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2018/08/30 (Thu.)

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー@TOHO シネマズ川崎

あまり話題になっていない(?)スタジオポノックの新作映画を観てきました。

ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー

この夏はスタジオ地図(細田守)、コロリド、ポノック、コミックス・ウェーブ・フィルム(新海誠監督じゃないけど)という「ポストジブリ」とよく形容されるアニメ制作スタジオ 4 社が揃って新作を公開するという稀有な年になっています。個人的には、そろそろポストジブリとか言うのをやめて質の高い作品を作れるスタジオが増えてきたことを純粋に喜ぶべきと考えていますが、こうも公開が続くとどうしても比較目線で見てしまうわけで。
さておき、スタジオポノックとしては昨年の『メアリと魔女の花』以来わずか一年半での新作。しかも同じく日本テレビが出資する『未来のミライ』と公開時期がかぶってしまったこともあってかプロモーションもあまりされていない、やや残念な位置づけになっているのが不安要素ではありました。

本作は短編三本立てで一時間弱という、劇場映画としては小粒なものになっています。短編三本立てというだけでも実験的な香りがしますが、内容も映画館向けというよりジブリ美術館で上映されるような実験的なものだったので何だろう?と思ったら、東洋経済オンラインに経緯が書かれていました。

「短編アニメ映画」の公開が相次ぐ本当の理由 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン

なるほど、当初は配信向けを想定して作られていたんですね。しかも本来は三本立てではなくジブリの高畑勲監督も招いての四本立てになるはずだった模様。なのにそれが一気に 100~150 館規模での上映になるというのは、いろいろと大人の事情が感じられます。

ともあれ、内容的には以下のような感じでした。

■カニーニとカニーノ

擬人化されたカニの兄弟(観終わるまで兄妹だと思ってた!)の、ちょっとした冒険の物語。ファンタジックな映像でありながら、内容的にはちょっと冷酷な生命と食物連鎖の話。

米林宏昌監督が手がけただけあって、『メアリと魔女の花』に勝るとも劣らない濃厚な背景描写。しかし冒頭からまるで『トトロ』のオープニングのような楽曲に合わせて『ポニョ』の世界観をそのまま引っ張ってきたかのような水中の映像が繰り広げられるのには呆気にとられます。『メアリ』のラストシーンでメアリに「魔法が使えるのは、これが最後」と言わせておきながら次の作品でいきなりこれかよ!と思わず叫びたくなりました。

無声劇に近い内容で台詞もほぼなし。ストーリーも深みがあるとは言えず、映画ではなく美しい映像を見せられている感覚。作画が素晴らしいのに反して、三本の中では一番残念に感じました。

■サムライエッグ

重度の卵アレルギーと闘う母子の物語。私は身近にアナフィラキシーが出るほどのアレルギー持ちがいないので(仮にいてもみんな大人なので対処法が自分で解っているのかも)、本当に深刻な人はここまでになってしまうというのを本作で初めて見ました。今後アレルギー持ちの人と食事の席(に限らないけど)を共にすることがあったら気をつけよう。

『カニーニ』とは打って変わってパステルと水彩で描かれたような映像には引き込まれます。しかもダンスシーンのように動きの激しい場面まで含め、全てこのタッチを用いた手描きアニメで表現されているという。CG 全盛の現代にあって、あえて手描きでこれだけ見せられると圧倒されますね。まるで晩年の高畑勲作品を観ているかのような感覚。三本の中では最も印象に残りました。

■透明人間

他人にはまず見えず、あまりの存在の軽さに重ささえももたない「透明人間」の悲哀の物語。

今度は『サムライエッグ』とは対照的に、油彩のような背景の中をキャラクターが動き回る映像。設定も相まって、『世にも奇妙な物語』のような不思議な体験を共有させられている感覚があります。前の二本は子ども向けの作風でしたが、本作はちょっと大人向け。
報われない透明人間が最後には少し救われる話で、ボリュームこそないけど起承転結はあります。


...というように、それぞれの作品は特に映像・音響面で実験的な試みが盛り込まれ、ギミック的には面白かったんですが、全体的にはやはり詰め合わせ感が強く、映画としての物足りなさを感じてしまいました。やっぱり映画館に来たからには 90~120 分くらい一つの物語に浸って最後にはカタルシスを得たいものなんですよ。そういう意味では、本作は無理に映画館で流すのではなく、配信のほうが向いていたのでは...と改めて思いました。
また、三本ともに短編とはいえ脚本はもっとやりようがあったように思います。三本とも監督が脚本も書いていますが、原作つきの作品をやるなり外部脚本家を起用するなりすべきだったのでは。そういう意味では、この夏のアニメ映画は原作つきの『ペンギン・ハイウェイ』と監督兼脚本の『未来のミライ』『ちいさな英雄』で明暗が分かれたのではないでしょうか。「ポストジブリ」と言われるアニメーションスタジオは、いずれも作画や演出は素晴らしいけど脚本まで自前でやろうとして失敗する例が多いように思います。

スポンサーの関係で難しいのかもしれませんが、スタジオポノックには今後あまりジブリを意識せずに自由に快活な作品を創っていってほしいところです。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/27 (Mon.)

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ [Blu-ray]

明日発売の Blu-ray がフライングで届きました。

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ 特装限定版 [Blu-ray]

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音楽が菅野よう子じゃないのかとか、流行りに乗ってアイドルグループものかよとか、オチもなんだかんだいって『F』の焼き直しだし...いろいろとツッコミどころはあってもなんかハマってしまったのが『Δ』。これまでのシリーズとは違って最初から「戦場で歌う意味」が明示されていて、最大の見せ場であるドッグファイト×ステージパフォーマンスをふんだんに使えることと、'70s テイストを含みつつテンポとコーラス重視の分かりやすい楽曲(だけど構成自体はけっこう複雑)が良かったのではないかと分析しています。ワルキューレの五人を軸とした TV 版から劇場版への大胆な再編集ぶりを見ると、本作においてストーリーや三角関係はもはや添え物でしかなかったんや!とすら思えてきます。

届いたばかりでまだ部分的にしか観ていませんが、やはり圧巻は劇場版のために用意された新曲『チェンジ!!!!!』。全編 CG で作画されたライヴシーンは楽曲のパワーも相まってたたみ掛けてきます。細かく見ていくとキャラクターの顔のモデリングは特に斜め向きになったときにやや不自然で、このあたりは娘が観ている『アイカツ!』シリーズのほうが技術的にこなれていると感じますが(しかもこのクオリティを毎週放送しているんだから本当にすごいと思う)、それでも手描きアニメとほぼシームレスな作画でグリグリ踊る映像は圧倒的。さらにステージ全体が舞台装置として動くギミックまで含め『劇場版マクロス F』から続いてきた AR 的ライヴ演出は遂にこのレベルまで到達したのか、と。映像と音楽の洪水に語彙力を押し流され、ボーグでなくとも魅了されてしまうものがあります。
そして何より象徴的なのが、劇場版での最大の見せ場であるこのライヴシーンにおいて VF によるドッグファイトシーンが挿入されないこと。順当に考えればラストバトルの最も盛り上がるドッグファイトシーンに新作画のライヴ映像を入れるだろうところが、今回は戦闘とは直接関係のない純粋なライヴシーンに最大の労力を割いてきました。つまり可変戦闘機はもはやマクロスの中心ではなくワルキューレこそが主役であり、本質的にはアイドルアニメであると宣言している点が、今までのマクロスシリーズと大きく異なります。でも多分マクロスシリーズでなければ私はこれを観ていなかったと思うので、そういう意味ではおのれワルキューレ!(←

相対的に見せ場の少なくなってしまったメカについては、ドッグファイトが減った代わりに VF-31F リル・ドラケン装備型とミラージュ専用ドラケン、とどめにアーマードジークフリードというサプライズ要素で魅せてくれました。特にテレビ版の VF はファイター形態以外の印象が薄かったので、新メカがいずれもクライマックスでバトロイド形態で活躍してくれるのが嬉しいところ。私も今度の週末にでも、1/72 のジクフリを傍らに置いてじっくり鑑賞しようと思います。

投稿者 B : 23:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/25 (Sat.)

ペンギン・ハイウェイ @チネチッタ

この映画、実はちょっと注目していました。

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

台風のノルダ』以来三年ぶりとなるスタジオコロリドの新作です。この夏のアニメとしては『未来のミライ』と比べてプロモーションは地味だしあまり認知されていない感じもしますが、劇場で流れていた予告編を見てけっこう楽しみにしていました。『ノルダ』は脚本はちょっと物足りなかったけど映像は素晴らしかったし、今回は原作つきの長編ということで期待できるに違いない、と。

ストーリーは研究好きの小学四年生「アオヤマ君」が、街にある日突然現れたペンギンたちと超常現象の謎を解くため、仲の良い近所の「お姉さん」と一緒にその研究をしたり、旅に出たりする経験を通じて少しずつ成長していく...というもの。物語の大枠としてはファンタジーでありながらアプローチは SF 的な、いわゆるサイエンス・ファンタジーの体裁を取っています。
このお姉さんがまた、「近所に住む憧れのお姉さんという概念」に歯科助手属性を加えて具現化したような存在で、自分の子ども時代の淡い感情がやたらと刺激される(笑。でもあくまで小学生視点での憧れのお姉さんという描写が徹底されていて、下品な見せ方になっていないのがまたいい。私は完全にアオヤマ君目線で作品に入り込んでいました。自分もアオヤマ君みたいに理屈っぽい小学生だったけど、あんな少年時代を送れなかったのは何故なんだぜ(´д`)。

「お姉さん」役は蒼井優。ちょっとサバサバした感じのハスキーボイスでアニメっぽすぎず、かといって不自然さもなく、自然な「お姉さん」感。なお登場するキャラクターには一通り名前が与えられているのにお姉さんだけは「お姉さん」だし、お姉さんがアオヤマ君を呼ぶときも「少年」。ここだけ不自然に抽象化された表現には何か意味があるんだろうと思ったら...やはりそういうことでしたか。
アオヤマ君の CV は北香那ってどこかで聞いた名前だと思ったら、ドラマ『バイプレイヤーズ』で大杉漣の中国人マネージャー役をやってた人か!あのドラマでも途中まで本当の中国人だと思っていたくらい上手かったけど、アオヤマ君役も良かった。『未来のミライ』のくんちゃんの声に最後まで馴染めなかったのとは対照的な配役。彼女、まだ若いけどいい女優さんになるんじゃないでしょうか。
他、声の出演は実写系の俳優と声優を取り混ぜて起用していましたが、中でも某有名声優を起用したウチダ君(アオヤマ君の親友)のかわいさは異常(笑。

ストーリーは観てのお楽しみですが、謎解きあり、冒険あり、友情あり、恋心あり、コロリドの持ち味である疾走感ある映像あり、夏らしい爽やかさあり...夏に観るべきアニメ映画の定番になり得る名作と言えるのではないでしょうか。少なくとも『未来のミライ』に期待して得られなかった要素が『ペンギン・ハイウェイ』にはほぼ全部入っていたと言って良い。そう、こういうのが観たかったんだよ!
子ども向け映画としては、女の子視点で面白いかは分かりませんが(男の子なら刺さるんじゃないかと思う)、疑問や課題への取り組み方という点で重要なメッセージが込められていて、私は子どもに見せてやりたいと感じました。話の展開上投げっぱなしの謎もいくつか残っているけど、アオヤマ君ならばそれらもいずれは解明して、いつか「お姉さん」に再びたどり着くに違いない。

あまり派手に宣伝されている映画ではありませんが、これはクチコミでこそ広がっていくタイプの作品だと思います。いい余韻が残る映画でもあるし、私も上映期間中にもう一度くらい観に行きたいところ。

森見登美彦 / ペンギン・ハイウェイ

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投稿者 B : 22:25 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/07/22 (Sun.)

未来のミライ @チネチッタ

細田守監督の最新作を観に行ってきました。

未来のミライ

未来のミライ

本作、久しぶりに細田守監督らしい活劇を見せてくれるのではという期待がありました。映画のキービジュアルが『時をかける少女』とほぼ同じ構図・背景の雲使いで、それ以外の作品は主人公がドーンと正面に向いていたのとは一線を画して「原点回帰」っぽい雰囲気があったことと、タイムリープっぽい設定がそう思わせたのでしょう。細田作品は家族をテーマするのが標準になりつつあり、かつ作品を重ねるごとに勢いが落ちてきている印象があったので、ここらで巻き返してほしいという思いもありました。

が、幕が開いてみるとなんだか事前の宣伝から期待された内容と違う。主人公の男の子が未来から来た妹と何かを求めて冒険する...という物語を想像していたのですが、全然そんな話ではありませんでした。主人公の「くんちゃん」を軸とした成長物語ではあるものの、妹の「未来のミライ」はタイトルになっているほどには登場も活躍もせず、プロモーションと実体の乖離具合は『ベイマックス』を彷彿とさせるものがあります。なんか夏空、JK、タイムリープものかつボーイミーツガールもの...という枠に当てはめたいプロモーション側の都合が見える乖離度合い。

物語は妹の「未来」が誕生し、今後の育児と生活は建築家として独立した旦那さんが兼業主夫として面倒を見、奥さんはすぐに社会復帰する...というところから始まります。旦那さんは一人目の子どものときはあまり自覚がもてず仕事優先で(これ自体は自分にも身に覚えがあるからまあわかる)、二人目の子どもなのにまるで初めての子かのようにミルクの与え方すらわからない(まずこれが理解不能)。なのに旦那さんは家事全般を引き受けようとするし、奥さんはそんな旦那に家を任せて生後三ヶ月でいきなりフルタイムで働き始めていきなり泊まりがけの出張に行ったりする。しかも復帰の理由が「同僚が産休に入って人手不足になるから」。そんなの生活が破綻するのは目に見えてるし、会社側も配慮なさ過ぎだろ!というのが気になってしまい、物語に入り込めなくなってしまいました。あまりにもリアリティがない...。

個々のシーンを見れば映像は美しいし、キャラクターの動きもすごく丁寧に描かれているし、素晴らしい。それぞれのエピソード自体は悪くないんですが、全体として見たときに抑揚がなく、「くんちゃん」の成長がイマイチ見えてきません。いや成長自体はしているんだけど、それが周囲の大人や友達との関係性の中で育まれるものじゃなく、不思議体験(という妄想)の中で起こるものという点がなんだかモヤる。

作中でくんちゃんが「不思議体験」をする場面の多くが大人にかまってもらえず、庭で一人で遊んでいる間に発生する...というところで気がついたのが、「本作はもしかして現代版の『となりのトトロ』を作ろうとしたのではないか?」ということです。トトロとは違う前提ながら母親が家におらず、父子家庭に近い環境で、子どもが不思議体験(明確には描かれないが空想や妄想である可能性もある)を通じて成長するという点で、この二作は似通っています。ただ、それぞれのイベントを通じてクライマックスへと盛り上げて行ったトトロとは違い、本作は散発的なエピソードの組み合わせで盛り上がりきらないまま終わってしまう。そういうところが物足りない理由の一つなのだろうと思います。

私が観た劇場では半分以上が幼稚園~小学生くらいの家族連れという感じで、特に前半のコミカルなシーンではたくさんの笑いが起きていました。子ども向けアニメとしてはよくできた作品なのかもしれませんが、大人向けとしては残念ながら物足りない。特にキャラの表情とか演出がすごくいいだけに、脚本がもったいなさすぎる。やっぱり細田監督は脚本は誰かに任せて監督に専念した方が良いのではないでしょうか...。

投稿者 B : 22:29 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/06/02 (Sat.)

宇宙よりも遠い場所 [Prime Video]

ある人が強烈にオススメしていたのが気になっていたところ Prime Video の見放題リストに含まれていたので、この一週間ほどで一気に観てしまいました。

宇宙よりも遠い場所

4 人の女子高生が南極観測隊に参加するお話です。

女子高生 4~5 人が主人公のアニメって『けいおん!』に代表されるような日常系なのかと思ったら、これはちゃんと目的を持ってそこに向かって突き進んでいくお話でした。4 人のキャラクターにはテンプレっぽさを感じますが、ちゃんと個性が立っていて分かりやすくはあります。

南極の昭和基地と観測船「しらせ」が民間に払い下げられたという設定(現実ではそんなことはない)で、民間の南極観測隊に女子高生 4 人が参加して南極を目指していきます。彼女らが観測隊に参加するまで、日本を出発してから観測船で南極に到達するまで、そして南極での生活が 13 話をかけて丁寧に描かれています。
南極といえば、私は世代的に子どもの頃に映画『南極物語』を観た世代で、当時就役したばかりだった「しらせ」の名前もよく憶えていますが、その程度。このアニメを観ることで南極への道程やそこでの生活が実際にどうなのかの片鱗を感じることができ、物語そのものと同じくらい、南極の実態や観測隊の生活について興味深く見入ってしまいました。今や宇宙をテーマにした映像作品は星の数ほどあって宇宙船やコロニーでの生活をイメージすることは難しくないですが、地球の果てを目指す生活がどんなものかを知れる映像作品というのは稀有だと思います。

女子高生が南極に行くというストーリーはアニメとしても異色ではありますが、その設定の中に敷かれたストーリーが実に深い。4 人のうち 3 人は心に何らかの孤独を抱えて生きていて、南極を目指す中でそれぞれに自分の孤独と向き合い、克服していきます。また「孤独」というのは家族や友達と表裏一体のものであり、彼女らが孤独を克服していく上で「友達とは何か」「親子とは何か」を考えさせられるものになっています。
友達に依存して生きてきた少女、友達に何と言われようと南極で行方不明になった母を追って自分も南極を目指した少女、友達に裏切られたことで他人と距離を取るようになった少女、芸能界に入ったことで本当の友達と言える相手を持てずに生きてきた少女。彼女たちが南極への旅を経て自分の中に軸を見つけ、「別々に暮らしていても孤独ではない」と思えるようになる成長の過程が、実に深い感動をもたらしてくれます。私は「泣ける●●」みたいな触れ込みの作品はあまり好きではないのですが、本作は一見ほのぼの日常モノっぽいタッチでありながら、ジワジワ感動させてくるところが良い。13 話あるエピソードのどこを切っても良さしかない中でも、個人的にはキマリと幼馴染みとの気持ちのズレが描かれる 5 話と、それまでほとんど陰を見せなかった日向の孤独の正体が描かれる 11 話が特に心に残っています。

普段ガンダムとマクロス以外のアニメはあまり追っかけていないのでリアルタイム(今年の 1~3 月に放送されていた)では全くノーマークだったんですが、本当に良い作品でした。見逃しても BD/DVD の発売を待たずに VOD ですぐにキャッチアップできるというのは実に良い時代になったものです。いろいろと感じるところがあったので、今度はそろそろ多感な年頃になってきた長女にも勧めてみようかと思っています。

宇宙よりも遠い場所 1 [Blu-ray]

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投稿者 B : 22:48 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/03/17 (Sat.)

ガールズ&パンツァー 総集編 [Blu-ray]

極上爆音上映のために観始めた『ガルパン』、なんだかんだでハマってしまいました。あの戦車戦をもう一度ホームシアター環境で観たいと思っていたらテレビ版の総集編 BD が発売されたので、買ってみました。本当は発売日に届いてたんですが時間がなくてまだちょびっとしか観れていません。

ガールズ&パンツァー 第 63 回戦車道全国高校生大会 総集編 [Blu-ray]

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もはやジャケット画像で結末が盛大にネタバレしてしまっています(ぉ。

テレビアニメ全 12 話と OVA『これが本当のアンツィオ戦です!』を約二時間のダイジェストにまとめた Blu-ray。さすがに BD 全巻を集める気はないけど戦車戦シーンは繰り返し観たい、という私のニーズにちょうどいい企画でした。
状況説明をナレーションに任せることで日常パートを大胆にカットし、戦車戦を軸として再編集されています。戦車戦の映像と音響を楽しみたい自分には嬉しい構成ですが、再編集版を改めて観てみると、テレビ版の日常パートと戦車戦パートの緩急のつけ方が秀逸だったことが改めて分かるし、初見ならばこのダイジェスト版よりもテレビ版を最初から観るべきだと気づかされます。登場人物が多いのに全員ちゃんとキャラが立っているのは、あの日常パートがあったからこそなんだなあ。

私がこの総集編を買ったのは安い(ストーリー的にはテレビ版全編収録にも関わらず実売 3,000 円前後)こともあるんですが、テレビ版の BD の音声が DTS-HD Master Audio 2.1ch だったのに対してこの総集編は DTS-HD Master Audio 5.1ch。極上爆音上映の例を挙げるまでもなくガルパンは戦車戦の「音」が演出上重要な役割を果たしている作品だけに、四方から回り込んでくる砲弾や履帯の音を堪能できることが重要なのです。まあ、収録されている音声のダイナミックレンジが広すぎて、台詞を聴き取ろうとしてボリュームを上げると戦闘シーンの爆音に心臓が止まる思いをするわけですが(;´Д`)、そういうのも含めてオーディオ調整の楽しみすら与えてくれます。

実は勢い余って劇場版の BD まで買ってしまったので(笑)、時間を見つけてこれらを堪能するためのオーディオ環境の見直しをしてみようかと。

投稿者 B : 23:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/02/11 (Sun.)

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ @TOHO シネマズ川崎

『マクロス Δ』の劇場版を観に行ってきました。

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ

サブタイトルは『激情のワルキューレ』。劇場版だから激情、って駄洒落もいいところですが(笑)、このサブタイトルのとおり主役はハヤテ・インメルマンではなくワルキューレだったと言って良いでしょう。まあ、テレビ版の頃から BD/DVD の売上はさほど振るわなかったけどワルキューレの楽曲やライヴチケットは売れていたと聞くので、こういう展開になった理由は肯けます。

ストーリーはマクロスシリーズにおける劇場版の例に漏れず、テレビ版を再構成したもの。しかし前作である劇場版マクロス F が内容を大きく改変したリメイクだったのに比べると、今回はストーリー自体は変えずに物語の構成を大胆にいじることで、同じ物語でも見え方が変わっていました。テレビ版は、前半こそいい感じに盛り上がったものの、後半、特に最終話でガックリ来てしまい、なんだか残念なアニメだったな...という印象を受けたものですが、劇場版では最後に向けてちゃんと盛り上げてしっかり締められていました。テレビ版で一番良かったくだりをそこに持ってくるかー、という驚きはありましたが、これはあくまで尺の短い劇場版向けに圧縮したからこそ成り立った手法であって、逆に放送期間の長いテレビ版ではこの構成は取れなかったでしょう。
そんな感じで 2 クール分のアニメ作品を 2 時間に収めてあるので、時系列は組み変わっているし、いろいろ省略もされています。特にテレビ版の放送時にキーワードとされていた三角関係要素はほとんどないし、ミラージュは戦闘シーンでの見せ場こそあったもののジーナス家出身という設定はほとんど活かせていないし、かなり割り切られています。ボリューム的には F 同様に前後編二部作になってもおかしくないのをここまで圧縮したのは、相当限られた予算の中で映画化する必要があったからではないか、とパンフレットを読んで感じました。

どれくらい割り切っているかというと本作の戦争の原因(ウィンダミアが新統合政府に対して宣戦布告した理由)が曖昧なままだし、本来の主人公だったハヤテも存在感が薄い。映画というよりもストーリーつきのライヴ映像という感覚で、この映画自体がワルキューレのステージパフォーマンスを軸に、それ以外の要素は PV として破綻しない程度に取捨選択して組み立てられたのでは?と思えるくらい大胆な作り。映像と音の濃さだけで言えば濃縮果汁を還元せずそのまま飲んでいるような感覚(笑。それでも終幕後の後味がテレビ版よりも全然スッキリしているんだから、あのテレビ版の脚本は何だったんだと言いたくもなります(ぉ

そんなワルキューレのステージの中でも圧巻は、制作費の大半を賭けたのではないかと思える序盤のライヴシーン。新曲『チェンジ!!!!!』を全編フル CG で映像化していて、テレビ版では絶対にできなかった劇場版ならではの映像表現に圧倒されました。これが観れただけでも映画館まで足を運んだ甲斐があったというものです。三曲あった劇場版向けの新曲はどれも効果的に使われていて、良いところで盛り上げてくれました。
メカ的にもサプライズが三つほどあったし、2 時間という尺の中ではかなりお腹いっぱい感のある映像と音で満足感高し。特に音響面では映画館のサラウンドでもライヴハウスのような音が出るように調整してあって驚きました。これは音の良い映画館で観るべき映画だと思います。不満があるとすれば、やっぱりクライマックスは『F』のラストのようにメドレーでたたみ掛けてきてほしかったということくらいでしょうか。
本当はこういう映画こそシネマシティの極爆上映やチネチッタの LIVE ZOUND で観たいところだけど、上映館がほぼ東宝系に限られてしまっているのが残念。まあ、前述の通り普通の劇場音響でも十分雰囲気は出ていますが...。

そういえばパンフレットでいろんな人が「今後の展開は今回の反響次第」と言っているのが気になりました。現場としては続編をやりたいけど、やれるかどうかは映画の興収と BD/DVD(あとスマホゲーム)の売上次第というところなのでしょう。最近ではガンダム THE ORIGIN でも関係者がよくそんなことを言っていますし、世知辛い世の中ではあります。好きなコンテンツが継続して作られるためにはファンは積極的に課金するしかないということですが、この濃密な音と映像の体験は繰り返し味わう価値がある。上映期間中にもう一度くらい観に行ってもいいかも、と思っています。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/01/03 (Wed.)

ガールズ&パンツァー 最終章 第 1 話 [極爆] @シネマシティ

スター・ウォーズの極上爆音上映を観にわざわざ立川シネマシティまで行ったなら映画一本で帰ってくるのはちょっともったいない。というわけでもう一本観てきました。

ガールズ&パンツァー 最終章

ガールズ&パンツァー 最終章

シネマシティで観るならやっぱりこれでしょう。極爆上映のおかげでシネマシティは大洗に次ぐガルパンの「聖地」となった感があります。
私はいろいろと噂は聞きながらも今までガルパンはスルーしてきていました。でもせっかく観るならちゃんと予習してから、と思って VOD でテレビシリーズから劇場版まで一週間ほどで一気に鑑賞。テレビシリーズの時点から、毎週のテレビアニメとは思えない映像のクオリティとダイナミックな音響、そしてケレン味のある...いやむしろケレン味しかない戦闘シーンの連続で、めちゃくちゃ面白いじゃないですか。これは劇場版にリピーターが多かったのも肯けます。
今年と言わず去年シネマシティに行ったときに劇場版を観ておくべきだったと後悔したし、予習が終わった時点でこのガルパン最終章のほうが一度観た『最後のジェダイ』よりも楽しみに思えてしまったほどでした。

これまでのテレビ版、劇場版ともに「少女達が通う高校の廃校の危機を救うために部活(正確には授業の一環だけど)で名を挙げる」という、どこかで聞いたようなストーリーでしたが(ありがちな分だけ、ストーリーよりも戦闘シーンに注力したのであろうことがよく解る)、これまでの試合で十分以上に有名になった大洗女子学園が今度は何のために戦うのか?と思ったら、割と他愛のない、だけど「仲間のために戦う」大洗女子らしい理由で戦いに臨みます。
試合は序盤相手に翻弄されて苦戦、しかし中盤に西住みほの機転と大胆な作戦で体制を立て直す...という展開はある意味予定調和ではありますが、新登場メンバーも含め分かりやすくキャラの立った登場人物と、グリグリ動く戦車の作画と音響に浸っているだけで愉しい。ほんの 50 分ほどの作品ですが、劇場版に負けず劣らず濃密な時間を過ごせます。

ガールズ&パンツァー 最終章

私はミリタリー方面に明るくないのでこの作品中での戦車戦の描写がどれくらいリアルかは分かりませんが、登場する戦車の描写が細かく、またそれぞれの戦車の特性を活かした戦いをしている(ように見える)ところに制作サイドの戦車とキャラクターに対する強い愛が感じられますね。その熱量が伝わってくることで、戦車に詳しくなくてもリアリティを感じる部分もあるように思います。こどグル巡礼者としては、その熱が昇華することで大洗にまで聖地巡礼に行きたくなってしまうファンの気持ちも理解できる気がします。

シネマシティ

音響のほうは「極上爆音上映」だけあって、戦車の発砲・着弾や走行シーンの一つ一つにシートが揺れるほどの震動が伝わってきます。それでいて低音の「収まり」が良いので、いつまでもその響きを引きずることなく、次の効果音や BGM がちゃんと生きている。ただ音がデカいだけでない、低音が響くだけでない音響は、シネマシティ自体の設備が良いのはもちろんのこと、ガルパンの音響監督自身が監修しているからでもあるんでしょう。映像の迫力も相まって、アニメ映画を観ているというよりは何かのアトラクションを体験しているかのような 50 分でした。終映後には「もう一度観たいな」と思えました。
ちなみに座席は『最後のジェダイ』も本作も E 列を取りました。奥行きのある a studio の中ではかなり前方の席ですが、音響も楽しみつつ映像もできるだけ大画面で堪能したいと思ったら、E~G 列くらいがベストではないかと個人的には思います。

遅ればせながら、「ガルパンはいいぞ」。第 2 話以降もできるだけ音響のいい映画館で観ようと思います。

投稿者 B : 22:08 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/11/30 (Thu.)

タテアニメ『孤独のグルメ』

『孤独のグルメ』史上初めてのアニメ化が、スマホアプリ「タテアニメ」で配信開始されたということで、さっそく見てみました。

タテアニメ~タテアニメを見るスマホアプリ~

タテアニメ『孤独のグルメ』

「タテアニメ」って Production I.G が展開しているアプリだったんですね。攻殻機動隊のイメージが強すぎて結びつかなかった...。
でも、アニメに限らず動画はまだまだテレビベースの 16:9 が主流なのに対して、スマホでの視聴を主軸とした縦長アニメというのは挑戦的だし、これからの時代に合っているような気もします。

『孤独のグルメ』の記念すべき配信第一話は、原作どおり「東京都台東区山谷のぶた肉いためライス」。この舞台となった「きぬ川」はちょうど一ヶ月前に閉店したところで、聖地巡礼してきた私としてはその店が今改めてアニメとして立ち上がってくることには感激すらおぼえます。

映像は、故・谷口ジロー先生の漫画を忠実に再現しつつ動画化しており、シナリオやゴローのセリフも漫画そのまんま。世界観を大切に守りつつアニメ化したんだろうなあ、というのが伝わってきます。ただ、ほぼトレスに近いような構図で、動きもあまり大きくないせいもあって、一昔前に流行った Flash アニメのような安っぽさが出てしまっているのは残念なところ。実際低予算ではあるのでしょうが...。
井之頭五郎の声は堀内賢雄氏。私は『機動戦士ガンダム ΖΖ』のマシュマー・セロと『ふしぎの海のナディア』のサンソンくらいしか知らず、近年の出演作品を観ていないのですが、少なくとも井之頭五郎役に関しては、松重ゴローとは似ても似つかないけど、漫画版ゴローの素のイメージとしては悪くない方向性だと思います。ただ、このゴローちゃんが二十年後にあの松重ゴローになるか?と言われると...まあ、漫画版のゴローも近年の作品はキャラがだいぶ変わってますが(笑。

と、ここまではいいとして、最も違和感があったのは BGM の使い方ですよ。楽曲はスクリーントーンズが演奏するドラマ版のサントラをそのまま使っているんですが、選曲が全然ダメ。ドラマだったらこのシーンでこういうテイストの曲は使わないだろう、とか、なんでこのシーンでこの曲を使うのかとか(例えば料理の登場シーンで「五郎's セレクション」の曲ではなく「腹が、減った」の三段引きの曲が使われる)、ほぼ違和感しかない。ドラマの楽曲を使うならドラマを意識した使い方をしてほしかったし、無視して使うなら無関係な楽曲を用意してほしかった。これのせいで、私は最後まで入り込めませんでした...。

一話完結のショートストーリーという点でスマートフォン向けアニメ配信というフォーマットと相性が良いと期待していただけに、ちょっと残念。Season6 まで続いてきたドラマ版のイメージが定着しすぎた、というのもあるのでしょうが...。しかも、第二話以降は不定期配信になることが早速決まっているなど、先行きに不安も感じます。できるだけ早いうちに挽回して、ドラマ版に負けない定番の地位を築いてほしいところではありますが、大丈夫かなあ。

久住昌之、谷口ジロー / 孤独のグルメ 【新装版】

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投稿者 B : 23:56 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2017/10/04 (Wed.)

SING/シング [Blu-ray]

SING/シング [Blu-ray]

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去年の劇場公開時に気になりつつもスルーしてしまっていた映画を BD で鑑賞しました。
『ミニオンズ』のイルミネーション・エンターテインメントの作品です。

けもの動物たちが暮らす世界で、潰れかけの劇場を救うべく劇場主のコアラことバスター・ムーンが賞金を懸けた歌のオーディションを開催します。そこに集まったのは、それぞれに何かコンプレックスを抱えつつも歌うことが大好きな動物たち。様々なドタバタを経ながらもオーディションは進み、初めてのステージに向けてリハーサルが進んでいき...というお話。
ストーリー自体はアメリカのコメディ系サクセスストーリーとしてはありがちな話ですが、個性的なキャラクターたちとテンポの良いストーリー、そして何より珠玉の楽曲たちにより、最後まで高いテンションのまま画面に引きつけられました。

私がイルミネーション・エンターテインメントの作品をまともに観たのはこれが初めてですが、ディズニーやピクサーとはまた違うタッチの CG アニメーションは動きのキレが良く、各キャラクターの個性が活き活きと描かれていて良い。ピタゴラスイッチ的な装置やホタルイカのショーなど、映像的なギミックも満載で、音楽以外のシーンも楽しい。
でも何よりもやっぱり音楽ですよ。フランク・シナトラやスティービー・ワンダーのようなオールディーズから現代のテイラー・スウィフト、なんならきゃりーぱみゅぱみゅまで網羅した楽曲の幅広さが素晴らしい。新旧のヒット曲を織り交ぜながらも散漫な感じはなく、音楽、特に歌が好きな人であれば高揚せずにはいられないでしょう。

オチまで含めて予定調和的だけど、この作品はそういう分かりやすいハッピーエンドがちょうど良い。親子でも安心して楽しめる名エンタテインメント作品だと思います。これは劇場公開中に観に行っておくべきだったなあ。

投稿者 B : 22:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック