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2016/11/29 (Tue.)

この世界の片隅に @T・ジョイ PRINCE 品川

全然チェックしていなかった映画ですが、なんか公開後にじわじわと評価が高まっているようなので、気になって観に行ってきました。

この世界の片隅に

この世界の片隅に

今年はクチコミで盛り上がる映画の当たり年になっています。それでも単に SNS で話題、というだけなら「ふーん」で済ませていた可能性もありますが、知人関係で観に行った人が口を揃えて「良かった」と言っていたので、これは一度観ておいた方がいいな...と。実際、公開後に少しずつ上映館が増えているということで、大ヒットまではいかないまでも盛り上がってきている、ということなのでしょう。

時代は太平洋戦争の開戦直前から終戦直後まで。舞台は主人公すずの故郷である広島と、嫁ぎ先である呉。呉は戦艦大和を建造したことでも有名な日本有数の工廠を擁し、広島と太平洋戦争の関係は言わずもがな。始まった時点から悲劇的な結末しか予想できませんが、物語は決して暗くならずに進んでいきます。

この物語は大きなくくりで言えば「戦争もの」の一つだけど、実体はむしろ「日常もの」に近い。状況は戦時下ではあるけれど、その中で生きる人々の生活は(少なくとも本土空襲に見舞われるまでは)必ずしも悲壮ではなく、時代なりに人間らしい喜怒哀楽に基づいて営まれていたことが、比較的淡々と描かれています。私が観たことがなかっただけかもしれませんが、少なくとも今までに観た戦争映画でこういう視点で描かれた物語はなかったように思います。戦争はひどい、戦争はいけない、それは確かに事実なんだけど、日本で実際にあった時代の話について、そういう側面しか残し伝えないのが本当に良いことなのか。
この物語がどこかあっけらかん、のんびり、のほほんとした雰囲気で進むのは、多くは主人公すずのキャラクターによるところが大きいでしょう。自らを「ぼんやりしている」と認め、人より動きは遅いし細かい失敗も多い、でも愛すべきキャラクター。怒りや悲しみの感情を表すことが少なく、どんなことでも柔らかく笑って受け止めるこの人がストーリーテラーであったことが、この映画を優しい物語にしていると思います。私は『あまちゃん』を観ていなかったので、のん(本名:能年玲奈)の演技に CM 以外でまともに触れたのはこれが始めてでしたが、こういう芝居ができる人だったんですね。

しかし、前半で戦争時代の暮らしをじっくり、ゆったりと描いた分、空襲や原爆にまつわる描写はそれ以上に重い。感情移入させられてしまったために、それが一つ一つ奪われていく痛みがありました。最初から「これは辛い悲しい話だよ」と見せられる戦争映画よりもずっと痛みが生々しく感じられる。終盤は、劇場内にすすり泣きの声が響いていました。
それでも、焼け野原から手を取り合って立ち上がってきたのが我々の先達であり、だからこそ今の自分があると思うと、何となく生きるのではなく、一分一秒をもっと大切にしなければ。と思います。私は、映画館から出た瞬間に、まず家族のことを思い浮かべました。

正直言って、派手な戦闘シーンみたいなものもないし、グワッと盛り上がる場面もない。一般的に映画の二時間に期待する感情の抑揚がなくて不完全燃焼感はあるかもしれません。でも、うまく言えませんが、観終わった後に反芻するとじわじわ良さが感じられてくる、そういう映画だと思います。

とても良い映画でした。

こうの 史代 / この世界の片隅に 上・中・下

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投稿者 B : 23:55 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2016/11/26 (Sat.)

株式会社カラー 10 周年記念展

原宿ラフォーレミュージアムで開催されている、スタジオカラーの展示会を見に行ってきました。

株式会社カラー10周年記念展 | 株式会社カラー

株式会社カラー 10 周年記念展

ラフォーレ自体、今まで数度しか足を踏み入れたことがなかったので、我ながら場違い感満載(;´Д`)ヾ。でもラフォーレ内のエレベーターには同じような属性の人がたくさん乗っていて安心しました(ぉ
入場料は ¥500。アニメ系の展示会でこれよりも小規模なのに高価い、というのも珍しくないので、これはかなり良心的と言えます。

株式会社カラー 10 周年記念展

スタジオカラーはこれで 10 周年。ガイナックスを独立した庵野秀明が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を製作してからもうすぐ 10 年が経とうとしている、ということを考えると、改めて時の流れの速さに驚きます。
その後非常にゆっくりとしたペースで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを継続してきたカラーですが、庵野監督が鬱で休業したりしている間にも、スタジオとしての活動は続いており、いろんな作品で制作協力としてその名前を見ることができます。

株式会社カラー 10 周年記念展

とはいえカラーの主力作品はやはり『ヱヴァ』。新劇場版における膨大な量の原画や設定資料等が展示されており、非常に見応えがあります。

ちなみにこの展示会は一部動画展示等の撮影制限があることを除き、ほぼ全域が写真撮影可(ただし一枚一枚を極端に接写するのは NG とのこと)。この手の展示会ではここまで撮影が許可されることも珍しく、まさに大盤振る舞い。

株式会社カラー 10 周年記念展

私はガンダムシリーズについては多くのイベントや展示会に足を運んで原画等を目にする機会も多いのですが、ヱヴァに関しては今まであまりそういう機会がありませんでした。今回改めて原画をじっくり見ると、その線がもつ力に圧倒されますね。テレビアニメではなく劇場版だからこそできるクオリティではありますが、ディテールに至るまで手抜きがない。

株式会社カラー 10 周年記念展

メカの描き込みもこの緻密さ。着色されていない線画のほうが細かい描き込み具合がよく分かります。この線画のまま、額に入れて飾っておきたくなります。

株式会社カラー 10 周年記念展

ヱヴァ(特に新劇場版)という作品が強い熱量を持っているのは、登場人物の表情の印象がすごく強いから、という部分が大きいと思いますが、これなんかはその最たるもの。これもカラー映像以上にパワーを感じる原画です。

株式会社カラー 10 周年記念展

一枚一枚の表情の強さに、引き込まれるように見入ってしまいます。これじっくり見てたら丸一日かかるんじゃないですかね。

株式会社カラー 10 周年記念展

展示の多くはモノクロの原画ですが、カラー作品もいくつか。宗教的なモチーフを多数扱った作品だから、というだけにとどまらない神々しさが込もった一枚。むしろ油彩で見たくなります。

株式会社カラー 10 周年記念展

『破』に登場したアスカのパペットの設定画。「moyoco」のサインがありますが、この設定描いたの安野モヨコだったのかー!確かにヱヴァに出てくる小物としてはちょっと違和感ある作画だと思ってたんだよなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』の巨大戦艦ヴンダー。『Q』ではそれまで以上に 3DCG 作画の割合が高まっていて、こういうメカ類の細かい作り込み度合いも深まっています。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』で追加された人物設定。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』の主題歌だった宇多田ヒカル『桜流し』にヱヴァの名シーンを繋いだオリジナル PV も場内で流されていて、人だかりができていました。
最近 NHK でテレビ版のリマスター再放送をやっているけど、久しぶりに新劇場版の BD を最初から見直したくなったなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

ここに掲載した原画はあくまでごくごく一部で、会場にはこの数十杯の物量の原画・設定画等が展示されています。本気でじっくり見たら半日、いや一日かかってしまうレベル。これはファンは心して見に行くべき場所じゃないでしょうか。

株式会社カラー 10 周年記念展

会場内では、10 周年を記念して安野モヨコが描いた漫画『おおきなカブ(株)』とそのアニメーション版が展示/上映されていました。
10 年の歴史を古典童話になぞらえ、暗喩を用いてものすごーくざっくり描いた話で、これがまたじわじわくる感じで面白かった。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』のカブを抜こうとして大怪我(鬱病発症)したおじいさん(庵野秀明)のもとへ西(三鷹)からやってきた、超おじいさん(笑

株式会社カラー 10 周年記念展

その超おじいさんから展示会開催を祝って贈られた花も展示されていました。

株式会社カラー 10 周年記念展

続いて『シン・ゴジラ』関連の展示。
最初に「庵野秀明がゴジラを作る」と聞いたときには、まさかそれがカラーを代表する映画の一つになるとは思っていませんでした。

株式会社カラー 10 周年記念展

『シン・ゴジラ』は実写と CG で作られた作品のため、アニメのような原画は存在しませんが、初期にゴジラの造形ディテールを確認するために作られた原型モデルが展示されていました。
この現物をこの目で見ることができる、というのは燃える!

株式会社カラー 10 周年記念展

今までのどんなゴジラとも違う造形だけど、全体としての印象は間違いなくゴジラ。
ディテールがむちゃくちゃ細かいので、いろんなアングルから写真を撮りまくりたくなります。

ああ、早く BD 発売されないかなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

短編特撮映画『巨神兵東京に現る』の撮影に実際に使われた巨神兵のパペット。背後にはクロマキー合成で抜くために青く塗られた操者用のフレームがくくりつけられています。
これがあったから『シン・ゴジラ』が生まれた、と思って見るととても感慨深いものがあります。

株式会社カラー 10 周年記念展

『ヱヴァ』も『シン・ゴジラ』も巨神兵要素を持っていることを考えると、巨神兵が庵野秀明に与えた影響は本当に大きかったんだな...と思いますね。

株式会社カラー 10 周年記念展

お土産は小冊子。といってもちょっとしたパンフレットではなく、88 ページにわたる立派な冊子で、漫画『おおきなカブ(株)』全編のほかスタジオ関係者へのインタビュー等を収録した内容の濃いものになっています。映画のパンフレットがあの薄い内容で 1,000 円取っていることを考えると、この冊子までついて入場料 500 円というのは安いというか、むしろファンサービス的なイベントなんだろうな、と思えます。

原宿という場に似つかわしくない(笑)、想像以上に濃厚な展示会でした。会期は 30 日までとのことですが、私もあと一回くらいじっくり見に行きたい。

投稿者 B : 22:10 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2016/10/16 (Sun.)

ズートピア [Blu-ray]

ズートピア [Blu-ray]

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全くノーマークだった映画ですが、たまたま娘の運動会の演目でこの映画の楽曲が使われていたこともあり、どんな作品だろうと気になったので、レンタル BD で鑑賞しました。

ディズニー映画で、擬人化された動物たちが主人公で、というと完全に子ども向けだと思うじゃないですか。そういうのもあって劇場公開時には観る気がしなかったんですが、実際に観てみるとイメージと全然違いますね。まあ確かに賑やかで子ども向けタッチではあるんですが、テーマはもっと深い。人間の差別や偏見を描いた物語です。
子ども向けの作品で差別や偏見を描こうとすると、えてして「差別は良くない」と直接的に表現しそうなものですが、例えば誰もが持っている無意識な差別とか、平等を訴えながらそれがまた新たな差別を生み出してしまうとか、あるいは自分の鬱憤晴らしのために被差別を利用するとか、現代の人間社会でも実際に起きている「差別に関する問題」を的確に捉えて描かれていて、感銘を受けました。これ、子どもたちがどこまで理解しているかは分かりませんが、言わんとしていることは何となく伝わったんじゃないでしょうか。

動物たちが登場する映画ということで、それぞれのキャラクターの細かい動きの一つ一つに現実の動物の動きが精密に取り入れられていたり、セリフや笑いのひとつにまで各動物の特徴をちゃんと表現していたり、こういう細かいところへのこだわりはさすがのディズニーアニメ。ストーリー軸で観てもいいけど、そういうキャラクターのモデリングやモーションをこまかく見ていってもまた別の面白みがある作品だと思います。

純粋に娯楽作としてもとてもよくできていますが、人の精神の成長物語や映画としてのメッセージングというところまで含めると、子どもに見せて良かった度合いとしては『アナ雪』や『ベイマックス』よりも上だと思います。あまり期待していなかったけど、とてもいい映画でした。

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2016/08/30 (Tue.)

君の名は。 @T・ジョイ PRINCE 品川

君の名は。

秒速 5 センチメートル』『星を追う子ども』と二本観て、ああ私には新海誠作品って合わないんだな、と思っていましたが、ある人がこの作品のことを誉めていたので気になって鑑賞しました。

ほとんど事前情報を仕入れずに、それこそ予告編すら見ずに映画館まで行ってしまったわけですが、思っていた以上に良かったですね。私が過去に観た二作品で感じた「監督の独りよがりの世界観を見せられている感覚」はかなり薄まり、観客を楽しませるとはどういうことか、をちゃんと考えて作られた作品だと思います。観終わった後の気分としては、『ヱヴァ新劇場版:破』を観たときのそれに近い(笑。内向的なイメージでなくなっているのは登場人物の性格に加えて、今までの新海誠作品とはガラッと変わったキャラクターデザイン(『あのはな』のデザイナーが担当)に助けられている部分も大きいとは思いますが。

序盤は典型的な「男女の魂入れ替わりコメディ」のフォーマットで進みますが、謎はありつつも基本的にポジティブで、テンポが良いこともあってのめり込んでいける感じ。「いい映画だったとは聞いたけど、本当に大丈夫なの?」と斜に構えていた態度を改めさせられました。が、中盤に『星を追う子ども』のアガルタに似た場所が登場したあたりから不安になり始め、ほどなくしてその不安は的中していたことが判明します(´д`)。その後も他のアニメ作品で見たような描写が散見されたり、ラストシーンが『海がきこえる』状態だったらどうしようかと思ったりしましたが、終盤でまあ持ち直したかな。
リアリティへのファンタジーの織り交ぜ方が唐突だったり、設定の整合性に矛盾があったり、観ていて「ん?」と思う部分は少なくありませんでしたが、本来はそういう「伏線が、整合性が」とか言うめんどくさい客層は相手にしていないのでしょう。青春・恋愛・美麗な背景、そういった感動のうま味調味料に脳髄をズドンとやられる心地よさに浸る映画なんだと思います。実際、私も確かにウルッと来てしまうシーンはあったし、細かいことは置いといて、エンタテインメントとしては総じて面白かったと感じています。中盤以降の展開はもう少し別のやり方があったようにも思いますが、そうすると新海誠じゃなくなっちゃうのかもなあ。

とりあえず奥寺先輩はイイ女だと思いました(小並感

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2016/02/25 (Thu.)

バケモノの子 [Blu-ray]

バケモノの子 (スタンダード・エディション) [Blu-ray]

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BD が発売されたのでもちろん購入。『時かけ』『サマウォ』の頃に比べると勢いが落ちているように感じる細田守作品ではありますが、それでも現代の日本アニメでトップクラスにクオリティが高いことには間違いがありません。

オトコノコ版『千と千尋の神隠し』的なストーリーと、細田守らしい緻密かつスケールの大きい映像。今までの細田映画に比べてアクションが多めなのも本作の特徴です。躍動感溢れる映像に仕上がっているのは、人間ではなくバケモノを軸に据えた作品ゆえでしょうが、それが観ていて楽しい。

主人公「九太」が 9 歳である前半と、17 歳になった後半では全然違う映画になったのかというくらい、トーンが変わります。二人の主人公である熊徹と九太の掛け合いが多いのもアクションが多いのも映像に透明感があるのも全て前半。後半はちょっと重めのテーマを扱うのでそのあたりの勢いが落ちるのは必然ながら、前半のテンポの良さがこの映画の良さを作り出しているように思います。劇場で観たときにも感じましたが、クライマックスでカタルシスを得るには、周辺の登場人物の掘り下げがもう少し足りない気はします。
あと、気になるのは細田作品に登場するヒロインが基本的に同タイプの女の子ばかり、という点。ちょっと悩みもあるけどみんなマジメで素直で男にとって都合のいい行動を取ってくれる子。こういうのが細田守監督の理想なのかもしれませんが(笑)、もうちょっと引っかかりのあるキャラのほうがリアリティが出て感情移入できるだろうし、物語の抑揚も生んでくれるんじゃないでしょうか。

そうは言っても、この映画自体はとてもクオリティが高く、観た後に爽やかな気持ちになれる作品であることに違いはありません。『おおかみこども』は BD も持ってるけど再生するのにちょっと気合いが必要なのに対して、この作品はあまりハードルは高くない。役所広司と宮崎あおいの芝居もすごくいいし、よくできた娯楽作だと思います。父親としては、子どもがもう少しだけ大きくなったら一緒に観たいかな。

投稿者 B : 22:58 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2015/12/25 (Fri.)

ポーラー・エクスプレス

我が家ではクリスマスの定番映画といえば『34 丁目の奇跡』なわけですが(もちろん今年もこれ観たんだけど)、今年はちょっと違うのも家族で鑑賞。

ポーラー・エクスプレス

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トム・ハンクスが出演したフル CG のクリスマスムービーです。以前劇場で予告編を見かけて気になっていたと思ったら、もう 11 年も前の作品なんですね...。

さすがに 11 年も前の作品となると、フル CG では古さが気になってしまいますね。PS4 の映像を見慣れた目で PS3 世代のゲームをやっているような感覚。でも、そんな映像の古さは内容の良さで、すぐに気にならなくなりました。

サンタクロースを信じられなくなった少年が、イヴの夜に北極へと向かう列車「ポーラー・エクスプレス」に乗って旅をする物語。もともとは『急行「北極号」』というタイトルの絵本の映画化らしいですね。

トム・ハンクス主演だからほっこり系の話かと思ったら、映像的にはこれ文字通りジェットコースター・ムービーじゃないですか!ポーラー・エクスプレスなのに『スピード』もかくや、という高速走行する列車内でのアクション(言い過ぎ)。北極に到着するまでの間に様々な事件が起き、少年たちが大きく成長して、最後にサンタクロースに出会うまで。たくさんのアクションの中に、大人たちの優しい視線やクリスマスらしい演出が相まって、とても心温まるお話でした。
クリスマスには、こういう「子どもに信じる心を失わさせない物語」が相応しいと思います。これもまた、クリスマスに繰り返し観たい映画だなあ。

それと、歳を取ると高周波の音がだんだん聴き取りづらくなる理由が、この映画のラストを観てようやく分かりました(違

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2015/09/07 (Mon.)

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス [PS Video]

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス

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後楽園のカフェに行ったり飯能の公園に行ったりと昨年からまだ続いている我が家のムーミンブームですが、この春に上映された劇場版のパッケージ販売/VOD 配信が始まったので、観てみました。
DVD を借りに行くより手っ取り早いので、PS4 を使って PlayStation Video からストリーミング視聴。最近 VOD サービスが各社出揃っていますが、テレビ自体がちょっと古い我が家だと、PS4 から使えるのが操作的にも課金的にもラクです。ただ、滅多に起動しないので使いたいときに限ってファームアップが必要になるのは何とかなりませんかね(´д`)。

この映画、昨年のトーベ・ヤンソン生誕 100 年を記念して製作されたものです。『ムーミン』は日本国内でも何度かアニメ化されていますが、この劇場版は本国フィンランドでの製作。そのため作画の雰囲気は日本で慣れ親しんだアニメらしい『ムーミン』とは大きく違い、まるで絵本の挿絵がそのまま動いているかのような質感に仕上がっています。中間色を多用した色遣いもそうですが、この時代に全手描き、という製作手法によるところも大きいでしょう。
ただ、吹き替え版のキャストは 1990 年の日本版『楽しいムーミン一家』と同一で、高山みなみ(ムーミン)、大塚明夫(ムーミンパパ)、かないみか(フローレン)、佐久間レイ(ミイ)、子安武人(スナフキン)など、今となっては超大御所と言える面々。彼らの安定した演技が、この作品が我々が慣れ親しんだ『ムーミン』と地続きであることを実感させてくれます。原語音声で観ると全く雰囲気が違っていて、それはそれで面白いのですが(笑。

物語は、おなじみムーミン一家が南国のリゾート地へ旅行に行く、というお話。ムーミンはムーミン谷あってこそなのに、その舞台を変えちゃうのってどうなの、という不安もありましたが、いつもとはシチュエーションが変わった方が劇場版らしさは感じられますね。これも原作に存在するエピソードを映画化したものではありますが、いくつかのエピソードを強引にまとめて映画化したせいか(ムーミン一家がミイに出会うエピソードなんかも混ぜられている)、ストーリーの軸が通っていないというか、ややちぐはぐな印象も受けます。

『ムーミン』の通常のエピソードでは、登場人物のほとんどが独特の価値観を持ち、かつマイペースに行動しているので、視聴者(といっても大人の)は滑稽な世界を外から眺めているような感覚で観ることになります。それが今回はムーミン一家のほうが人間社会の価値観に近い世界に飛び出してくるため、自分たちの社会の中に特異なキャラクターが紛れ込んだ感覚で観ることになり、その違和感そのものを楽しむ、と言ったらいいでしょうか。たとえば、普段は何も着ていないフローレンがプールに入るために水着を欲しがり、その試着した姿に対してムーミンが「まるで裸みたい」と突っ込むくだりとか、そういう爆笑するほどではないけどシュールな笑いが全編にわたって散りばめられています。『ムーミン』ってキャラクターのかわいさが取り上げられがちですが、このシュールな笑いと、でも各キャラクターが身の回りにいる誰かのデフォルメにしか思えないリアリティこそが醍醐味だと思うわけです。

そんな感じで「楽しいバカンス」という意味では確かに各キャラクターがおのおのに「楽しいバカンス」を過ごす話ながら、視聴者の視点では「ムーミン一家がリゾート地をハチャメチャにする話」と言った方が正確でしょう(笑。
残されたリゾート地の人々にとってはたまったものではありませんが、ムーミン一家にとっては最後にはムーミン谷に帰って「めでたしめでたし」。ムーミンワールドに浸り、シュールで細かい笑いを堪能するという点では、なかなか面白い映画でした。個人的には、スナフキンの出番がほとんどなかったのが、ちょっと残念かな。

投稿者 B : 23:39 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2015/08/04 (Tue.)

星を追う子ども

星を追う子ども

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なんとなく手に取ってみました。

新海誠作品は去年『秒速 5 センチメートル』を無料配信で観て以来。『秒速~』は残念ながら私の心にはあまり刺さらない作品でしたが、他のならどうか、と思って手に取った次第。

ざっくり解説すると「ラピュタともののけ姫とナウシカを足して 5 で割ったような作品」とでも言えば良いんですかね。ジブリ映画で見覚えのあるような映像がたくさん出てくる、どこかで見たような話でした。この「ジブリっぽさ」はあえて狙ってやっているものなんでしょうが、映像の美しさは確かに新海誠ワールドではあるものの、やっていること自体はオマージュどころか二次創作の域を出ていないなあ...というのが率直な感想。
ストーリーに関しても、行動に終始一貫性があるのは森崎の「死んだ妻を甦らせたい」という思いだけで、主人公であるはずの明日菜にも、対役であるところのシンにも個々の行動に対する動機がどうも乏しく、脚本に都合良く動かされてるだけだなあ...という印象。最近では細田守作品のヒロインにも似たような批評をよく見かけますが、それ以上に「なんでそこで状況に流されるのか」と突っ込みたくなるような行動が多く、どうにも最後まで感情移入できませんでした。ボーイミーツガールものならばそれらしく、一目惚れで命かけるくらいのことはやってくれよ!と思います。森崎について行くなら森崎との関係を深掘りすべきだし、シンへの恋心を描くならばそういう流れがあるべきなのに、どっちもないから物語に置き去りにされている感覚でした。

ストーリー自体は神話に着想を得ているので、女子中学生受けが良さそうだなとは思ったし、ジブリを知らなかったらもっと面白いと思えたのかもしれません。でも新海誠という監督はやっぱり私には合わないかなあ。映像はとても美しいので、別の人が脚本を書けばもっと素晴らしい作品が作れるような気もしますが...。

投稿者 B : 23:59 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2015/07/20 (Mon.)

海がきこえる [Blu-ray]

海がきこえる [Blu-ray]

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ジブリ作品で最後の BD 化となった『海がきこえる』がようやく発売されたので購入。

これ、ジブリの中でも異色中の異色、といってもいい作品ですが、高校時代にリアルタイムで観て以来、ずっと好きな作品です。ジブリで青春ものと言えばこれか『耳すま』でしょうし、どちらも大好きな作品ながら、『海きこ』のほうがリアリティがあって心に刺さるかな。『耳すま』はあくまでファンタジー、『海きこ』はリアルな青春、そんな印象があります。主人公が中学生か高校~大学生か、という違いによるところも大きいと思いますが。

絵柄、登場人物のファッション、音楽のセンス、セリフ回し、といった作品のあちこちに 1990 年代初頭のバブルの残り香が醸し出されており、時代を感じます。逆にジブリ作品でこれだけ時代性を感じる作風のものも珍しいと思いますが、私がこの作品に共感をおぼえるのは、まさにこの時代に自分自身が思春期にあったからなのかもしれません。今の十代が観たら「なんだこれ」になるのかもしれないなあ。

青春恋愛もの、なのに劇中では特に主人公・森崎拓とヒロイン・武藤里伽子の間には直接的な恋愛感情の表現はほとんどありません。語られるエピソードも、むしろ辛かったり切なかったりする話ばかりで、決して恋愛ものとしてドキドキするものでは(表面的には)ない。それなのに心に刺さるのは、自分の思春期のやりとりもそんな感じだったんだろうという実感があるからだろうし、何よりも全てのエピソードがラストシーンの拓のモノローグに繋がっていて、すべての想いが最後の一言に凝縮されているから、なんだろうなあ。
久しぶりに十代後半の頃の気持ちを思いだしたような感覚に陥りました。

これでジブリ作品は前作 BD が発売されたわけですが、私も主だったところは DVD からのメディアチェンジを完了。ヒット作であっても BD を買うほどではない作品もちらほらあるので(案外、2000 年以降の宮崎監督作品は DVD 止まりだったりする)、前作揃えてはないけどいったんは打ち止めかな。今後ジブリから長編の新作が出てくることもないと考えると少し寂しくもありますが、これも時代か。そういえばジブリでのストレートな青春ものって『海きこ』と『耳すま』だけだったなあ。でも、ジブリがあったから現在の日本の長編アニメがあると言っても過言ではないので、ジブリが輩出したクリエイターが今後、もっと素晴らしい青春ものを映像化してくれることを、今後は期待しようと思います。

投稿者 B : 22:56 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2015/07/17 (Fri.)

バケモノの子 @TOHO シネマズ新宿

細田守監督の最新作を観てきました。

バケモノの子

バケモノの子

正直なところ、今回は従来の作品ほど事前のテンションが上がらず。というのも、『バケモノの子』って『おおかみこども』とかぶってないか?と思ったり、最近は日テレで宣伝しまくりな結果、観てもないのに食傷気味になってしまい...でも、実際に観てみると、思っていたよりずっと良かったです。

細田作品の中でもアクションシーンが多めなこともあって、キャラクターはよく動くし、映像は当然キレイ。そして細田作品の持ち味になっている青い空と、白い入道雲。ストーリーの前に、まずは映像に目を奪われます。

人間の子どもがバケモノに拾われて、ぶつかり合いながらも心を触れ合わせていく...というストーリーはこの手のファンタジーにはよくある展開。ひねってくるかと思ったら、最後まで王道を貫きとおした話でした。まあ、細田作品ってど真ん中に直球を投げ込んでくるような話ばかりですよね。でも、ストーリーがシンプルなぶん、熊徹と九太という二人の主人公の心のぶつかり合いに焦点が当たって、つい入り込んでしまいました。『おおかみこども』は母性の物語で、ちょっと重めな展開なこともあってそこまで感情移入しきれなかったんですが、今回は父性の物語。九太よりも、熊徹や九太の父の目線で観てしまうわけです。

ただ少し残念だったのは、活かし切れていないキャラクターがちらほらいたこと。九太の両親関係のエピソードがほとんどないので家族関係の設定に説得力が薄いし、チコは最初から最後まで存在理由が曖昧だし、一郎彦も位置づけを考えるともう少し伏線があってほしかった。まあキャラクター関係の掘り下げが少し足りないのもまた細田作品の特徴ではありますが。

観終わった後の印象も爽やかな、なかなかいい映画でした。ただ『サマーウォーズ』のようなクライマックスの高揚感を求めるとちょっと肩すかしを食うかもしれません。でも細田監督ももう大御所になってしまったので、そういうのは今後は若手のスタジオであるコロリドあたりに求めるべきなのかもしれませんが。

TOHO シネマズ新宿

今回の映画は渋谷が舞台、ということで渋谷の映画館で観るかな...とも思ったんですが、この春にオープンしたばかりの TOHO シネマズ新宿に行ってみたかったので、新宿へ。旧コマ劇場周辺って久しぶりに来ましたが、コマ劇跡地にこんな高い建物ができていたんですね。

TOHO シネマズ新宿

映画館としては、日本橋の TOHO と同様に、最新のフラッグシップシネコンとして似たような仕様になっています。IMAX、TCX、ドルビーアトモス、MX4D に対応。
チケット販売は自動券売機メインで、カウンターは申し訳程度。

今回は TCX スクリーンで鑑賞しました。映像と音響のクオリティは満足いくものでしたが、上映中、下のフロア(?)からちょくちょく座席に振動が伝わってきて映像に集中できなかったのが残念でした。もしかして真下のスクリーンで MX4D でも上映してましたかね...。座席や下階での上映作品にもよるんでしょうが、いくらなんでもそりゃないよ、と思ってしまいました。
個人的には映画館まで行くのに苦手な歌舞伎町を通らなくてはならないのもハードルが高いんですよね。やっぱり今後も気合い入れて観たい作品は TOHO なら日本橋か六本木、IMAX なら川崎をメインで利用しようと思います。

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