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2018/07/09 (Mon.)

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー [MX4D] @TOHO シネマズ新宿

公開直後に一度観に行きましたが、改めて MX4D で鑑賞。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

IMAX3D での上映は映像も音響も良かったんですが、同時に「これは 4D 上映のほうが合いそうだな」という直感がありました。
というのも、ハン・ソロが愛機ミレニアム・ファルコンと出合う映画なわけですよ。つまり、ファルコンの見せ場がふんだんに用意されているというわけ。MX4D は『最後のジェダイ』でも体験して、これはこれでアリだけど IMAX のほうが良かったかな...という感想でしたが、ミレニアム・ファルコンがこれだけ活躍する『ハン・ソロ』ならもっと合うだろうと思いました。

実際に体験してみると、冒頭のカーチェイスシーンからスピードを感じることができ、これは楽しい。でも何よりミレニアム・ファルコンですよ。ハン・ソロが初めてミレニアム・ファルコンに乗り込んでライトスピードを体験するシーン、「ケッセル・ランを 12 パーセク」で駆け抜けたブーストの感覚、そしてラストシーンのハン・ソロとチューイが二人でライトスピードに突入するシーン...いずれもあの加速度を自分でも感じられるのが嬉しい。まさに長編の「スター・ツアーズ」とでもいうような感覚で(シートの動きはあそこまで大きくないけど)、自分もハンと一緒にミレニアム・ファルコンに乗っているような気がしました。これは楽しい!

この映画はハン・ソロが主役で、プロモーション上はチューバッカも大きくフィーチャーされているけれど、本当の主人公はミレニアム・ファルコンなんだろうと思います。サイドストーリーも含めこれまでの『スター・ウォーズ』に必ず登場してきた R2-D2 も C-3PO もライトセーバーも登場しないけど、『スター・ウォーズ』のもう一つのシンボルであるファルコンの魅力を余すところなく体感できる。本作を本当に楽しみたかったら 4D 上映以外にないのではないか...とさえ感じました。

これでストーリーのほうももっとスッキリハッキリしていたら最高だったんだけどなあ。こればかりは別のサイドストーリーがちゃんと製作されて、そこで今回の伏線が回収されることに期待するしかありません。

1/144 スター・ウォーズ ミレニアム・ファルコン (ランド・カルリジアン Ver.)

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2018/07/06 (Fri.)

GUNDAM、ハリウッドで映画化へ

「機動戦士ガンダム」実写映画化、サンライズとLEGENDARYが契約 - AV Watch

GUNDAM

唐突で驚いたニュース。サンライズが『機動戦士ガンダム』の実写映画化について米レジェンダリー・ピクチャーズと契約を結んだ、とのこと。

まじかーーー。アニメ作品の実写映画化は、邦画/洋画を問わず死屍累々の歴史だというのに、そこに手を出しますか。しかも実写版ガンダムといえば 20 年前に『G-SAVIOUR』をやって大失敗したはずなのに...と思ったら『G-SAVIOUR』はハリウッドじゃなくてカナダだし映画じゃなくてテレビシリーズだったんですね(明らかに地雷すぎたので観てない人)。『G-SAVIOUR』がガンダム 20 周年を記念して作られたのに対して、今回のハリウッド映画化はガンダム 40 周年の節目に製作されるというのだから、歳を取るわけだ...。

でもレジェンダリーといえば『パシフィック・リム』、『バットマン』シリーズ、『ジュラシック・ワールド』、『インターステラー』といった SF やファンタジー系の名作を多数生み出してきたスタジオなわけで、少なくとも映像のクオリティについては期待して良さそう。問題はどんな脚本にするのか。
イメージビジュアルに描かれているのは、地球の大気圏に何かの光が飛びこんでいく、あるいは大気圏から光が飛び出してくる様子。仮に宇宙世紀ガンダムシリーズに当てはめるなら、ルウム戦役におけるコロニー落としか「シャアの反乱」におけるアクシズ・ショックか...というところですが、既存作品との関連性も明らかになっていないので全く無関係かもしれません。というより、無関係であってほしい(笑。我々の知ってるガンダムとは別の物語、というアナザーガンダム状態であってくれたほうが、こちらとしても割り切って観れるというものです。

『THE ORIGIN』を一年戦争前で終わらせておいてこれかよ、というのが正直な感想ですが、お台場ガンダムの(主に外国人による)盛況を見るにつけ、今後もうパイが広がらないだろう国内ファン向けの商売よりも外に出て行くことを考えたくなるのは解らないでもありません。それならそれで、めんどくさいガノタも納得するものを作るか、めんどくさいガノタがぐうの音も出ないくらい商業的に成功して、実写版もシリーズ化するか、くらいまで振り切ってほしい。中途半端でみんなが不幸になるのだけは避けてほしいところです。

G-SAVIOUR -フルバージョン- [DVD]

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投稿者 B : 23:30 | GUNDAM | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/07/01 (Sun.)

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー [IMAX3D] @T・ジョイ PRINCE 品川

楽しみにしていた映画を観に行ってきました。

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー

端的に感想を言うと...面白かった、んだけど期待値が高すぎてちょっと物足りなかった、というところでしょうか。

米国での興行が想定を下回ったせいか、日本での封切り前から酷評が多く、劇場に行く前からやや不安ではありました。実際のお客さんの入りも、公開初週末なのに品川の IMAX が埋まっていないというのは、前評判や「サイドストーリー含め濫発しすぎ」で注目度が下がっていることを裏付けているように感じました。

※まだ公開三日目につき、これから劇場に行くつもりの人は続きは鑑賞後に読むことをオススメします。










ストーリーは『スター・ウォーズ』シリーズの主要キャラであるハン・ソロの若き日を描いています。ナンバリングタイトルにも登場する、

  • 相棒チューバッカとの出会い
  • 愛用のブラスター入手の経緯
  • 悪友ランド・カルリジアンとの出会い
  • ミレニアム・ファルコン入手の経緯
  • 「ケッセル・ランを 12 パーセクで飛んだ」ファルコンの伝説
というくだりを初めて映像化したという意味では貴重な作品。今まではセリフで触れられるにすぎず、我々が脳内で補完するしかなかったエピソードが公式に語られます。 また天涯孤独の身だったただの「ハン青年」が「ハン・ソロ」を名乗るようになったくだりも描かれていますが、これがなんとも示唆的。邦題は『ハン・ソロ』とつけられていますが、原題『SOLO』のほうが本作のテーマには相応しいと言えます。劇中ではほとんどのキャラクターが「SOLO」であり、ラストシーンで生涯の相棒と居場所を得たハンがついに「SOLO」ではなくなって終幕、というのが実に深い。

本作の前評判を下げている要因の一つが「ハン・ソロがハリソン・フォードではない、少なくとも似てもいない」という点でしょう。これは確かにそうで、キービジュアルだけを見ていたときには私も違和感があったのですが、映画が始まったらほとんど気にならなくなりました。確かに顔は似ているとは言い難いけど、表情の作り方とかブラスターの構え方とか、かなりハリソン版ハン・ソロに寄せた役作りがされていて、確かにこれはハン・ソロの若い頃だね、と思えます。しかし、本作のハン・ソロは映画全編を通じてピュアな熱血漢であり、Episode IV 以降の「捉えどころのないニヒリスト」的な人物像への変遷が描き切れていないのがもったいないなあ、と。そうなったきっかけは描かれているんですけどね。

ハン・ソロの過去として必要なエピソードは網羅されているし、アクションシーンやミレニアム・ファルコンのチェイスシーンも個々にはとてもよくできていてカッコイイ。でも、なんか個々のエピソードを淡々と描いただけで、Episode IV に繋がっていく強いうねりのようなものが欠けていて、そこが物足りなかった要因なのかもしれません。『ローグ・ワン』のラストで Episode IV へのリンクが描かれたことで強烈なカタルシスを味わった身としては、他のサイドストーリーにも同じくらいの強さを期待してしまった。ジェダイやライトセーバーが登場しないのは時系列上しょうがないにせよ、単にキャラクターの過去を描くだけでなく「自分が知っているあのシーン」への繋がりを感じたかったのだと思います。

そういう意味では、本作は既存作品の何かに繋げて終わったわけではなく、いくつかの伏線を残したまま終幕しています。終盤で「意外なあの人」が登場したのはサプライズでしたが、あれは単なるサプライズだったのか、あるいはそこは別のサイドストーリーで語るつもりだったのか。本作の失敗で『スター・ウォーズ・ストーリー』シリーズの続編制作が打ち切られたという噂も出ていますが、続編ありきの脚本だったのだとしたらちょっと残念。どうやら「意外なあの人」はアニメ版『クローン・ウォーズ』には登場していて本作に至る経緯を知ることもできるようなのですが、あのバタ臭い絵で百話以上もあるアニメを観る気にはちょっとなれないんだよなあ...。

そんなわけで、面白かったんだけどやや消化不良感のある映画でした。ルーカスフィルムは毎年新作を出すことにこだわらなくていいから、一本一本をもっと大事に作ってほしいところ。

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2018/06/02 (Sat.)

宇宙よりも遠い場所 [Prime Video]

ある人が強烈にオススメしていたのが気になっていたところ Prime Video の見放題リストに含まれていたので、この一週間ほどで一気に観てしまいました。

宇宙よりも遠い場所

4 人の女子高生が南極観測隊に参加するお話です。

女子高生 4~5 人が主人公のアニメって『けいおん!』に代表されるような日常系なのかと思ったら、これはちゃんと目的を持ってそこに向かって突き進んでいくお話でした。4 人のキャラクターにはテンプレっぽさを感じますが、ちゃんと個性が立っていて分かりやすくはあります。

南極の昭和基地と観測船「しらせ」が民間に払い下げられたという設定(現実ではそんなことはない)で、民間の南極観測隊に女子高生 4 人が参加して南極を目指していきます。彼女らが観測隊に参加するまで、日本を出発してから観測船で南極に到達するまで、そして南極での生活が 13 話をかけて丁寧に描かれています。
南極といえば、私は世代的に子どもの頃に映画『南極物語』を観た世代で、当時就役したばかりだった「しらせ」の名前もよく憶えていますが、その程度。このアニメを観ることで南極への道程やそこでの生活が実際にどうなのかの片鱗を感じることができ、物語そのものと同じくらい、南極の実態や観測隊の生活について興味深く見入ってしまいました。今や宇宙をテーマにした映像作品は星の数ほどあって宇宙船やコロニーでの生活をイメージすることは難しくないですが、地球の果てを目指す生活がどんなものかを知れる映像作品というのは稀有だと思います。

女子高生が南極に行くというストーリーはアニメとしても異色ではありますが、その設定の中に敷かれたストーリーが実に深い。4 人のうち 3 人は心に何らかの孤独を抱えて生きていて、南極を目指す中でそれぞれに自分の孤独と向き合い、克服していきます。また「孤独」というのは家族や友達と表裏一体のものであり、彼女らが孤独を克服していく上で「友達とは何か」「親子とは何か」を考えさせられるものになっています。
友達に依存して生きてきた少女、友達に何と言われようと南極で行方不明になった母を追って自分も南極を目指した少女、友達に裏切られたことで他人と距離を取るようになった少女、芸能界に入ったことで本当の友達と言える相手を持てずに生きてきた少女。彼女たちが南極への旅を経て自分の中に軸を見つけ、「別々に暮らしていても孤独ではない」と思えるようになる成長の過程が、実に深い感動をもたらしてくれます。私は「泣ける●●」みたいな触れ込みの作品はあまり好きではないのですが、本作は一見ほのぼの日常モノっぽいタッチでありながら、ジワジワ感動させてくるところが良い。13 話あるエピソードのどこを切っても良さしかない中でも、個人的にはキマリと幼馴染みとの気持ちのズレが描かれる 5 話と、それまでほとんど陰を見せなかった日向の孤独の正体が描かれる 11 話が特に心に残っています。

普段ガンダムとマクロス以外のアニメはあまり追っかけていないのでリアルタイム(今年の 1~3 月に放送されていた)では全くノーマークだったんですが、本当に良い作品でした。見逃しても BD/DVD の発売を待たずに VOD ですぐにキャッチアップできるというのは実に良い時代になったものです。いろいろと感じるところがあったので、今度はそろそろ多感な年頃になってきた長女にも勧めてみようかと思っています。

宇宙よりも遠い場所 1 [Blu-ray]

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投稿者 B : 22:48 | Anime | Movie | コメント (2) | トラックバック

2018/05/23 (Wed.)

グレイテスト・ショーマン [Blu-ray]

えっとなんかもう BD が発売されたんですが、これ劇場公開からまだ三ヶ月しか経ってないし、なんならまだ上映中ですよ(;´Д`)ヾ。

グレイテスト・ショーマン [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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まあ楽しみにしていたから買いましたが。将来 4K 環境に移行したときのために UHD BD+BD パッケージ版です。

この映画、あまり冴えないけど夢だけはあった男が社会的弱者や曲者を集めて興行を始め、大成功する...というストーリーラインは『SING/シング』とほぼ同じ。差別や自己肯定といったテーマやショービジネスを扱った映画はそれだけ普遍的なものということなのかもしれません。が、脚本としてメインテーマの掘り下げがちゃんとできているのは『SING』のほうだと思います。本作はせっかく個性豊かなキャラクターが登場しているのに、彼らの扱いがほぼ「その他大勢」だし、差別も黒人差別くらいしか描けていないし、実にもったいない。最後にバーナムとサーカスのメンバーが和解するシーンもバーナムは特に何もしていないのに何となく和解してしまうし...。

それでもこの映画はその音楽と映像によって「傑作」と言って良いレベルに仕上がっているとも思います。サントラだけでも素晴らしいし、もうけっこう聴き込んだつもりだったのに、改めて映像付きで観るともう一度感動してしまう。『The Greatest Show』『This Is Me』の群衆によるダンスは観ているこちらまで高揚するし、『The Other Side』のバーナムとカーライル(+バーテンダー)による掛け合いは繰り返し観たくなるほど楽しい。『Never Enough』の心に響く歌声と『Rewrite The Stars』の映像の美しさはミュージカル映画史に残るシーンだろうと思います。
この Blu-ray には特典映像として楽曲のシーンだけを再生する機能がついているんですが、通しで観るのは週末にしてとりあえずいくつか気に入っている楽曲のシーンだけ観よう...と手をつけたところ、気づいたら全曲聴いてしまっていて小一時間が過ぎていました(;´Д`)。それくらい本作のミュージカルシーンは素晴らしい。

今週末にでも改めてじっくり鑑賞しようと思います。でも BD で観たらもう一度映画館の音響で観たくなってきてしまいました。さすがに BD の発売に伴って今週いっぱいで終映する劇場が多いようで、その前に行ってこようかな...。

投稿者 B : 23:00 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/21 (Mon.)

蚤とり侍 @T・ジョイ PRINCE 品川

阿部寛主演(松重豊助演)のコメディ系時代劇という私好みっぽい映画が公開されたので、観に行ってきました。

蚤とり侍

蚤とり侍

越後長岡藩の生真面目な忠臣・寛之進(阿部寛)が、その真面目さに起因する失言でバカ殿(松重豊)の怒りを買い「猫の蚤取りとして無様に生きよ」と藩を追放される。寛之進はその命令にも忠実に従い蚤取りの職に就くが、その稼業の実態は女たちを満足させるための「娼夫」で...という話。R15 指定で「そういう映像」が出てくる映画でもあります。

超高速!参勤交代』や『殿、利息でござる!』といったコメディ時代劇がコメディを装った人情劇だったのに比べると、本作は阿部寛、豊川悦司、松重豊、寺島しのぶ、風間杜夫、大竹しのぶといった大御所揃いでコメディをやっているという対照的な作り。基本は笑わせに来ていながらも、要所要所で締めにくる俳優陣の演技には圧倒されます。まあ、主要キャストの四人(阿部寛、豊川悦司、斎藤工、松重豊)が軒並み 185~190cm 級の身長という点でも圧倒されるわけですが(笑。

ただ...個別のシーンは面白かったし、芝居はすごく良かったんですが、肝心の脚本と全体構成がなんだか中途半端。寛之進がなぜここまで実直に娼夫稼業に取り組んでいるのかの背景があまり描かれず、個々のエピソードもやや散発的。前述の『参勤交代』や『利息でござる』が細かい笑いをたくさん挟みながらもストーリーの軸が一切ぶれなかったのとはまさに対照的だと思います。
あまり発散させずに清兵衛(豊川悦司)やおみね(寺島しのぶ)とのエピソードに絞ったほうが軸がハッキリしたかもしれないし、せっかく R15 なんだから濡れ場も半端にコミカルにしないほうが良かった。笑わせたいのか、映像を通じて何かメッセージを伝えたいのか、どっちつかずな印象を受けました。伏線もばら撒きっぱなしで、例えば蚤取り屋の主夫婦(風間杜夫&大竹しのぶ)による「寛之進は肉親の敵討ちのためにあえて蚤取りに身をやつしている」という誤解がいろんな人に伝わってどんどん話が大きくなりクライマックスに繋がる...というような脚本だったらもっとカタルシスが得られたかもしれません。

それにしても本作でいろんな意味で最もオイシイ役どころは豊川悦司でしょう。下ネタあり、絡みありで主役の阿部寛以上に存在感があったし、ここまで従来のイメージを崩してきたトヨエツも珍しいのではないでしょうか。

投稿者 B : 23:33 | Japanese Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/20 (Sun.)

セッション [Prime Video]

以前から気になっていた映画が Amazon Prime Video の見放題リストに入っていたので鑑賞しました。

セッション

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ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督と名優 J・K・シモンズが助演(実質的には主演と言って差し支えないと思う)というところで注目していたのでした。

ジャズドラマーを目指す青年アンドリュー・ニーマンが、所属する音大で最高峰の指揮者テレンス・フレッチャーに才能を認められるものの、そこからの指導が地獄のような厳しさで...という話。「厳格なマネジャー」という点では J・K・シモンズらしさを存分に引き出す役どころですが、今までの J・K・シモンズのイメージすら覆すほどキレた役。指導中に怒号は当たり前、罵声や放送禁止用語、果ては椅子まで飛ぶ激しい指導。それは邦題にある『セッション』という愉しげなものではなく(この邦題の意味はラストシーンでようやく理解できました)、原題『Whiplash(ムチ打ち)』をそのまま当てるのが妥当と感じます。
私もかつて言葉の暴力や苛烈なプレッシャーでメンタルをやりかけた経験はあるだけに、このフレッチャーの強烈な圧力は見ていて辛いものがあります。しかし一方で「自分ができることは他人にもできて当然」というような要求を誰かにしたことがなかったかと言われると否定もできないわけで、自分が受けてきたプレッシャーと他人に与えてきたかもしれないプレッシャーをいろいろと思い浮かべながら観てしまいました。

一流のアスリートやプロ棋士の名言として「報われるか分からない努力を続けられることそのものが『才能』である」とか「努力を努力と思っているうちは真の努力ではない。人並み以上の努力を当たり前に継続できる者だけが何かを成し遂げることができる」という話を聞くことがあります。それ自体は確かに納得できるものだし、何者かになるために自分が自分に課す言葉として重みがあるものだと思いますが、果たして自分の教え子や後輩、あるいは子どもに常識外の努力を強いるための言葉として使って良いものかどうか。この作品におけるフレッチャーの指導は指導というよりもむしろ、自分が理想とする音楽を作り上げるための駒として教え子たちに強要しているものであり、ハラスメントに他なりません。フレッチャーは果たして教育者として正しかったのか。
が、芸術にせよスポーツにせよ世の中に影響を与えるほど強烈な成果というのは稀有な才能と非常識なほどの努力や無理の結果生まれることが多いのも事実。トップレベルであるほど踏み台や噛ませ犬となる「犠牲」も必要悪だし、そこに集まってくる人員も覚悟はできているのかもしれません。私(少なくとも今の年齢の)はそんなのはまっぴらごめんですが...。

そんなフレッチャーの自分の理想とする音楽への執着と、それに振り回されたニーマンの関係がどうなるかは、ラストシーンで示されます。フレッチャーの強烈な指導はニーマンという才能を開花させたけど、そこまでに多くの若者の人生を滅茶苦茶にしてきたであろうことを考えると、果たしてそれは良いことだったのかどうか。ジャズ界という括りの中ではそれは良かったことなのかもしれませんが。
ジャズを扱った映画ではありますが、人の生き方や価値観について考えさせられる映画でした。

そういえば本作も『ラ・ラ・ランド』もジャズをストイックに追い続けた男の話という点では共通点があるし、本作でフレッチャーを演じた J・K・シモンズが『ラ・ラ・ランド』ではセブ(ライアン・ゴズリング)にジャズを禁じクリスマスソングだけ演奏させる役どころというのも洒落が効いていて面白い。いろんな観点から楽しめる作品だと思います。

投稿者 B : 21:18 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/08 (Tue.)

オリエント急行殺人事件 [PS Video]

劇場公開時にちょっと気になりながら観れていなかった映画を VOD にて鑑賞。さすがに Prime Video には来ておらずペイパービューだけだったので、PS4+PS Video を利用しました。

オリエント急行殺人事件

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知らない人はいないほど有名な、アガサ・クリスティ原作サスペンスの映画化。あまりにも有名すぎて何度も映像化されているし、NHK でもイギリスのドラマ『名探偵ポワロ』の一エピソードとして何度も放送されている話です。

主演は『ハリー・ポッター』シリーズでのロックハート先生役や、近年では『ダンケルク』にも出演していたケネス・ブラナー。渋い配役だと思ったら、主演だけでなく監督も務めているとか。直近ではディズニーの実写版『シンデレラ』の監督も務めていたというから、監督としても実力派だったんですね。
そのほかの役者陣もジョニー・デップ、ミシェル・ファイファー、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ(『007』シリーズの「M」役)、デイジー・リドリー(『スター・ウォーズ』新三部作のレイ役)、ウィレム・デフォー(『スパイダーマン』のノーマン/グリーン・ゴブリン役)、ジョシュ・ギャッド(実写版『美女と野獣』のル・フウ役)と、顔を見ただけで役名ではなく本名の方が先に出てくるレベルの名優揃い。

『オリエント急行殺人事件』といえば私でもオチを知っているほどよく知られた話です。誰もが犯人やトリックを知っているようなミステリーを今さら映像化して何になる?という疑問が湧きそうなところですが、これはもはやサスペンスの古典であり「犯人が誰か」というよりは「この独特な話と個性的な登場人物を誰がどう演じるのか」を観るためのものであり、日本でいう落語や歌舞伎の古典のようなものと言ったほうが良いでしょう。なんたって本事件における被害者ラチェット(ジョニー・デップ)が、序盤で殺されてしまうにも関わらず他の出演者よりも圧倒的に印象に残っているほど存在感のある演技が観られるわけですから(笑)、物語よりも芝居を堪能するための映画なのです。

主役のエルキュール・ポアロ(ポワロ)探偵に関しては、日本人としては NHK で放送されていたドラマ版のデヴィッド・スーシェ(と熊倉一雄による吹き替え)の印象があまりにも強く、それがどうこの映画で上書きされるのかに興味がありました。スーシェ版ポワロは禿げ頭(+帽子)に黒いちょび髭のイメージでしたが、ブラナー版ポアロは豊かな銀髪にわざとらしいくらい立派すぎる口髭。この口髭には賢さよりも力強さを感じるわけですが、実際にスーシェ版ポワロにはなかったアクション的なシーンも所々に散りばめられ、ブラナー版ポアロは若々しい印象。カンバーバッチ版シャーロック・ホームズほど大胆な演出はありませんが、既存のポワロ像を脱皮させることに成功しています。
ただ、惜しいのは謎解きのシーンで、ポアロ自身が悩んだり伏線を一つ一つ解き明かしていく様子はあまり丁寧に描写されず、ポアロがその才能でいきなり事件の真相に辿り着いたかのように見えてしまったこと。もうみんなオチは知ってるんだからそこはいいでしょと言われているように感じましたが、やっぱりサスペンスを観てるんだからそこはちゃんと溜めていってほしかった。あと、他の俳優陣も要所要所でいい芝居をしているのに、全体の印象としてはケネス・ブラナーとジョニー・デップに持ってかれた感が強いのも微妙に惜しいですね...。

65mm フィルムで撮影されたという映像は本当に美しい。真っ白い雪の中を走るオリエント急行、薄暗い列車内に射し込む光、そしてときどきアクセント的に使われる鮮やかな青。謎解きシーンでこれまでの映像化作品にはなかった「最後の晩餐」を模した構図も示唆的だったし、作り込まれた映像と芝居の重厚さには圧倒されました。それだけに、謎解きがあっさりしているのが惜しい...。

同じケネス・ブラナー監督/主演で続編『ナイルに死す』も製作中とのことなので、こちらも公開されたら観てみようと思います。

投稿者 B : 23:40 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック

2018/05/05 (Sat.)

機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI イベント上映 [LIVE ZOUND] @チネチッタ

『THE ORIGIN』アニメ化プロジェクトの完結編となる『誕生 赤い彗星』が劇場公開/配信開始されたので、初日の初回上映に行ってきました。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

いつもなら事前のプレミア上映会なり舞台挨拶つき上映に行くところですが、今回はプレミア上映会はなかったし忙しくて舞台挨拶回のチケットを取りそびれてしまったため、通常の上映で鑑賞。チネチッタの LIVE ZOUND シアターを利用しました。

「あのシャア専用ザク」の発艦シーンという最も盛り上がったところで唐突に終わった前作からの続き。ルウム戦役の戦端が開かれる場面から本作は始まります。あのラストシーンのテンションを引き継いで始まるから冒頭からそれはもうアツい。シャアが「赤い彗星」と呼ばれるようになった一騎当千の戦いぶりや専用武器で大暴れする黒い三連星も良かったですが、個人的には最後まで武人らしさを貫いたドズル・ザビの戦いぶりが良かった。やっぱり私は『THE ORIGIN』の中ではドズルかランバ・ラルが好きなようです(笑)今回、ランバ・ラルとハモンの出番はなかったけど...。

ルウム戦役の様子はファーストガンダムの劇中では過去の話として何度か登場するのみで、映像として本格的に表現されたのは今回が初めてでした(『THE ORIGIN I』のアバンタイトルでもさわりだけ描かれていましたが)。ガンダムシリーズの中でも珍しい大規模な艦隊戦と、機動性に優れるモビルスーツに連邦軍の艦船が翻弄される様子は一見の価値あり。まあ、シャアザクの動きは一年戦争当時のザクとしてはいくらなんでも動きすぎだろうというレベルだし、CG ベースの MS 戦は(技術の進歩によって随分クオリティが上がったとはいえ)全体的にまだちょっと軽すぎるように感じるし、違和感はあるもののこの高いテンションも相まって没入させられました。

ルウム戦の後は捕虜となったレビル将軍の脱走劇、ザビ家の確執、シャアがドズルから連邦の「V 作戦」調査を拝命されるまで等が描かれていき、一年戦争の本編への橋渡しが行われていきます。主に政治的な話に終始するため、戦闘シーンはほぼなく映像的には地味になるものの、様々なシーンで駆け引きが行われ、戦時中ということもあって画面にはずっと緊張感が流れます。前半の熱量と比べると抑え気味のトーンで進むので自分のテンションのやり場には困りましたが(笑)、終盤では後のホワイトベース・クルーに対して説明のテロップが添えられて「このまま『THE ORIGIN』の続編として映像化されることがなくなった」ことを示唆しつつ、ファーストガンダムの第一話に向かって状況が整理されていきます。
エンディング後にはついにホワイトベースが登場し、サイド 7 にてガンダムを受領しに向かうシーンが描きながら終幕。緊張から再びテンションを高めに来たところで締められてしまうのは、目の前で据え膳を下げられてしまったかのような飢餓感があります。劇場の客電が点灯する瞬間まで「終映後に一年戦争編アニメ化の発表がされるんじゃないか」という期待を捨てずにいたのですが、残念ながらそれは叶いませんでした。

しかし、本作の公開直前に掲載されたアニメイトタイムズの安彦総監督ロングインタビューによると、現場としては続きをやりたい意思はあり、売れ行きによっては今後の展開がまた変わる可能性があることを匂わせています。

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』安彦良和総監督インタビュー | アニメイトタイムズ

あのホワイトベースの映像を見せられてしまうと、やっぱりこのクオリティで一年戦争をリメイクしてほしかった、という思いが強くなるわけで。まあ過去編でさえ OVA 一本でコミック一巻分を映像化するのがやっとだったので、このペースで一年戦争を描いたらあと 17 話必要になってしまう計算になります。このクオリティでテレビシリーズをやるのは無理だろうし、思い切って端折っていくしかないのでしょうが、せめて劇場版ガンダム三部作のリメイク的な位置づけででも作ってくれないかなあ...。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

イベント上映の定番となった特典色紙はメカ作監の鈴木卓也氏による黒い三連星ザク(両肩シールド/バズーカ仕様なのでガイア機ですね)のものでした。前回までは特典色紙は週替わりで各一種類だったのが、今回は週替わりで三種類ずつのランダム配布になった模様。キャストによる舞台挨拶も初日ではなく前夜祭と二日目にやっているようだし、今まで以上に明らかにリピーター狙いの施策を打ってきています。これで『THE ORIGIN』は完結だから最後まで搾り取ってやろう...とでもいうようなサンライズの意図が透けて見えて、微妙(´д`)。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN

完結記念ということで劇場で販売されていた、公式プログラム収納ケース(¥500)を買ってきました。ガンプラの旧キットの箱を模したデザインになっていて(旧ザクのデザインがケース本体、ザク II のほうがスリーブ)レトロなフォント使いが何とも言えない。ひとまずここまで全て劇場に足を運んできた記念になりました。

Blu-ray の一般発売まではあと二ヶ月ほどありますが、上映期間中にもう一度くらいは映画館で観ようと思っています。

機動戦士ガンダム THE ORIGIN VI 誕生 赤い彗星 [Blu-ray]

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2018/05/01 (Tue.)

レディ・プレイヤー 1 [IMAX3D] @T・ジョイ PRINCE 品川

一部界隈で「オレはガンダムで行く!」が今年の流行語大賞にノミネートされそうな勢いの話題作をようやく観てくることができました。

レディ・プレイヤー 1

READY PLAYER ONE

スティーブン・スピルバーグといえば近年は史実をベースとした映画ばかりですっかり社会派になってしまった感がありましたが、本作は久しぶりにど真ん中のエンタテインメント作品。スピルバーグ作品で劇場公開を心待ちにしたのなんて『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』以来十年ぶりだし、感覚的には『ジュラシック・パーク』以来のスピルバーグが戻ってきてくれたのでは、という期待さえありました。またテーマは VR 世界での冒険ということで社会的にはタイムリーなネタであり、またスピルバーグらしい映像のアミューズメントパーク感が存分に発揮されそうな分野でもあります。

以下、若干のネタバレを含むのでこれから観に行く方はこのままそっと閉じて後日閲覧されることを推奨します。











本作の「仮想世界の創造主が残した謎を解くために主人公を含むスーパープレイヤー達が立ち上がる」「仮想世界の支配を企む悪者と、仮想と現実を行き来しながら丁丁発止やり合う」というストーリーは、近年の創作で比較的よく見る手法。『マトリックス』『サマーウォーズ』『ソードアート・オンライン』あたりを観たことがあればそろそろ使い古された話にも見えてくるでしょう。でもこの原作となった小説『READY PLAYER ONE(邦題:ゲームウォーズ)』は 2011 年であり、Oculus Rift も HTC Vive もこの世になかったタイミングで発表されたものであり、逆に本作(と『SAO』)が Oculus の原点のひとつになったという点で、重要な意味をもつ作品であると言えます。現実の未来というのは時折、小説や映像などの創作を起点として形作られるものです。

VR を体験していると、ふとした瞬間に「つまらない現実よりも、このまま VR の世界にずっと没頭していたい」と感じる瞬間がありますが、本作のスタート地点はまさにそこ。そこから、現在は技術的な制約により実現できていないけど将来的にこうなったら楽しいよね、と語られている VR が実現した未来の映像へと引きずり込まれていきます。

主に 1970~80 年代のポップカルチャーやサブカルチャーを過剰なほどにまぶした映像で、その時代をリアルタイムに過ごした世代にとってはたまらない作品でしょう。「あのキャラが一瞬映ってた!」「ああ、これはあの映画へのオマージュだな」という細かいネタが随所に隠されていて、ストーリーの本筋を忘れてそっちにのめり込みそうになります(笑。逆に言えば非常にハイコンテクストな映像でもあり、今の十~二十代がこれ観て楽しめるのだろうか?と疑問に思ったほど。まああまり深く考えずに「昔そういうのがいろいろあったのね」という理解で止めても楽しめる作品ではありますが。私も ATARI とかリアルタイムで知らないし...。
とにかくそれくらい、日米の人気 IP をカネとスピルバーグの影響力で引っ張ってきたかのような豪華映像が繰り広げられるわけですが、真性のガノタとしてはガンダムの扱いがどうにも気になりました。ファーストガンダムなのに登場シーンではダブルゼータの決めポーズを取るし、ビームサーベルの構え方が「アバンストラッシュ持ち」だし、スピルバーグ本当にガンダム観たことある?と突っ込みたくてしょうがなかった。他のキャラクターの扱いについてもその筋のマニアから見れば微妙なのかもしれないし、「仮想世界の創始者ハリデーの 1970~80 年代カルチャーへの愛を表現した世界」の割には詰めが甘いのでは...というのをガンダムを見て思ってしまいました。とはいえ、THE ORIGIN のプロジェクト完結により一年戦争編のリメイクが叶わなくなった今、CG ベースの RX-78-2 ガンダムがグリグリ動く姿をスピルバーグが見せてくれたというだけで感涙モノでしたけどね!(ぉ

ツッコミどころはいろいろあるけど、それでもとにかくスペクタクル・エンタテインメントとしては圧巻の 140 分でした。楽しかった。
もう一つ残念な点を挙げるとすれば、終盤で示された「リアルにこそ、仮想世界で得られない大切なものがある」というメッセージが、伏線がなさすぎてあまりにも取って付けた感があったことでしょうか。このあたりはさすがに原作小説を読んで補完するしかないのかなあ。電子書籍版も出ているようだし、とりあえず GW を使って読んでみるかなあ...。

アーネスト・クライン / ゲームウォーズ(上)(下) [Kindle]

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投稿者 B : 23:30 | Foreign Movie | Movie | コメント (0) | トラックバック