b's mono-log

2018/07/09 (Mon.)

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー [MX4D] @TOHO シネマズ新宿

公開直後に一度観に行きましたが、改めて MX4D で鑑賞。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

IMAX3D での上映は映像も音響も良かったんですが、同時に「これは 4D 上映のほうが合いそうだな」という直感がありました。
というのも、ハン・ソロが愛機ミレニアム・ファルコンと出合う映画なわけですよ。つまり、ファルコンの見せ場がふんだんに用意されているというわけ。MX4D は『最後のジェダイ』でも体験して、これはこれでアリだけど IMAX のほうが良かったかな...という感想でしたが、ミレニアム・ファルコンがこれだけ活躍する『ハン・ソロ』ならもっと合うだろうと思いました。

実際に体験してみると、冒頭のカーチェイスシーンからスピードを感じることができ、これは楽しい。でも何よりミレニアム・ファルコンですよ。ハン・ソロが初めてミレニアム・ファルコンに乗り込んでライトスピードを体験するシーン、「ケッセル・ランを 12 パーセク」で駆け抜けたブーストの感覚、そしてラストシーンのハン・ソロとチューイが二人でライトスピードに突入するシーン...いずれもあの加速度を自分でも感じられるのが嬉しい。まさに長編の「スター・ツアーズ」とでもいうような感覚で(シートの動きはあそこまで大きくないけど)、自分もハンと一緒にミレニアム・ファルコンに乗っているような気がしました。これは楽しい!

この映画はハン・ソロが主役で、プロモーション上はチューバッカも大きくフィーチャーされているけれど、本当の主人公はミレニアム・ファルコンなんだろうと思います。サイドストーリーも含めこれまでの『スター・ウォーズ』に必ず登場してきた R2-D2 も C-3PO もライトセーバーも登場しないけど、『スター・ウォーズ』のもう一つのシンボルであるファルコンの魅力を余すところなく体感できる。本作を本当に楽しみたかったら 4D 上映以外にないのではないか...とさえ感じました。

これでストーリーのほうももっとスッキリハッキリしていたら最高だったんだけどなあ。こればかりは別のサイドストーリーがちゃんと製作されて、そこで今回の伏線が回収されることに期待するしかありません。

1/144 スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン (ランド・カルリジアン Ver.)

B07C1Z25TS

投稿者 B : 23:00 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/07/01 (Sun.)

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー [IMAX3D] @T・ジョイ PRINCE 品川

楽しみにしていた映画を観に行ってきました。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

端的に感想を言うと...面白かった、んだけど期待値が高すぎてちょっと物足りなかった、というところでしょうか。

米国での興行が想定を下回ったせいか、日本での封切り前から酷評が多く、劇場に行く前からやや不安ではありました。実際のお客さんの入りも、公開初週末なのに品川の IMAX が埋まっていないというのは、前評判や「サイドストーリー含め濫発しすぎ」で注目度が下がっていることを裏付けているように感じました。

※まだ公開三日目につき、これから劇場に行くつもりの人は続きは鑑賞後に読むことをオススメします。










ストーリーは『スター・ウォーズ』シリーズの主要キャラであるハン・ソロの若き日を描いています。ナンバリングタイトルにも登場する、

  • 相棒チューバッカとの出会い
  • 愛用のブラスター入手の経緯
  • 悪友ランド・カルリジアンとの出会い
  • ミレニアム・ファルコン入手の経緯
  • 「ケッセル・ランを 12 パーセクで飛んだ」ファルコンの伝説
というくだりを初めて映像化したという意味では貴重な作品。今まではセリフで触れられるにすぎず、我々が脳内で補完するしかなかったエピソードが公式に語られます。 また天涯孤独の身だったただの「ハン青年」が「ハン・ソロ」を名乗るようになったくだりも描かれていますが、これがなんとも示唆的。邦題は『ハン・ソロ』とつけられていますが、原題『SOLO』のほうが本作のテーマには相応しいと言えます。劇中ではほとんどのキャラクターが「SOLO」であり、ラストシーンで生涯の相棒と居場所を得たハンがついに「SOLO」ではなくなって終幕、というのが実に深い。

