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2019/07/20 (Sat.)

天気の子 [IMAX] @T・ジョイ PRINCE 品川

公開初日の夜に早速観てきました。

天気の子

天気の子

新海誠作品って基本的には自分に合わないと思いつつ、初めてそこから逸脱した『君の名は。』のフォーメーションで作った新作ならば今回も期待して良いに違いない、と。いつも観てるような映画と明らかに客層が違うのが、三年前に社会現象になった監督の新作だけのことはあるなあ、という感じ。

上映が始まってみると、冒頭どころか直前の CM から始まるタイアップやプレイスメント(劇中にスポンサーの商品を登場させること)の嵐。これが商業的に成功するということか...と思い知らされます。
ただし見ようによってはプレイスメントは最初の 20 分できっちり終わり、それ以降は(要所要所では出てくるけど)基本的には物語に集中させる作りになっているのは「スポンサーのための時間はここまでで終わりですよ」と線引きしているようで、その点では好感が持てます(笑。しかしあまりにも金の匂いがしすぎたせいで、この 6~7 月に関東で異常なほど雨が続いたのもこの映画のプロモーションの一環だったのでは?などと訳の分からないことを考えてしまう始末(ぉ

ストーリーについては、私は『君の名は。』よりはこちらのほうが好きかな。空が晴れているだけで気分が明るくなるというのは本当にその通りだと思うし、その感覚を説得力のある映像で伝えてくるところは新海誠の真骨頂という感じ。前作のようなシナリオ上の仕掛けはありませんが、その分二人のラブストーリーにフォーカスしたシンプルな構造が逆に良かったです。
正直に言えば主人公・帆高と陽菜の家族に関する描写が(本編に登場する陽菜の弟の凪を除いて)希薄で、彼らの行動の動機がちょっと弱いのは気になりました。でもそこは物語をシンプルに二人の恋の物語にするためにあえて省略したのだろうな、と解釈することにしました。

後になって改めて考えるとシナリオはけっこう雑で、拳銃のくだりとか水の魚とか重要そうに見えて投げっぱなしな伏線は少なくないし、逆に陽菜が何を思って雨を終わらせようとし、帆高が何を考えて「晴れのほうがいい」と答えたのかなど先述の家族描写も含め心理的な伏線の配置が薄い。クライマックスに物語的なカタルシスがなく、終盤は映像と音楽の力で強引に感動させに来ている感があったのは事実です。
まあ、新海誠に丁寧な心理描写をさせるといつものグジグジした感じになってしまうだろうから、作品の構造としてはこれで良かったのかもしれませんが。

「この人と一緒にいられるなら、世界がどうなろうと知ったことじゃない」的な一途なラブストーリーはしばらく観ていなかったように思うので、終映後にこういう爽やかな気分に浸れたのは久しぶり。単に私がそういう作品を観る年代じゃなくなっただけかもしれませんが。
でも、近年は若い世代でも全体のために我慢することが求められがちで、それが社会としての閉塞感や諦観に繋がっているとも思うのです。それでも若いうちくらいは向こう見ずでもいいからもっと自分たち自身の幸せに対して我儘になっていいんじゃない?そういう個々の幸せの総和が社会としての充足に繋がっていくんじゃない?と背中を押すメッセージが込められた映画だと感じました。小さな世界でもいい、家族だろうと恋人だろうと仕事だろうと、自分の目に見える誰かに必要とされる実感こそ尊い。

前作が売れすぎたために賛否両論あるでしょうが、私は好きですよ、この作品。

投稿者 B : 21:00 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2019/06/24 (Mon.)

ガールズ&パンツァー 最終章 第 2 話 [極爆] @シネマシティ

立川方面に行く用事があったので、ついでにシネマシティでガルパン最新作を観てきました。私もいつの間にかすっかりガルパンおじさんです。

ガールズ&パンツァー 最終章

ガールズ&パンツァー 最終章

ガルパンはいいぞ、で済ませるのもアレなので、あまりネタバレになりすぎない範囲でちょっと感想を書いておきます。

今回は第 1 話の続きで BC 自由学園との後半戦。前作では BC 自由学園の芝居に完全に翻弄されていた大洗女子が難局を乗り切り反攻に出る局面です。騙し討ちには騙し討ちを...という具合に得意のゲリラ的戦法で攪乱に出るのが大洗らしいところ。終盤はガチンコの撃ち合いもある激しい戦車戦が繰り広げられます。戦闘終盤のやり合いはかなりケレン味があって良かったなあ。
また BC 自由学園の隊長マリーが第 1 話では鷹揚な態度でケーキを食べているだけだったのが、第 2 話ではいろんな意味で見せ場が多い。キャラ立ちという意味ではあのダージリン様を超えてきたんじゃないでしょうか(笑。戦車戦パートで時折見せるリーダーらしい動きとギャグパートでのとぼけぶりの対比がすごくて、最終章からの新キャラでありながらガルパンが持つ「甘じょっぱい」世界観を凝縮したようなポジションだと思います。

大洗 vs. BC 自由学園の後は二回戦。第 2 話でも二回戦の途中までで「つづく」になります。どこと戦うかは劇場でのお楽しみということで伏せておきますが、対戦相手の名前を聞いたときに想像したのとは全く違う試合になっていて手に汗握る。シリーズ初の夜戦、かつ登場する戦車にも新機軸があって、今までのパターンとはまた違います。
二回戦の途中まで観て気付いたのは、テレビシリーズは無名の弱小校である大洗が奇策や奇襲を駆使して強豪校をどう倒すかでドラマを作っていたのに対して、最終章では既に王者である大洗がライバル校の挑戦を受けて立つ構図にすることで、ライバル校側の成長を描いているということです。まあ一度上り詰めてしまったらもう一度同じ構造の物語は作れないのがスポーツものの宿命だからこういう作りになるのは分かりますが、本作のラストシーンであの学校が見事なまでに変わることができた描写には、ちょっと感動してしまいました。

なお第 3 話については公開時期も含めまだ何も発表されていませんが、二回戦の決着が付いた後の三回戦の相手は継続高校では?と予想しておきます。

シネマシティ

なお今回視聴したハコはシネマ・ツーの b studio。G 列中央ちょい右というポジションで、スクリーンは見上げずに済む位置だけどあと 1~2 列前のほうが映像の迫力はあるかなあという印象。ただ音響的には G 列の方が中央に近い分サラウンド感は自然でしょう。
前作鑑賞時に利用した a studio とは機材の構成が違っていて、席数が少ない分 b studio のほうがスピーカは大人しめ。代わりにサブウーファはなんと 6 発(!)もあり、a studio に負けない勢いの重低音が腹底に響きました。

シネマシティの極上爆音上映は戦闘シーンは本当に迫力で、まるで戦車の主砲の口径がそれぞれ 1~2 段階ずつ上がったかのようなパワフルさがあります。また爆音なのに台詞等はボワつかずクリアに聞こえていいですね。やっぱり立川は遠いけどわざわざ観に来る価値がある。第 3 話上映の際にもなんとか機会を見つけて立川まで来れればと思います。

投稿者 B : 23:59 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2019/06/15 (Sat.)

河森正治 EXPO に行ってきました

東京ドームシティで開催中の河森正治 EXPO を見に行ってきました。

河森正治40周年企画 『河森正治EXPO』

河森正治 EXPO

マクロス関連の展示会には何度か行ったことがありますが、他の作品を含む河森正治監督自身の展示会はこれが初めて。プロデビュー 40 周年を記念したイベントということで、監督作品以外にもメカニックデザイン等で参加した作品から企画倒れになった作品まで(!)膨大な量の河森作品に触れることができる展示会になっています。私はリアルタイムではガンダムよりマクロスに触れて育った世代だけに、これは見に行っておきたかった。

河森正治 EXPO

入場してすぐのところにあるドーム型シアター(以前お台場にあったガンダムフロント東京の DOME-G を一回り小さくしたような感じ)で本イベント用の河森作品クロスオーバー映像(入場料とは別料金!)を観たらメインパビリオンに進んでいきます。
メインパビリオンは主に立体物中心の展示。実寸大とはいかないまでも大型(3m 弱くらい?)の立像が圧倒してきます。こちらは『劇場版マクロス F』のクライマックスに登場した YF-29 デュランダル、個人的には劇中で長く活躍した VF-25 メサイアを見せてほしかったけど、ディテール含めこだわりを感じる可変戦闘機の立体物を目にすると感激します。

河森正治 EXPO

こちらはアクエリオン EVOL の立像。河森作品といえば変形ロボですが、中でも三体が数パターンで変形合体するアクエリオンはバルキリーとはまた違った河森メカの真骨頂だと思います。これを机上の想像や CG によるシミュレーションではなくまずレゴブロックで試作検証するところから作る、というのがまたすごい。なおレゴブロックによる試作は過去のイベントでも展示されたことがありましたが、今回は初代マクロスの制作時にバルキリーの可変構造検討のために手作りしたペーパークラフト(!)が展示されていて、これまたのけぞりました。

河森正治 EXPO

ニルヴァーシュ(エウレカセブン)の立像の脇にさりげなく展示されていた AIBO ERS-220。子ライオンがモチーフだった ERS-210 をベースとしたバリエーションモデルですが、これもまた河森デザイン。ロボットをあくまでロボットとしてペット化するという概念は他の AIBO とは一線を画しており、また河森メカらしいフェイスデザインも相まって当時も強いインパクトを受けたのを憶えています。
なにげにこの展示会ではこの AIBO がいくつもの場所でフィーチャーされていたのが印象的でした。河森メカの中でも玩具ではなく実際に動作するロボットとして製品化されたのは今のところ唯一だし、河森監督的にもやっぱり思い入れあるんですかね。

河森正治 EXPO

歴代バルキリーのプラモデル。スケール違いやバリエーションモデルも含まれるとはいえ、これ全部独りでデザインしたものなんだからすごい。ガンダムだって作品によってデザイナー違いますからね。

なおこれらのプラモはバンダイをはじめとして現行キットばかりだったように見えますが、個人的には初期マクロスのプラモを販売していたアリイやイマイのものも見たかった。

河森正治 EXPO

VF-1 の着陸シーケンスを立体でコマ送り風に再現した展示。DX 超合金(ですよね)を並べただけといえばだけながら、きりもみしながらファイター→ガウォークに変形して着陸後にバトロイドになる一連の流れはテレビ版のオープニング映像を思い出させて、それだけで胸が熱くなります。

河森正治 EXPO

それまでほぼスーパーロボット系のアニメ・特撮や玩具にしか触れてこなかった自分にとって、ほとんど実在する戦闘機と同じ飛行機が二足歩行ロボットに変形するというのは子ども心にも衝撃でした。しかも VF-1 のデザインはバトロイド形態はさすがに時代を感じるけどファイターとガウォークは今見ても格好いい。プラモめっちゃ欲しかった記憶があります(確か一、二個だけ買ってもらえた)。

河森正治 EXPO

個人的にマクロス最大の発明だと思っているのがこのガウォーク。ファイターとバトロイドに加えて中間的なこの形態があることで、劇中でのバルキリーの芝居に広い幅が持たせられていると思います。

河森正治 EXPO

立体物の中でも圧巻だったのがこれ。アクエリオンの「無限拳」を河森作品関連のプラモの空き箱で作ったという展示です。河森監督自身はこれも立像化したかったそうですが、予算の都合で空き箱で組み立てることになったとのこと(笑。でも普通に立像化するよりもこういう展示のほうが、河森作品にある「一見馬鹿っぽいことでも全力でやりきる」という作風に通じるところがあって、なんかイイ。その対象がこの作風の真骨頂ともいえる無限拳なのがまたイイ。

河森正治 EXPO

有料の音声ガイドは河森監督、声優の東山奈央さん(『マクロス Δ』のレイナほか)、中村悠一さん(『マクロス F』のアルトほか)の 3 パターン。私はせっかくだから河森監督バージョンを利用しました。思っていたよりも(?)テンション高めのトークで楽しめましたが、3 バージョンで音声ガイドが聴けるポイントが違っていて、これなら追加料金払ってでもいいからあと 2 パターンも聴いてみたかった。

河森正治 EXPO

河森監督のデザイン画や絵コンテが展示されているクリエイティブパビリオンは残念ながら撮影禁止だったので、メインパビリオンに展示されていたキャラクターフィギュアの写真でお茶を濁します(ぉ。

このコーナーがまたメインパビリオン以上の物量で、圧倒される数の資料が壁中に貼られています。今までこういうアニメ系の展示会には何度か来ていますが、ここまでの物量があるイベントは初めてではないでしょうか。
中でも驚いたのは、マクロスシリーズでの作曲家への依頼メモにかなり具体的な内容が記載されていたこと。例えば『虹色クマクマ』のオーダーでは「魔法少女になったランカが不気味な(けど可愛い)モンスターを倒す」「アイテムとして鍵を持っている」「サビは観客と一緒に歌う」「リラメル・ララメル・ランルララン」「オープン・ランカ」など最終的に楽曲に取り入れられ、映像化されたキーワードに満ちています。マクロスシリーズの楽曲は半分は監督自身が作ったようなものだと言えるし、発注する時点で既に映像のイメージが出来上がっていてそれを逆算する形で必要な部品を集めていくスタイルで作品を作っていることがよく分かります。これはメカニックデザインや世界観のデザインについてもそうで、頭の中に一つの世界が出来上がっているという点では先日行ったシド・ミード展で触れたのと似た種類の衝撃を感じました。

河森正治 EXPO

河森監督といえば『機動戦士ガンダム 0083』にもメカニックデザインとして参加し、ガンダム GP01 と GP02 およびアルビオンのデザインを担当したことでも知られていますが、終盤に登場した GP03 だけはカトキハジメデザインだったのでした。が、この展示会の会期後半ではボツになったという河森版 GP03 のデザイン画が初公開されていて、私はこれを見るのを大きな楽しみの一つでした。
コーナー全体が撮影禁止だったため写真はありませんが、河森版 GP03 はまさかの「ネオ・ジオング」型!ネオ・ジオングも初登場時には想像の斜め上で驚きましたが、その二十年以上前にそういう斜め上の提案をしていたのが河森監督らしい(笑。

河森正治 EXPO

ここから写真撮影が再び OK になります。河森監督が若い頃にやっていた「大量のロケット花火を一斉に発射する遊び」の再現展示。こんなのまで大真面目に作り込んで展示する河森ワールド(笑。
でも後に板野一郎氏とこの話で盛り上がり、マクロス名物とも言えるミサイル一斉射「板野サーカス」に繋がるわけですから、貴重なエピソードです。ロケット花火のこの軌跡、まさに板野サーカスですよね。

河森正治 EXPO

ちなみに私は河森作品はマクロスシリーズとアクエリオンシリーズくらいしか観ていないんですが、メカニックデザイン等まで含めると「こんなものまで!?」と驚くほど数多くの作品に関わっていることに改めて気付きました。例えば河森監督がマクロスの前に仕事として関わったタカラ(現タカラトミー)の『ダイアクロン』、これは後にアメリカに渡ってあの『トランスフォーマー』シリーズに続くわけですが、この初期のメカデザインを二十代前半の河森監督が手がけていたとは!私、これ幼稚園くらいのときに持ってました(笑。そんな時代からお世話になっていたのか...。

河森正治 EXPO

高校時代の同級生に美樹本晴彦氏、細野不二彦氏、大野木寛氏という錚々たるメンバーに恵まれ、そのうち美樹本氏・大野木氏とともに『マクロス』を手がけることになるわけですからすごい話です。

またガンダムの前にガンダム的な世界観のロボットマンガを描き、ガンダムの同人誌まで作った上で『0083』にも参加するほどガンダム(とそれに近い世界観)を愛した河森監督ですが、『マクロス』の開始直前まで富野由悠季監督とともに『アステロイドワン』という作品の企画を進めていたそうで、その作品に関連する資料の展示もありました。その作品がもし世に出て成功していたら現在のように『ガンダム』と『マクロス』が長く支持されるのとは違った世界線になっていたかもしれませんが、観てみたかったなあ。

河森正治 EXPO

なお本イベントの展示には展示パネルに河森監督が直筆でいろんなコメントを記入していて、それを読むのも楽しみの一つ。加えてところどころに各作品に参加した他のクリエーターや声優さんのコメントやイラストも書かれていて、本当にみんなで楽しんで作り上げている展示会であることが伝わってきます。

河森正治 EXPO

また最近のニュースでは、AIBO 以来 18 年ぶりのソニー製品としてスマートウォッチ「wena wrist」のデザインを手がけることも発表されています。私は wena wrist には興味がありつつも自動改札を通るのに左手を差し出さなくてはならない(自動改札機の読取機は右側)というのが引っかかって今まで手を出さずにいたのですが、最近腕時計に興味が湧いているところでもありデザイン次第では河森モデル、買ってしまうかもしれません。

河森正治 EXPO

そして『マクロス Δ』の続編として完全新作となる『劇場版マクロス Δ 絶対 LIVE!!!!!!』の制作も発表されています。前作に輪をかけてもはやワルキューレが主役、場合によってはデルタ小隊も VF も出てこなくても可笑しくないくらい音楽を中心にしていることが伝わってきます(笑。ただ一つ気になるのは、今までのワルキューレの楽曲はタイトルや詩にメンバー五人にかけた「5」というキーワードを多用しており、最新曲『チェンジ!!!!!』でも!マークは五つだったのが、今回は「LIVE!!!!!!」にかかる!が六個。これはワルキューレに新メンバーが追加される予告なのではないでしょうか?とはいえ今から全くの新規キャラをメンバーに加えるとも考えにくいし、ここはひとつ旧劇場版で見せ場の少なかったミラージュがワルキューレ入りする説に一票入れたいと思います。過去にワルキューレ Ver. のフィギュアも作られたことがあるみたいですし(笑。

...と、このへんの写真を撮っていたところで、奥の方がやけにザワついてる。なんかあるのか?と振り向いてみたところ、

河森正治 EXPO

まさかの河森監督ご本人!!!!!

どうやら海外メディアの取材対応のタイミングに偶然出くわしたようですが、これにはさすがに取り乱しました。過去にイベントですごい遠くからご本人を見たことはあったんですが、今回は至近距離ですからね...。ほんの数分間の出来事でしたが、本当に行って良かった。

それにしても超おなかいっぱいになるイベントでした。絵コンテやデザイン画の写真撮影 NG だったのが本当に残念なくらいの展示物量には圧倒されました。全体で一時間ちょっとくらいのつもりで見に行ったところ、優に二時間は経っていたという(;´Д`)。河森作品のファンならば半日空けるつもりで見に行くべき展示会だと思います。

投稿者 B : 22:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2019/02/12 (Tue.)

劇場版シティーハンター @TOHO シネマズ新宿

わざわざ新宿まで観に行ってきました。

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

私は別に熱心なファンというわけではないんですが、ジャンプ黄金期世代なのでアニメはなんだかんだリアルタイム(田舎だったのでたぶん遅れネット)で観ていたし、原作もジャンプ本誌やコミックで全部読んでました。コミックはかかりつけの医院とか高校時代によく行ったお好み焼き屋とかに置いてあって読んでいたような記憶が。だから二十年ぶりにアニメ化、しかもほぼオリジナルキャストでの制作と聞いて懐かしくなり、興味を持ちました。

ストーリーはある美女から依頼を受けた冴羽獠が悪者から依頼人を護りつつ、途中にお色気シーンや香にハンマーで殴られたりなんのかんのあって悪役を倒して事件を解決する、といういつもの『シティハンター』。原作連載当時とは時代が違うため登場するツールが現代に合わせて変更されてはいるものの、大枠はフォーマットを踏襲していて観ているこちらとしても安心感があります(笑。いいシーンでは必ず旧作のテーマ曲がかかるところがものすごく郷愁を誘う。時代設定は現代なのに、空気感が完全に '80 年代後半のそれでした。

シティハンターといえば「XYZ」の伝言板。私が学生時代に上京してきた頃にはまだかろうじて伝言板は現役だったけど、携帯電話の普及に伴いどの駅からも姿を消して久しい。獠への依頼が果たしてどのような形で行われるのか...と思ったら、意外な形で伝言板のモチーフを使っていてちょっと感心してしまいました。

今回の(今回も)舞台は新宿。リアルタイムでテレビシリーズを観ていた頃には「漫画やアニメの中の世界」に過ぎなかった新宿も、東京に住んで二十年経った目で見ると「自分のよく知っている風景の中で獠や香たちが動いている」ように見え、何とも言えない気分になります。特に今作はサブタイトルに「新宿」とあえて入れていることから、特に意識的に新宿の名所を舞台にしたのでしょうが。自分が今まさに観ているこの映画館の外で事件が繰り広げられていると思うと、わざわざ新宿まで見に来た甲斐があったと思えます(笑。

劇場版ということでテレビシリーズよりもちょっとスケールが大きめの話、だけど話が特別に面白いか?と言われればそうでもないような(笑。でもフォーマットどおりに展開して様式美のようなギャグシーンがあって期待通り『Get Wild』で締めてくれる『シティハンター』が約三十年ぶり(過去の劇場版やスペシャルは観なかったので)に観られただけで満足です。いやむしろ ED の『Get Wild』のために 90 分の映画を観たと言っても過言ではないくらい(ぉ、『Get Wild』と ED の演出は色褪せないカッコ良さを持っていると思います。少年時代の自分と同窓会を開いたような感覚に陥る映画でした。

投稿者 B : 23:45 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2019/01/30 (Wed.)

ペンギン・ハイウェイ [Blu-ray]

最近は映画もほとんど配信で観るようになってディスクが発売されても買うことがめっきり少なくなったんですが、これは Blu-ray で持っておきたいと思って購入しました。

ペンギン・ハイウェイ Blu-ray スタンダードエディション

ペンギン・ハイウェイ Blu-ray スタンダードエディション

去年の夏に観た映画の中では、個人的には一番ツボにはまった作品。

サイエンス・ファンタジー要素を取り入れた典型的なジュブナイルものの作品ですが、主人公が熱血漢ではなく物事を少し斜めに見る大人びたタイプの少年というあたりが現代的。でもある日突然街に現れたペンギンと「海」の謎を解くストーリーにはこのキャラクターが必要だったのでしょう。また大人びていながらも、年上のお姉さんに憧れたり、他人の気持ちや恋という感情を理解していなかったり、そういう内面が物語を通じてちゃんと成長していくさまが描かれているのも良い。私はなんとなく自分の少年期を追体験するような視点で観てしまう作品です。だからこそ思い入れが生まれるというか、人によっては「なんだこの生意気な子ども」と感じて物語に入っていけないかもしれません(笑。

前半は何気ない日常の中に出現した超常の謎を、子どもらしい視点(しかし科学的アプローチとしては正しい)で解いていこうという話。建物から文房具に至るまで細かく描き込まれた舞台装置がリアリティを添えています。一方でクライマックスは完全にファンタジーの世界、リアルを捨てて天地がひっくり返る映像に「コロリドらしい」疾走感のある演出。最終的にはペンギンとお姉さんの謎は完全に解けるわけではないけれど、余計な寄り道をせずにメインキャラ陣の成長にフォーカスしたシナリオとこの前後半のギャップの大きさがラストのカタルシスに繋がっている。また舞台は主人公アオヤマ君の街からほぼ出ないのに作品のテーマとしては宇宙にも繋がっていく構造になっているあたりが「子どもの目からみた世界」の狭さとその先の可能性を暗喩しているようにも思います。改めて考えると、映像として表現するのが難しい小説をこういう形で映像化してしまったことの凄さを感じる作品です。

実は私は夏休みに長女にこの小説を勧めて読ませていたのでした(笑。長女の性格ならこの作品は面白いと感じたに違いないので、今度の週末にでも一緒に観ようかと。

投稿者 B : 22:38 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/11/14 (Wed.)

映画『聲の形』

二年前の劇場公開時には他に観たい映画がいろいろあってスルーしてしまっていましたが、今さらながら鑑賞。

映画『聲の形』

映画『聲の形』Blu-ray 通常版

聴覚障害をもつ転校生・硝子へのいじめの主犯格だった小学生時代の主人公・将也。そのことが学校で問題となり、同級生や教師からも全ての責任を押しつけられたことで、将也は罪悪感と人間不信から心を閉ざしてしまう。やがて高校生になり、硝子との再会をきっかけに彼を取り巻く人間関係が変わり始めて...という話。
あまり予備知識を入れずに見たので、聴覚障害が題材のアニメ映画だという程度の認識しかありませんでしたが、爽やかな感動青春モノっぽいキービジュアルとは裏腹に重たい作品でした。障害やいじめを扱うとどうしても重くなりがちなものですが、それよりも傷を持つ思春期の心のぶつかり合いが重い。

障害をもつけどとにかく人当たりの良い女の子。典型的なガキ大将タイプ。気弱だけど誰にでも分け隔てなく優しい子。ちょっとスレた、女子グループのリーダー的存在。外見も性格も欠点の見当たらないお嬢様タイプ。など、登場人物はどこか一昔前の漫画/アニメのテンプレ的なキャラクターばかりですが、それぞれ第一印象とはちょっと違う内面を持ち、物語内の時間の経過に伴って成長・変化していきます。ステレオタイプに見えつつも実は複雑で外からは理解できない瞬間もあるこの年代の心理描写が見事。基本的には将也の視点で描かれるため、内面を直接吐露するのは将也くらいですが、ちょっとした表情や仕草、溜め、といったもので機微が表現されているのがすごい。と思ったら、キャラデザがいつもと違うから途中まで気付かなかったんですが、これ京都アニメーション制作なんですね。

私は「いじめはされる側にも原因がある」とも「障害者は常に無謬であるべき」とも思いませんが、センシティブな故に当たり障りのない綺麗事でまとめられがちなこういうテーマの作品で、加害者・被害者(登場人物の一人はそのどちらでもある)の心境がフラットに描かれている点は率直に良いと感じました。精神がネガティブなときって何でも自分が悪いと考えがちだし、人の顔まともに見れないし、よくわかる。一方で加害側の「自分は悪くない」的な発想や、傍観者がつい見て見ぬふりをしてしまう状況も理解できる気はする。そのあたりの客観性をもった表現が秀逸です。

あくまで 130 分の映画の尺の中で描かれる物語なので具体的な成長の描写は将也・硝子の二人にフォーカスが当たっています。それ以外に明確な変化や成長が感じられるのは植野・佐原くらいで、真柴あたりは最後までどんな奴なのか解らずじまいでしたが、原作漫画ではそのあたりまである程度描写されているようですね。そんな中で、個人的に印象深かったのが硝子の妹・結弦(ゆづる)。彼女自身が狂言回しの役どころでありながら、物語を通じて最も変化・成長するキャラクターであり、見ていて飽きない。誰が声を当てているのかと思ったら悠木碧さん。今までまどマギのイメージくらいしかありませんでしたが、こんな中性的な声も出せるんですね。『SSSS.GRIDMAN』のボラーちゃんくんといい、同時期にこういう方向性の演技を立て続けに聴いて驚きました。

いじめに関する描写はストレートに痛いし、思春期らしいトゲトゲした言葉の応酬も刺さってくるし観終わった後はドッと疲れる「重い」作品ではあります。それでも救いはあるし、そうやって通り過ぎていくのが青春でもある。観るのにはけっこう体力を要するけど、良い映画だと思います。

投稿者 B : 22:59 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/10/27 (Sat.)

LIVE2018 "ワルキューレは裏切らない" at 横浜アリーナ [Blu-ray]

某クマの人が Day-2 に参戦したというワルキューレの 3rd LIVE の BD を購入しました。

LIVE2018 "ワルキューレは裏切らない" at 横浜アリーナ <Day-1+Day-2> [Blu-ray]

LIVE2018 ワルキューレは裏切らない at 横浜アリーナ Day-1+Day-2 (初回限定盤) [Blu-ray]

テレビアニメ&劇場版『マクロス Δ』を観て、脚本はまあ微妙な部分もあるけどライヴパフォーマンスは良いからそこだけに特化した PV 集なんかがあればいいのに...と思っていたほどでした。そういう意味ではライヴ BD というのは純粋に音楽&パフォーマンスだけを楽しめる良い媒体だと思います。ワルキューレの楽曲には Earth, Wind & Fire をはじめとする '70s ソウルへのオマージュを感じるものも多く、その点でもライヴは絶対楽しいはずと思っていました。

時間がなくてまだかいつまんでしか観れていない...んですが、一度再生し始めると止められなくなりますねこれ(;´Д`)。25 曲、MC まで含めると 3 時間を超える大ボリュームでお腹いっぱいになります。しかも単に歌っているだけじゃなくちゃんとコーラスもハモりあり、さらに激しめのダンスあり。声優(一人は本職のシンガーですが)とかアイドルだとかそういうレベルではないパフォーマンスに圧倒されます。「ワルキューレのワクチンライヴが地球で開催された」という設定のため基本的に「中の人」ではなく劇中の配役としての出演で、映像や光の演出もアニメ準拠だったりもして、実際にマクロス世界では地球でこんなライヴがあったに違いないと思える内容。ライヴ BD としても 5~6 台以上(?)のカメラを駆使して様々な角度から臨場感を感じることができます。

BD メディアとしては二日間にわたって開催されたライヴを Day-1、Day-2 別々に発売し、かつ Day-1+Day-2 の二枚組版まで発売するというがめつい商売(;´Д`)。差分はアンコールに登場するシークレットゲストで、Day-1 がシェリル・ノーム starring May'n、Day-2 がランカ・リー=中島愛という違いくらい。一般的にはどこか一日、あるいは編集してまとめて発売するところ、当日の参加者にとっては「自分が行った回をそのまままた観れる」という点では嬉しいでしょうが、制作サイドはファンから絞れるだけ絞ってきますね...。

それでも『マクロス Δ』でテレビ版の再構築ではない完全新作が製作されることも含め、もはや『Δ』はマクロスやバルキリーではなくワルキューレの人気によって支えられているのだなあ、とこの BD を観て再認識しました。このクオリティで楽曲やパフォーマンスが生み出されて新作映像に繋がっていくのであれば、課金だと思って円盤も買います(ぉ

熱量の高いライヴ BD でした。ワルキューレのライヴチケットの競争率は相当高いらしいですが、もし新作映画の公開に合わせて 4th があるなら私も狙ってみたくなりました。

投稿者 B : 23:35 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/10/09 (Tue.)

ガールズ&パンツァー 総集編 [MX4D] @TOHO シネマズ新宿

ガルパン総集編が 4D で劇場上映されていると聞いて、映画館まで行ってきました。

ガールズ&パンツァー 第 63 回戦車道全国高校生大会 総集編

ガールズ&パンツァー 総集編

総集編は BD を買って持ってるだろオマエ、というセルフツッコミをしつつも一度 4D 上映でこれを観てみたかった。4D 上映は何度か劇場で観てみて、面白いけど映像に集中できないしよっぽど 4D 向きの映画でもない限りは IMAX のほうが好きかな...と思っていたんですが、『ハン・ソロ』を MX4D で観たのがすごく楽しかったので、同じ乗り物アトラクション系のガルパンは絶対楽しいはず。そしたら総集編が MX4D/4DX で上映されるというのでこれは行かない手はありません。

映像そのものは BD で発売済みの総集編そのもので、戦車道大会への参加の経緯や日常シーンなどは主要キャラによるナレーションで繋ぎつつ、主に戦闘シーンの「おいしいところ」をつまみ食い...ではなく原液掛け流しで味わえます。戦闘シーンが中心になることで、MX4D の演出を 120 分ほぼフルに堪能できるのは却って総集編との相性が良かったように思います。

ただ、上映前の他の映画の予告編まで 4D の演出つきだったのは(本作に限らず 4D 全部に言えることですが)ちょっと疲れますね。予告編はインパクトのあるシーンを切り貼りして作られることが多いため、それに全部 4D 演出が乗ってくるとかなり激しいことになります。本来観たい作品ではなく「あまり興味もないのに見せられている作品」でこのクドい 4D(再生中ずっと椅子が揺れたり動いたりしている状態)を強制されるのはさすがにツライ。これは 4D の制作サイドに一考してほしいところです。

で、ガルパン総集編の MX4D がどんな感じかというと、戦車のエンジンの振動や履帯の感触、加減速、主砲の発射や被弾の衝撃が全身で感じられてこれは楽しい!私は本物の戦車に乗ったことがないためこの演出がどの程度リアルなのかは分かりませんが、自分自身が戦車に乗り込んで戦っているような感覚を味わえます。大洗女子はゲリラ戦や撹乱戦が多いから戦車が走っている感覚も楽しいし、黒森峰の重戦車マウスの主砲発射シーンは「くるぞくるぞ」と身構えていたら想像以上の衝撃に風圧まで感じられたのには驚きました。まさに全身で体感する戦車戦。ほぼ 120 分まるまる戦車戦シーンだから体力は使うけど、それに見合う満足感が得られます。

立川シネマシティの極爆上映も良かったけど、MX4D のガルパンはまた違った面白さがありますね。今後は新作として『最終章』の続編も予定されていますが、これは 4D 版を積極的に観に行きたいと思います。

ガールズ&パンツァー 第 63 回戦車道全国高校生大会 総集編 [Blu-ray]

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投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/30 (Thu.)

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー@TOHO シネマズ川崎

あまり話題になっていない(?)スタジオポノックの新作映画を観てきました。

ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー

この夏はスタジオ地図(細田守)、コロリド、ポノック、コミックス・ウェーブ・フィルム(新海誠監督じゃないけど)という「ポストジブリ」とよく形容されるアニメ制作スタジオ 4 社が揃って新作を公開するという稀有な年になっています。個人的には、そろそろポストジブリとか言うのをやめて質の高い作品を作れるスタジオが増えてきたことを純粋に喜ぶべきと考えていますが、こうも公開が続くとどうしても比較目線で見てしまうわけで。
さておき、スタジオポノックとしては昨年の『メアリと魔女の花』以来わずか一年半での新作。しかも同じく日本テレビが出資する『未来のミライ』と公開時期がかぶってしまったこともあってかプロモーションもあまりされていない、やや残念な位置づけになっているのが不安要素ではありました。

本作は短編三本立てで一時間弱という、劇場映画としては小粒なものになっています。短編三本立てというだけでも実験的な香りがしますが、内容も映画館向けというよりジブリ美術館で上映されるような実験的なものだったので何だろう?と思ったら、東洋経済オンラインに経緯が書かれていました。

「短編アニメ映画」の公開が相次ぐ本当の理由 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン

なるほど、当初は配信向けを想定して作られていたんですね。しかも本来は三本立てではなくジブリの高畑勲監督も招いての四本立てになるはずだった模様。なのにそれが一気に 100~150 館規模での上映になるというのは、いろいろと大人の事情が感じられます。

ともあれ、内容的には以下のような感じでした。

■カニーニとカニーノ

擬人化されたカニの兄弟(観終わるまで兄妹だと思ってた!)の、ちょっとした冒険の物語。ファンタジックな映像でありながら、内容的にはちょっと冷酷な生命と食物連鎖の話。

米林宏昌監督が手がけただけあって、『メアリと魔女の花』に勝るとも劣らない濃厚な背景描写。しかし冒頭からまるで『トトロ』のオープニングのような楽曲に合わせて『ポニョ』の世界観をそのまま引っ張ってきたかのような水中の映像が繰り広げられるのには呆気にとられます。『メアリ』のラストシーンでメアリに「魔法が使えるのは、これが最後」と言わせておきながら次の作品でいきなりこれかよ!と思わず叫びたくなりました。

無声劇に近い内容で台詞もほぼなし。ストーリーも深みがあるとは言えず、映画ではなく美しい映像を見せられている感覚。作画が素晴らしいのに反して、三本の中では一番残念に感じました。

■サムライエッグ

重度の卵アレルギーと闘う母子の物語。私は身近にアナフィラキシーが出るほどのアレルギー持ちがいないので(仮にいてもみんな大人なので対処法が自分で解っているのかも)、本当に深刻な人はここまでになってしまうというのを本作で初めて見ました。今後アレルギー持ちの人と食事の席(に限らないけど)を共にすることがあったら気をつけよう。

『カニーニ』とは打って変わってパステルと水彩で描かれたような映像には引き込まれます。しかもダンスシーンのように動きの激しい場面まで含め、全てこのタッチを用いた手描きアニメで表現されているという。CG 全盛の現代にあって、あえて手描きでこれだけ見せられると圧倒されますね。まるで晩年の高畑勲作品を観ているかのような感覚。三本の中では最も印象に残りました。

■透明人間

他人にはまず見えず、あまりの存在の軽さに重ささえももたない「透明人間」の悲哀の物語。

今度は『サムライエッグ』とは対照的に、油彩のような背景の中をキャラクターが動き回る映像。設定も相まって、『世にも奇妙な物語』のような不思議な体験を共有させられている感覚があります。前の二本は子ども向けの作風でしたが、本作はちょっと大人向け。
報われない透明人間が最後には少し救われる話で、ボリュームこそないけど起承転結はあります。


...というように、それぞれの作品は特に映像・音響面で実験的な試みが盛り込まれ、ギミック的には面白かったんですが、全体的にはやはり詰め合わせ感が強く、映画としての物足りなさを感じてしまいました。やっぱり映画館に来たからには 90~120 分くらい一つの物語に浸って最後にはカタルシスを得たいものなんですよ。そういう意味では、本作は無理に映画館で流すのではなく、配信のほうが向いていたのでは...と改めて思いました。
また、三本ともに短編とはいえ脚本はもっとやりようがあったように思います。三本とも監督が脚本も書いていますが、原作つきの作品をやるなり外部脚本家を起用するなりすべきだったのでは。そういう意味では、この夏のアニメ映画は原作つきの『ペンギン・ハイウェイ』と監督兼脚本の『未来のミライ』『ちいさな英雄』で明暗が分かれたのではないでしょうか。「ポストジブリ」と言われるアニメーションスタジオは、いずれも作画や演出は素晴らしいけど脚本まで自前でやろうとして失敗する例が多いように思います。

スポンサーの関係で難しいのかもしれませんが、スタジオポノックには今後あまりジブリを意識せずに自由に快活な作品を創っていってほしいところです。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/27 (Mon.)

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ [Blu-ray]

明日発売の Blu-ray がフライングで届きました。

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音楽が菅野よう子じゃないのかとか、流行りに乗ってアイドルグループものかよとか、オチもなんだかんだいって『F』の焼き直しだし...いろいろとツッコミどころはあってもなんかハマってしまったのが『Δ』。これまでのシリーズとは違って最初から「戦場で歌う意味」が明示されていて、最大の見せ場であるドッグファイト×ステージパフォーマンスをふんだんに使えることと、'70s テイストを含みつつテンポとコーラス重視の分かりやすい楽曲(だけど構成自体はけっこう複雑)が良かったのではないかと分析しています。ワルキューレの五人を軸とした TV 版から劇場版への大胆な再編集ぶりを見ると、本作においてストーリーや三角関係はもはや添え物でしかなかったんや!とすら思えてきます。

届いたばかりでまだ部分的にしか観ていませんが、やはり圧巻は劇場版のために用意された新曲『チェンジ!!!!!』。全編 CG で作画されたライヴシーンは楽曲のパワーも相まってたたみ掛けてきます。細かく見ていくとキャラクターの顔のモデリングは特に斜め向きになったときにやや不自然で、このあたりは娘が観ている『アイカツ!』シリーズのほうが技術的にこなれていると感じますが(しかもこのクオリティを毎週放送しているんだから本当にすごいと思う)、それでも手描きアニメとほぼシームレスな作画でグリグリ踊る映像は圧倒的。さらにステージ全体が舞台装置として動くギミックまで含め『劇場版マクロス F』から続いてきた AR 的ライヴ演出は遂にこのレベルまで到達したのか、と。映像と音楽の洪水に語彙力を押し流され、ボーグでなくとも魅了されてしまうものがあります。
そして何より象徴的なのが、劇場版での最大の見せ場であるこのライヴシーンにおいて VF によるドッグファイトシーンが挿入されないこと。順当に考えればラストバトルの最も盛り上がるドッグファイトシーンに新作画のライヴ映像を入れるだろうところが、今回は戦闘とは直接関係のない純粋なライヴシーンに最大の労力を割いてきました。つまり可変戦闘機はもはやマクロスの中心ではなくワルキューレこそが主役であり、本質的にはアイドルアニメであると宣言している点が、今までのマクロスシリーズと大きく異なります。でも多分マクロスシリーズでなければ私はこれを観ていなかったと思うので、そういう意味ではおのれワルキューレ!(←

相対的に見せ場の少なくなってしまったメカについては、ドッグファイトが減った代わりに VF-31F リル・ドラケン装備型とミラージュ専用ドラケン、とどめにアーマードジークフリードというサプライズ要素で魅せてくれました。特にテレビ版の VF はファイター形態以外の印象が薄かったので、新メカがいずれもクライマックスでバトロイド形態で活躍してくれるのが嬉しいところ。私も今度の週末にでも、1/72 のジクフリを傍らに置いてじっくり鑑賞しようと思います。

投稿者 B : 23:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック