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2017/10/04 (Wed.)

SING/シング [Blu-ray]

SING/シング [Blu-ray]

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去年の劇場公開時に気になりつつもスルーしてしまっていた映画を BD で鑑賞しました。
『ミニオンズ』のイルミネーション・エンターテインメントの作品です。

けもの動物たちが暮らす世界で、潰れかけの劇場を救うべく劇場主のコアラことバスター・ムーンが賞金を懸けた歌のオーディションを開催します。そこに集まったのは、それぞれに何かコンプレックスを抱えつつも歌うことが大好きな動物たち。様々なドタバタを経ながらもオーディションは進み、初めてのステージに向けてリハーサルが進んでいき...というお話。
ストーリー自体はアメリカのコメディ系サクセスストーリーとしてはありがちな話ですが、個性的なキャラクターたちとテンポの良いストーリー、そして何より珠玉の楽曲たちにより、最後まで高いテンションのまま画面に引きつけられました。

私がイルミネーション・エンターテインメントの作品をまともに観たのはこれが初めてですが、ディズニーやピクサーとはまた違うタッチの CG アニメーションは動きのキレが良く、各キャラクターの個性が活き活きと描かれていて良い。ピタゴラスイッチ的な装置やホタルイカのショーなど、映像的なギミックも満載で、音楽以外のシーンも楽しい。
でも何よりもやっぱり音楽ですよ。フランク・シナトラやスティービー・ワンダーのようなオールディーズから現代のテイラー・スウィフト、なんならきゃりーぱみゅぱみゅまで網羅した楽曲の幅広さが素晴らしい。新旧のヒット曲を織り交ぜながらも散漫な感じはなく、音楽、特に歌が好きな人であれば高揚せずにはいられないでしょう。

オチまで含めて予定調和的だけど、この作品はそういう分かりやすいハッピーエンドがちょうど良い。親子でも安心して楽しめる名エンタテインメント作品だと思います。これは劇場公開中に観に行っておくべきだったなあ。

投稿者 B : 22:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/08/25 (Fri.)

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? @TOHO シネマズ 六本木ヒルズ

シャフト作品といえば『まどマギ』『〈物語〉シリーズ』『3 月のライオン』くらいしか観ていませんが、どれも良かったのでこの映画もけっこう期待していました。が公開されてみたらネガティブな感想ばかりで、大丈夫なのか?と心配になりつつ、劇場に足を運んできました。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

この作品は元々は岩井俊二監督の出世作となったテレビドラマのアニメリメイク。さらには制作がシャフト、プロデュースが『君の名は。』の大ヒットも記憶に新しい川村元気とあって、商業的にもかなり売る気マンマン感が伝わってきていました。私は元のドラマ版は観たことがなかったのですが、このアニメ映画版は楽しみな反面、岩井俊二のあの叙情的な映像美と、シャフトのロジカルに組み立てられた映像世界って本当に融合できるの?という不安はありました。

キャッチコピーにもある「繰り返す夏休みの 1 日」という設定は、ループもののアニメ作品としては王道中の王道。その制作にシャフトが選ばれたのは、やっぱり 2010 年代のループものアニメのテンプレとなった『まどマギ』がきっかけなんでしょうか。同じ時間を何度も繰り返しながら、自分の望む結末に少しずつ近づいていく流れは、確かにアレを彷彿とさせるものがありました。

物語の世界観は完全にシャフト。というか〈物語〉シリーズの記号化された世界の中を別のキャラクターが動き回っているような感覚を受けました。でも岩井俊二の叙情的というか、私的な印象を受ける世界観を下敷きに、シャフトのちょっとクセの強い映像表現を乗っけるところにちょっと無理があるような。あのソフトフィルタを使ったかのような、常にレンズフレアが入っているような淡い映像と、シャフトのパキッとした画作りはちょっと相容れないと感じるんですよね。まあ、水とか空とか花火のキラキラした表現は、新海誠に負けず劣らず美しくて見入ってしまいましたが。

声に関しては、脇を固めるのがいつもの声優陣で、主役の二人だけが声優ではない俳優。個人的にはアニメに俳優が声を当てるのは好きではありません。主人公・島田典道(菅田将暉)は声も芝居も絵柄に合ってなくて、観ているのがちょっと辛かったなあ。ヒロインの及川なずな(広瀬すず)に関してもさほど期待してはいなかったんですが、声優っぽくはないんだけど棒読みでもなく、思春期のコロコロ変わる少女の雰囲気がよく出ていて良かった。もっと言えばかわいかったです(ぉ。ストーリーとか映像美とかいろいろあるけれど、なんかこの作品はヒロインに惚れさせたら勝ち、みたいな意図で作られたんじゃないだろうかとさえ思いました(笑

「岩井俊二原作」ということを意識しすぎると違和感が強くなるけど、映像は近年の 2D アニメ映画の中でもトップクラスだし、何よりなずながかわいい(しつこい)。個人的には酷評されているほどには悪くなかったと思います。自分にはこういう青春はなかったので「いいなあ...」と指を噛みながら観てしまいました。

投稿者 B : 22:50 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/08/01 (Tue.)

モアナと伝説の海 [Blu-ray]

モアナと伝説の海 [Blu-ray]

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夏休みっぽい映画でも観てみようと思って BD で鑑賞。

ディズニー映画の割には劇場公開時のプロモーションのかけ方が地味だったような印象があります。いわゆる「プリンセスもの」ではないから引きが弱いってのもあるでしょうし、数年前の『アナ雪』が主題歌も含めて分かりやすすぎたからそれと比較してしまうというのもあるでしょう。私も劇場公開時には何となく足が向きませんでした。

ストーリーは小さな島の古い村に住む村長の娘・モアナが、食糧危機に瀕した島を救うために海の外へ旅に出る、という内容。もともと海に強い興味を抱いていたモアナが旅に出ることを村長である父に強硬に反対されるとか、それでもおばあちゃんは応援してくれるとか、まあいろいろあるわけですが、この世界を作った英雄(ある種の神に近い存在)であるマウイと出会い、村、ひいては闇に包まれつつある世界を救いに行きます。世界が闇に包まれた原因はかつてマウイがこの世界の女神テ・フィティの心を盗み出したためで、その心を取り戻し、テ・フィティに返せば世界は元に戻る...というもの。
ディズニー映画というと、『アナ雪』や『美女と野獣』に代表されるように空気を読まずに正義をなす勇気の象徴のような主人公と社会的マイノリティのメタファーのような対役(逆の場合もある)が最終的には人間の欲の権化である悪役を倒す、というのが王道のストーリー。ですが、今回は悪役らしい悪役は不在で、村長はかつて自分が冒した危険を娘には繰り返させないようにしたかっただけだし、そもそもの原因となったマウイの行為も「人間の敬意や感謝を受けたかっただけ」だし、モアナを動かすのも阻むのも全て他の登場人物のちょっとした善意や虚栄心によるもの。ラスボスである溶岩の魔神テ・カアが怒っていた理由もたった一つだけ(それが解決されれば鎮まる)。というように、「欲望=悪」という思想をベースにした勧善懲悪ではないシナリオがディズニーっぽくなく、主に子ども向けにしておくにはちょっともったいないレベルの作品だと感じました。

映像はディズニー・アニメーション・スタジオだから折り紙付きだし(特に空と海の表現が素晴らしかった!)、音楽に関しても自然や南国がモチーフだけに『ライオン・キング』にも似た力強さがあるし(個人的にはマウイと巨大ガニのタマトア関連の楽曲のノリが気に入った)、非常にクオリティが高い。ノーマークだったけど個人的には『アナ雪』よりも好きかもしれません。未見ならばこの夏休みの間にオススメしたい一本です。

投稿者 B : 22:55 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/07/31 (Mon.)

君の名は。 [PS Video]

君の名は。

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劇場公開から一年経って、『君の名は。』の BD/DVD およびネット配信が始まりました。つい春先までやってた映画館もけっこうあったためあまり待たされた感はありませんでしたが、『シン・ゴジラ』と同時期に上映していた映画と考えるとリリースまでは引っ張りましたね。BD 買ってもいいかなとちらっと考えたんですが、ここのところ欲しいもののリリースが続いているし、繰り返し観たり特典映像を見たりする余裕も当面なさそうなので、配信で観ました。

映画館で一度観た上で再鑑賞すると、初見では気がつかなかった伏線がざっくざく見つかって面白い。けっこう細かいところまで仕込んであって、計算され尽くし具合に感心した一方で、逆に序盤に出てくる伏線はむしろ時系列おかしくないか?と思ってしまった部分もあり。計算して仕込まれた伏線とストーリー上矛盾してても演出的に入れた伏線が混在してる感じですが、初見だと「ああよくできてるなあ」となるように作られているんですね。

改めて観ても映像は本当にキレイだし、何よりキャラクターが活き活きとして実在感あるのがいい。キャラクターデザインの勝利もありますが、動きのつけ方や声の当て方まで含め、今までの新海誠作品とは変えてきてイマドキのアニメに寄せてきた感がありますが、それがいいんだと思います。私もあの後新海誠の旧作を改めて少し観てみたけど、やっぱり入り込めなかったからなあ。
この作品の成功はとにもかくにも東宝とプロデューサーの川村元気氏が「新海誠っぽさ」を削りに削った結果の産物なのではないでしょうか。売れてからの宮崎駿が自分のメッセージを強く作品に込めると説教臭くなってしまったのと同じで、新海誠も自分の好きにさせないほうが商業的にはうまくいく、ということなのだと思います。新海誠っぽさを好きな人のことを否定するつもりはありませんが。

本作のヒットで「ポスト宮崎駿」みたいな持ち上げられ方をしているアニメ監督の一人ですが(まあ近年マス向けにヒットしたアニメ監督が皆通る道でもありますが)、本当に国民的なアニメーション監督になれるかどうか、はむしろ次回作の出来にかかっているのではないでしょうか。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/07/09 (Sun.)

メアリと魔女の花 @T・ジョイ PRINCE 品川

昨日劇場公開されたばかりのこの映画を早速観に行ってきました。

メアリと魔女の花

メアリと魔女の花

借りぐらしのアリエッティ』『思い出のマーニー』の米林宏昌監督が、ジブリ退社後に初めて手がけた長編アニメ作品です。マーニーのときに「次は動きのあるファンタジーを」という話だったのでずっと楽しみにしていましたが、元ジブリの西村プロデューサーが立ち上げた「スタジオポノック」でそれが満を持して形になりました。プロデューサーと監督のみならず制作スタッフの大半が元ジブリ作品の関係者で、事前プロモーションも「ジブリを継ぐ者」というイメージで煽ってきており(当の宮崎駿監督の引退撤回発表で水を差されてしまいましたが)、注目度は高かったように思います。が実際に映画館に足を運んでみたら、公開二日目の日曜日でこれ?というくらい席が空いていて(半分くらいしか埋まっていなかったように見えた)若干心配になりました。

以下、感想ですがネタバレに触れずに書くことが難しいので、ちょっと行間を空けておきます。













「元ジブリのスタッフが手がける魔女もの」となれば必然的に 28 年前の名作と比較されてしまうわけで、自らハードルを上げてしまっている本作。それ故に厳しい評価も多いようですが、個人的にはけっこう好きでした。

オープニングはジブリの「31 年前のあの名作」を彷彿とさせるもので、これはおそらく制作サイドが(あるいはスポンサーからの要望で)意識してやっているのだと思います。他にも背景美術の美しさ、色彩、生きものの動き、などなど画面上の表現はジブリそのもの。「これはあの作品のあのシーンだな」というカットも多々ありますが、これは狙ったというより制作陣に流れる「血」のようなものではないでしょうか。それでいて、あのジブリ作品の主人公が「魔女は血で飛ぶの」と言っていたのに対して、本作のメアリは魔女の血を引いていないのに箒で空を飛ぶ、というのは明確なアンチテーゼだと思います。

この作品のテーマはおそらく、コンプレックスを持つ少年少女の自己肯定と成長。『マーニー』でもそういう側面はありましたが、今作は序盤のメアリが「なんかヒロインにしては微妙なキャラデザだなあ」という顔だったのが、物語が進み成長するにつれて表情豊かになり、魅力的な顔つきに変わっていくという作画上の演出がよくできています。が、対役であるピーター少年が残念。デザインも微妙だし、「ヒロインに最初は嫌われるけどあることをきっかけに関係が進展する」というテンプレをなぞるだけで掘り下げが浅く、どうも感情移入がしきれませんでした。脚本の都合で動かされるだけという点では細田守作品のヒロインの位置づけに近いように思います。これがもうちょっと何とかなっていれば、さらに満足度の高い作品になっていたと思うだけに残念です。
その点も含め脚本は全体的に厚みがあまりなく、大人が見るにはやや物足りない点もありますが、全年齢向けとしてはまあ良い塩梅なんじゃないでしょうか。実際私が行った館でも半分程度が家族連れだったようでした。後半、メアリたちがピンチに陥るシーンで号泣するお子様多数(笑。

ツッコミどころもあるし、画が画だけに批判の的になりやすいのも事実ですが、個人的には少なくとも過去 20 年のジブリに期待しながら出てこなかった「ジブリクオリティの映像で活劇」がようやく見られただけで満足です。ただやはり次はこのクオリティを持ちながら「ジブリ的でない」作品も見てみたい。ラストシーンにおけるメアリの「魔法が使えるのは、これが最後」という台詞は、米林監督のそういう自覚が言わせたメタ発言ではないかと思うのです。
米林監督に限らず、ジブリの流れから出てきたクリエイターが宮崎駿・高畑勲の呪縛を打ち破って世の中の支持を得られて初めて「ポスト・ジブリ」と言える時代になるのだろうなあ、と思います。スタジオポノックの次の作品にも期待しています。

投稿者 B : 21:20 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/03/23 (Thu.)

ひるね姫 ~知らないワタシの物語~ @新宿バルト 9

先日公開された神山健治監督の新作映画『ひるね姫』を観に行ってきました。

ひるね姫 ~知らないワタシの物語~

ひるね姫

神山監督と言えば『攻殻機動隊 S.A.C.』や『東のエデン』といったサイバー要素の強い SF というイメージが強いのに、それが今回は女の子が主人公の映画ということでどんな話になるのか全く想像がついていませんでした。しかもテーマは「親子の絆」とのことで、さらに神山監督っぽくないと言ったら怒られるかな(笑。
しかし実際に映画が始まってみたら、自動運転車や VR、ロボットといった現代のテクノロジーキーワードが満載。おお、確かにこれは神山監督っぽい(笑

ストーリーは、四国岡山在住の高校生・森川ココネが、夢と現実の間を行き来しながら自分の「家族の秘密」に近づいていくというお話。

夢が重要な役割を果たす話というと先日も『君の名は。』がヒットしたばかりですが、必然的にファンタジー的な物語になりがちなもの。序盤のタッチがともすると女児向けアニメっぽい雰囲気であることもあって、最初は自分がどういうテンションでこの物語に入り込んでいけばいいか分からず戸惑いましたが、自動運転やタブレットといったテクノロジーキーワードが出始めたところでようやく流れに乗れました(笑。
「夢」が物語の鍵というだけあって、現実と夢の行き来で少しずつ謎が解けていく様子はゲーム的でもあります。が、途中から現実と夢の境界が(おそらくは意図的に)曖昧になって、「ここはきっとこういうことなんだろうな」と脳内で意味を補完しながら観る必要があります。それはそれで想像力を必要とされて面白くはあるんですが、クライマックスだけは「現実の方はなんでこうなっちゃったのか」の説明が全くなく、若干肩透かしを食らってしまいました。親子の絆を感じる最大の見せ場なんだから、そこはファンタジーにしないでほしかったなあ...。

劇中ではキーアイテムとして見覚えのある PC(笑)によく似た「魔法のタブレット」が現実と夢の両方の世界に登場するわけですが、『東のエデン』に出てきたノブレスケータイ的な演出が仕込まれていてニヤリとさせられてしまいました。ガジェットをこういう演出に使うのはやっぱり神山監督の持ち味だなあ。
ただしガジェット関連は単なる映像上のギミックのために用意されたものも少なくないし、例えば「主人公が眠くなるのは何故か」という最大の謎が最後まで謎のままだったり、要素をたくさん配置しすぎてとっちらかっちゃった感は少しありました。2017 年から 2020 年に向けたトレンドを押さえた映画としてはよくできていると思うけど、もう少し本流のテーマに対してシンプルに描かれていたら、ラストではもっと感動できていたかもしれません。

女の子の親としては「父と娘」という物語を観るといろいろと考えてしまうところはありますね。神山健治監督には娘さんがいらっしゃるとのことで、ああ娘さんがいたら親子関係はこういう感じに描きたくなっちゃうのも解るなあ、と思ってしまいました(笑。私も長女が中学校に入ったら、一緒に観てみるのもいいかなあ。

投稿者 B : 23:50 | Anime | Movie | コメント (3) | トラックバック

2017/03/13 (Mon.)