本作の前評判を下げている要因の一つが「ハン・ソロがハリソン・フォードではない、少なくとも似てもいない」という点でしょう。これは確かにそうで、キービジュアルだけを見ていたときには私も違和感があったのですが、映画が始まったらほとんど気にならなくなりました。確かに顔は似ているとは言い難いけど、表情の作り方とかブラスターの構え方とか、かなりハリソン版ハン・ソロに寄せた役作りがされていて、確かにこれはハン・ソロの若い頃だね、と思えます。しかし、本作のハン・ソロは映画全編を通じてピュアな熱血漢であり、Episode IV 以降の「捉えどころのないニヒリスト」的な人物像への変遷が描き切れていないのがもったいないなあ、と。そうなったきっかけは描かれているんですけどね。

ハン・ソロの過去として必要なエピソードは網羅されているし、アクションシーンやミレニアム・ファルコンのチェイスシーンも個々にはとてもよくできていてカッコイイ。でも、なんか個々のエピソードを淡々と描いただけで、Episode IV に繋がっていく強いうねりのようなものが欠けていて、そこが物足りなかった要因なのかもしれません。『ローグ・ワン』のラストで Episode IV へのリンクが描かれたことで強烈なカタルシスを味わった身としては、他のサイドストーリーにも同じくらいの強さを期待してしまった。ジェダイやライトセーバーが登場しないのは時系列上しょうがないにせよ、単にキャラクターの過去を描くだけでなく「自分が知っているあのシーン」への繋がりを感じたかったのだと思います。

そういう意味では、本作は既存作品の何かに繋げて終わったわけではなく、いくつかの伏線を残したまま終幕しています。終盤で「意外なあの人」が登場したのはサプライズでしたが、あれは単なるサプライズだったのか、あるいはそこは別のサイドストーリーで語るつもりだったのか。本作の失敗で『スター・ウォーズ・ストーリー』シリーズの続編制作が打ち切られたという噂も出ていますが、続編ありきの脚本だったのだとしたらちょっと残念。どうやら「意外なあの人」はアニメ版『クローン・ウォーズ』には登場していて本作に至る経緯を知ることもできるようなのですが、あのバタ臭い絵で百話以上もあるアニメを観る気にはちょっとなれないんだよなあ...。

そんなわけで、面白かったんだけどやや消化不良感のある映画でした。ルーカスフィルムは毎年新作を出すことにこだわらなくていいから、一本一本をもっと大事に作ってほしいところ。

投稿者 B : 23:01 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/23 (Wed.)

グレイテスト・ショーマン [Blu-ray]

えっとなんかもう BD が発売されたんですが、これ劇場公開からまだ三ヶ月しか経ってないし、なんならまだ上映中ですよ(;´Д`)ヾ。

グレイテスト・ショーマン [4K ULTRA HD + Blu-ray]

B07CFZ4SMD

まあ楽しみにしていたから買いましたが。将来 4K 環境に移行したときのために UHD BD+BD パッケージ版です。

この映画、あまり冴えないけど夢だけはあった男が社会的弱者や曲者を集めて興行を始め、大成功する...というストーリーラインは『SING/シング』とほぼ同じ。差別や自己肯定といったテーマやショービジネスを扱った映画はそれだけ普遍的なものということなのかもしれません。が、脚本としてメインテーマの掘り下げがちゃんとできているのは『SING』のほうだと思います。本作はせっかく個性豊かなキャラクターが登場しているのに、彼らの扱いがほぼ「その他大勢」だし、差別も黒人差別くらいしか描けていないし、実にもったいない。最後にバーナムとサーカスのメンバーが和解するシーンもバーナムは特に何もしていないのに何となく和解してしまうし...。

それでもこの映画はその音楽と映像によって「傑作」と言って良いレベルに仕上がっているとも思います。サントラだけでも素晴らしいし、もうけっこう聴き込んだつもりだったのに、改めて映像付きで観るともう一度感動してしまう。『The Greatest Show』『This Is Me』の群衆によるダンスは観ているこちらまで高揚するし、『The Other Side』のバーナムとカーライル(+バーテンダー)による掛け合いは繰り返し観たくなるほど楽しい。『Never Enough』の心に響く歌声と『Rewrite The Stars』の映像の美しさはミュージカル映画史に残るシーンだろうと思います。
この Blu-ray には特典映像として楽曲のシーンだけを再生する機能がついているんですが、通しで観るのは週末にしてとりあえずいくつか気に入っている楽曲のシーンだけ観よう...と手をつけたところ、気づいたら全曲聴いてしまっていて小一時間が過ぎていました(;´Д`)。それくらい本作のミュージカルシーンは素晴らしい。

今週末にでも改めてじっくり鑑賞しようと思います。でも BD で観たらもう一度映画館の音響で観たくなってきてしまいました。さすがに BD の発売に伴って今週いっぱいで終映する劇場が多いようで、その前に行ってこようかな...。

投稿者 B : 23:00 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/20 (Sun.)

セッション [Prime Video]

以前から気になっていた映画が Amazon Prime Video の見放題リストに入っていたので鑑賞しました。

セッション

B012FUDRDE

ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と名優 J・K・シモンズが助演(実質的には主演と言って差し支えないと思う)というところで注目していたのでした。

ジャズドラマーを目指す青年アンドリュー・ニーマンが、所属する音大で最高峰の指揮者テレンス・フレッチャーに才能を認められるものの、そこからの指導が地獄のような厳しさで...という話。「厳格なマネジャー」という点では J・K・シモンズらしさを存分に引き出す役どころですが、今までの J・K・シモンズのイメージすら覆すほどキレた役。指導中に怒号は当たり前、罵声や放送禁止用語、果ては椅子まで飛ぶ激しい指導。それは邦題にある『セッション』という愉しげなものではなく(この邦題の意味はラストシーンでようやく理解できました)、原題『Whiplash(ムチ打ち)』をそのまま当てるのが妥当と感じます。
私もかつて言葉の暴力や苛烈なプレッシャーでメンタルをやりかけた経験はあるだけに、このフレッチャーの強烈な圧力は見ていて辛いものがあります。しかし一方で「自分ができることは他人にもできて当然」というような要求を誰かにしたことがなかったかと言われると否定もできないわけで、自分が受けてきたプレッシャーと他人に与えてきたかもしれないプレッシャーをいろいろと思い浮かべながら観てしまいました。

一流のアスリートやプロ棋士の名言として「報われるか分からない努力を続けられることそのものが『才能』である」とか「努力を努力と思っているうちは真の努力ではない。人並み以上の努力を当たり前に継続できる者だけが何かを成し遂げることができる」という話を聞くことがあります。それ自体は確かに納得できるものだし、何者かになるために自分が自分に課す言葉として重みがあるものだと思いますが、果たして自分の教え子や後輩、あるいは子どもに常識外の努力を強いるための言葉として使って良いものかどうか。この作品におけるフレッチャーの指導は指導というよりもむしろ、自分が理想とする音楽を作り上げるための駒として教え子たちに強要しているものであり、ハラスメントに他なりません。フレッチャーは果たして教育者として正しかったのか。
が、芸術にせよスポーツにせよ世の中に影響を与えるほど強烈な成果というのは稀有な才能と非常識なほどの努力や無理の結果生まれることが多いのも事実。トップレベルであるほど踏み台や噛ませ犬となる「犠牲」も必要悪だし、そこに集まってくる人員も覚悟はできているのかもしれません。私(少なくとも今の年齢の)はそんなのはまっぴらごめんですが...。

そんなフレッチャーの自分の理想とする音楽への執着と、それに振り回されたニーマンの関係がどうなるかは、ラストシーンで示されます。フレッチャーの強烈な指導はニーマンという才能を開花させたけど、そこまでに多くの若者の人生を滅茶苦茶にしてきたであろうことを考えると、果たしてそれは良いことだったのかどうか。ジャズ界という括りの中ではそれは良かったことなのかもしれませんが。
ジャズを扱った映画ではありますが、人の生き方や価値観について考えさせられる映画でした。

そういえば本作も『ラ・ラ・ランド』もジャズをストイックに追い続けた男の話という点では共通点があるし、本作でフレッチャーを演じた J・K・シモンズが『ラ・ラ・ランド』ではセブ(ライアン・ゴズリング)にジャズを禁じクリスマスソングだけ演奏させる役どころというのも洒落が効いていて面白い。いろんな観点から楽しめる作品だと思います。

投稿者 B : 21:18 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/08 (Tue.)

オリエント急行殺人事件 [PS Video]

劇場公開時にちょっと気になりながら観れていなかった映画を VOD にて鑑賞。さすがに Prime Video には来ておらずペイパービューだけだったので、PS4+PS Video を利用しました。

オリエント急行殺人事件

B079PHYLYQ

知らない人はいないほど有名な、アガサ・クリスティ原作サスペンスの映画化。あまりにも有名すぎて何度も映像化されているし、NHK でもイギリスのドラマ『名探偵ポワロ』の一エピソードとして何度も放送されている話です。

主演は『ハリー・ポッター』シリーズでのロックハート先生役や、近年では『ダンケルク』にも出演していたケネス・ブラナー。渋い配役だと思ったら、主演だけでなく監督も務めているとか。直近ではディズニーの実写版『シンデレラ』の監督も務めていたというから、監督としても実力派だったんですね。
そのほかの役者陣もジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ(『007』シリーズの「M」役)、デイジー・リドリー(『スター・ウォーズ』新三部作のレイ役)、ウィレム・デフォー(『スパイダーマン』のノーマン/グリーン・ゴブリン役)、ジョシュ・ギャッド(実写版『美女と野獣』のル・フウ役)と、顔を見ただけで役名ではなく本名の方が先に出てくるレベルの名優揃い。

『オリエント急行殺人事件』といえば私でもオチを知っているほどよく知られた話です。誰もが犯人やトリックを知っているようなミステリーを今さら映像化して何になる?という疑問が湧きそうなところですが、これはもはやサスペンスの古典であり「犯人が誰か」というよりは「この独特な話と個性的な登場人物を誰がどう演じるのか」を観るためのものであり、日本でいう落語や歌舞伎の古典のようなものと言ったほうが良いでしょう。なんたって本事件における被害者ラチェット(ジョニー・デップ)が、序盤で殺されてしまうにも関わらず他の出演者よりも圧倒的に印象に残っているほど存在感のある演技が観られるわけですから(笑)、物語よりも芝居を堪能するための映画なのです。

主役のエルキュール・ポアロ(ポワロ)探偵に関しては、日本人としては NHK で放送されていたドラマ版のデヴィッド・スーシェ(と熊倉一雄による吹き替え)の印象があまりにも強く、それがどうこの映画で上書きされるのかに興味がありました。スーシェ版ポワロは禿げ頭(+帽子)に黒いちょび髭のイメージでしたが、ブラナー版ポアロは豊かな銀髪にわざとらしいくらい立派すぎる口髭。この口髭には賢さよりも力強さを感じるわけですが、実際にスーシェ版ポワロにはなかったアクション的なシーンも所々に散りばめられ、ブラナー版ポアロは若々しい印象。カンバーバッチ版シャーロック・ホームズほど大胆な演出はありませんが、既存のポワロ像を脱皮させることに成功しています。
ただ、惜しいのは謎解きのシーンで、ポアロ自身が悩んだり伏線を一つ一つ解き明かしていく様子はあまり丁寧に描写されず、ポアロがその才能でいきなり事件の真相に辿り着いたかのように見えてしまったこと。もうみんなオチは知ってるんだからそこはいいでしょと言われているように感じましたが、やっぱりサスペンスを観てるんだからそこはちゃんと溜めていってほしかった。あと、他の俳優陣も要所要所でいい芝居をしているのに、全体の印象としてはケネス・ブラナーとジョニー・デップに持ってかれた感が強いのも微妙に惜しいですね...。

65mm フィルムで撮影されたという映像は本当に美しい。真っ白い雪の中を走るオリエント急行、薄暗い列車内に射し込む光、そしてときどきアクセント的に使われる鮮やかな青。謎解きシーンでこれまでの映像化作品にはなかった「最後の晩餐」を模した構図も示唆的だったし、作り込まれた映像と芝居の重厚さには圧倒されました。それだけに、謎解きがあっさりしているのが惜しい...。

同じケネス・ブラナー監督/主演で続編『ナイルに死す』も製作中とのことなので、こちらも公開されたら観てみようと思います。

投稿者 B : 23:40 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/01 (Tue.)

レディ・プレイヤー 1 [IMAX3D] @T・ジョイ PRINCE 品川

一部界隈で「オレはガンダムで行く!」が今年の流行語大賞にノミネートされそうな勢いの話題作をようやく観てくることができました。

レディ・プレイヤー 1

READY PLAYER ONE

スティーブン・スピルバーグといえば近年は史実をベースとした映画ばかりですっかり社会派になってしまった感がありましたが、本作は久しぶりにど真ん中のエンタテインメント作品。スピルバーグ作品で劇場公開を心待ちにしたのなんて『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以来十年ぶりだし、感覚的には『ジュラシック・パーク』以来のスピルバーグが戻ってきてくれたのでは、という期待さえありました。またテーマは VR 世界での冒険ということで社会的にはタイムリーなネタであり、またスピルバーグらしい映像のアミューズメントパーク感が存分に発揮されそうな分野でもあります。

以下、若干のネタバレを含むのでこれから観に行く方はこのままそっと閉じて後日閲覧されることを推奨します。











本作の「仮想世界の創造主が残した謎を解くために主人公を含むスーパープレイヤー達が立ち上がる」「仮想世界の支配を企む悪者と、仮想と現実を行き来しながら丁丁発止やり合う」というストーリーは、近年の創作で比較的よく見る手法。『マトリックス』『サマーウォーズ』『ソードアート・オンライン』あたりを観たことがあればそろそろ使い古された話にも見えてくるでしょう。でもこの原作となった小説『READY PLAYER ONE(邦題:ゲームウォーズ)』は 2011 年であり、Oculus Rift も HTC Vive もこの世になかったタイミングで発表されたものであり、逆に本作(と『SAO』)が Oculus の原点のひとつになったという点で、重要な意味をもつ作品であると言えます。現実の未来というのは時折、小説や映像などの創作を起点として形作られるものです。

VR を体験していると、ふとした瞬間に「つまらない現実よりも、このまま VR の世界にずっと没頭していたい」と感じる瞬間がありますが、本作のスタート地点はまさにそこ。そこから、現在は技術的な制約により実現できていないけど将来的にこうなったら楽しいよね、と語られている VR が実現した未来の映像へと引きずり込まれていきます。

主に 1970~80 年代のポップカルチャーやサブカルチャーを過剰なほどにまぶした映像で、その時代をリアルタイムに過ごした世代にとってはたまらない作品でしょう。「あのキャラが一瞬映ってた!」「ああ、これはあの映画へのオマージュだな」という細かいネタが随所に隠されていて、ストーリーの本筋を忘れてそっちにのめり込みそうになります(笑。逆に言えば非常にハイコンテクストな映像でもあり、今の十~二十代がこれ観て楽しめるのだろうか?と疑問に思ったほど。まああまり深く考えずに「昔そういうのがいろいろあったのね」という理解で止めても楽しめる作品ではありますが。私も ATARI とかリアルタイムで知らないし...。
とにかくそれくらい、日米の人気 IP をカネとスピルバーグの影響力で引っ張ってきたかのような豪華映像が繰り広げられるわけですが、真性のガノタとしてはガンダムの扱いがどうにも気になりました。ファーストガンダムなのに登場シーンではダブルゼータの決めポーズを取るし、ビームサーベルの構え方が「アバンストラッシュ持ち」だし、スピルバーグ本当にガンダム観たことある?と突っ込みたくてしょうがなかった。他のキャラクターの扱いについてもその筋のマニアから見れば微妙なのかもしれないし、「仮想世界の創始者ハリデーの 1970~80 年代カルチャーへの愛を表現した世界」の割には詰めが甘いのでは...というのをガンダムを見て思ってしまいました。とはいえ、THE ORIGIN のプロジェクト完結により一年戦争編のリメイクが叶わなくなった今、CG ベースの RX-78-2 ガンダムがグリグリ動く姿をスピルバーグが見せてくれたというだけで感涙モノでしたけどね!(ぉ

ツッコミどころはいろいろあるけど、それでもとにかくスペクタクル・エンタテインメントとしては圧巻の 140 分でした。楽しかった。
もう一つ残念な点を挙げるとすれば、終盤で示された「リアルにこそ、仮想世界で得られない大切なものがある」というメッセージが、伏線がなさすぎてあまりにも取って付けた感があったことでしょうか。このあたりはさすがに原作小説を読んで補完するしかないのかなあ。電子書籍版も出ているようだし、とりあえず GW を使って読んでみるかなあ...。

アーネスト・クライン / ゲームウォーズ(上)(下) [Kindle]

B00OZ63SCW B00OZ63S8Q

投稿者 B : 23:30 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/04/25 (Wed.)

スター・ウォーズ/最後のジェダイ [Blu-ray]

ずっと待っていた BD がついに発売されました。

スター・ウォーズ/最後のジェダイ [4K UHD MovieNEX]

B079ZZSDXN

劇場公開中に 4 回も観に行ったわけですが(笑)、BD の発売も楽しみにしていました。
パッケージは UHD BD、3D BD、2D BD が全て含まれている 4K UHD MovieNEX 版。おまけがたくさんついているプレミアム BOX ではないけれど、ディスクとしては「全部入り」バージョンです。『フォースの覚醒』が 2K BD 止まり、かつ 3D 版は別売という微妙な販売方式でしたが、今回はディズニーも反省したのか最初から全部入りで出してきてくれました。

平日は本編をじっくり観ている時間がないので、とりあえずボーナスディスクをつまみ食い的に再生してみたら、まあライアン・ジョンソン監督自ら語る語る(笑。それぞれのシーンをライアン・ジョンソンが何を考えながら作っていったのかがよく分かります。『最後のジェダイ』はある意味で今までのジェダイ伝説を壊した作品なわけで世の中的な評価も真っ二つに分かれているようですが、それは良くも悪くもライアン・ジョンソン自身が監督である一方でスター・ウォーズ・サーガの熱心なファンであることに由来しているんだなあ、というのを特典映像を観て改めて感じました。ツッコミどころが多い作品だし私も部分的には「それは無しでは?」と感じてしまうシーンはいくつかあるのも事実ですが、細かいことは置いといてこれからもほぼ毎年『スター・ウォーズ』の新作が観られるのであればポジティブに受け入れなくては損というものでしょう。ただホルド提督と DJ(コード破り)のキャラはやっぱりもう少し使いようがあったように思います。

それと特典映像のインタビューの中に故キャリー・フィッシャーが少しだけだけど登場しているのに目頭が熱くなりました。劇中のどこかずっと憂いを湛えたレイア将軍とは少し雰囲気が違っていて、ああやっぱり次作でカイロ・レンと和解するなりしてこの憂いが解れた姿をスクリーンで観たかったなあ...としんみりしてしまいました。

本編の方は連休中にじっくり鑑賞しようと思います。早く 4K/HDR 対応プロジェクタが欲しいなあ。

投稿者 B : 23:58 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/03/30 (Fri.)

ウィンストン・チャーチル @ TOHO シネマズ日比谷

日本では映画の内容そのものよりも特殊メイクを担当した辻一弘氏がアカデミー賞を受賞したことのほうで話題の映画ですが、個人的にはゲイリー・オールドマンの芝居が見たくて観に行ってきました。

ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男

DARKEST HOUR

第二次世界大戦下で英国の首相に就き、ドイツに対する反攻作戦を主導したことでイギリスの英雄となったウィンストン・チャーチル。この映画はチャーチルの首相就任から第二次世界大戦序盤までのチャーチルの動きと人物像について描いています。物語の後半はフランス・ダンケルクにおける英陸軍の撤退戦を政府の視点から描いており、ある意味で半年前に映画化された『ダンケルク』と対をなすような作品になっています。

ゲイリー・オールドマンは本当に変幻自在な俳優だと思っていましたが、この映画におけるゲイリー・オールドマンは今まで以上にすごい。特殊メイクの効果もありますが、本人の芝居によって立ち居振る舞いまで教科書や当時の映像で見たことのあるあのチャーチルそのものに見える。よーく見ると目のあたりが確かにゲイリー・オールドマンなんですが、それ以外は完全にチャーチルを演じきっていて、ストーリーに引き込まれるとこれがゲイリー・オールドマンであることを忘れてしまいます。キャラクターの押しの強さ、アジテーションの巧みさ、それから時折見せるお茶目な人物像まで含め「ウィンストン・チャーチル」という人間の魅力を余すところなく見せてくれています。

物語の中で幾度となくチャーチルと対峙する当時の英国王ジョージ 6 世を演じるのが『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』でクレニック長官を演じていたベン・メンデルソーン。いい俳優さんだと思うんですが、『ローグ・ワン』を劇場から BD まで合計 7~8 回は観た私にとっては国王というより小物の悪役感が強すぎて(笑)、そこはちょっと惜しかったかなあ。

映像的には影の使い方が印象的でした。戦争映画ということで彩度が低く暗めの映像が続きますが、その中でも陰影を駆使して英国やチャーチルの置かれた状況や心境を表現しているようで、力強さのある映像。戦争映画でありながら戦場の映像はほとんど出てきませんが、代わりに閣僚会議や議会のシーンはある意味戦場のようで、法廷劇にも似たケレン味を感じます。とはいえ二時間ずっと陰惨なわけではなく、適度にユーモアや皮肉が織り交ぜられていて、最後まで疲れずに堪能できました。期待以上に素晴らしい映画でした。

TOHO シネマズ日比谷

今回鑑賞したのはまさに昨日オープンしたばかりの TOHO シネマズ日比谷。新しくできた東京ミッドタウン日比谷内の施設で、先日閉館した日劇に代わって東宝の旗艦を務める劇場です。本当はソニーのハプティックベストを導入したという『マジジュマンジ』も体感してみたかったんですがチケットが取れなかったし『ジュマンジ』自体にあまり興味が湧かなかったので見送り。

TOHO シネマズ日比谷

シャンテ前のかつてゴジラ像があった辺りには新しくシン・ゴジラ像が出現していました。

TOHO シネマズ渋谷、作りとしては近年オープンしている日本橋や新宿と似たような感じではありますが、日比谷の街を見下ろすロケーションだけあって高級感とゆったり感がありますね。TCX やドルビーアトモス、IMAX といったフラッグシップ館らしい設備も一通り揃っていて、いい映像・音響で楽しみたいときには積極的に利用したいところ。駅からのアクセスも良いし、銀座や有楽町での買い物のついでにも寄れるし、ちょくちょく来ようと思います。

投稿者 B : 22:22 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/03/20 (Tue.)

15 時 17 分、パリ行き @チネチッタ

期待していたクリント・イーストウッド監督の最新作を観に行く時間を、ようやく取ることができました。

15 時 17 分、パリ行き

15 時 17 分、パリ行き

イーストウッド作品といえば近年はすっかりドキュメンタリー映画の印象が強くなっていますが、本作も実話に基づいた映画化です。今回は 2015 年にフランスで発生したタリス銃乱射事件が題材。ここ数年のフランスはテロが頻発しすぎていて、その中で被害が小さく抑えられたこの事件は個人的にあまり印象に残っていないんですが、「どのようにして被害が抑えられたのか」に関するドキュメンタリーになっており、私はようやくこの事件の概要について理解することができました。

クリント・イーストウッドのノンフィクションは「極限状態に置かれたとき、人はどう動くのか」を描いた、重い作品が数多くあります。今回もテロ事件が題材ということでかなり重たそう、もうちょっと精神的に元気なときでないと辛いかもなあ...という覚悟を持って座席に着いたのですが、その覚悟はいい意味で裏切られました。
なんたって、肝心の事件そのものについて描かれたシーンが本当に終盤にしか出てこない(断片的には所々に挟み込まれてはいますが)。それよりも、この事件から多くの乗客を救った三人の英雄がどのように成長し勇気ある行動をするに至ったのか、についてかなりの尺をとって描写されています。だって映画の半分はゴツいアメリカ人男性三人がセルフィー撮りながら緩くヨーロッパ旅行してるシーンですよ(笑)。かわいすぎるだろ。私はプレイしてないけど FF15 の面白さもこういう部分だったのかもなあ、と思いながら観ていました。

ストーリーは三人の若者の中でも「戦場で人を救いたい」という想いで空軍のパラレスキューを目指すスペンサー・ストーンの成長を軸に描かれます。これがまた、人は努力さえすればなりたいものの近くまでは何とか行けるけど、その夢をストレートに叶えられるかどうかはまた別、という現実に直面させられる話。でもその結果の寄り道は必ずしも無駄ではなくて、後から振り返ってみれば必要な経験だったし、それがあったからこそ本当の意味で夢を叶えられるんだ、という話でもあります。人生において夢のど真ん中を掴むのって本当に難しい...と何度も経験してきた私としては、寄り道が無駄ではないというのも含めて身につまされる話だったし、まだまだ諦めちゃいけないのかもなあ、と思わされました。テロに関するノンフィクション映画を観に来たはずなのに、そんな人生観を見せつけられることになるとは思わなかった。

物語のエピローグ(三人がフランス政府から勲章を贈られるシーン)で急に画質が粗くなったな、ドキュメンタリー感を出すためにわざと解像度を落としているのか...?と思ったら、なんとこれ実際の叙勲時の映像じゃないですか!!つまり、主役三人(+α)はこの事件に関わった本人が出演しているということ。事前情報を仕入れずに観に行っていたので、これには驚いた。そりゃあ三人のヨーロッパ旅行シーンの演技がナチュラルだし、妙に仲が良い雰囲気が再現できているわけだ。本職の俳優にも見劣りしない演技には度肝を抜かれました。
旅行シーンあたりはイーストウッド作品っぽくない独特の空気感がありましたが、全体を通してみるといかにもイーストウッドらしいドキュメンタリー。重くなりすぎずにジワリと来る、良い映画でした。

ちなみにチネチッタでは LIVE ZOUND 以外のシアターを久しぶりに利用しました。そしたらどうやら先週から劇場のシステムがいろいろと変わったらしく、新しく会員カード制が開始され、予約席のキャンセルにも対応したとのこと。

チネチッタ | CINE CLUB(チネクラブ)

立川シネマシティのフォロワー的な施策ではありますが、独立系シネコンとしてリピーターを作ろうという試みは歓迎すべきものです。LIVE ZOUND 以外の設備はちょっと古さが出てきたこともあって私は近年チネチッタを敬遠気味でしたが、この調子でサービス拡充してくれるようならもっと積極的に利用しようかと思います。

投稿者 B : 23:57 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/03/09 (Fri.)

ブレードランナー 2049 [Blu-ray]

近年、上映からパッケージメディア化&配信までのサイクルが短すぎて、とりあえず予約注文したのを忘れて気づいたら届いていることが少なくないのですが(汗、これも自宅に届いたことで発売されたことに気がつきました。

ブレードランナー 2049 4K ULTRA HD&ブルーレイセット

B0788BTQPT

『ブレードランナー 2049』です。とりあえず将来を見越して UHD BD&BD セットを購入。三時間近い大作を観る気力が今ないので、まだ断片的にしか観ていませんが。

劇場で鑑賞したときにも思いましたが、これ、評価が難しい(分かれる)作品ですよね。前作のファンとして言えば「ブレードランナーらしい」作風だという納得感はあるけど、続編としてこれは認めないというファンもいるだろうし、現代の SF アクション映画としてみるとテンポが良くなく決して万人受けするものではないよなあ...という。

結局『ブレードランナー』も『2049』も、SF 映画の皮を被った哲学映画なんだと思うんですよ。でも両者は、リドリー・スコットが『ブレードランナー』を原作の哲学っぽさを巧妙に残しつつハードボイルド・アクションとして簡略化したのに対して、『2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴはアクション映画のフリをした哲学を描いた、という点で対照的だ思います。だから『2049』は丁寧に、ときに冗長にいろんなシーンやエピソードを描いてそれを表現しようとしたんじゃないかと。例えば AI ホログラム「ジョイ」周りのエピソードは本編と直接絡みが少ないからカットしても成立しそうだけど、主人公 K の「人間らしさ」という物語の核を膨らませていくのには必要不可欠だったのでしょう。
また『ブレードランナー』では人間(と少なくとも自分では思っている)の視点からレプリカントに感情移入できるか?という描き方だったのに対して、『2049』ではレプリカント(であることを自覚している)が人間らしさを求め続けたことで、感情(さらには生殖能力すら)をもったレプリカントと人間を区別することはできるのか?というテーマを扱っています。そういう意味では一作目よりも『2049』のほうが原作『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』に近い本質を備えていると言えます。まさに哲学の映画なんだよなあ。

また本シリーズの最大の謎である「デッカードはレプリカントなのか?」という問いに対しては、今回も明確な答えを出していません。肉体が老化していることでデッカードはレプリではなく人間だとも思えるし、放射線に汚染されたラスベガスで長年生活している事実をもってレプリであるとも言える。『2049』を観るまで私は「デッカードはレプリ」派だったのですが、本作を観たことで「人間かレプリかなんて別に重要な問題じゃないじゃないか」と考えるようになりました(笑。

そういうのも含め、『2049』を観たらオリジナルをもう一度観たくなるし、やっぱりシリーズのファン向けにはよくできた作品だと思います。ただ二作通しで観ると五時間かかるんだよなあ(;´Д`)。

投稿者 B : 20:49 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック