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2014/07/23 (Wed.)

思い出のマーニー @TOHO シネマズ日本橋

実はけっこう楽しみにしていました。

思い出のマーニー

思い出のマーニー

宮崎駿氏が引退を宣言して以降、初のジブリ映画。「ポスト宮崎駿」がどういう体制になるのかと言われてかれこれ 10 年くらい経ったような気がしますが、そろそろ背に腹はかえられなくなってきたのではないでしょうか。

ちなみに劇場は最近お気に入りの TOHO シネマズ日本橋。背景まで美しく描き込まれたジブリ映画をどうせなら大画面で観たい、と思って TCX スクリーンを確保しました。
TOHO シネマズ日本橋ってちょっと遠いような気がしていましたが、よく考えてみたら新日本橋駅のほぼ真上にあって、私の職場からは横須賀・総武快速線一本で来れてしまうんですね。時間的には(帰り道はともかくとして)川崎に行くのと大差なくて最新設備なので、今後積極的に使っていこうと思います。

本作の監督は、4 年前の『借りぐらしのアリエッティ』でも指揮を執った米林宏昌氏。『アリエッティ』は個人的にはけっこう好きな作品だけど、全体的に地味だし、客観的に見ると少年の無邪気な善意と好奇心が結果的にアリエッティたちの生活を破壊してしまう何とも救われない話で、後味はあんまり良くないんですよね...。

それに対してこの『マーニー』はというと、病気の療養のためしばらく田舎の親類のところに滞在することになった主人公が出会ったのは...って、あれ?よく考えたらここまで何かと全く同じ展開だな(ぉ

まだ公開直後なのでネタバレ的な話は避けておきますが、良くも悪くも主人公・杏奈の性格や境遇に何らかの共感を持てるかどうか、が作品に入り込めるかどうかの境目でしょう。ジブリ映画においてここまで内向的な主人公も珍しいかもしれません。まあ、そうでなくては成り立たない物語ではありますが。
私は前半のうちに話のオチが読めてしまったのですが、それでも最後に力業で泣かせに来る演出はやっぱりジブリらしいなと。監督の作風なのか、アリエッティと同じく叙事的に物語が進行するのでもっと淡々と終わっていくのかと思ったら、ついジーンと来てしまいました。

この映画は「自己肯定の物語」なんだろうな、と観ながら考えていました。最近、少年少女が主人公の映画を観ると感情移入というよりも人の親の視点で見るようになってしまったのですが、幼児期~思春期に大人に肯定してもらえなかった子どもがどう育ち、何によって自己肯定を得ていくのか。そういう話だと思いました。
そういわれて見ると、自分も子どもの頃から両親をはじめとする大人たちに(強制されるわけでもなく)認めてもらった方向に向かって伸びてきた人生だったように思います。翻って自分の子育てはどうか。かつての自分によく似た欠点を見つけるとつい必要以上に厳しく当たってしまうのが我ながら悔しいところではあるのですが(笑)、もっといろんなことに対して、ちゃんと認めて、伸ばしてあげるようにすべきなのでしょう。
根拠のない自己肯定は危険ですが、人間、自分で自分を肯定して可能性を広げていかなくてはならないし、ここ一番では自己暗示をかけて自分を強くしなくてはいけない局面もあります。そういうときのために、子どもの頃から「誰かに肯定され、それをもって自分を肯定した経験」って大事なんだろうなあ。

正直なところ、近年の非宮崎ジブリ作品同様に派手さが薄い作品なので、賛否両論あると思います。が、個人的には特に終盤にかけて『アリエッティ』より良かったかな。
コクリコ坂から』のときにも書きましたが、やはりこれからのジブリは冒険活劇でも童話的作品でもなく、こうやってむしろ大人が楽しめるリアリティとクオリティをもった作品を作るスタジオになっていくのだろうな、と思います。無邪気な夢を与えてくれるスタジオではなくなりつつあるのはやはり残念だけど、これはこれでアリ、か。

投稿者 B : 23:45 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2014/07/21 (Mon.)

アナと雪の女王 [MovieNEX]

アナと雪の女王 [MovieNEX]

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遅ればせながらパッケージ版を購入。夏休みコンテンツとして家族で鑑賞しました。
劇場公開時に観に行っても良かったんですが、当時テレビをつけたら四六時中「れりごー」の CM がかかっている状況に軽く辟易して、そのままスルーしていました。そしたら公開からほんの 4 ヶ月でパッケージ化とか、いくらなんでも早すぎ(;´Д`)ヾ。夏休みだしどうしようかなと思っていたところ、実売 4,000 円しないということで、普段もっと高い BD パッケージを買っている身としては「少しも高くないわ~」と購入(ぉ

映画自体はもう皆さん観ているだろうから語ることも特にありませんが、良くも悪くも、安心して子どもに見せられるディズニーらしいストーリーですね。巨大な怪物や魔女が出てくる他のディズニー映画に比べるとスケールは小さめですが、映像と音楽のクオリティが非常に高いので、とても見応えがありました。むしろ二人の娘の親としては、子を大事に思う気持ちは解るけどそういう育て方じゃないだろ...みたいなところが気になったりとか。

本作の販売形態は「MovieNEX」というディズニー独自方式になっていて、BD+DVD+動画配信がセットになっています。最近のパッケージ流通はとかく複雑になっていて、自分が持っている機器に最適なパッケージがどれか判りにくいなあ...と、そこそこの AV マニアの私でさえ思っていました。そういう意味では「全部入り形式のみ」という判りやすさはいいと思いますが、パッケージには BD ロゴも DVD ロゴも大きくは示されておらず、見慣れない「MovieNEX」のロゴだけが目立っているので、それはそれで判りにくい。
また、パッケージメディア+動画配信という形態ではハリウッドが主導する「UltraViolet」がありますが、あれとの違いは何なのか?と調べてみたら、ディズニーは大手レーベルで唯一 UltraViolet に賛同しておらず、独自方式を採っているようですね。

【本田雅一のAVTrends】"ポストBD"の本命? UltraVioletの理想と現実 -AV Watch
【本田雅一のAVTrends】Disney Studio All AccessとUltraVioletの違い -AV Watch

ただ、MovieNEX は日本独自の方式で、ディズニー本社が主導する Disney Studio All Access/Disney Movies Anywhere とも異なる方式のようです。
日本向けの MovieNEX は、MovieNEX そのものがライツロッカーの役割と追加コンテンツの配信を担い、動画そのものの配信は提携する Google Play/niconico を経由する、という形態を取っています。米国の Disney Movies Anywhere は独自ストアまたは iTunes での配信となっているので、この捻れがもしかしたら先日の iTunes でのディズニー作品の配信停止と関係があるのかもしれませんね。

さておき、MovieNEX でのデジタルコピーの配信を私も試してみました。手順等は AV Watch の以下の記事が詳しいです(という手抜き)。

BD買ってGoogle Play/niconicoで視聴。ディズニーが開始した「MovieNEX」を試す - AV Watch

ストリーミングの低画質で観るのがもったいない作品なので、Google Play から HD 版をダウンロードしてみました。容量は 0.5GB 程度で、観てみると HD といっても 720p だよね?という解像度。しかも、データ量から推して知るべしですがビットレートが低く、Xperia Z2 Tablet(10.1inch/Full HD)ではジャギーやブロックノイズが目立つ、ちょっと残念な画質。これなら DVD をリップして自前でトランスコードしたほうが画質的には良さそうですね...。まあ、少なくとも手間は省けますし、7inch タブレットくらいまでの画面であればそこそこ満足できるとは思いますが、音声が日本語のみだったり(niconico なら英語音声も選べる模様)、いろいろと仕様の中途半端さが目立つのは事実です。

そういえば先日買った『ホビット』の BD にもデジタルコピーは付属していましたが、内容的にこれは大画面・高解像度で観てナンボの作品なので、デジタルコピーを試してみようという気にはなりませんでした。が、『アナ雪』は映像もさることながら歌が主役と言っていい作品だと思うので、いつでもどこでも楽しめるというのは意味がある。夏休みの帰省は移動時間も長いことですし、電車の中での子どもたちの時間つぶしにはもってこいだと思います。

投稿者 B : 21:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2014/06/18 (Wed.)

風立ちぬ [Blu-ray]

風立ちぬ [Blu-ray]

B00J2NX8NW

Blu-ray が届きました。

この映画に関する考察や評論はもう出尽くしたと言って良いほどに出ていますし、私の感想は劇場での鑑賞時と変わらないのですが、改めて、この映画はこれまでのどんな宮崎映画とも違う手触りの作品だな、と感じます。初期の、とにかく子どもたちに夢を与える作風とも、世界的に名が知られ始めてからのお説教くさい作風とも違う、これが宮崎駿という人物の芯なんだろう、という部分が凝縮されたような作品。

個人的には、この物語における堀越二郎には共感するところとそうでないところの両面があって、自分の夢を実現するチャンスがあればそれが大きな代償(この場合は、戦争への加担)を伴うものであっても手にしたい、という気持ちは理解できる部分があるけれど、それでも愛する人を事実上見殺しにするほどのめり込めるものか?というと、二郎の生き方は認めたくない。ただ、自分が家族を持っていない二十代の頃だったらどうかと考えると、同様に薄情な行動を取っていたかもしれないな...とは思います。が、それと同時に、二郎が本当に愛したのは菜穂子ではなく、飛行機作りの夢だけだったのだろうな、とも思うわけです。

まあ、この作品自体、史実に基づいてはいるものの堀越二郎と堀辰雄、および堀辰雄の著作をミックスして作られたフィクションなので、この作中の堀越二郎像を語ることにあまり意味はありません。むしろ、この創作から「『美しい飛行機を作りたかった堀越二郎』を美しい映像で表現したかった宮崎駿」が見えてくるわけで。作中の二郎はかつての宮崎駿自身の投影なんだろうし、かつての自分の投影として庵野秀明に声を当てさせた、ということなんでしょう。この美しい映像は、そういう様々な思いの上澄みなんだと思います。
その意味では、自分の美しい部分だけを二郎に見せて死んでいった菜穂子の存在も、宮崎駿の願望そのものなのでしょう。

美しくない自分を閉じ込めて、美しい部分だけをできる限り美しく見せる。子どものための創作でなく、警鐘を鳴らすための汚れの表現でもなく、自分が信じる美しさを表現する。それをやり抜くには、汚れた物事を自分の内側に呑み込む覚悟が要る、と思います。それを貫いてこの作品に凝集させた宮崎監督はやはり突出したクリエイターなのでしょうが、それと同時に、それを実現しようと思ったらここまで上り詰めなくてはならないのか...と思うと、それはそれで複雑な気分でもあります。

投稿者 B : 23:15 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2014/04/04 (Fri.)

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 [Blu-ray]

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 (完全生産限定版) [Blu-ray]

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Amazon で予約するとフライングで届くこともあったらしいですが、ヨドバシドットコムではきっちり発売日に届いたので、エイプリルフールネタに違いないと思っていました(ぉ。

満を持しての BD 化ということで、劇場公開版からは半分以上のシーンにわたって修正が加えられているとのこと。でも、もともとクオリティが高かったこともあって、見比べながらじゃないと違いが判らないレベルだと感じました。作画をやり直したというよりは、ディテールを足したレベルの修正なんでしょうかね?いずれにしても、繰り返し視聴して細部に至るこだわりを堪能したい仕上がりです。

完全生産限定版の特典ディスクは、サウンドトラックの CD と、暁美ほむらのセリフのファーストテイクを収録した特典ディスク。本編ディスクの副音声じゃなくて別ディスクで用意するというこだわりに驚愕しました。

作品の感想についてはここであえて語るまでもありませんが、劇場公開時から繰り返し観て思うのは、やはりテレビシリーズを終えて劇場版に至った製作陣の、魔法少女たちに対する「愛」がこの作品を創らせたんだろうな、ということです。少女たちにこういう活躍をさせたかったからこその序盤だろうし、その序盤の活躍シーンや意味深なオープニング映像は、別に悲しいシーンなわけでもないのに、こみ上げるものがあります。そして、賛否両論ある物語ではありますが、この[新編]があって良かった、公開前の不安は杞憂に過ぎなかった、と今にして思います。ラストはいろんな解釈のできる終わり方でしたが、欲を出してさらなる続編を作らずに、この解釈の広さのまま完結させておいたほうが良いのだろうな、とも個人的には思います。

序盤の魔法少女たちの日常に繰り返し浸るも良し、映像のディテールとそれぞれの意味をチェックするも良し、ラストの解釈のために何度でも観るも良し、思いのままにいろんな楽しみ方ができるのがパッケージメディアの良いところ。作品のファンなら必携のディスクだと思います。

投稿者 B : 00:40 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2014/04/02 (Wed.)

『風立ちぬ』 Blu-ray 発売へ

宮崎駿監督、最後の長編アニメ「風立ちぬ」。6月18日BD化 - AV Watch
風立ちぬ [Blu-ray]

B00J2NX8NW

宮崎駿氏の最後(本当か?)の監督作品、『風立ちぬ』がいよいよ BD 化されます。劇場公開後半年でパッケージ化されるのがほぼ当たり前になりつつある映画業界において、1 年はけっこう待たされたなあ、という印象になるのが怖いところですが、そこはいつもの PHL(パナソニックハリウッド研究所)クオリティで圧縮チューニングされているんでしょうから、期待できるというもの。私がこの映画の BD 化を心待ちにしていたのは、内容云々よりもあの映像美をまた堪能したい、という部分が大きいので、クオリティにはとても期待をしています。

それよりも、今回驚いたのはこの話。

「カリオストロの城」が最新HDマスター使用でディズニーから再BD化 - AV Watch
「カリ城」から「風立ちぬ」まで、宮崎監督の全11作収録BD-BOX発売。全作MGVC対応に - AV Watch

『カリ城』が再 BD 化ですか。まあバップから以前の BD が発売されたのは、BD というパッケージメディア自体の黎明期と言って差し支えない時期なので、今の BD と比べるとクオリティ的に見劣りするようになっているのは事実。マスタリングからやり直し、他のジブリ BD と同様に MGVC(マスターグレードビデオコーディング)による高階調記録と PHL による圧縮を経ているというのだから、これは期待が持てます。既に持っている BD を買い換えるのは微妙に抵抗があるところではありますが...。
そしてこの『カリ城』を含めて宮崎監督作品を全作収録した BD-BOX も発売。こればかりはニュースが出たのが 4/1 だったので、さすがにエイプリルフールネタだろうと思ってしまったのですが(ぉ、どうやら本当らしいです。しかも既存作品も全て MGVC 化され、既存ディスクよりもハイビットレートで収録されているというのだから恐ろしい(;´Д`)ヾ。

そうそう買える値段の BOX でもないので、『カリ城』だけ買い換えますかね...。

ルパン三世 カリオストロの城 [Blu-ray]

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投稿者 B : 01:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2014/02/04 (Tue.)

秒速 5 センチメートル [iTunes Store]

森の木の代弁者に期限切れを知らされた人のエントリーを読んで、私もダウンロードだけして放置していたのを思い出したので、期限切れギリギリに視聴しました。

秒速 5 センチメートル

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映像に対する評価が高い作品、という話は聞いていたので、以前から気にはなっていましたが、なんとなくそこまで観たいというモチベーションに至らず(笑)今まで観たことがありませんでした。年明けの iTunes Store のキャンペーンでレンタル無料になっていたのでなんとなくダウンロードして、そのまま忙しくて忘れていたという。映像の美しさが評価される作品って、私の中ではどうしてもそういう扱いになりがちです。
物語は、主人公と二人のヒロインにまつわる短いエピソード三本をまとめたものでした。それならそうと、分割してでも早めに観ておくんだった。

「リア充のアニメ」と言われる本作ですが、キャッキャウフフとは縁遠い青春を送った私みたいな元少年からすると、例え片想いでも女の子と二人っきりで話したり一緒に帰ったりするだけでぐぬぬ、と感じなくもありませんが(ぉ)、『耳すま』のようなド青春恋愛ものが好きな私としては、こういう話もナシではないと思います。ただ、なんだろうな...『耳すま』が青春してる乙女の視点で描かれた作品だとすれば、『秒速』は大人になった男の未練がましい回想、という視点で描かれているように見えて、自分にも思い当たるところがあるというか、同じ男の目で見て妙に痛々しい気持ちになるというか。解りますかね、この気持ち(笑
私は身の回りで「幼馴染み時代の恋の相手と結ばれるなんてこと」が 2、3 あったりするのですが、確かにそういう物語を描いても多くの人にはファンタジーにしかならないので、ラストシーンはああいう切なさで良かったんでしょう。

映像は確かに美麗で、リアリティが高く、それだけに「これを実写でなくアニメで表現する意味があるのか」と言われるのは、解る気がしました。でも、個人的には、特に空や桜吹雪、緑などの描き方が水彩画のようで、まるで動く絵画を見ているようだなあ、と感じました。あと、豪徳寺から岩舟に電車で向かうシーンで、路線図や風景を見ながら以前グンマーのブラジルに聖地巡礼に行ったときのことを思い出しました(ぉ。ちなみに、天候不良や人身事故で電車内に 2 時間閉じ込められるというのは、例え意中の人に会いに行く道中でなくても、絶望したい気持ちになるものです。
そんなわけで(どんなわけだ)、この美しい映像と切ない物語を観て、ついうっかり少女漫画を読んでしまったときや、何かの間違いで銀色夏生の詩集を読んでしまったときのような、何とも言えない気持ちになりました(笑。

ちなみに視聴したのは iTunes Store の HD 映像(1080p)でした。画質的には、レンタルであれば十分満足できるレベル。今後、あと何回か利用してみて、気に入ったら Apple TV を買ってきてもいいかな...。

投稿者 B : 01:05 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2013/11/01 (Fri.)

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語 @109 シネマズ川崎

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [新編]叛逆の物語

前後編の BD-BOX もまだちゃんと観れていないうちに劇場公開が始まってしまったので、観に行ってきました。

TV 版の内容を忠実になぞったまま映像をリメイクした[前編]/[後編]と違い、今回の[新編]は完全なる新作。かつ、[後編]から続く話になる...ということで、期待半分、不安半分で劇場に足を運びました。ネタバレしたくなかったので、事前情報完全シャットアウトで、予告映像すらまともに見なかったくらい(笑。

未見の人もいるでしょうから、できるだけネタバレしないように書きますが、どうしてもイヤな人は私のように何も読まないことをオススメします(ぉ

前半は、おそらくもう TV 版をひととおり観た人であれば「こういうのが観たかった」という流れに違いないでしょう。若干の違和感を抱えつつも、TV 版のストーリーをひととおり知っている人であれば、こういう展開でこそ逆に泣けてきてしまうかもしれません。それくらい、TV 版のファンの心情をうまく撞いた構成だと思います。いや、むしろ物語の起承転結「転」の入口ぐらいまで、ほぼ「こういうのが観たかった」で埋め尽くされていると言って良いかも。それくらい、何を足しても何を引いても完成しなくなってしまう TV 版の続編として「ここしかない一点」だったように思います。
それくらい順目のストーリーである以上は、「あの世界」を作り出したのが誰か、というのは割と予想がついてしまうところではありますが...あんなどんでん返しがあるとは。脚本が虚淵玄だということをすっかり忘れていたよ!(笑

でも、このストーリーは TV 版からこの劇場版[新編]に至るまで、基本的には魔法少女「暁美ほむら」の願いの物語なのだ、と考えると、全てしっくりきます。神と悪魔の表面的な意味ではなく、神と対をなす存在としての悪魔。相手との対比の中で、あるいは他者との違いを認識することで、初めて自分という存在が確立できるということ。鹿目まどかの復活と二人の世界を築くことではなくて、「みんなといる世界」を願い、その結果として「みんなの世界」の外側にいることを選択することになったのは皮肉としか言いようがありませんが、全編を通して見るとその結果も理解できる気がします。あー、やっぱりなんか半分ネタバレっぽくなってしまいましたが(笑

後半の急展開を観たときの印象はヱヴァ『破』あたりに近いものがありましたが、伏線がきれいに回収されている分、「あれはどういうことなの?」というのが少なく、一回でもけっこうお腹いっぱいになれる作りだと思います。ただ、細かい演出にまで意味を持たせていることが多いシリーズなので、二度目、三度目に観ると「ああ、これはこういうことだったのか」と納得できるものがありそう。ヱヴァのように何度も行くつもりはありませんが(笑、二度目は行っても良いかな...。

しかしこれ、いくらでも続編が作れそうな終わりかたでしたね。商業的にはまだまだ続けたいところなんでしょうが、今回のような余韻を残した、解釈の幅の大きな「The End」でも、それはそれでいいような。むしろ、これもこれで何を足しても蛇足にしかならないように思えるので、無理に続けてほしくないかもしれません(笑。

投稿者 B : 01:55 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2013/08/13 (Tue.)

風立ちぬ @TOHO シネマズ ファボーレ富山

帰省中に観よう、と思って今までとっておいた映画を観に行ってきました。

風立ちぬ

風立ちぬ

『もののけ姫』以降の宮崎映画は、『崖の上のポニョ』という名作を経てもなお、もしかしたら老人の昔話の繰り返しやお説教に付き合わされるのではないか...という不安を抱いて劇場に足を運ばせるものがあります。今回は、太平洋戦争にまつわる物語であるが故に、さらにその懸念を強くしていました。

が...なんというかこれは、長い一篇の詩のような映画、とでも言えばいいでしょうか。とても美しい物語でした。

実在の人物・堀越二郎をモチーフにしたフィクションということで、優れた才能を持つ技術者とその恋人が、政治や戦争に翻弄されていく物語を予想していました。ある意味でそれは正しかったのですが、その経緯や苦悩を描いた物語ではなく、堀越二郎の夢と、それを実現していく「想い」の物語でした。航空機開発のいきさつは抽象的にしか表現されておらず、中盤まではちょっと物足りなく感じましたが、終盤には「この映画にはこの描き方で良かったのだ」と思えました。画竜点睛を欠いていたとすれば、やはり堀越二郎の配役でしょうか...。

「飛行機は、美しい夢だ。設計家は、夢に形を与えるのだ」

夢の中で二郎に啓示を与える、イタリアの航空機設計者ジャンニ・カプローニの言葉です。
私は昔から、ものに形を与える仕事をする人に強い憧れと敬意を抱いていて、それが自分自身がエンジニアを目指した原動力でもあっただけに、この言葉には強い共感をおぼえました。

十代の自分だったらその「美しい夢」に全力で自己肯定の気分を与えられていただろうし、二十代の自分だったら「そんなのきれいごとだよ、実際のものづくりは...」と斜めに見てしまっただろうけど、三十代も半ばを過ぎた今の自分には、この映画を通じて宮崎駿が表現したかったものが、なんとなくわかる気がします。
「ものをつくる」という仕事は、きれいごとではなくて、いろいろな事情やしがらみとは無縁ではいられない。作り手の意思と、世の中のあらゆるものごととの交差するポイントでものを作ることで、初めて世に受け入れられるものが生まれる。独りの意思だけではものを作り続けられないからこそ、作り手は悩み、苦しむ。でもそういうしがらみを血肉とし、あらゆるものごとを超えた先に、それでも「美しい夢」を持ち続けたやつだけが、最終的に夢を叶える権利を与えられる。「ものをつくる仕事」とは、そういうものだと思うのです。

おそらく、そういう時間を経てきた宮崎監督だからこそ、「ものをつくる生き方」をこういう形で表現したのではないでしょうか。様々なしがらみや世の中の変化をふまえながら、名作と言われるアニメーションを作り続けてきた宮崎監督だから、今、監督自身が最も美しいと信じるものの美しい部分だけを、最も美しいと思われる手法で表現し、人々に伝えたかったのだと思います。劇中で菜穂子が、愛する人に自分が最も美しい状態だけを見せて、そして去って行ったように。きっとカプローニは現在の宮崎監督自身であり、二郎は過去の宮崎駿であり、現代の若き作り手なのでしょう。

鈴木敏夫プロデューサーは本作を「宮崎駿の遺言」と言っていますが、私は、この映画が実際に宮崎監督の遺作になっても、きっと驚かないでしょう。劇場公開中にあと二度三度観に行ってもいい、名作に仕上がっていると思います。

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2013/07/28 (Sun.)

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語 [Blu-ray]

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編]始まりの物語/[後編]永遠の物語 [Blu-ray]

B00C3E3ISM

発売日に届いていました。

ANIPLEX+ 版の豪華特典については注文前に知っていましたが、さすがにあれを置いておく場所は我が家にはないな...と思って普通に Amazon に発注。
最近忙しくてまだ断片的にしか観れていませんが、自宅のテレビで鑑賞すると、テレビ放送時と比べて映像が完全に別物になっていることを改めて実感します。映画館で観たときには、明らかに演出が変わった部分を中心にいくつかの変更点には気がついたものの、大画面・初見なので細かく観る余裕がない・その場の雰囲気(笑)で正直ここまで変わっているとは思いませんでした。「劇場のスクリーンに合わせて最適化」された分、画面への馴染みが良くて違和感がなかった、ということかもしれません。

そのあたりの差分について、テレビ版の BD と多くのシーンに渡る比較記事を見つけましたが、本当に「手を加えていないカットはない」というレベルですね...。

ヲタブロ : 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ [前編] 始まりの物語/[後編] 永遠の物語 BD レビュー・感想

映画に関する感想は[前編][後編]それぞれの上映時に書いた内容から変わりはありませんが、物語の構成としては、やはりテレビアニメの「正味 20 分放送して、次まで 1 週間待たせる」というフォーマットがあったからこそ、あれだけの盛り上がりが作れたのだろうな、と、繋ぎ合わせられた作品を観て、改めて実感するわけです。

ともあれ、検証・考察サイトを見るとひとつひとつのシーンに込められた/隠された意味が数多くあることに気づけるこの作品。『ヱヴァ Q』あたりもそうですが、噛めば噛むほど味が出てくるので、夏休みにじっくり堪能したいと思います。秋公開の『[新編]叛逆の物語』も、期待に応える作品になるのか、期待を裏切る作品になるのか、怖さ半分ではありますが、今から楽しみ。

投稿者 B : 06:47 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2013/07/17 (Wed.)

紅の豚 [Blu-ray]

紅の豚 [Blu-ray]

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スタジオジブリの旧作 BD 化の「しんがり」(まだ出ていないのもありますが、名作と言われるものの中で)は『紅の豚』。同じく空に憧れた男が主役の『風立ちぬ』の公開に合わせて、という憎いタイミングでのリリースとなりました。待ち望んでいた作品だったので、届くや否や視聴。

このディスクでの注目は、話題の「マスターグレード・ビデオ・コーディング(MGVC)」が採用されたディスクであるということでしょう。「『マスターグレード』は(株)バンダイの登録商標です」という注記を入れるあたり、もうそういうユーザー層を狙って名付けたんじゃないかと思われるネーミングですが(笑)、BD 映像の階調をより高めるための技術、です。現時点では本田さんか Phile-web の記事がいちばん詳しいかと。

【本田雅一のAVTrends】真のマスター品質を再現。パナソニック独自技術MGVCが魅せる映像作品の実力 -AV Watch
パナソニック、12ビット収録のBD新技術「MGVC」を開発 - PHL柏木所長が語る開発背景【更新】 - Phile-web

まあ、今のところ対応しているのはパナソニックの DMR-BZT9300 の最新ファームウェア版のみで、この技術自体がパナソニック独自のため他社製品では対応予定なし、というのが悲しいのですが(´д`)、一度実力を味わってみたい技術ではあります。ちなみに、MGVC 自体は『となりのトトロ』以降のジブリ BD が対応済み、とのこと。

というわけで、我が家の現在の再生環境ではせっかくの MGVC も宝の持ち腐れなわけですが、それでもこのディスクの画質は素晴らしいの一言。「名作」と語り継がれるジブリ作品の中では比較的新しい(といっても劇場公開は 20 年以上前)ということもありますが、オリジナルフィルムの状態が良いこともあるのか、古い作品とはとても思えない、スッキリした高画質。地中海の碧い海と蒼い空、そしてポルコの駆る飛行艇の目の覚めるような紅、それらが今までに観たどのソースよりも鮮やかに目に飛び込んできて、まるで自分が空を飛んでいるかのような高揚感さえ感じました。ジブリ旧作 BD といえばフィルムグレインがけっこう気になるレベルで残っているものが多いですが、今作に関しては程よく抑えられ、HD らしいスッキリ感とフィルムソースらしい柔らかさの共存した、とても好ましい画質です。
ジブリ旧作の BD 化では今のところ『魔女宅』が最高の出来だと思っていましたが、MGVC なしでの再生でも、この BD は魔女宅を超えているかもしれません。映像ソースのクリーニングやリマスタリングをしたスタッフさん達の仕事も素晴らしいですが、だてに BD の冒頭に鈴木敏夫プロデューサーと並んで「圧縮 柏木吉一郎」とクレジットされていないよなあ、と、クオリティの高い仕事に純粋に敬意を表したいです。

自分も歳を取ってきたせいか(だって劇場公開当時まだ中学生ですよ)、最近では繰り返して観たいのはナウシカやラピュタよりもむしろ『豚』かも、とさえ思うようになってきました。そんなときに、この高画質でいつでもあの空が見られることに感謝しつつ、MGVC 対応デッキのラインアップが(他社も含め)もっと広がってくれることを期待したいと思います(笑。

投稿者 B : 01:26 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック