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2018/09/04 (Tue.)

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

「頭で考えるんじゃない、心を口の中に集めて感じるんだ。うまさとひとつになれ」

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

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6 月末の放送終了からまだほんの二ヶ月あまり。ドラマ『孤独のグルメ Season7』の Blu-ray BOX が早くも発売されました(厳密には明日が発売日でフライングゲット)。全話録画してあっても BOX を入手するのが巡礼者としてのあるべき姿です(ぉ

今回はいつもより 1 枚多い 5 枚組。というのも、昨年末に放送された大晦日スペシャルの分が 1 枚多く収録されているわけです。
大晦日スペシャルは終盤にまさかの生ドラマが挿入されるという驚きの構成でしたが、この BD では生放送パートは「LIVE」のテロップ入りで、しかも最後のプレゼント告知までそのまま収録されていて、いつもの放送とはちょっと空気の違ったあの感じが蘇ってきます。

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

定番のピクチャーレーベル。この写真を見ているだけで、あの幸せな生鮭のタルタルバターが脳裏に浮かんできます。もう一度食べたいなあ...。

まだ届いたばかりで全部は観れていないのですが、とりあえず特典ディスクだけひととおり視聴しました。

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

映像特典はいつもどおりのラインアップ。だけど、メイキング映像は各話の舞台裏はいつもよりあっさりめで、代わりに大晦日スペシャルの生ドラマの舞台裏を見せてくれたのと(新勝寺の初詣客が万一少なかったときのための別ナレーションまで収録してあったとは驚きました)、三年ぶりの海外ロケとなった韓国編の様子が厚めに収録されています。
中でも韓国編にゴローちゃんのクライアント役で登場したソン・シギョンさん(本業は歌手)のこどグル愛がアツい(笑。来日した際にドラマの聖地を 5~6 店ほど巡礼済みだったり、ドラマ冒頭の「時間や社会にとらわれず~」のナレーションを暗唱できるほどのマニアで、私の巡礼仲間の中でもここまで愛が深い人はそういないレベル(笑。妙に親近感が湧いてしまいました。

また、ドラマ登場店の放送後の反響をインタビューした「追跡!その後のグルメ」は今回も収録されていて、あらかた巡礼してきた身としては嬉しい。特に広尾のサルシータの店員さんが言っていた「放送直後に来るお客さんはマニア度が違う。放送前に来るお客さんはプライドを持っている」というコメントには、ちょっとギクッときてしまいました(汗。

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

ロケハン日記はシーズンを重ねるごとにお店探しの苦労が重くなってきているのを実感します。
特に今シーズンは山手線内のお店が広尾しかなく、山手線外もマニアックな立地ばかりで、かなりの苦労が偲ばれます。さらに最近は松重さんも映画やドラマに引っ張りだこでスケジュール確保が大変だったろうし、次が作れるのかどうか。でもメイキングで松重さん自身が撮影を楽しみ、時にはメニューや食べ方について提案を出している様子を見ると、年一回のスペシャルドラマでもいいから細く長く続けてほしいなあ、と思います。

孤独のグルメ Season7 Blu-ray BOX

そういえば最終話を飾った八丁堀の中華シブヤ。築地市場の豊洲への移転に伴って今月末に閉店してしまうそうですね。ドラマや原作に登場したお店が閉店してしまう例は過去にも複数ありますが、放送からこれだけ短期間のうちに移転でもなく完全閉店というのは例がないのではないでしょうか。残念でもありますが、今まで長きにわたって八丁堀サラリーマンの空腹を幸福に満たしてきただろうお店だけに、お疲れさまでしたと言いたいです。閉店までにもう一度行く機会、あるかなあ...。

個人的には、Season7 の聖地巡礼はあと一箇所だけ残っています。Blu-ray BOX の発売前に勢い任せに韓国遠征まで完了しているとは自分でも予想していませんでしたが(笑)、思っていたよりも良いペースで巡礼してこれたかな。残りの一店も近いうちに攻略してこようと計画中。

■関連リンク
【Season7巡礼中】『孤独のグルメ』聖地巡礼 全店レポート Season1~7&原作 - NAVER まとめ

投稿者 B : 23:56 | Japanese Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/30 (Thu.)

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー@TOHO シネマズ川崎

あまり話題になっていない(?)スタジオポノックの新作映画を観てきました。

ポノック短編劇場『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間-』

ちいさな英雄 ーカニとタマゴと透明人間ー

この夏はスタジオ地図(細田守)、コロリド、ポノック、コミックス・ウェーブ・フィルム(新海誠監督じゃないけど)という「ポストジブリ」とよく形容されるアニメ制作スタジオ 4 社が揃って新作を公開するという稀有な年になっています。個人的には、そろそろポストジブリとか言うのをやめて質の高い作品を作れるスタジオが増えてきたことを純粋に喜ぶべきと考えていますが、こうも公開が続くとどうしても比較目線で見てしまうわけで。
さておき、スタジオポノックとしては昨年の『メアリと魔女の花』以来わずか一年半での新作。しかも同じく日本テレビが出資する『未来のミライ』と公開時期がかぶってしまったこともあってかプロモーションもあまりされていない、やや残念な位置づけになっているのが不安要素ではありました。

本作は短編三本立てで一時間弱という、劇場映画としては小粒なものになっています。短編三本立てというだけでも実験的な香りがしますが、内容も映画館向けというよりジブリ美術館で上映されるような実験的なものだったので何だろう?と思ったら、東洋経済オンラインに経緯が書かれていました。

「短編アニメ映画」の公開が相次ぐ本当の理由 | 映画・音楽 | 東洋経済オンライン

なるほど、当初は配信向けを想定して作られていたんですね。しかも本来は三本立てではなくジブリの高畑勲監督も招いての四本立てになるはずだった模様。なのにそれが一気に 100~150 館規模での上映になるというのは、いろいろと大人の事情が感じられます。

ともあれ、内容的には以下のような感じでした。

■カニーニとカニーノ

擬人化されたカニの兄弟(観終わるまで兄妹だと思ってた!)の、ちょっとした冒険の物語。ファンタジックな映像でありながら、内容的にはちょっと冷酷な生命と食物連鎖の話。

米林宏昌監督が手がけただけあって、『メアリと魔女の花』に勝るとも劣らない濃厚な背景描写。しかし冒頭からまるで『トトロ』のオープニングのような楽曲に合わせて『ポニョ』の世界観をそのまま引っ張ってきたかのような水中の映像が繰り広げられるのには呆気にとられます。『メアリ』のラストシーンでメアリに「魔法が使えるのは、これが最後」と言わせておきながら次の作品でいきなりこれかよ!と思わず叫びたくなりました。

無声劇に近い内容で台詞もほぼなし。ストーリーも深みがあるとは言えず、映画ではなく美しい映像を見せられている感覚。作画が素晴らしいのに反して、三本の中では一番残念に感じました。

■サムライエッグ

重度の卵アレルギーと闘う母子の物語。私は身近にアナフィラキシーが出るほどのアレルギー持ちがいないので(仮にいてもみんな大人なので対処法が自分で解っているのかも)、本当に深刻な人はここまでになってしまうというのを本作で初めて見ました。今後アレルギー持ちの人と食事の席(に限らないけど)を共にすることがあったら気をつけよう。

『カニーニ』とは打って変わってパステルと水彩で描かれたような映像には引き込まれます。しかもダンスシーンのように動きの激しい場面まで含め、全てこのタッチを用いた手描きアニメで表現されているという。CG 全盛の現代にあって、あえて手描きでこれだけ見せられると圧倒されますね。まるで晩年の高畑勲作品を観ているかのような感覚。三本の中では最も印象に残りました。

■透明人間

他人にはまず見えず、あまりの存在の軽さに重ささえももたない「透明人間」の悲哀の物語。

今度は『サムライエッグ』とは対照的に、油彩のような背景の中をキャラクターが動き回る映像。設定も相まって、『世にも奇妙な物語』のような不思議な体験を共有させられている感覚があります。前の二本は子ども向けの作風でしたが、本作はちょっと大人向け。
報われない透明人間が最後には少し救われる話で、ボリュームこそないけど起承転結はあります。


...というように、それぞれの作品は特に映像・音響面で実験的な試みが盛り込まれ、ギミック的には面白かったんですが、全体的にはやはり詰め合わせ感が強く、映画としての物足りなさを感じてしまいました。やっぱり映画館に来たからには 90~120 分くらい一つの物語に浸って最後にはカタルシスを得たいものなんですよ。そういう意味では、本作は無理に映画館で流すのではなく、配信のほうが向いていたのでは...と改めて思いました。
また、三本ともに短編とはいえ脚本はもっとやりようがあったように思います。三本とも監督が脚本も書いていますが、原作つきの作品をやるなり外部脚本家を起用するなりすべきだったのでは。そういう意味では、この夏のアニメ映画は原作つきの『ペンギン・ハイウェイ』と監督兼脚本の『未来のミライ』『ちいさな英雄』で明暗が分かれたのではないでしょうか。「ポストジブリ」と言われるアニメーションスタジオは、いずれも作画や演出は素晴らしいけど脚本まで自前でやろうとして失敗する例が多いように思います。

スポンサーの関係で難しいのかもしれませんが、スタジオポノックには今後あまりジブリを意識せずに自由に快活な作品を創っていってほしいところです。

投稿者 B : 23:00 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/27 (Mon.)

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ [Blu-ray]

明日発売の Blu-ray がフライングで届きました。

劇場版マクロス Δ 激情のワルキューレ 特装限定版 [Blu-ray]

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音楽が菅野よう子じゃないのかとか、流行りに乗ってアイドルグループものかよとか、オチもなんだかんだいって『F』の焼き直しだし...いろいろとツッコミどころはあってもなんかハマってしまったのが『Δ』。これまでのシリーズとは違って最初から「戦場で歌う意味」が明示されていて、最大の見せ場であるドッグファイト×ステージパフォーマンスをふんだんに使えることと、'70s テイストを含みつつテンポとコーラス重視の分かりやすい楽曲(だけど構成自体はけっこう複雑)が良かったのではないかと分析しています。ワルキューレの五人を軸とした TV 版から劇場版への大胆な再編集ぶりを見ると、本作においてストーリーや三角関係はもはや添え物でしかなかったんや!とすら思えてきます。

届いたばかりでまだ部分的にしか観ていませんが、やはり圧巻は劇場版のために用意された新曲『チェンジ!!!!!』。全編 CG で作画されたライヴシーンは楽曲のパワーも相まってたたみ掛けてきます。細かく見ていくとキャラクターの顔のモデリングは特に斜め向きになったときにやや不自然で、このあたりは娘が観ている『アイカツ!』シリーズのほうが技術的にこなれていると感じますが(しかもこのクオリティを毎週放送しているんだから本当にすごいと思う)、それでも手描きアニメとほぼシームレスな作画でグリグリ踊る映像は圧倒的。さらにステージ全体が舞台装置として動くギミックまで含め『劇場版マクロス F』から続いてきた AR 的ライヴ演出は遂にこのレベルまで到達したのか、と。映像と音楽の洪水に語彙力を押し流され、ボーグでなくとも魅了されてしまうものがあります。
そして何より象徴的なのが、劇場版での最大の見せ場であるこのライヴシーンにおいて VF によるドッグファイトシーンが挿入されないこと。順当に考えればラストバトルの最も盛り上がるドッグファイトシーンに新作画のライヴ映像を入れるだろうところが、今回は戦闘とは直接関係のない純粋なライヴシーンに最大の労力を割いてきました。つまり可変戦闘機はもはやマクロスの中心ではなくワルキューレこそが主役であり、本質的にはアイドルアニメであると宣言している点が、今までのマクロスシリーズと大きく異なります。でも多分マクロスシリーズでなければ私はこれを観ていなかったと思うので、そういう意味ではおのれワルキューレ!(←

相対的に見せ場の少なくなってしまったメカについては、ドッグファイトが減った代わりに VF-31F リル・ドラケン装備型とミラージュ専用ドラケン、とどめにアーマードジークフリードというサプライズ要素で魅せてくれました。特にテレビ版の VF はファイター形態以外の印象が薄かったので、新メカがいずれもクライマックスでバトロイド形態で活躍してくれるのが嬉しいところ。私も今度の週末にでも、1/72 のジクフリを傍らに置いてじっくり鑑賞しようと思います。

投稿者 B : 23:30 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/25 (Sat.)

ペンギン・ハイウェイ @チネチッタ

この映画、実はちょっと注目していました。

ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイ

台風のノルダ』以来三年ぶりとなるスタジオコロリドの新作です。この夏のアニメとしては『未来のミライ』と比べてプロモーションは地味だしあまり認知されていない感じもしますが、劇場で流れていた予告編を見てけっこう楽しみにしていました。『ノルダ』は脚本はちょっと物足りなかったけど映像は素晴らしかったし、今回は原作つきの長編ということで期待できるに違いない、と。

ストーリーは研究好きの小学四年生「アオヤマ君」が、街にある日突然現れたペンギンたちと超常現象の謎を解くため、仲の良い近所の「お姉さん」と一緒にその研究をしたり、旅に出たりする経験を通じて少しずつ成長していく...というもの。物語の大枠としてはファンタジーでありながらアプローチは SF 的な、いわゆるサイエンス・ファンタジーの体裁を取っています。
このお姉さんがまた、「近所に住む憧れのお姉さんという概念」に歯科助手属性を加えて具現化したような存在で、自分の子ども時代の淡い感情がやたらと刺激される(笑。でもあくまで小学生視点での憧れのお姉さんという描写が徹底されていて、下品な見せ方になっていないのがまたいい。私は完全にアオヤマ君目線で作品に入り込んでいました。自分もアオヤマ君みたいに理屈っぽい小学生だったけど、あんな少年時代を送れなかったのは何故なんだぜ(´д`)。

「お姉さん」役は蒼井優。ちょっとサバサバした感じのハスキーボイスでアニメっぽすぎず、かといって不自然さもなく、自然な「お姉さん」感。なお登場するキャラクターには一通り名前が与えられているのにお姉さんだけは「お姉さん」だし、お姉さんがアオヤマ君を呼ぶときも「少年」。ここだけ不自然に抽象化された表現には何か意味があるんだろうと思ったら...やはりそういうことでしたか。
アオヤマ君の CV は北香那ってどこかで聞いた名前だと思ったら、ドラマ『バイプレイヤーズ』で大杉漣の中国人マネージャー役をやってた人か!あのドラマでも途中まで本当の中国人だと思っていたくらい上手かったけど、アオヤマ君役も良かった。『未来のミライ』のくんちゃんの声に最後まで馴染めなかったのとは対照的な配役。彼女、まだ若いけどいい女優さんになるんじゃないでしょうか。
他、声の出演は実写系の俳優と声優を取り混ぜて起用していましたが、中でも某有名声優を起用したウチダ君(アオヤマ君の親友)のかわいさは異常(笑。

ストーリーは観てのお楽しみですが、謎解きあり、冒険あり、友情あり、恋心あり、コロリドの持ち味である疾走感ある映像あり、夏らしい爽やかさあり...夏に観るべきアニメ映画の定番になり得る名作と言えるのではないでしょうか。少なくとも『未来のミライ』に期待して得られなかった要素が『ペンギン・ハイウェイ』にはほぼ全部入っていたと言って良い。そう、こういうのが観たかったんだよ!
子ども向け映画としては、女の子視点で面白いかは分かりませんが(男の子なら刺さるんじゃないかと思う)、疑問や課題への取り組み方という点で重要なメッセージが込められていて、私は子どもに見せてやりたいと感じました。話の展開上投げっぱなしの謎もいくつか残っているけど、アオヤマ君ならばそれらもいずれは解明して、いつか「お姉さん」に再びたどり着くに違いない。

あまり派手に宣伝されている映画ではありませんが、これはクチコミでこそ広がっていくタイプの作品だと思います。いい余韻が残る映画でもあるし、私も上映期間中にもう一度くらい観に行きたいところ。

森見登美彦 / ペンギン・ハイウェイ

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投稿者 B : 22:25 | Anime | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/21 (Tue.)

カメラを止めるな! @チネチッタ

巷で話題の映画を観てきました。

カメラを止めるな!

カメラを止めるな!

これ、ネタバレせずに感想を書くのが難しいですね(´д`)。とにかく「面白かったです」あるいは「カメ止めはいいぞ」としか言いようがない(笑

ゾンビものの映画撮影中に本物のゾンビが現れて...というホラー作品なんですが、その一方でコメディでもある。キービジュアルが B 級映画感満載で、実際の映像も途中まで B 級っぽいんですが、大どんでん返しのギミックが仕込まれているという。先に観に行った人の反応を見てこれは事前情報を仕入れずに観るべきだなと思い情報をシャットアウトして観に行ったんですが、正解でした。いやあ面白い!これは絶対に予告編すら見ずに映画館に行くべきだと思います。もしまだ観てないならこの続きは読まずにすぐ映画館に行くべし。

ゾンビ映像の途中、なんか間が不自然なシーンがいくつもあったから何だろう?と思っていたら、後からそういうことだったのかー!と判ると恐怖が笑いに転化していく二重構造。演出がどことなく映画よりも舞台寄りだなと思ったら、この脚本は元々は舞台演劇だった作品を原案にしているんですね。...と感心していたら、その原作者との間でまさにゴタゴタが発生しているようですが、だからといって作品の面白さが変わるわけではありません。密室劇であることやドタバタ的な作りになっているあたり、初期の三谷幸喜映画を観ているような感覚にさえなりました。本作は舞台や映画好きな人ほど楽しめるのではないでしょうか。

正直そこまで期待していなかったというか「話題作だから一応観ておこうかな」くらいのつもりで観に行ったら良い意味で裏切られました。改めて最初から観たらまた新たな発見がありそうで、もう一度観に行きたい気持ちになっています。

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2018/08/20 (Mon.)

祈りの幕が下りる時 [Blu-ray]

半年前に劇場で一度観た映画ですが、BD がリリースされていたのでレンタルで再鑑賞。

祈りの幕が下りる時 [Blu-ray]

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東野圭吾原作「新参者」シリーズの完結編にあたる映画です。

荒川沿いの古アパートで発見された腐乱死体と、近くの河原で発生したホームレスの焼死事件。迷宮入りしかけた二つの事件に、主人公の刑事・加賀恭一郎の 16 年前に死去した母の過去が絡み、その真相が明らかになっていく――というストーリー。複雑な事件で長ったるくなりそうなプロットを緩急つけてまとめてあり、謎解きよりも親子の情とそれが巻き起こした事件の顛末に集中して見せる作りになっています。

一度観てストーリーを知った状態で改めて最初から観返してみると、それぞれのシーンでの演出や演技の意図が見えてさらに深まります。中でも松嶋菜々子演じる重要参考人・浅居博美の芝居が、台詞のみならず表情や目つきからも凄味が感じられる。でもそれ以上に圧巻なのが、回想シーンに登場する中学生時代の博美(桜田ひより)とその父忠雄(小日向文世)。借金に追われて逃避行し、その途上で重大な事件に巻き込まれた結果引き裂かれてしまう親子の芝居は重く、圧倒的な存在感があります。この二人の芝居があったからこそ終盤のカタルシスがもたらされたと言っても過言ではない。また同時に中学生の娘を持つ父親としては、感情移入なしには観られませんでした。それくらい、この二人の愛と絆を感じさせる芝居が深い。

本作が他の刑事もの、あるいは同シリーズの別作品と明確に違うと感じたのは、捜査本部が加賀・松宮コンビの推理を肯定ベースで捜査が進んでいくところ。数少ない状況証拠から短絡的に犯人を決めつけて冤罪まがいの捜査が進む中、はぐれ者の主人公が真実にたどり着いていく...的な刑事ものにありがちな展開ではなく、やや荒唐無稽にも思える加賀・松宮の仮説に対して上司たちが「いい推理だ」と言いながらパンパン捜査が進んでいく様子には却って違和感もありましたが、変に茶々を入れずに本筋に集中させるために捜査上のゴタゴタをあえて省略した描写はシンプルで良い。例えば『シン・ゴジラ』における優秀な政治家や官僚の描写にも共通する「何を見せたいか、そのためには何を割り切るべきか」が明確な描き方だと感じます。

そんな感じで原作・脚本・演出・演技いずれも素晴らしい作品なわけですが、さらに抜いて語れないのが映像の美しさ。映画化された前作『麒麟の翼』は内容としては面白かったものの映像的には映画ではなくテレビでも十分では...と感じたものですが、本作は日本橋だけでなく宮城や滋賀、能登の風景を引きで収めた美しい映像が随所に散りばめられていて、やはりこれはスクリーンで観て正解だったな、と思いました。

近年観た邦画の中でも突出した傑作のひとつだと思います。人気シリーズの完結編に相応しい出来ではないでしょうか。

投稿者 B : 23:06 | Japanese Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/08/17 (Fri.)

『機動戦士ガンダム NT』続報

機動戦士ガンダム NT、11月30日から90劇場でロードショー。特報映像も - AV Watch

『機動戦士ガンダム UC』の続編となる『機動戦士ガンダム NT(ナラティブ)』の続報が公表されました。公開時期と上映劇場、追加設定、特報映像が公開されています。

設定には連邦およびジオン側のパイロットに加えてミネバ・ザビやマーサ・カーバインらの情報が追加されており、原作小説『不死鳥狩り』から大きく内容を膨らませつつ『UC』世界との繋がりを強く意識したものとなっているようです。特にミネバは『UC』のラスト以降はメガラニカを拠点としているという設定がされており、その後どうしていたのかへの言及がありそう。ただ、そうするとユニコーンガンダムやバナージのその後についても触れないと不自然になるわけで、劇中では何らかの情報が明かされる可能性が高いでしょう。正直なところ『UC』の結末は大風呂敷を広げすぎた感があり、そこから『閃ハサ』までの間はファンの想像に任せておいた方が無難なのでは...と思っていましたが、ある程度明確に描くつもりがあるということのようです。

モビルスーツについてはジェスタやジェガンなど脇役の設定が公開されたのみですが、シナンジュ・スタインがどう使われるのか不明だったところが結局ジオン側の MS として出てくることが確定しています。本来の設定ではシナンジュ・スタインはアナハイムから「袖付き」に強奪され、外装とカラーリングの変更を経てフロンタルの乗機となった挙げ句『UC』のラストで崩壊したはずですが、この様子だと実は 2 号機が存在していたという話になりそうです。まあ小説『不死鳥狩り』のラスボスは例のアレだったわけで、それに代わるラスボスを出したい、かといってこの期に及んでジオンの新 MS を出すのも設定上不自然...となると、消去法でそういうことになりそうではあります。ナラティブガンダム自体が ν ガンダムの試験機という設定だし、その他の MS も旧作の使い回しだし、大規模な戦争がなく軍縮期だったという時代設定からすると、MS の設定が地味めになるのは致し方ない話。

小説『不死鳥狩り』では行方不明になったフェネクスが再び現れたのには目的がありましたが、アニメ版『UC』の世界線にはその目的そのものが存在しません。だからそのフェネクスの登場理由とニュータイプ神話の結論がどう描かれているか、が本作のキモになるはず。福井晴敏脚本なら整合性については不安はありませんが、あの『Twilight AXIS』と同じキャラクターデザインにはどうしても不安を感じてしまいますね。ミネバもなんか顔が薄いし(´д`)。
期待半分、不安半分ながら、あと三ヶ月あまり待ちたいと思います。

福井晴敏 / 機動戦士ガンダム UC (11) 不死鳥狩り

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2018/07/22 (Sun.)

未来のミライ @チネチッタ

細田守監督の最新作を観に行ってきました。

未来のミライ

未来のミライ

本作、久しぶりに細田守監督らしい活劇を見せてくれるのではという期待がありました。映画のキービジュアルが『時をかける少女』とほぼ同じ構図・背景の雲使いで、それ以外の作品は主人公がドーンと正面に向いていたのとは一線を画して「原点回帰」っぽい雰囲気があったことと、タイムリープっぽい設定がそう思わせたのでしょう。細田作品は家族をテーマするのが標準になりつつあり、かつ作品を重ねるごとに勢いが落ちてきている印象があったので、ここらで巻き返してほしいという思いもありました。

が、幕が開いてみるとなんだか事前の宣伝から期待された内容と違う。主人公の男の子が未来から来た妹と何かを求めて冒険する...という物語を想像していたのですが、全然そんな話ではありませんでした。主人公の「くんちゃん」を軸とした成長物語ではあるものの、妹の「未来のミライ」はタイトルになっているほどには登場も活躍もせず、プロモーションと実体の乖離具合は『ベイマックス』を彷彿とさせるものがあります。なんか夏空、JK、タイムリープものかつボーイミーツガールもの...という枠に当てはめたいプロモーション側の都合が見える乖離度合い。

物語は妹の「未来」が誕生し、今後の育児と生活は建築家として独立した旦那さんが兼業主夫として面倒を見、奥さんはすぐに社会復帰する...というところから始まります。旦那さんは一人目の子どものときはあまり自覚がもてず仕事優先で(これ自体は自分にも身に覚えがあるからまあわかる)、二人目の子どもなのにまるで初めての子かのようにミルクの与え方すらわからない(まずこれが理解不能)。なのに旦那さんは家事全般を引き受けようとするし、奥さんはそんな旦那に家を任せて生後三ヶ月でいきなりフルタイムで働き始めていきなり泊まりがけの出張に行ったりする。しかも復帰の理由が「同僚が産休に入って人手不足になるから」。そんなの生活が破綻するのは目に見えてるし、会社側も配慮なさ過ぎだろ!というのが気になってしまい、物語に入り込めなくなってしまいました。あまりにもリアリティがない...。

個々のシーンを見れば映像は美しいし、キャラクターの動きもすごく丁寧に描かれているし、素晴らしい。それぞれのエピソード自体は悪くないんですが、全体として見たときに抑揚がなく、「くんちゃん」の成長がイマイチ見えてきません。いや成長自体はしているんだけど、それが周囲の大人や友達との関係性の中で育まれるものじゃなく、不思議体験(という妄想)の中で起こるものという点がなんだかモヤる。

作中でくんちゃんが「不思議体験」をする場面の多くが大人にかまってもらえず、庭で一人で遊んでいる間に発生する...というところで気がついたのが、「本作はもしかして現代版の『となりのトトロ』を作ろうとしたのではないか?」ということです。トトロとは違う前提ながら母親が家におらず、父子家庭に近い環境で、子どもが不思議体験(明確には描かれないが空想や妄想である可能性もある)を通じて成長するという点で、この二作は似通っています。ただ、それぞれのイベントを通じてクライマックスへと盛り上げて行ったトトロとは違い、本作は散発的なエピソードの組み合わせで盛り上がりきらないまま終わってしまう。そういうところが物足りない理由の一つなのだろうと思います。

私が観た劇場では半分以上が幼稚園~小学生くらいの家族連れという感じで、特に前半のコミカルなシーンではたくさんの笑いが起きていました。子ども向けアニメとしてはよくできた作品なのかもしれませんが、大人向けとしては残念ながら物足りない。特にキャラの表情とか演出がすごくいいだけに、脚本がもったいなさすぎる。やっぱり細田監督は脚本は誰かに任せて監督に専念した方が良いのではないでしょうか...。

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2018/07/12 (Thu.)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星 [Blu-ray]

機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星 [Blu-ray]

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イベント上映から二ヶ月、『機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI』の Blu-ray の一般販売が開始されました。正確には明日が発売日ですが、我が家にはフライングで今日届いていました。劇場公開期間中に BD を発売してしまう映画すらある状況での二ヶ月待ち、というのはもはや長いという感覚すらあります。

今回がアニメ『THE ORIGIN』としての完結編。前作までは一年戦争編に向けた期待を煽っておきながら突然の終了宣言で、次が作られないとなるとやや萎えてしまうのが消費者心理の一つでもあります。また本作は前半が圧倒的な迫力を誇る戦闘シーンの連続だったのに対して、後半はドラマ中心でグワーッと盛り上げていく終わり方ではないところも、観終わった後にやや食い足りなさを感じる要因かもしれません。
ただ、原作となった漫画版『THE ORIGIN』の醍醐味は戦闘シーン以上に大河ドラマばりの人物描写や政治的駆け引きの表現にあり、そこが丁寧に映像化されているという点で後半の作りもまた素晴らしい。特に和平を求めるデギンの意向を受けた(ように見えた)キシリアがレビルの解放とマ・クベの派遣によって戦争継続を促すくだりとか、ラストシーンのレビル将軍のアジテーションに至る流れとか。I~III までがシャア・セイラ視点で描かれていたのが IV 以降は群像劇の性格を強く帯びてきた『THE ORIGIN』、その真骨頂が VI であると言えます。むしろサブタイトルももっと群像的というか、大過に至る止められない流れ...的なものの方が相応しいのではないかと思うほど。

それにしても過去編をここまで丁寧に映像化しておきながら、一年戦争編を作らないというのはつくづく惜しい。凝縮されたストーリーの方が歓迎される現代なら、過去編を三話くらいに凝縮してさっさと本編に入ってしまっても良かったのではとも思います。ファースト以上にキャラクターの深みを増したランバ・ラル、ハモン、ドズル、ガルマ、レビルらが活躍する一年戦争編が観たかった。
とはいえ、年齢的に安彦総監督で一年戦争を(現在のペースで)最後までアニメ化するのは時間的に難しいと思うので、そういう観点もあっての現体制でのプロジェクト終了ということなのかもしれません。希望的観測を言えば、『NT』『閃ハサ』『UC2』の映像化が終わった頃に『THE ORIGIN』をベースとした福井晴敏シリーズ構成・脚本によるリブートみたいな形で実現する可能性もあるのでは...と思っています。UC の続編三作品の反響次第で「UC でもっと稼げそう」になるのか「やっぱりファーストだ」となるのかが分かれそう。

とりあえず今は全編の BD リリースを記念して、今度の三連休あたりを利用して『THE ORIGIN』からファースト劇場版三部作までの独りマラソン上映会でも開催しようかと思います。

投稿者 B : 23:06 | GUNDAM | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/07/09 (Mon.)

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー [MX4D] @TOHO シネマズ新宿

公開直後に一度観に行きましたが、改めて MX4D で鑑賞。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

IMAX3D での上映は映像も音響も良かったんですが、同時に「これは 4D 上映のほうが合いそうだな」という直感がありました。
というのも、ハン・ソロが愛機ミレニアム・ファルコンと出合う映画なわけですよ。つまり、ファルコンの見せ場がふんだんに用意されているというわけ。MX4D は『最後のジェダイ』でも体験して、これはこれでアリだけど IMAX のほうが良かったかな...という感想でしたが、ミレニアム・ファルコンがこれだけ活躍する『ハン・ソロ』ならもっと合うだろうと思いました。

実際に体験してみると、冒頭のカーチェイスシーンからスピードを感じることができ、これは楽しい。でも何よりミレニアム・ファルコンですよ。ハン・ソロが初めてミレニアム・ファルコンに乗り込んでライトスピードを体験するシーン、「ケッセル・ランを 12 パーセク」で駆け抜けたブーストの感覚、そしてラストシーンのハン・ソロとチューイが二人でライトスピードに突入するシーン...いずれもあの加速度を自分でも感じられるのが嬉しい。まさに長編の「スター・ツアーズ」とでもいうような感覚で(シートの動きはあそこまで大きくないけど)、自分もハンと一緒にミレニアム・ファルコンに乗っているような気がしました。これは楽しい!

この映画はハン・ソロが主役で、プロモーション上はチューバッカも大きくフィーチャーされているけれど、本当の主人公はミレニアム・ファルコンなんだろうと思います。サイドストーリーも含めこれまでの『スター・ウォーズ』に必ず登場してきた R2-D2 も C-3PO もライトセーバーも登場しないけど、『スター・ウォーズ』のもう一つのシンボルであるファルコンの魅力を余すところなく体感できる。本作を本当に楽しみたかったら 4D 上映以外にないのではないか...とさえ感じました。

これでストーリーのほうももっとスッキリハッキリしていたら最高だったんだけどなあ。こればかりは別のサイドストーリーがちゃんと製作されて、そこで今回の伏線が回収されることに期待するしかありません。

1/144 スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン (ランド・カルリジアン Ver.)

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投稿者 B : 23:00 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック