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2019/02/12 (Tue.)

劇場版シティーハンター @TOHO シネマズ新宿

わざわざ新宿まで観に行ってきました。

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ

私は別に熱心なファンというわけではないんですが、ジャンプ黄金期世代なのでアニメはなんだかんだリアルタイム(田舎だったのでたぶん遅れネット)で観ていたし、原作もジャンプ本誌やコミックで全部読んでました。コミックはかかりつけの医院とか高校時代によく行ったお好み焼き屋とかに置いてあって読んでいたような記憶が。だから二十年ぶりにアニメ化、しかもほぼオリジナルキャストでの制作と聞いて懐かしくなり、興味を持ちました。

ストーリーはある美女から依頼を受けた冴羽獠が悪者から依頼人を護りつつ、途中にお色気シーンや香にハンマーで殴られたりなんのかんのあって悪役を倒して事件を解決する、といういつもの『シティハンター』。原作連載当時とは時代が違うため登場するツールが現代に合わせて変更されてはいるものの、大枠はフォーマットを踏襲していて観ているこちらとしても安心感があります(笑。いいシーンでは必ず旧作のテーマ曲がかかるところがものすごく郷愁を誘う。時代設定は現代なのに、空気感が完全に '80 年代後半のそれでした。

シティハンターといえば「XYZ」の伝言板。私が学生時代に上京してきた頃にはまだかろうじて伝言板は現役だったけど、携帯電話の普及に伴いどの駅からも姿を消して久しい。獠への依頼が果たしてどのような形で行われるのか...と思ったら、意外な形で伝言板のモチーフを使っていてちょっと感心してしまいました。

今回の(今回も)舞台は新宿。リアルタイムでテレビシリーズを観ていた頃には「漫画やアニメの中の世界」に過ぎなかった新宿も、東京に住んで二十年経った目で見ると「自分のよく知っている風景の中で獠や香たちが動いている」ように見え、何とも言えない気分になります。特に今作はサブタイトルに「新宿」とあえて入れていることから、特に意識的に新宿の名所を舞台にしたのでしょうが。自分が今まさに観ているこの映画館の外で事件が繰り広げられていると思うと、わざわざ新宿まで見に来た甲斐があったと思えます(笑。

劇場版ということでテレビシリーズよりもちょっとスケールが大きめの話、だけど話が特別に面白いか?と言われればそうでもないような(笑。でもフォーマットどおりに展開して様式美のようなギャグシーンがあって期待通り『Get Wild』で締めてくれる『シティハンター』が約三十年ぶり(過去の劇場版やスペシャルは観なかったので)に観られただけで満足です。いやむしろ ED の『Get Wild』のために 90 分の映画を観たと言っても過言ではないくらい(ぉ、『Get Wild』と ED の演出は色褪せないカッコ良さを持っていると思います。少年時代の自分と同窓会を開いたような感覚に陥る映画でした。

投稿者 B : 23:45 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2019/01/30 (Wed.)

ペンギン・ハイウェイ [Blu-ray]

最近は映画もほとんど配信で観るようになってディスクが発売されても買うことがめっきり少なくなったんですが、これは Blu-ray で持っておきたいと思って購入しました。

ペンギン・ハイウェイ Blu-ray スタンダードエディション

ペンギン・ハイウェイ Blu-ray スタンダードエディション

去年の夏に観た映画の中では、個人的には一番ツボにはまった作品。

サイエンス・ファンタジー要素を取り入れた典型的なジュブナイルものの作品ですが、主人公が熱血漢ではなく物事を少し斜めに見る大人びたタイプの少年というあたりが現代的。でもある日突然街に現れたペンギンと「海」の謎を解くストーリーにはこのキャラクターが必要だったのでしょう。また大人びていながらも、年上のお姉さんに憧れたり、他人の気持ちや恋という感情を理解していなかったり、そういう内面が物語を通じてちゃんと成長していくさまが描かれているのも良い。私はなんとなく自分の少年期を追体験するような視点で観てしまう作品です。だからこそ思い入れが生まれるというか、人によっては「なんだこの生意気な子ども」と感じて物語に入っていけないかもしれません(笑。

前半は何気ない日常の中に出現した超常の謎を、子どもらしい視点(しかし科学的アプローチとしては正しい)で解いていこうという話。建物から文房具に至るまで細かく描き込まれた舞台装置がリアリティを添えています。一方でクライマックスは完全にファンタジーの世界、リアルを捨てて天地がひっくり返る映像に「コロリドらしい」疾走感のある演出。最終的にはペンギンとお姉さんの謎は完全に解けるわけではないけれど、余計な寄り道をせずにメインキャラ陣の成長にフォーカスしたシナリオとこの前後半のギャップの大きさがラストのカタルシスに繋がっている。また舞台は主人公アオヤマ君の街からほぼ出ないのに作品のテーマとしては宇宙にも繋がっていく構造になっているあたりが「子どもの目からみた世界」の狭さとその先の可能性を暗喩しているようにも思います。改めて考えると、映像として表現するのが難しい小説をこういう形で映像化してしまったことの凄さを感じる作品です。

実は私は夏休みに長女にこの小説を勧めて読ませていたのでした(笑。長女の性格ならこの作品は面白いと感じたに違いないので、今度の週末にでも一緒に観ようかと。

投稿者 B : 22:38 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/11/14 (Wed.)

映画『聲の形』

二年前の劇場公開時には他に観たい映画がいろいろあってスルーしてしまっていましたが、今さらながら鑑賞。

映画『聲の形』

映画『聲の形』Blu-ray 通常版

聴覚障害をもつ転校生・硝子へのいじめの主犯格だった小学生時代の主人公・将也。そのことが学校で問題となり、同級生や教師からも全ての責任を押しつけられたことで、将也は罪悪感と人間不信から心を閉ざしてしまう。やがて高校生になり、硝子との再会をきっかけに彼を取り巻く人間関係が変わり始めて...という話。
あまり予備知識を入れずに見たので、聴覚障害が題材のアニメ映画だという程度の認識しかありませんでしたが、爽やかな感動青春モノっぽいキービジュアルとは裏腹に重たい作品でした。障害やいじめを扱うとどうしても重くなりがちなものですが、それよりも傷を持つ思春期の心のぶつかり合いが重い。

障害をもつけどとにかく人当たりの良い女の子。典型的なガキ大将タイプ。気弱だけど誰にでも分け隔てなく優しい子。ちょっとスレた、女子グループのリーダー的存在。外見も性格も欠点の見当たらないお嬢様タイプ。など、登場人物はどこか一昔前の漫画/アニメのテンプレ的なキャラクターばかりですが、それぞれ第一印象とはちょっと違う内面を持ち、物語内の時間の経過に伴って成長・変化していきます。ステレオタイプに見えつつも実は複雑で外からは理解できない瞬間もあるこの年代の心理描写が見事。基本的には将也の視点で描かれるため、内面を直接吐露するのは将也くらいですが、ちょっとした表情や仕草、溜め、といったもので機微が表現されているのがすごい。と思ったら、キャラデザがいつもと違うから途中まで気付かなかったんですが、これ京都アニメーション制作なんですね。

私は「いじめはされる側にも原因がある」とも「障害者は常に無謬であるべき」とも思いませんが、センシティブな故に当たり障りのない綺麗事でまとめられがちなこういうテーマの作品で、加害者・被害者(登場人物の一人はそのどちらでもある)の心境がフラットに描かれている点は率直に良いと感じました。精神がネガティブなときって何でも自分が悪いと考えがちだし、人の顔まともに見れないし、よくわかる。一方で加害側の「自分は悪くない」的な発想や、傍観者がつい見て見ぬふりをしてしまう状況も理解できる気はする。そのあたりの客観性をもった表現が秀逸です。

あくまで 130 分の映画の尺の中で描かれる物語なので具体的な成長の描写は将也・硝子の二人にフォーカスが当たっています。それ以外に明確な変化や成長が感じられるのは植野・佐原くらいで、真柴あたりは最後までどんな奴なのか解らずじまいでしたが、原作漫画ではそのあたりまである程度描写されているようですね。そんな中で、個人的に印象深かったのが硝子の妹・結弦(ゆづる)。彼女自身が狂言回しの役どころでありながら、物語を通じて最も変化・成長するキャラクターであり、見ていて飽きない。誰が声を当てているのかと思ったら悠木碧さん。今までまどマギのイメージくらいしかありませんでしたが、こんな中性的な声も出せるんですね。『SSSS.GRIDMAN』のボラーちゃんくんといい、同時期にこういう方向性の演技を立て続けに聴いて驚きました。

いじめに関する描写はストレートに痛いし、思春期らしいトゲトゲした言葉の応酬も刺さってくるし観終わった後はドッと疲れる「重い」作品ではあります。それでも救いはあるし、そうやって通り過ぎていくのが青春でもある。観るのにはけっこう体力を要するけど、良い映画だと思います。

投稿者 B : 22:59 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/10/27 (Sat.)

LIVE2018 "ワルキューレは裏切らない" at 横浜アリーナ [Blu-ray]

某クマの人が Day-2 に参戦したというワルキューレの 3rd LIVE の BD を購入しました。

LIVE2018 "ワルキューレは裏切らない" at 横浜アリーナ <Day-1+Day-2> [Blu-ray]

LIVE2018 ワルキューレは裏切らない at 横浜アリーナ Day-1+Day-2 (初回限定盤) [Blu-ray]

テレビアニメ&劇場版『マクロス Δ』を観て、脚本はまあ微妙な部分もあるけどライヴパフォーマンスは良いからそこだけに特化した PV 集なんかがあればいいのに...と思っていたほどでした。そういう意味ではライヴ BD というのは純粋に音楽&パフォーマンスだけを楽しめる良い媒体だと思います。ワルキューレの楽曲には Earth, Wind & Fire をはじめとする '70s ソウルへのオマージュを感じるものも多く、その点でもライヴは絶対楽しいはずと思っていました。

時間がなくてまだかいつまんでしか観れていない...んですが、一度再生し始めると止められなくなりますねこれ(;´Д`)。25 曲、MC まで含めると 3 時間を超える大ボリュームでお腹いっぱいになります。しかも単に歌っているだけじゃなくちゃんとコーラスもハモりあり、さらに激しめのダンスあり。声優(一人は本職のシンガーですが)とかアイドルだとかそういうレベルではないパフォーマンスに圧倒されます。「ワルキューレのワクチンライヴが地球で開催された」という設定のため基本的に「中の人」ではなく劇中の配役としての出演で、映像や光の演出もアニメ準拠だったりもして、実際にマクロス世界では地球でこんなライヴがあったに違いないと思える内容。ライヴ BD としても 5~6 台以上(?)のカメラを駆使して様々な角度から臨場感を感じることができます。

BD メディアとしては二日間にわたって開催されたライヴを Day-1、Day-2 別々に発売し、かつ Day-1+Day-2 の二枚組版まで発売するというがめつい商売(;´Д`)。差分はアンコールに登場するシークレットゲストで、Day-1 がシェリル・ノーム starring May'n、Day-2 がランカ・リー=中島愛という違いくらい。一般的にはどこか一日、あるいは編集してまとめて発売するところ、当日の参加者にとっては「自分が行った回をそのまままた観れる」という点では嬉しいでしょうが、制作サイドはファンから絞れるだけ絞ってきますね...。

それでも『マクロス Δ』でテレビ版の再構築ではない完全新作が製作されることも含め、もはや『Δ』はマクロスやバルキリーではなくワルキューレの人気によって支えられているのだなあ、とこの BD を観て再認識しました。このクオリティで楽曲やパフォーマンスが生み出されて新作映像に繋がっていくのであれば、課金だと思って円盤も買います(ぉ

熱量の高いライヴ BD でした。ワルキューレのライヴチケットの競争率は相当高いらしいですが、もし新作映画の公開に合わせて 4th があるなら私も狙ってみたくなりました。

投稿者 B : 23:35 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/10/09 (Tue.)

ガールズ&パンツァー 総集編 [MX4D] @TOHO シネマズ新宿

ガルパン総集編が 4D で劇場上映されていると聞いて、映画館まで行ってきました。

ガールズ&パンツァー 第 63 回戦車道全国高校生大会 総集編

ガールズ&パンツァー 総集編

総集編は BD を買って持ってるだろオマエ、というセルフツッコミをしつつも一度 4D 上映でこれを観てみたかった。4D 上映は何度か劇場で観てみて、面白いけど映像に集中できないしよっぽど 4D 向きの映画でもない限りは IMAX のほうが好きかな...と思っていたんですが、『ハン・ソロ』を MX4D で観たのがすごく楽しかったので、同じ乗り物アトラクション系のガルパンは絶対楽しいはず。そしたら総集編が MX4D/4DX で上映されるというのでこれは行かない手はありません。

映像そのものは BD で発売済みの総集編そのもので、戦車道大会への参加の経緯や日常シーンなどは主要キャラによるナレーションで繋ぎつつ、主に戦闘シーンの「おいしいところ」をつまみ食い...ではなく原液掛け流しで味わえます。戦闘シーンが中心になることで、MX4D の演出を 120 分ほぼフルに堪能できるのは却って総集編との相性が良かったように思います。

ただ、上映前の他の映画の予告編まで 4D の演出つきだったのは(本作に限らず 4D 全部に言えることですが)ちょっと疲れますね。予告編はインパクトのあるシーンを切り貼りして作られることが多いため、それに全部 4D 演出が乗ってくるとかなり激しいことになります。本来観たい作品ではなく「あまり興味もないのに見せられている作品」でこのクドい 4D(再生中ずっと椅子が揺れたり動いたりしている状態)を強制されるのはさすがにツライ。これは 4D の制作サイドに一考してほしいところです。

で、ガルパン総集編の MX4D がどんな感じかというと、戦車のエンジンの振動や履帯の感触、加減速、主砲の発射や被弾の衝撃が全身で感じられてこれは楽しい!私は本物の戦車に乗ったことがないためこの演出がどの程度リアルなのかは分かりませんが、自分自身が戦車に乗り込んで戦っているような感覚を味わえます。大洗女子はゲリラ戦や撹乱戦が多いから戦車が走っている感覚も楽しいし、黒森峰の重戦車マウスの主砲発射シーンは「くるぞくるぞ」と身構えていたら想像以上の衝撃に風圧まで感じられたのには驚きました。まさに全身で体感する戦車戦。ほぼ 120 分まるまる戦車戦シーンだから体力は使うけど、それに見合う満足感が得られます。

立川シネマシティの極爆上映も良かったけど、MX4D のガルパンはまた違った面白さがありますね。今後は新作として『最終章』の続編も予定されていますが、これは 4D 版を積極的に観に行きたいと思います。

ガールズ&パンツァー 第 63 回戦車道全国高校生大会 総集編 [Blu-ray]

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2018/08/30 (Thu.)

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー@TOHO シネマズ川崎

あまり話題になっていない(?)スタジオポノックの新作映画を観てきました。

ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー

この夏はスタジオ地図(細田守)、コロリド、ポノック、コミックス・ウェーブ・フィルム(新海誠監督じゃないけど)という「ポストジブリ」とよく形容されるアニメ制作スタジオ 4 社が揃って新作を公開するという稀有な年になっています。個人的には、そろそろポストジブリとか言うのをやめて質の高い作品を作れるスタジオが増えてきたことを純粋に喜ぶべきと考えていますが、こうも公開が続くとどうしても比較目線で見てしまうわけで。
さておき、スタジオポノックとしては昨年の『メアリと魔女の花』以来わずか一年半での新作。しかも同じく日本テレビが出資する『未来のミライ』と公開時期がかぶってしまったこともあってかプロモーションもあまりされていない、やや残念な位置づけになっているのが不安要素ではありました。

本作は短編三本立てで一時間弱という、劇場映画としては小粒なものになっています。短編三本立てというだけでも実験的な香りがしますが、内容も映画館向けというよりジブリ美術館で上映されるような実験的なものだったので何だろう?と思ったら、東洋経済オンラインに経緯が書かれていました。

「短編アニメ映画」の公開が相次ぐ本当の理由 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン

なるほど、当初は配信向けを想定して作られていたんですね。しかも本来は三本立てではなくジブリの高畑勲監督も招いての四本立てになるはずだった模様。なのにそれが一気に 100~150 館規模での上映になるというのは、いろいろと大人の事情が感じられます。

ともあれ、内容的には以下のような感じでした。

■カニーニとカニーノ

擬人化されたカニの兄弟(観終わるまで兄妹だと思ってた!)の、ちょっとした冒険の物語。ファンタジックな映像でありながら、内容的にはちょっと冷酷な生命と食物連鎖の話。

米林宏昌監督が手がけただけあって、『メアリと魔女の花』に勝るとも劣らない濃厚な背景描写。しかし冒頭からまるで『トトロ』のオープニングのような楽曲に合わせて『ポニョ』の世界観をそのまま引っ張ってきたかのような水中の映像が繰り広げられるのには呆気にとられます。『メアリ』のラストシーンでメアリに「魔法が使えるのは、これが最後」と言わせておきながら次の作品でいきなりこれかよ!と思わず叫びたくなりました。

無声劇に近い内容で台詞もほぼなし。ストーリーも深みがあるとは言えず、映画ではなく美しい映像を見せられている感覚。作画が素晴らしいのに反して、三本の中では一番残念に感じました。

■サムライエッグ

重度の卵アレルギーと闘う母子の物語。私は身近にアナフィラキシーが出るほどのアレルギー持ちがいないので(仮にいてもみんな大人なので対処法が自分で解っているのかも)、本当に深刻な人はここまでになってしまうというのを本作で初めて見ました。今後アレルギー持ちの人と食事の席(に限らないけど)を共にすることがあったら気をつけよう。

『カニーニ』とは打って変わってパステルと水彩で描かれたような映像には引き込まれます。しかもダンスシーンのように動きの激しい場面まで含め、全てこのタッチを用いた手描きアニメで表現されているという。CG 全盛の現代にあって、あえて手描きでこれだけ見せられると圧倒されますね。まるで晩年の高畑勲作品を観ているかのような感覚。三本の中では最も印象に残りました。

■透明人間

他人にはまず見えず、あまりの存在の軽さに重ささえももたない「透明人間」の悲哀の物語。

今度は『サムライエッグ』とは対照的に、油彩のような背景の中をキャラクターが動き回る映像。設定も相まって、『世にも奇妙な物語』のような不思議な体験を共有させられている感覚があります。前の二本は子ども向けの作風でしたが、本作はちょっと大人向け。
報われない透明人間が最後には少し救われる話で、ボリュームこそないけど起承転結はあります。


...というように、それぞれの作品は特に映像・音響面で実験的な試みが盛り込まれ、ギミック的には面白かったんですが、全体的にはやはり詰め合わせ感が強く、映画としての物足りなさを感じてしまいました。やっぱり映画館に来たからには 90~120 分くらい一つの物語に浸って最後にはカタルシスを得たいものなんですよ。そういう意味では、本作は無理に映画館で流すのではなく、配信のほうが向いていたのでは...と改めて思いました。
また、三本ともに短編とはいえ脚本はもっとやりようがあったように思います。三本とも監督が脚本も書いていますが、原作つきの作品をやるなり外部脚本家を起用するなりすべきだったのでは。そういう意味では、この夏のアニメ映画は原作つきの『ペンギン・ハイウェイ』と監督兼脚本の『未来のミライ』『ちいさな英雄』で明暗が分かれたのではないでしょうか。「ポストジブリ」と言われるアニメーションスタジオは、いずれも作画や演出は素晴らしいけど脚本まで自前でやろうとして失敗する例が多いように思います。

スポンサーの関係で難しいのかもしれませんが、スタジオポノックには今後あまりジブリを意識せずに自由に快活な作品を創っていってほしいところです。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/27 (Mon.)

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ [Blu-ray]

明日発売の Blu-ray がフライングで届きました。

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ 特装限定版 [Blu-ray]

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音楽が菅野よう子じゃないのかとか、流行りに乗ってアイドルグループものかよとか、オチもなんだかんだいって『F』の焼き直しだし...いろいろとツッコミどころはあってもなんかハマってしまったのが『Δ』。これまでのシリーズとは違って最初から「戦場で歌う意味」が明示されていて、最大の見せ場であるドッグファイト×ステージパフォーマンスをふんだんに使えることと、'70s テイストを含みつつテンポとコーラス重視の分かりやすい楽曲(だけど構成自体はけっこう複雑)が良かったのではないかと分析しています。ワルキューレの五人を軸とした TV 版から劇場版への大胆な再編集ぶりを見ると、本作においてストーリーや三角関係はもはや添え物でしかなかったんや!とすら思えてきます。

届いたばかりでまだ部分的にしか観ていませんが、やはり圧巻は劇場版のために用意された新曲『チェンジ!!!!!』。全編 CG で作画されたライヴシーンは楽曲のパワーも相まってたたみ掛けてきます。細かく見ていくとキャラクターの顔のモデリングは特に斜め向きになったときにやや不自然で、このあたりは娘が観ている『アイカツ!』シリーズのほうが技術的にこなれていると感じますが(しかもこのクオリティを毎週放送しているんだから本当にすごいと思う)、それでも手描きアニメとほぼシームレスな作画でグリグリ踊る映像は圧倒的。さらにステージ全体が舞台装置として動くギミックまで含め『劇場版マクロス F』から続いてきた AR 的ライヴ演出は遂にこのレベルまで到達したのか、と。映像と音楽の洪水に語彙力を押し流され、ボーグでなくとも魅了されてしまうものがあります。
そして何より象徴的なのが、劇場版での最大の見せ場であるこのライヴシーンにおいて VF によるドッグファイトシーンが挿入されないこと。順当に考えればラストバトルの最も盛り上がるドッグファイトシーンに新作画のライヴ映像を入れるだろうところが、今回は戦闘とは直接関係のない純粋なライヴシーンに最大の労力を割いてきました。つまり可変戦闘機はもはやマクロスの中心ではなくワルキューレこそが主役であり、本質的にはアイドルアニメであると宣言している点が、今までのマクロスシリーズと大きく異なります。でも多分マクロスシリーズでなければ私はこれを観ていなかったと思うので、そういう意味ではおのれワルキューレ!(←

相対的に見せ場の少なくなってしまったメカについては、ドッグファイトが減った代わりに VF-31F リル・ドラケン装備型とミラージュ専用ドラケン、とどめにアーマードジークフリードというサプライズ要素で魅せてくれました。特にテレビ版の VF はファイター形態以外の印象が薄かったので、新メカがいずれもクライマックスでバトロイド形態で活躍してくれるのが嬉しいところ。私も今度の週末にでも、1/72 のジクフリを傍らに置いてじっくり鑑賞しようと思います。

投稿者 B : 23:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/25 (Sat.)

ペンギン・ハイウェイ @チネチッタ

この映画、実はちょっと注目していました。

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

台風のノルダ』以来三年ぶりとなるスタジオコロリドの新作です。この夏のアニメとしては『未来のミライ』と比べてプロモーションは地味だしあまり認知されていない感じもしますが、劇場で流れていた予告編を見てけっこう楽しみにしていました。『ノルダ』は脚本はちょっと物足りなかったけど映像は素晴らしかったし、今回は原作つきの長編ということで期待できるに違いない、と。

ストーリーは研究好きの小学四年生「アオヤマ君」が、街にある日突然現れたペンギンたちと超常現象の謎を解くため、仲の良い近所の「お姉さん」と一緒にその研究をしたり、旅に出たりする経験を通じて少しずつ成長していく...というもの。物語の大枠としてはファンタジーでありながらアプローチは SF 的な、いわゆるサイエンス・ファンタジーの体裁を取っています。
このお姉さんがまた、「近所に住む憧れのお姉さんという概念」に歯科助手属性を加えて具現化したような存在で、自分の子ども時代の淡い感情がやたらと刺激される(笑。でもあくまで小学生視点での憧れのお姉さんという描写が徹底されていて、下品な見せ方になっていないのがまたいい。私は完全にアオヤマ君目線で作品に入り込んでいました。自分もアオヤマ君みたいに理屈っぽい小学生だったけど、あんな少年時代を送れなかったのは何故なんだぜ(´д`)。

「お姉さん」役は蒼井優。ちょっとサバサバした感じのハスキーボイスでアニメっぽすぎず、かといって不自然さもなく、自然な「お姉さん」感。なお登場するキャラクターには一通り名前が与えられているのにお姉さんだけは「お姉さん」だし、お姉さんがアオヤマ君を呼ぶときも「少年」。ここだけ不自然に抽象化された表現には何か意味があるんだろうと思ったら...やはりそういうことでしたか。
アオヤマ君の CV は北香那ってどこかで聞いた名前だと思ったら、ドラマ『バイプレイヤーズ』で大杉漣の中国人マネージャー役をやってた人か!あのドラマでも途中まで本当の中国人だと思っていたくらい上手かったけど、アオヤマ君役も良かった。『未来のミライ』のくんちゃんの声に最後まで馴染めなかったのとは対照的な配役。彼女、まだ若いけどいい女優さんになるんじゃないでしょうか。
他、声の出演は実写系の俳優と声優を取り混ぜて起用していましたが、中でも某有名声優を起用したウチダ君(アオヤマ君の親友)のかわいさは異常(笑。

ストーリーは観てのお楽しみですが、謎解きあり、冒険あり、友情あり、恋心あり、コロリドの持ち味である疾走感ある映像あり、夏らしい爽やかさあり...夏に観るべきアニメ映画の定番になり得る名作と言えるのではないでしょうか。少なくとも『未来のミライ』に期待して得られなかった要素が『ペンギン・ハイウェイ』にはほぼ全部入っていたと言って良い。そう、こういうのが観たかったんだよ!
子ども向け映画としては、女の子視点で面白いかは分かりませんが(男の子なら刺さるんじゃないかと思う)、疑問や課題への取り組み方という点で重要なメッセージが込められていて、私は子どもに見せてやりたいと感じました。話の展開上投げっぱなしの謎もいくつか残っているけど、アオヤマ君ならばそれらもいずれは解明して、いつか「お姉さん」に再びたどり着くに違いない。

あまり派手に宣伝されている映画ではありませんが、これはクチコミでこそ広がっていくタイプの作品だと思います。いい余韻が残る映画でもあるし、私も上映期間中にもう一度くらい観に行きたいところ。

森見登美彦 / ペンギン・ハイウェイ

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投稿者 B : 22:25 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/07/22 (Sun.)

未来のミライ @チネチッタ

細田守監督の最新作を観に行ってきました。

未来のミライ

未来のミライ

本作、久しぶりに細田守監督らしい活劇を見せてくれるのではという期待がありました。映画のキービジュアルが『時をかける少女』とほぼ同じ構図・背景の雲使いで、それ以外の作品は主人公がドーンと正面に向いていたのとは一線を画して「原点回帰」っぽい雰囲気があったことと、タイムリープっぽい設定がそう思わせたのでしょう。細田作品は家族をテーマするのが標準になりつつあり、かつ作品を重ねるごとに勢いが落ちてきている印象があったので、ここらで巻き返してほしいという思いもありました。

が、幕が開いてみるとなんだか事前の宣伝から期待された内容と違う。主人公の男の子が未来から来た妹と何かを求めて冒険する...という物語を想像していたのですが、全然そんな話ではありませんでした。主人公の「くんちゃん」を軸とした成長物語ではあるものの、妹の「未来のミライ」はタイトルになっているほどには登場も活躍もせず、プロモーションと実体の乖離具合は『ベイマックス』を彷彿とさせるものがあります。なんか夏空、JK、タイムリープものかつボーイミーツガールもの...という枠に当てはめたいプロモーション側の都合が見える乖離度合い。

物語は妹の「未来」が誕生し、今後の育児と生活は建築家として独立した旦那さんが兼業主夫として面倒を見、奥さんはすぐに社会復帰する...というところから始まります。旦那さんは一人目の子どものときはあまり自覚がもてず仕事優先で(これ自体は自分にも身に覚えがあるからまあわかる)、二人目の子どもなのにまるで初めての子かのようにミルクの与え方すらわからない(まずこれが理解不能)。なのに旦那さんは家事全般を引き受けようとするし、奥さんはそんな旦那に家を任せて生後三ヶ月でいきなりフルタイムで働き始めていきなり泊まりがけの出張に行ったりする。しかも復帰の理由が「同僚が産休に入って人手不足になるから」。そんなの生活が破綻するのは目に見えてるし、会社側も配慮なさ過ぎだろ!というのが気になってしまい、物語に入り込めなくなってしまいました。あまりにもリアリティがない...。

個々のシーンを見れば映像は美しいし、キャラクターの動きもすごく丁寧に描かれているし、素晴らしい。それぞれのエピソード自体は悪くないんですが、全体として見たときに抑揚がなく、「くんちゃん」の成長がイマイチ見えてきません。いや成長自体はしているんだけど、それが周囲の大人や友達との関係性の中で育まれるものじゃなく、不思議体験(という妄想)の中で起こるものという点がなんだかモヤる。

作中でくんちゃんが「不思議体験」をする場面の多くが大人にかまってもらえず、庭で一人で遊んでいる間に発生する...というところで気がついたのが、「本作はもしかして現代版の『となりのトトロ』を作ろうとしたのではないか?」ということです。トトロとは違う前提ながら母親が家におらず、父子家庭に近い環境で、子どもが不思議体験(明確には描かれないが空想や妄想である可能性もある)を通じて成長するという点で、この二作は似通っています。ただ、それぞれのイベントを通じてクライマックスへと盛り上げて行ったトトロとは違い、本作は散発的なエピソードの組み合わせで盛り上がりきらないまま終わってしまう。そういうところが物足りない理由の一つなのだろうと思います。

私が観た劇場では半分以上が幼稚園~小学生くらいの家族連れという感じで、特に前半のコミカルなシーンではたくさんの笑いが起きていました。子ども向けアニメとしてはよくできた作品なのかもしれませんが、大人向けとしては残念ながら物足りない。特にキャラの表情とか演出がすごくいいだけに、脚本がもったいなさすぎる。やっぱり細田監督は脚本は誰かに任せて監督に専念した方が良いのではないでしょうか...。

投稿者 B : 22:29 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/06/02 (Sat.)

宇宙よりも遠い場所 [Prime Video]

ある人が強烈にオススメしていたのが気になっていたところ Prime Video の見放題リストに含まれていたので、この一週間ほどで一気に観てしまいました。

宇宙よりも遠い場所

4 人の女子高生が南極観測隊に参加するお話です。

女子高生 4~5 人が主人公のアニメって『けいおん!』に代表されるような日常系なのかと思ったら、これはちゃんと目的を持ってそこに向かって突き進んでいくお話でした。4 人のキャラクターにはテンプレっぽさを感じますが、ちゃんと個性が立っていて分かりやすくはあります。

南極の昭和基地と観測船「しらせ」が民間に払い下げられたという設定(現実ではそんなことはない)で、民間の南極観測隊に女子高生 4 人が参加して南極を目指していきます。彼女らが観測隊に参加するまで、日本を出発してから観測船で南極に到達するまで、そして南極での生活が 13 話をかけて丁寧に描かれています。
南極といえば、私は世代的に子どもの頃に映画『南極物語』を観た世代で、当時就役したばかりだった「しらせ」の名前もよく憶えていますが、その程度。このアニメを観ることで南極への道程やそこでの生活が実際にどうなのかの片鱗を感じることができ、物語そのものと同じくらい、南極の実態や観測隊の生活について興味深く見入ってしまいました。今や宇宙をテーマにした映像作品は星の数ほどあって宇宙船やコロニーでの生活をイメージすることは難しくないですが、地球の果てを目指す生活がどんなものかを知れる映像作品というのは稀有だと思います。

女子高生が南極に行くというストーリーはアニメとしても異色ではありますが、その設定の中に敷かれたストーリーが実に深い。4 人のうち 3 人は心に何らかの孤独を抱えて生きていて、南極を目指す中でそれぞれに自分の孤独と向き合い、克服していきます。また「孤独」というのは家族や友達と表裏一体のものであり、彼女らが孤独を克服していく上で「友達とは何か」「親子とは何か」を考えさせられるものになっています。
友達に依存して生きてきた少女、友達に何と言われようと南極で行方不明になった母を追って自分も南極を目指した少女、友達に裏切られたことで他人と距離を取るようになった少女、芸能界に入ったことで本当の友達と言える相手を持てずに生きてきた少女。彼女たちが南極への旅を経て自分の中に軸を見つけ、「別々に暮らしていても孤独ではない」と思えるようになる成長の過程が、実に深い感動をもたらしてくれます。私は「泣ける●●」みたいな触れ込みの作品はあまり好きではないのですが、本作は一見ほのぼの日常モノっぽいタッチでありながら、ジワジワ感動させてくるところが良い。13 話あるエピソードのどこを切っても良さしかない中でも、個人的にはキマリと幼馴染みとの気持ちのズレが描かれる 5 話と、それまでほとんど陰を見せなかった日向の孤独の正体が描かれる 11 話が特に心に残っています。

普段ガンダムとマクロス以外のアニメはあまり追っかけていないのでリアルタイム(今年の 1~3 月に放送されていた)では全くノーマークだったんですが、本当に良い作品でした。見逃しても BD/DVD の発売を待たずに VOD ですぐにキャッチアップできるというのは実に良い時代になったものです。いろいろと感じるところがあったので、今度はそろそろ多感な年頃になってきた長女にも勧めてみようかと思っています。

宇宙よりも遠い場所 1 [Blu-ray]

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投稿者 B : 22:48 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック