面。どうやら LS-WS1.0TGL/R1 には、TwonkyMedia Server(TwonkyServer の旧名)の Version 4.4.4 が搭載されているもよう。
これから試用するぞ!と思っていた Twonky でしたが、実は既に使っていた、というオチでした(笑)。でも Twonky には PC 用や Android 用アプリもあり、単に DLNA サーバとして以上に使えそうな機能が満載。今後、そのあたりを中心にレビューしていきたいと思います。

■関連エントリー
ホームネットワークの敷居を下げる「Twonky」 -Twonky モノフェローズイベントレポート (1)
デジタルメディアに自由を! -Twonky モノフェローズイベントレポート (2)

13075-2969-189598

投稿者 B : 22:04 | Home Network | Minpos Review | PC | コメント (0) | トラックバック

2010/11/18 (Thu.)

デジタルメディアに自由を! -Twonky モノフェローズイベントレポート (2)

13075-2969-188723

昨日に続いて、パケットビデオ社の Twonky モノフェローズイベントのレポート記事をお送りします。

パケットビデオ / Twonky™

今回のイベントには一名、パケットビデオ社外からのゲストが招かれていました。この blog を読んでいる方であればもう説明の必要はないであろう、フリーランスジャーナリストの本田雅一氏。

フリーランスジャーナリスト 本田雅一氏

私が Twonky を知ったのも本田さんがきっかけなので、ご本人から Twonky やホームネットワークに関するお話が聞けるというのは、貴重な体験でした。
その本田さんから、『GET FREEDOM/メディアを楽しむ自由をその手に』というタイトルで、問題提起的なスピーチを伺ったので、私なりの解釈を交えながらレポートしていきます。

GET FREEDOM

「デジタルメディア楽しんでる??」・・・のっけから、大きな、だけどとても身近な問いかけ。

今や、動画も音楽も写真も、私たちが日常的に目や耳にするコンテンツは、ほとんどが当たり前のようにデジタル化されています。これによって高いクオリティのコンテンツを、地域や場所によらず誰でも楽しめるようになりました。この blog の読者層であれば、デジタルメディアやそれを表示/再生するデバイスのおかげで文化的に豊かな生活を送ることができている、という方は多いんじゃないでしょうか。もちろん、私もその一人です。

でも、「利便性」という観点では、アナログだった時代に比べて本当に便利になったのでしょうか?

GET FREEDOM

例えば、(今回は DRM の話は本質ではありませんが)「iPod からウォークマンに買い換えたら、iTunes Store で購入した DRM つきの楽曲が転送できなくなった」。物理的に CD というメディアでの楽曲販売が主流だった時代であれば、どのお店で買った CD でもテープや MD、iPod どんなメディアにでもダビングができたはずです。
「ハイビジョンの動画ファイル、同じ『.avi』という拡張子なのに、この機器で片方は再生できるけど、もう一方は再生できない」。よくよく調べてみたら、コンテナフォーマット(ファイル形式)は同じ AVI だけど、コーデックが違う。コンテナとコーデックって何?
「『DLNA』『HDMI』『i.LINK』。違うメーカーの機器同士を繋いでみたけどなぜか認識しない」。業界標準の方式のはずじゃなかったの?

デジタルメディアやデジタル機器にまつわるこんな話は枚挙にいとまがありません。世間一般から見ればこの手の知識をかなり持っているほうだと思われる私でさえも、こういう部分で困ったことは数知れず。しかも、年々新しい規格やフォーマットは増える一方、常に勉強していなければついていけない世界でもあります。

ここ 10 年のテクノロジーの進歩により、デジタル化、ネットワーク化、ワイヤレス化により、10 年前では想像もできなかったほど便利になった反面、上記のように逆に不便になったこともたくさんあります。
そして、そういうことに詳しくない人にとっては、それらは「よくわからないもの」というイメージで定着してしまい、一方で詳しい人にとってはそれらの技術や知識は「当たり前」というギャップが広がっているのが残念ながら現状。詳しい人からすると当たり前すぎて、それが使いづらいことに気づいていない部分もあるはずです。

本田さん曰く、そういう認識の格差が拡がって、「終わってしまった」のが現在の DLNA ではないか、と。確かに、DLNA という規格が起ち上がって 6 年、実は多くの機器に DLNA 機能が標準搭載されるようになった反面、DLNA といえば「ああ、あの繋がらないやつね」とか「あのなんだかよくわからないけどめんどくさいやつ」とか「できれば避けて通りたいもの/なくても困らないし」みたいな認識が多くの人についてしまっているのは事実でしょう。そして、既についてしまったネガティブイメージを今から覆すのは、ゼロから築き上げるよりもむしろ難しかったりします。
このあたりの歴史をずっと追いかけてきて、ご自宅にもホームネットワーク環境を構築されている本田さんにズバリこう言われてしまうと、非常に重いものがありますね・・・。

GET FREEDOM

でも、「デジタルメディアを自由に扱いたい」という欲求はきっと根源的にあって、本当はこの動画はテレビの大画面で観たい、この音楽はリビングのステレオで聴きたいけど、面倒だから/できないからネットワークに繋がっている PC やスマートフォンの画面や音質でガマンしてしまう、というのは誰もが一度は経験したことがあるはずです。
昔だったら、それは赤白黄色のケーブルで繋げばそれだけで(クオリティはさておき)映って音が出たものでしたが、それがデジタルとワイヤレスやネットワークに置き換わった瞬間、簡単にはできなくなりました。デジタルメディアもワイヤレスもネットワークも、目で見て物理的にわかる世界ではなくなったことが、大きな原因の一つでしょう。

でも「デジタル化、ネットワーク化で不便になった」で止まっていては進歩はありません。本来、アナログ時代よりも便利に、より豊かにしてくれるはずだったデジタル技術は、もう一度本来の役割を果たすべきです。

GET FREEDOM

「クオリティの高いコンテンツや情報を、もっと簡単に、便利に、自由に扱いたい」。この欲求はこれからもきっと萎むことはないでしょう。デジタル化でクオリティや伝達のスピードが向上することで、むしろ従来以上にその欲求は強くなるはずです。

デジタルメディアを楽しむ自由をもう一度、この手に。

この話は DLNA に限ったことではなく、コンテンツの互換性だったり DRM だったり、様々な分野に言えることではありますが、少なくともホームネットワークに関して言えば、DLNA は技術として悪いものではなく、ちゃんと使いこなすことさえできれば非常に便利な規格。ただ、規格書の解釈の違いやメーカー側の事情などによって、使いこなすにはユーザー側の努力が必要だったり、結局同一メーカーの機器で揃えなくてはならなかったりするのが現状です。
でも、DLNA を使いこなす上で最もハードルになる機器ごとの特性の違いを柔軟に吸収し、またネットワーク内で分散しがちなコンテンツをまとめて見せてくれる仕組みがあれば、ユーザー側の負担は軽減され、ホームネットワークのあるべき姿である「誰でも簡単に扱える」という状態に一歩近づくのでは?という発想でおそらく作られたのが、Twonky というソフトウェア。

ここで、本田さんからの提案。

GET FREEDOM

誰もがやりたいと思っていること(持っているいくつものデジタル機器を繋いで、自由にデジタルメディアを楽しむこと)を、シンプルに、当たり前のように実現できる未来。特別な知識やスキルを持っていなくても、それができる世界。それはハードウェアやソフトウェア、コンテンツの提供側だけではなく、もしかしたらこうやって blog でそれらの技術に言及する我々の意識も変えていく必要があるのかもしれません。

Twonky はまだまだ起ち上がったばかりのソフトウェアで、外野的な立場から各機器間の接続を仲介する、無名のソリューションかもしれません。でも、そういう小さなものであっても、それによっていろいろな機器が一度繋がり始めれば、世の中が変わってくるはず。全てのデジタルデバイスが対等な立場で繋がりあって、全てのデジタルメディアが普通に再生できるようになれば・・・今度こそ、私たちが思い描いていたような未来がやってくるかもしれません。

Twonky が将来的にそのような「誰でも当たり前に使える」世界を目指しているのであれば、私も誰にでも理解できるような表現を心がけてみようと思います。私は基本的に文章がクドいのでどこまで簡単にできるか分かりませんが(笑)、Twonky を自宅の環境で試してみた暁には、そういった観点で使用感をまとめてみるつもりです。

13075-2969-188723

投稿者 B : 23:35 | Home Network | Minpos Review | PC | コメント (0) | トラックバック

2010/11/17 (Wed.)

ホームネットワークの敷居を下げる「Twonky」 -Twonky モノフェローズイベントレポート (1)

13075-2969-188594

先日、レビューサイト「みんぽす」のモノフェローズ(登録ブロガー)向けイベントに参加してきました。
この手のブロガーイベントに参加するのはかなり久しぶり。そしてみんぽすのイベントにモノフェローズとして参加するのは初めてです。私の友人にはモノフェローズに参加している人が多く、イベントレポートや商品レビュー記事もよく読みますが、いざ自分で書くとなると少し構えてしまいますね(笑。

さておき、本題。今回のイベントはこの企業で開催されました。

パケットビデオ / Twonky™

PacketVideo

とはいっても社名を聞いたこともないという人がほとんどではないでしょうか。私も、つい先月の CEATEC で、フリーランスジャーナリスト・本田雅一氏のパネルディスカッションで同社のソフトウェアが紹介されたことで初めて知ったくらい。で、このときからパケットビデオ社の「Twonky」というホームネットワーク(DLNA)用ソフトウェアが気になっていました。

パケットビデオ・ジャパン社長 高木和典氏

この方が、パケットビデオ・ジャパン(株)の代表取締役社長、高木和典氏。今回は主に高木氏からパケットビデオ社と「Twonky」について、お話を伺ってきました。

PacketVideo

まずはパケットビデオという会社の成り立ちから。

「パケット」というと多くの方は携帯電話のパケット通信を思い浮かべると思いますが、そのものズバリ、当初は MPEG-4 関連の技術を軸に携帯電話向けの動画プレイヤーアプリなどの開発を行っていたとのこと。MPEG-4 といえば今でこそ AVCHD に代表されるハイビジョン動画用圧縮フォーマットのイメージがありますが、昔はポータブル機器向けの規格でしたね。
この事業立ち上げを行うために、動画のネットワーク配信に耐える 3G 通信インフラが世界で最も整っていた日本市場に目を向けたのが、パケットビデオ・ジャパンの生い立ちだそうです。

ここで、勘のいい人ならそのケータイ用の動画再生ソフトのメーカーがなぜホームネットワーク?という疑問を持つと思いますが、話はここから。
その後、PV 社のソフトウェアはいくつかの国産携帯電話端末に採用されたそうですが、当時の携帯電話のソフトウェアは基本的に組み込み。機器間でのコンテンツの互換性も低く、これでは当初の「MPEG-4 ベースの動画コンテンツを誰でも気軽に楽しめるようにする」という目的を達成できない!ということで、「Twonky」の開発元である米 TwonkyVision 社を買収し、DLNA と携帯電話を中心とするモバイルデバイスを繋ぐことを考えました。

そして、この 10 月にリリースしたのが DLNA 対応の Android アプリ「Twonky Mobile」です。

PacketVideo

「Twonky」には Android アプリだけでなく PC 版もあり、また先日発表になった docomo のフィーチャーフォン冬モデルの一部にも(Twonky の名前は出てこないものの)搭載されているとか。
PV 社がこれらのソフトウェアで実現したいと考えているのは、視聴したいコンテンツが家の中のどこにあるかを(場合によってはインターネット上のどこにあるか、も)意識することなく、なおかつデバイスに縛られずに、その時々で最適な端末で楽しむことができる世界。例えばこないだ撮った写真は PC の HDD の中に保存したから PC で見よう、とか、録画したテレビ番組は BD レコーダに入っているからリビングのテレビで観よう、とかいうことを考えずに、PC の HDD の中に入っている写真をリビングのテレビで観たり、録画したテレビ番組を寝室のタブレット端末で観たりすることができる世界のことです。

ん?でもそれって PC や家電の世界ではもうずっと昔から言われてることですよね。
実は今でも、技術的にはほぼ実現できているんです。でも、手順が難しかったり、面倒くさかったり、制限事項がいろいろあったり、メーカー間で微妙に互換性がなかったり、とにかくもろもろの理由で、ごく限られた人々しかその利便性を享受できていないのが現実だと思います。

私も自宅にはネットワークを完備して DLNA の環境も構築してはいますが、コンテンツによっては特定機器の組み合わせで再生できなかったり、肝心の UI が使いにくかったりで、必ずしも日常的に活用できているとは言えない状況。

Twonky が「できること」も、

Twonky

とか、

Twonky

とかいった感じで、基本的には DLNA が示してくれた世界と何ら変わりはありません。

そりゃそうです、Twonky 自体は普通よりちょっと賢い、というか気がきく DLNA サーバ/クライアントソフトウェアに携帯電話やスマートフォンとの親和性を持たせたものにすぎないのだから。

Twonky

とか言ってしまうと全然たいしたことのないものに聞こえてしまうかもしれませんが、この「気がきく」というところが重要。というか、普通の DLNA 対応機器が気がきかなさすぎなわけですが(笑。

Twonky は DLNA 機器の仲介役、あるいは通訳のような位置づけで、Twonky 自身が持っている各 DLNA 機器の対応フォーマットデータベースを見ながら、普通であれば再生できないような組み合わせ(例えば WMA の動画を WMA 非対応のテレビで再生するなど)でも、Twonky が自動的に再生側で対応しているフォーマットに変換しながら送出してくれるため、ユーザーは各ネットワーククライアントの仕様を気にせずにコンテンツを再生すれば良いわけです。
また、コンテンツはホームネットワーク上に限らずインターネット上のものに対しても有効で、例えば YouTube のコンテンツをスマートフォンでストリーミングで受けながら、リアルタイムにプロトコル変換してテレビにストリーミング再配信するようなこともできます。つまり、分かりやすく言えばスマートフォンや PC があれば、YouTube に対応していないテレビが(DLNA のレンダラー機能に対応している必要がありますが)YouTube 対応になるようなもの。

また、複数の PC や NAS 等にコンテンツが分散しているような場合でも、Twonky がネットワーク上に存在するコンテンツを一覧表示してくれるため、あの動画どこに入れたっけ・・・と探す手間も省けます(最近は他の DLNA サーバソフトウェアでも同様のコンテンツコレクション機能を持っていることはありますが)。
今後、それほど PC・AV マニアでなくても自宅に PC やレコーダ、ゲーム機、NAS、無線ルータなど DLNA サーバ機能を持った機器を複数所有する家庭が増えていくでしょうから、こういった機能はそれらの機器を有効活用できる可能性を広げてくれそうです。

そして Twonky で最も面白いのは何と言っても「BEAM」機能。再生したいコンテンツをスマートフォンや PC の画面で選び、実際の再生はテレビやオーディオ機器に「BEAM」(まさにコンテンツがスマートフォンから再生機器にビーム送信されているイメージ)で送ることができるのです。

Twonky

↑の写真は、スマートフォンでまさにイベント会場の動画を撮影し、テレビ(レンダラー対応のもの)に BEAM して再生しているところ。今までならば、スマートフォンで撮ったビデオはスマートフォンをテレビに繋ぐなり、メモリーカードをテレビに挿すなりしないと再生できませんでしたが、そんな手順を踏まなくてもワイヤレスで瞬時に送れるというのは画期的。
技術的にはレンダラー機能を使っているのでそんなに目新しいわけではありませんが、コンテンツのフォーマットを意識しなくても良いことと、スマートデバイスをあたかもリモコンのようにして AV 機器を操れるのが面白いじゃないですか。こういう使いかた、やってみたいとずっと思ってました。

多くのユーザーにとって夢の世界を描いてくれていたはずの DLNA も、実際に使ってみるとなんだかんだで使い切れず、厳しい現実を見せつけられていたのが、Twonky によってようやくその夢が「現実」になるときが近づくのかもしれません。諦めていたホームネットワークが、ようやく一般ユーザーのものになる・・・かも。
とはいえ、正直なところ UI や操作性についてはパッと見でもまだまだこなれていない印象はありますが、少なくともその可能性は垣間見えた気がしました。実際のところどうなのか?簡単で便利で使いやすくて楽しいのか?は、追って自宅の環境で Twonky を使って評価してみたいと思います。

でもその前に、イベント後半のレポートに続きます。

13075-2969-188594

投稿者 B : 23:59 | Home Network | Minpos Review | PC | コメント (0) | トラックバック