劇場版 ソードアート・オンライン@TOHO シネマズ渋谷

実はテレビシリーズは未見なのですが、AR/VR や AI といった近年のテクノロジーキーワードが盛り盛りの作品ということで、アニメ映画の世界でそれがどのように描かれているのか?というのが気になって、観に行ってきました。

劇場版 ソードアート・オンライン -オーディナル・スケール-

劇場版 ソードアート・オンライン

VR 世界で展開される MMORPG『ソードアート・オンライン(SAO)』。ではなく、本作のメインは現実世界上に AR で展開される『オーディナル・スケール』。主要な登場人物たちが過去作でどのような活躍をしたかは冒頭で簡単に説明されるので、MMORPG をプレイした経験があれば何となく理解はできます。そして AR ゲーム『オーディナル・スケール』に関しては現代に同様のゲームはまだ存在しませんが、『ポケモン GO』のおかげで現実世界にゲームの世界観を重ねるという概念は、既に多くの人が体験済みでしょう。『ポケモン GO』はポケモン捕獲シーンが AR モードを持っているせいで「あれが AR」という理解をされがちですが、現実の位置情報を使ってリアルワールドにゲームの世界観を重ねているという点で、『ポケモン GO』というゲームそのものが AR ゲームである、という定義ができるのだと思っています(このあたりは西田宗千佳氏の著書『ポケモン GO は終わらない』を参照のこと)。

本作では「オーグマー」と呼ばれる AR デバイスによって、現実世界に CG ベースの視覚情報を重ねるという設定になっています。我々が生きる現実社会でも HoloLens 等の AR デバイスがその道を拓こうとしていますが、オーグマーレベルの表現が可能になるまではあと数年はかかるでしょう。VR や AR がまだ一般に普及しているとは言えない 2017 年において、「VR と AR の違い」を作中で分かりやすく理解させてくれる貴重な資料でもあると思います。
客層も幅広いけど十代が多く、報道では「VR は早くも落ち目」みたいなことが一部で言われ始めていたりしますが、たぶんこういう作品を通じてテクノロジーの未来に自然に触れた若者から順に、VR/AR は普通に浸透していくのかもしれません。

ストーリー自体はあまりひねったところはなく、電脳世界バトルものとしてオーソドックスに作られている印象。一部、過去作未見の私には理解できない単語やエピソードも出てきましたが、それなしでも十分に楽しめる内容でした。おそらく「AR と VR の関係性」という大きめのギミックが仕込まれているせいで複雑な伏線をあえて外したのでしょうが、それで良かったようにも思います。
クライマックスはケレン味に溢れたアクションと梶浦由記の音楽によってこちらの INT が下がる効果があり、力業で感動させに来てる感がありました。RPG で吟遊詩人や踊り子がステータスアップのアビリティを使うのは定番ですが、現代音楽を使って映像に落とし込むとマクロスっぽい雰囲気になるんですね。その楽曲を梶浦由記が手がけるというのはやや反則だろという気もします(ぉ

そういえばオーグマーの開発者が東都工業大学(東京工業大学のもじり)教授という設定がありましたが、『ベイマックス』といい、地方だとほとんど誰も知らないような地味な大学なのに、最近やたらとネタにされますね...。

半分は資料のつもりで観に行きましたが、思っていた以上に面白かったです。これは遡って過去作も観てみたくなりました。

投稿者 B : 22:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/01/24 (Tue.)

マクロス Δ の世界展

池袋パルコで開催されている『マクロス Δ』のイベントを見に行ってきました。

マクロスΔの世界展 | PARCO MUSEUM | パルコアート.com

マクロス Δ の世界展

そういえば以前もパルコにマクロスのイベント見に来たなー、と思い返してみたらあれはもう四年半前のことだったんですね。時間の経つの早すぎ(;´Д`)ヾ。

イベントのキービジュアルはもちろんワルキューレ...と思ったら、なんかメンバーでもないミラージュがセンターなんですけど(笑。

マクロス Δ の世界展

展示は前半がキャラクターデザインやメカデザインなどの設定周り、後半が作品の世界観再現、という内容。前半がほぼ撮影禁止だったのが、資料価値ある内容だっただけに残念です。

キャラクターデザインはメインキャラに関しては一稿の候補案から掲示されていて、検討の変遷を窺い知ることができます。フレイアがもう少しお姉さんっぽいイメージの案があったり、美雲は当初もっと正統派アイドル的な見た目だったり、カナメに関しては年齢ももう少し上がってグループのリーダーではなくマネージャー的な位置づけだったっぽかったり、とても興味深い。ここからシナリオに合わせてキャラクターの割り振りが追い込まれていった結果今のデザインに落ち着いたのでしょうね。
ただワルキューレ以外のキャラについてはある程度デザインが固まって以降の原稿しか展示されておらず、そこはもう少し深掘りして見たかったです。

マクロス Δ の世界展

メカデザインの展示についても撮影 NG だったので、上は場外に展示されていた DX 超合金 VF-31F のサンプルです。メッサー機のバトロイド形態はもしかしてこれが初公開ですかね(ホビー関係のイベントは追っかけてないので分かりませんが)。DX 超合金は J 型を買った人の評価が高かったので、F 型が出たら買おうか思案中。

メカ系の展示は普段あまり見ることのできない、レゴブロックを使った河森監督お手製の「ドラケン III」の変形原理試作が展示されていたのに感激しました。ジークフリードは主人公機らしい格好良さがあるけど、ドラケン III は従来のバルキリーとは全く違う変形機構を採っていて、メカ的にむちゃくちゃ興味深いんですよね。本当はこの辺の工夫に関する解説があるともっと嬉しかったんですが、特になし。そういうのが知りたい人はプラモ買って自分で理解してね、ってことなんでしょうが(;´Д`)ヾ。

マクロス Δ の世界展

後半は世界観の展示。ワルキューレのステージをイメージしたもの、ウインダミアの玉座をイメージしたもの(玉座に座って写真撮影可能)、あとなぜかクラゲ祭りをイメージしたもの(笑。これらは展示面積的には前半よりも広いですが、内容は薄めでさらっと見ていく感じ。

マクロス Δ の世界展

ここにはワルキューレと空中騎士団の(ほぼ)等身大パネルが展示されています。しかし主人公のパネルはナシ(笑

マクロス Δ の世界展

この(ほぼ)等身大パネル、塗りが本当に美しくてつい引き込まれてしまいます。いつまでも眺めていたい。

マクロス Δ の世界展

大満足、というほどのボリュームではありませんが、『マクロス Δ』の世界をより深く知れるという意味ではなかなか面白い展示でした。隣では『君の名は。』カフェも期間限定オープン中だし、併せて楽しめます。

個人的には『マクロス Δ』はメカや楽曲がとても好きだったのに終盤のシナリオがあまりに残念だったんですよね。『F』のときみたいに劇場版にリメイクしてくれませんかね...。

マクロス Δ 01 特装限定版 [Blu-ray]

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2016/11/29 (Tue.)

この世界の片隅に @T・ジョイ PRINCE 品川

全然チェックしていなかった映画ですが、なんか公開後にじわじわと評価が高まっているようなので、気になって観に行ってきました。

この世界の片隅に

この世界の片隅に

今年はクチコミで盛り上がる映画の当たり年になっています。それでも単に SNS で話題、というだけなら「ふーん」で済ませていた可能性もありますが、知人関係で観に行った人が口を揃えて「良かった」と言っていたので、これは一度観ておいた方がいいな...と。実際、公開後に少しずつ上映館が増えているということで、大ヒットまではいかないまでも盛り上がってきている、ということなのでしょう。

時代は太平洋戦争の開戦直前から終戦直後まで。舞台は主人公すずの故郷である広島と、嫁ぎ先である呉。呉は戦艦大和を建造したことでも有名な日本有数の工廠を擁し、広島と太平洋戦争の関係は言わずもがな。始まった時点から悲劇的な結末しか予想できませんが、物語は決して暗くならずに進んでいきます。

この物語は大きなくくりで言えば「戦争もの」の一つだけど、実体はむしろ「日常もの」に近い。状況は戦時下ではあるけれど、その中で生きる人々の生活は(少なくとも本土空襲に見舞われるまでは)必ずしも悲壮ではなく、時代なりに人間らしい喜怒哀楽に基づいて営まれていたことが、比較的淡々と描かれています。私が観たことがなかっただけかもしれませんが、少なくとも今までに観た戦争映画でこういう視点で描かれた物語はなかったように思います。戦争はひどい、戦争はいけない、それは確かに事実なんだけど、日本で実際にあった時代の話について、そういう側面しか残し伝えないのが本当に良いことなのか。
この物語がどこかあっけらかん、のんびり、のほほんとした雰囲気で進むのは、多くは主人公すずのキャラクターによるところが大きいでしょう。自らを「ぼんやりしている」と認め、人より動きは遅いし細かい失敗も多い、でも愛すべきキャラクター。怒りや悲しみの感情を表すことが少なく、どんなことでも柔らかく笑って受け止めるこの人がストーリーテラーであったことが、この映画を優しい物語にしていると思います。私は『あまちゃん』を観ていなかったので、のん(本名:能年玲奈)の演技に CM 以外でまともに触れたのはこれが始めてでしたが、こういう芝居ができる人だったんですね。

しかし、前半で戦争時代の暮らしをじっくり、ゆったりと描いた分、空襲や原爆にまつわる描写はそれ以上に重い。感情移入させられてしまったために、それが一つ一つ奪われていく痛みがありました。最初から「これは辛い悲しい話だよ」と見せられる戦争映画よりもずっと痛みが生々しく感じられる。終盤は、劇場内にすすり泣きの声が響いていました。
それでも、焼け野原から手を取り合って立ち上がってきたのが我々の先達であり、だからこそ今の自分があると思うと、何となく生きるのではなく、一分一秒をもっと大切にしなければ。と思います。私は、映画館から出た瞬間に、まず家族のことを思い浮かべました。

正直言って、派手な戦闘シーンみたいなものもないし、グワッと盛り上がる場面もない。一般的に映画の二時間に期待する感情の抑揚がなくて不完全燃焼感はあるかもしれません。でも、うまく言えませんが、観終わった後に反芻するとじわじわ良さが感じられてくる、そういう映画だと思います。

とても良い映画でした。

こうの 史代 / この世界の片隅に 上・中・下

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投稿者 B : 23:55 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2016/11/26 (Sat.)

株式会社カラー 10 周年記念展

原宿ラフォーレミュージアムで開催されている、スタジオカラーの展示会を見に行ってきました。

株式会社カラー10周年記念展 | 株式会社カラー

株式会社カラー 10 周年記念展

ラフォーレ自体、今まで数度しか足を踏み入れたことがなかったので、我ながら場違い感満載(;´Д`)ヾ。でもラフォーレ内のエレベーターには同じような属性の人がたくさん乗っていて安心しました(ぉ
入場料は ¥500。アニメ系の展示会でこれよりも小規模なのに高価い、というのも珍しくないので、これはかなり良心的と言えます。

株式会社カラー 10 周年記念展

スタジオカラーはこれで 10 周年。ガイナックスを独立した庵野秀明が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を製作してからもうすぐ 10 年が経とうとしている、ということを考えると、改めて時の流れの速さに驚きます。
その後非常にゆっくりとしたペースで『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズを継続してきたカラーですが、庵野監督が鬱で休業したりしている間にも、スタジオとしての活動は続いており、いろんな作品で制作協力としてその名前を見ることができます。

株式会社カラー 10 周年記念展

とはいえカラーの主力作品はやはり『ヱヴァ』。新劇場版における膨大な量の原画や設定資料等が展示されており、非常に見応えがあります。

ちなみにこの展示会は一部動画展示等の撮影制限があることを除き、ほぼ全域が写真撮影可(ただし一枚一枚を極端に接写するのは NG とのこと)。この手の展示会ではここまで撮影が許可されることも珍しく、まさに大盤振る舞い。

株式会社カラー 10 周年記念展

私はガンダムシリーズについては多くのイベントや展示会に足を運んで原画等を目にする機会も多いのですが、ヱヴァに関しては今まであまりそういう機会がありませんでした。今回改めて原画をじっくり見ると、その線がもつ力に圧倒されますね。テレビアニメではなく劇場版だからこそできるクオリティではありますが、ディテールに至るまで手抜きがない。

株式会社カラー 10 周年記念展

メカの描き込みもこの緻密さ。着色されていない線画のほうが細かい描き込み具合がよく分かります。この線画のまま、額に入れて飾っておきたくなります。

株式会社カラー 10 周年記念展

ヱヴァ(特に新劇場版)という作品が強い熱量を持っているのは、登場人物の表情の印象がすごく強いから、という部分が大きいと思いますが、これなんかはその最たるもの。これもカラー映像以上にパワーを感じる原画です。

株式会社カラー 10 周年記念展

一枚一枚の表情の強さに、引き込まれるように見入ってしまいます。これじっくり見てたら丸一日かかるんじゃないですかね。

株式会社カラー 10 周年記念展

展示の多くはモノクロの原画ですが、カラー作品もいくつか。宗教的なモチーフを多数扱った作品だから、というだけにとどまらない神々しさが込もった一枚。むしろ油彩で見たくなります。

株式会社カラー 10 周年記念展

『破』に登場したアスカのパペットの設定画。「moyoco」のサインがありますが、この設定描いたの安野モヨコだったのかー!確かにヱヴァに出てくる小物としてはちょっと違和感ある作画だと思ってたんだよなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』の巨大戦艦ヴンダー。『Q』ではそれまで以上に 3DCG 作画の割合が高まっていて、こういうメカ類の細かい作り込み度合いも深まっています。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』で追加された人物設定。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』の主題歌だった宇多田ヒカル『桜流し』にヱヴァの名シーンを繋いだオリジナル PV も場内で流されていて、人だかりができていました。
最近 NHK でテレビ版のリマスター再放送をやっているけど、久しぶりに新劇場版の BD を最初から見直したくなったなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

ここに掲載した原画はあくまでごくごく一部で、会場にはこの数十杯の物量の原画・設定画等が展示されています。本気でじっくり見たら半日、いや一日かかってしまうレベル。これはファンは心して見に行くべき場所じゃないでしょうか。

株式会社カラー 10 周年記念展

会場内では、10 周年を記念して安野モヨコが描いた漫画『おおきなカブ(株)』とそのアニメーション版が展示/上映されていました。
10 年の歴史を古典童話になぞらえ、暗喩を用いてものすごーくざっくり描いた話で、これがまたじわじわくる感じで面白かった。

株式会社カラー 10 周年記念展

『Q』のカブを抜こうとして大怪我(鬱病発症)したおじいさん(庵野秀明)のもとへ西(三鷹)からやってきた、超おじいさん(笑

株式会社カラー 10 周年記念展

その超おじいさんから展示会開催を祝って贈られた花も展示されていました。

株式会社カラー 10 周年記念展

続いて『シン・ゴジラ』関連の展示。
最初に「庵野秀明がゴジラを作る」と聞いたときには、まさかそれがカラーを代表する映画の一つになるとは思っていませんでした。

株式会社カラー 10 周年記念展

『シン・ゴジラ』は実写と CG で作られた作品のため、アニメのような原画は存在しませんが、初期にゴジラの造形ディテールを確認するために作られた原型モデルが展示されていました。
この現物をこの目で見ることができる、というのは燃える!

株式会社カラー 10 周年記念展

今までのどんなゴジラとも違う造形だけど、全体としての印象は間違いなくゴジラ。
ディテールがむちゃくちゃ細かいので、いろんなアングルから写真を撮りまくりたくなります。

ああ、早く BD 発売されないかなあ。

株式会社カラー 10 周年記念展

短編特撮映画『巨神兵東京に現る』の撮影に実際に使われた巨神兵のパペット。背後にはクロマキー合成で抜くために青く塗られた操者用のフレームがくくりつけられています。
これがあったから『シン・ゴジラ』が生まれた、と思って見るととても感慨深いものがあります。

株式会社カラー 10 周年記念展

『ヱヴァ』も『シン・ゴジラ』も巨神兵要素を持っていることを考えると、巨神兵が庵野秀明に与えた影響は本当に大きかったんだな...と思いますね。

株式会社カラー 10 周年記念展

お土産は小冊子。といってもちょっとしたパンフレットではなく、88 ページにわたる立派な冊子で、漫画『おおきなカブ(株)』全編のほかスタジオ関係者へのインタビュー等を収録した内容の濃いものになっています。映画のパンフレットがあの薄い内容で 1,000 円取っていることを考えると、この冊子までついて入場料 500 円というのは安いというか、むしろファンサービス的なイベントなんだろうな、と思えます。

原宿という場に似つかわしくない(笑)、想像以上に濃厚な展示会でした。会期は 30 日までとのことですが、私もあと一回くらいじっくり見に行きたい。

投稿者 B : 22:10 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック