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2016/08/30 (Tue.)

君の名は。 @T・ジョイ PRINCE 品川

君の名は。

秒速 5 センチメートル』『星を追う子ども』と二本観て、ああ私には新海誠作品って合わないんだな、と思っていましたが、ある人がこの作品のことを誉めていたので気になって鑑賞しました。

ほとんど事前情報を仕入れずに、それこそ予告編すら見ずに映画館まで行ってしまったわけですが、思っていた以上に良かったですね。私が過去に観た二作品で感じた「監督の独りよがりの世界観を見せられている感覚」はかなり薄まり、観客を楽しませるとはどういうことか、をちゃんと考えて作られた作品だと思います。観終わった後の気分としては、『ヱヴァ新劇場版:破』を観たときのそれに近い(笑。内向的なイメージでなくなっているのは登場人物の性格に加えて、今までの新海誠作品とはガラッと変わったキャラクターデザイン(『あのはな』のデザイナーが担当)に助けられている部分も大きいとは思いますが。

序盤は典型的な「男女の魂入れ替わりコメディ」のフォーマットで進みますが、謎はありつつも基本的にポジティブで、テンポが良いこともあってのめり込んでいける感じ。「いい映画だったとは聞いたけど、本当に大丈夫なの?」と斜に構えていた態度を改めさせられました。が、中盤に『星を追う子ども』のアガルタに似た場所が登場したあたりから不安になり始め、ほどなくしてその不安は的中していたことが判明します(´д`)。その後も他のアニメ作品で見たような描写が散見されたり、ラストシーンが『海がきこえる』状態だったらどうしようかと思ったりしましたが、終盤でまあ持ち直したかな。
リアリティへのファンタジーの織り交ぜ方が唐突だったり、設定の整合性に矛盾があったり、観ていて「ん?」と思う部分は少なくありませんでしたが、本来はそういう「伏線が、整合性が」とか言うめんどくさい客層は相手にしていないのでしょう。青春・恋愛・美麗な背景、そういった感動のうま味調味料に脳髄をズドンとやられる心地よさに浸る映画なんだと思います。実際、私も確かにウルッと来てしまうシーンはあったし、細かいことは置いといて、エンタテインメントとしては総じて面白かったと感じています。中盤以降の展開はもう少し別のやり方があったようにも思いますが、そうすると新海誠じゃなくなっちゃうのかもなあ。

とりあえず奥寺先輩はイイ女だと思いました(小並感

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2016/02/25 (Thu.)

バケモノの子 [Blu-ray]

バケモノの子 (スタンダード・エディション) [Blu-ray]

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BD が発売されたのでもちろん購入。『時かけ』『サマウォ』の頃に比べると勢いが落ちているように感じる細田守作品ではありますが、それでも現代の日本アニメでトップクラスにクオリティが高いことには間違いがありません。

オトコノコ版『千と千尋の神隠し』的なストーリーと、細田守らしい緻密かつスケールの大きい映像。今までの細田映画に比べてアクションが多めなのも本作の特徴です。躍動感溢れる映像に仕上がっているのは、人間ではなくバケモノを軸に据えた作品ゆえでしょうが、それが観ていて楽しい。

主人公「九太」が 9 歳である前半と、17 歳になった後半では全然違う映画になったのかというくらい、トーンが変わります。二人の主人公である熊徹と九太の掛け合いが多いのもアクションが多いのも映像に透明感があるのも全て前半。後半はちょっと重めのテーマを扱うのでそのあたりの勢いが落ちるのは必然ながら、前半のテンポの良さがこの映画の良さを作り出しているように思います。劇場で観たときにも感じましたが、クライマックスでカタルシスを得るには、周辺の登場人物の掘り下げがもう少し足りない気はします。
あと、気になるのは細田作品に登場するヒロインが基本的に同タイプの女の子ばかり、という点。ちょっと悩みもあるけどみんなマジメで素直で男にとって都合のいい行動を取ってくれる子。こういうのが細田守監督の理想なのかもしれませんが(笑)、もうちょっと引っかかりのあるキャラのほうがリアリティが出て感情移入できるだろうし、物語の抑揚も生んでくれるんじゃないでしょうか。

そうは言っても、この映画自体はとてもクオリティが高く、観た後に爽やかな気持ちになれる作品であることに違いはありません。『おおかみこども』は BD も持ってるけど再生するのにちょっと気合いが必要なのに対して、この作品はあまりハードルは高くない。役所広司と宮崎あおいの芝居もすごくいいし、よくできた娯楽作だと思います。父親としては、子どもがもう少しだけ大きくなったら一緒に観たいかな。

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2015/12/25 (Fri.)

ポーラー・エクスプレス

我が家ではクリスマスの定番映画といえば『34 丁目の奇跡』なわけですが(もちろん今年もこれ観たんだけど)、今年はちょっと違うのも家族で鑑賞。

ポーラー・エクスプレス

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トム・ハンクスが出演したフル CG のクリスマスムービーです。以前劇場で予告編を見かけて気になっていたと思ったら、もう 11 年も前の作品なんですね...。

さすがに 11 年も前の作品となると、フル CG では古さが気になってしまいますね。PS4 の映像を見慣れた目で PS3 世代のゲームをやっているような感覚。でも、そんな映像の古さは内容の良さで、すぐに気にならなくなりました。

サンタクロースを信じられなくなった少年が、イヴの夜に北極へと向かう列車「ポーラー・エクスプレス」に乗って旅をする物語。もともとは『急行「北極号」』というタイトルの絵本の映画化らしいですね。

トム・ハンクス主演だからほっこり系の話かと思ったら、映像的にはこれ文字通りジェットコースター・ムービーじゃないですか!ポーラー・エクスプレスなのに『スピード』もかくや、という高速走行する列車内でのアクション(言い過ぎ)。北極に到着するまでの間に様々な事件が起き、少年たちが大きく成長して、最後にサンタクロースに出会うまで。たくさんのアクションの中に、大人たちの優しい視線やクリスマスらしい演出が相まって、とても心温まるお話でした。
クリスマスには、こういう「子どもに信じる心を失わさせない物語」が相応しいと思います。これもまた、クリスマスに繰り返し観たい映画だなあ。

それと、歳を取ると高周波の音がだんだん聴き取りづらくなる理由が、この映画のラストを観てようやく分かりました(違

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2015/09/07 (Mon.)

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス [PS Video]

劇場版ムーミン 南の海で楽しいバカンス

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後楽園のカフェに行ったり飯能の公園に行ったりと昨年からまだ続いている我が家のムーミンブームですが、この春に上映された劇場版のパッケージ販売/VOD 配信が始まったので、観てみました。
DVD を借りに行くより手っ取り早いので、PS4 を使って PlayStation Video からストリーミング視聴。最近 VOD サービスが各社出揃っていますが、テレビ自体がちょっと古い我が家だと、PS4 から使えるのが操作的にも課金的にもラクです。ただ、滅多に起動しないので使いたいときに限ってファームアップが必要になるのは何とかなりませんかね(´д`)。

この映画、昨年のトーベ・ヤンソン生誕 100 年を記念して製作されたものです。『ムーミン』は日本国内でも何度かアニメ化されていますが、この劇場版は本国フィンランドでの製作。そのため作画の雰囲気は日本で慣れ親しんだアニメらしい『ムーミン』とは大きく違い、まるで絵本の挿絵がそのまま動いているかのような質感に仕上がっています。中間色を多用した色遣いもそうですが、この時代に全手描き、という製作手法によるところも大きいでしょう。
ただ、吹き替え版のキャストは 1990 年の日本版『楽しいムーミン一家』と同一で、高山みなみ(ムーミン)、大塚明夫(ムーミンパパ)、かないみか(フローレン)、佐久間レイ(ミイ)、子安武人(スナフキン)など、今となっては超大御所と言える面々。彼らの安定した演技が、この作品が我々が慣れ親しんだ『ムーミン』と地続きであることを実感させてくれます。原語音声で観ると全く雰囲気が違っていて、それはそれで面白いのですが(笑。

物語は、おなじみムーミン一家が南国のリゾート地へ旅行に行く、というお話。ムーミンはムーミン谷あってこそなのに、その舞台を変えちゃうのってどうなの、という不安もありましたが、いつもとはシチュエーションが変わった方が劇場版らしさは感じられますね。これも原作に存在するエピソードを映画化したものではありますが、いくつかのエピソードを強引にまとめて映画化したせいか(ムーミン一家がミイに出会うエピソードなんかも混ぜられている)、ストーリーの軸が通っていないというか、ややちぐはぐな印象も受けます。

『ムーミン』の通常のエピソードでは、登場人物のほとんどが独特の価値観を持ち、かつマイペースに行動しているので、視聴者(といっても大人の)は滑稽な世界を外から眺めているような感覚で観ることになります。それが今回はムーミン一家のほうが人間社会の価値観に近い世界に飛び出してくるため、自分たちの社会の中に特異なキャラクターが紛れ込んだ感覚で観ることになり、その違和感そのものを楽しむ、と言ったらいいでしょうか。たとえば、普段は何も着ていないフローレンがプールに入るために水着を欲しがり、その試着した姿に対してムーミンが「まるで裸みたい」と突っ込むくだりとか、そういう爆笑するほどではないけどシュールな笑いが全編にわたって散りばめられています。『ムーミン』ってキャラクターのかわいさが取り上げられがちですが、このシュールな笑いと、でも各キャラクターが身の回りにいる誰かのデフォルメにしか思えないリアリティこそが醍醐味だと思うわけです。

そんな感じで「楽しいバカンス」という意味では確かに各キャラクターがおのおのに「楽しいバカンス」を過ごす話ながら、視聴者の視点では「ムーミン一家がリゾート地をハチャメチャにする話」と言った方が正確でしょう(笑。
残されたリゾート地の人々にとってはたまったものではありませんが、ムーミン一家にとっては最後にはムーミン谷に帰って「めでたしめでたし」。ムーミンワールドに浸り、シュールで細かい笑いを堪能するという点では、なかなか面白い映画でした。個人的には、スナフキンの出番がほとんどなかったのが、ちょっと残念かな。

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2015/08/04 (Tue.)

星を追う子ども

星を追う子ども

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なんとなく手に取ってみました。

新海誠作品は去年『秒速 5 センチメートル』を無料配信で観て以来。『秒速~』は残念ながら私の心にはあまり刺さらない作品でしたが、他のならどうか、と思って手に取った次第。

ざっくり解説すると「ラピュタともののけ姫とナウシカを足して 5 で割ったような作品」とでも言えば良いんですかね。ジブリ映画で見覚えのあるような映像がたくさん出てくる、どこかで見たような話でした。この「ジブリっぽさ」はあえて狙ってやっているものなんでしょうが、映像の美しさは確かに新海誠ワールドではあるものの、やっていること自体はオマージュどころか二次創作の域を出ていないなあ...というのが率直な感想。
ストーリーに関しても、行動に終始一貫性があるのは森崎の「死んだ妻を甦らせたい」という思いだけで、主人公であるはずの明日菜にも、対役であるところのシンにも個々の行動に対する動機がどうも乏しく、脚本に都合良く動かされてるだけだなあ...という印象。最近では細田守作品のヒロインにも似たような批評をよく見かけますが、それ以上に「なんでそこで状況に流されるのか」と突っ込みたくなるような行動が多く、どうにも最後まで感情移入できませんでした。ボーイミーツガールものならばそれらしく、一目惚れで命かけるくらいのことはやってくれよ!と思います。森崎について行くなら森崎との関係を深掘りすべきだし、シンへの恋心を描くならばそういう流れがあるべきなのに、どっちもないから物語に置き去りにされている感覚でした。

ストーリー自体は神話に着想を得ているので、女子中学生受けが良さそうだなとは思ったし、ジブリを知らなかったらもっと面白いと思えたのかもしれません。でも新海誠という監督はやっぱり私には合わないかなあ。映像はとても美しいので、別の人が脚本を書けばもっと素晴らしい作品が作れるような気もしますが...。

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2015/07/20 (Mon.)

海がきこえる [Blu-ray]

海がきこえる [Blu-ray]

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ジブリ作品で最後の BD 化となった『海がきこえる』がようやく発売されたので購入。

これ、ジブリの中でも異色中の異色、といってもいい作品ですが、高校時代にリアルタイムで観て以来、ずっと好きな作品です。ジブリで青春ものと言えばこれか『耳すま』でしょうし、どちらも大好きな作品ながら、『海きこ』のほうがリアリティがあって心に刺さるかな。『耳すま』はあくまでファンタジー、『海きこ』はリアルな青春、そんな印象があります。主人公が中学生か高校~大学生か、という違いによるところも大きいと思いますが。

絵柄、登場人物のファッション、音楽のセンス、セリフ回し、といった作品のあちこちに 1990 年代初頭のバブルの残り香が醸し出されており、時代を感じます。逆にジブリ作品でこれだけ時代性を感じる作風のものも珍しいと思いますが、私がこの作品に共感をおぼえるのは、まさにこの時代に自分自身が思春期にあったからなのかもしれません。今の十代が観たら「なんだこれ」になるのかもしれないなあ。

青春恋愛もの、なのに劇中では特に主人公・森崎拓とヒロイン・武藤里伽子の間には直接的な恋愛感情の表現はほとんどありません。語られるエピソードも、むしろ辛かったり切なかったりする話ばかりで、決して恋愛ものとしてドキドキするものでは(表面的には)ない。それなのに心に刺さるのは、自分の思春期のやりとりもそんな感じだったんだろうという実感があるからだろうし、何よりも全てのエピソードがラストシーンの拓のモノローグに繋がっていて、すべての想いが最後の一言に凝縮されているから、なんだろうなあ。
久しぶりに十代後半の頃の気持ちを思いだしたような感覚に陥りました。

これでジブリ作品は前作 BD が発売されたわけですが、私も主だったところは DVD からのメディアチェンジを完了。ヒット作であっても BD を買うほどではない作品もちらほらあるので(案外、2000 年以降の宮崎監督作品は DVD 止まりだったりする)、前作揃えてはないけどいったんは打ち止めかな。今後ジブリから長編の新作が出てくることもないと考えると少し寂しくもありますが、これも時代か。そういえばジブリでのストレートな青春ものって『海きこ』と『耳すま』だけだったなあ。でも、ジブリがあったから現在の日本の長編アニメがあると言っても過言ではないので、ジブリが輩出したクリエイターが今後、もっと素晴らしい青春ものを映像化してくれることを、今後は期待しようと思います。

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2015/07/17 (Fri.)

バケモノの子 @TOHO シネマズ新宿

細田守監督の最新作を観てきました。

バケモノの子

バケモノの子

正直なところ、今回は従来の作品ほど事前のテンションが上がらず。というのも、『バケモノの子』って『おおかみこども』とかぶってないか?と思ったり、最近は日テレで宣伝しまくりな結果、観てもないのに食傷気味になってしまい...でも、実際に観てみると、思っていたよりずっと良かったです。

細田作品の中でもアクションシーンが多めなこともあって、キャラクターはよく動くし、映像は当然キレイ。そして細田作品の持ち味になっている青い空と、白い入道雲。ストーリーの前に、まずは映像に目を奪われます。

人間の子どもがバケモノに拾われて、ぶつかり合いながらも心を触れ合わせていく...というストーリーはこの手のファンタジーにはよくある展開。ひねってくるかと思ったら、最後まで王道を貫きとおした話でした。まあ、細田作品ってど真ん中に直球を投げ込んでくるような話ばかりですよね。でも、ストーリーがシンプルなぶん、熊徹と九太という二人の主人公の心のぶつかり合いに焦点が当たって、つい入り込んでしまいました。『おおかみこども』は母性の物語で、ちょっと重めな展開なこともあってそこまで感情移入しきれなかったんですが、今回は父性の物語。九太よりも、熊徹や九太の父の目線で観てしまうわけです。

ただ少し残念だったのは、活かし切れていないキャラクターがちらほらいたこと。九太の両親関係のエピソードがほとんどないので家族関係の設定に説得力が薄いし、チコは最初から最後まで存在理由が曖昧だし、一郎彦も位置づけを考えるともう少し伏線があってほしかった。まあキャラクター関係の掘り下げが少し足りないのもまた細田作品の特徴ではありますが。

観終わった後の印象も爽やかな、なかなかいい映画でした。ただ『サマーウォーズ』のようなクライマックスの高揚感を求めるとちょっと肩すかしを食うかもしれません。でも細田監督ももう大御所になってしまったので、そういうのは今後は若手のスタジオであるコロリドあたりに求めるべきなのかもしれませんが。

TOHO シネマズ新宿

今回の映画は渋谷が舞台、ということで渋谷の映画館で観るかな...とも思ったんですが、この春にオープンしたばかりの TOHO シネマズ新宿に行ってみたかったので、新宿へ。旧コマ劇場周辺って久しぶりに来ましたが、コマ劇跡地にこんな高い建物ができていたんですね。

TOHO シネマズ新宿

映画館としては、日本橋の TOHO と同様に、最新のフラッグシップシネコンとして似たような仕様になっています。IMAX、TCX、ドルビーアトモス、MX4D に対応。
チケット販売は自動券売機メインで、カウンターは申し訳程度。

今回は TCX スクリーンで鑑賞しました。映像と音響のクオリティは満足いくものでしたが、上映中、下のフロア(?)からちょくちょく座席に振動が伝わってきて映像に集中できなかったのが残念でした。もしかして真下のスクリーンで MX4D でも上映してましたかね...。座席や下階での上映作品にもよるんでしょうが、いくらなんでもそりゃないよ、と思ってしまいました。
個人的には映画館まで行くのに苦手な歌舞伎町を通らなくてはならないのもハードルが高いんですよね。やっぱり今後も気合い入れて観たい作品は TOHO なら日本橋か六本木、IMAX なら川崎をメインで利用しようと思います。

投稿者 B : 23:59 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2015/06/07 (Sun.)

ベイマックス [PlayStation Video]

ベイマックス

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映画館に行くほどでもないけど配信開始されたら観てみよう...と思いつつ忘れていたのを、某氏のエントリーで思い出したので PlayStation Video のレンタル配信(HD)で鑑賞しました。

私は基本的に「泣ける●●」みたいなキャッチコピーが好きではありません。あと登場人物を死なせることで安易に泣かそうとする作品もあまり好きじゃない。なのでベイマックスの日本国内向けプロモーションは私にとっては全く逆効果で、むしろ観てやるもんかとさえ思ってました。でもいざ公開されて「実際はそうじゃないらしい」という話をいろいろと聞くうちに興味が出てきました。

ちなみにこの映画のプロモーション戦略に関しては、こちらの blog の考察がとても秀逸で、心情的に納得はいかないまでも(この考察が正しかったとして)理解はできました。

「BIG HERO 6」はなぜ「ベイマックス」なのか? ~ハートフルな国内宣伝にロケットパンチ! - YU@Kの不定期村

作り手の意図が最大限に尊重されることと、作品や製品がちゃんと売れることのどちらが正しいかと言われると難しいところですね。私も仕事上、このジレンマに陥ったことは幾度となくあります。

物語の舞台は明らかに日本。といっても外国人がイメージする TOKYO、といった雰囲気で、どことなく香港っぽいテイストも混じってますが、中央線っぽい電車とかお台場や横浜あたりっぽい風景とか...を抱えた都市「サンフランソウキョウ」(サンフランシスコ+東京?)。劇中に登場するサンフランソウキョウ工科大学が東工大すぎると話題でしたが、まあ確かにモチーフとしたっぽい建物とか風景はあるけどあくまでモチーフだよね...と思ったらクレイテック社のシンボルマークがそのまんま東工大の学章というね(笑。

さておき、映画自体は確かに面白かったです。ハートフル展開とかはいいとして、ストーリーが想像以上にアメコミヒーローもので、それにディズニーらしい「殺伐としすぎない」コメディが散りばめられているという。主人公の葛藤とか、悪役がヴィランになっていく背景とかはもろに『スパイダーマン』的なんですが、子どもと一緒にでも観られる安心感はさすがのディズニー。マーベル系の映画はさすがにまだ子どもと一緒には観られませんからね。映像のクオリティも当然ながら素晴らしく、ストーリー以上に映像に見入ってしまいました。配信だと音声が 2ch になってしまうのだけがちょっと残念。アクションシーンはマルチチャンネルで聴くべきだったかな。

期待していた以上に面白かったです。正直言って、音楽の要素を除けば『アナ雪』よりこっちのほうが好きかも。

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2015/06/06 (Sat.)

台風のノルダ @TOHO シネマズ川崎

昨日封切りになった映画、初日に観に行ってきました。

台風のノルダ

台風のノルダ

スタジオジブリ出身の若手アニメーターが監督を務める作品ということで、気になっていました。映画といっても 30 分ほどの短編で、旧作である『陽なたのアオシグレ』との二本立て。『アオシグレ』のほうも初見でしたが、作風がどこかで見たような感じだと思っていたら...数年前に話題になり、文化庁メディア芸術祭でも受賞した『フミコの告白』の石田祐康氏が監督を務めているんですね。

こちらはシンプルなストーリーながら、自分にも過去に思い当たる節のいくつかある甘酸っぱい話で、なかなか良かった。

そしてその石田祐康氏がキャラクターデザインと作監、監督を元ジブリの新井陽次郎氏が務めているのが『台風のノルダ』。

空から謎の女の子が落ちてきて、その子の胸には光る石が...って『○○の△△』ってタイトルまで含めて狙いすぎだろ!と思わなくもないですが(笑、中身はファンタジーというよりもむしろジブリで言えば『海がきこえる』あたりの印象に近い青春もの。そしてクライマックスが巨大な台風に見舞われた夜の学校、というのは『おおかみこどもの雨と雪』とか『魔法少女まどか☆マギカ』に先例のあるとおり、名作の定番と言えるフォーマットだったりもします。

内容はいかにも若い監督が作った青春もの、という感じで、荒削りではあるけど情熱と勢いに溢れています。でも作画は本当に素晴らしく、背景の描き込みの美しさや生々しく活き活きとした人物の動きは確かにジブリの流れを汲むもの。短編ではなくもっと長くこの映像の世界に浸っていたい、と思えるアニメーション作品です。
ただ脚本はちょっと粗い。二人の主人公が葛藤に至る伏線だったり、東少年が初対面の少女ノルダをあそこまでして救いたいと感じた理由が不明確だったり、そもそもノルダが何者なのか、に関してもよく分からないまま。まあどれも「青春の情動」で片付けてしまえばそれまでなのですが、観ている側としては唐突感が強く、カタルシスに欠けてしまったのは事実です。説明過剰な作品がいいとは言いませんが、1 時間くらいの尺を取ってもう少し丁寧に描いてくれたらもっと感動できたんだろうな、と思える仕上がりであるだけに、そこが惜しい。でもそういう計算された構成とか脚本の作り方というのは経験によって培われていくものだとも思うので、そういう意味ではこの「コロリド」というスタジオは、まだまだ伸びしろに満ちていると言えるでしょう。まだ完璧ではないけれど、これからが楽しみなクリエイター集団です。

ジブリは製作部門を休止させ、米林監督も既にジブリを去ってしまいましたが、その血脈を受け継ぐクリエイターがあちこちで活躍し始めている、というのは喜ばしいことだと思います。むしろ宮崎監督の下では開花しなかった才能が新たな活躍の場を得つつあると考えると、これはこれで良かったのかもしれないなあ、と最近は思うようになりました。細田守監督の『バケモノの子』の公開も近づいていますし、後から振り返ってみると 2015 年はジブリ後の時代の幕開けだったなあ、と言われる年になっているのかもしれません。

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2015/03/21 (Sat.)

思い出のマーニー [Blu-ray]

思い出のマーニー [Blu-ray]

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Blu-ray が発売されたのでもちろん購入。劇場公開後半年以内に BD 化されるのが当たり前になってきた昨今としてはだいぶ待たされた感がありますが、それでもまだ 1 年経っていないんですよね。でもおかげで改めて新鮮な気持ちで観ることができました。

やっぱりこれはいい映画ですね。『アリエッティ』と同様に派手さはないけど、余韻の残る映画。これが米林監督らしさ、なのでしょうか。でもキャラクターの動かし方とか演出のつけ方とかはやっぱりジブリ作品なんだなあ、というのをディテールから感じます。個人的には「ジブリらしさ」というのは映像の美しさとか背景の描き込みの細かさよりも人の動きとか解りやすさ重視の演出から感じられるものなんじゃないか、と思います。種明かしのシーンの演出なんて、『トトロ』のラストシーンのそれを彷彿とさせますしね。

年齢的には長女もそろそろこれくらいの話は理解できるだろうと思い、今回は家族で鑑賞しました。先に原作を読んでいたウチの奥さん曰く「話の大筋は同じだけどかなりジブリ流にまとめられている」とのこと。まあそもそも舞台がイギリスから北海道に移されているし(笑、結末も違う話になっているようですね。小説の映像化によくある話ながら「話の深さは小説のほうが上」らしいので、これは原作も読んでみたくなりました。

劇場で一度オチを知った後に BD で観返すと、序盤からけっこう伏線が張られていることがよく分かります。ストーリー上だけでなく、映像演出的にも「ああ、これってそういう意味だったのか」と感じられる点がちらほら。そういう意図を考えながら繰り返し鑑賞すると面白さが倍増しますね。

ちなみにこの BD の発売にあたって明らかにされたのが、米林監督が『マーニー』を最後にジブリを退社していた、ということ。

昨年末にジブリを退社していた米林宏昌監督「次作はマーニーと真逆の作品に」 | マイナビニュース

これにはちょっと衝撃を受けました。『マーニー』の後、ジブリはもう長編の新作を作ることはせず、基本的には既存作品の版権を管理する会社になる、という噂が流れていましたが、現時点で唯一宮崎駿監督の後継候補と言える米林監督の退社は、それを裏付ける事実と言えそうです。
とはいえ、米林監督自身には今後も製作の意志があり、次回作は「快活に動くファンタジー作品をやってみたい」ということなので、ジブリのしがらみから離れた上で『ラピュタ』を超える作品を生み出していってほしいところです。今年は細田守監督の新作も公開されますし、仮にジブリが新作を作らなくたって、いいアニメーション映画はきっと今後も生まれ続けるでしょう。米林監督の次の作品にも、期待しようと思います。

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