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2017/11/04 (Sat.)

東京モーターショーに行ってきました (2)

昨日に引き続き、東京モーターショーの話です。

今年のモーターショーは、業界では「東京 VR ショー」と言われているというくらいに VR での展示で溢れていました。あまりに多くて全部は見て回れないくらいだったのですが、代表的なところをかいつまんでご紹介します。

東京モーターショー 2017

フォルクスワーゲンブースでは三種類の VR 展示を行っていました。私が体験したのは「I.D. CROZZ」というコンセプトカーの VR 展示。HMD(HTC Vive)をかぶると目の前に実寸大の I.D. CROZZ が表示され、周囲をぐるりと周りながら見たり、ドアの開閉を操作することができます。
その後、シートに座ると(立って見る用の Vive と座って見る用の Vive がある)今度は I.D. CROZZ の車内に移動。助手席に乗り込んできた女性(VR キャラクター)と一緒にドライブを楽しむわけですが、VR 空間内にあるボタンを押すとステアリングは自動で格納され、自動運転が始まります。車内の操作は全てタッチベース。

Vive にはモーションコントローラ「Leap Motion」が取り付けられていて、VR 空間内で自分の両手が認識され、タッチ操作が可能になる仕組み。確かにハンドコントローラを持って操作するよりは直感的ですが、Leap Motion ってまだまだ実験的なデバイスで、ベンチャー系の展示ならまだしもこういう(IT 系ではない)大企業の通常展示に使われるというのは他に見たことがなく、驚きました。

東京モーターショー 2017

日立オートモーティブシステムズ。8 人掛けのモーションシートと Gear VR を使って自動運転のイメージデモが見られました。自動運転車が渋滞情報を検知し、迂回ルートを自動設定した上で他車や障害物をうまく避けながら自宅までオート走行し、ガレージにも自動で入れておいてくれるまでをドライバー視点(自分では運転しなくなっても「ドライバー」と言うんだろうか)で体験することができます。少なくとも五年後十年後の世界という感じではありますが、こういう未来を制御部品や電装部品で支える会社であることのアピールのようです。

東京モーターショー 2017

日立オートモーティブはスーパーフォーミュラの公式スポンサーであり、鈴鹿サーキットにおいてはシケイン(1989 年の F1 でセナとプロストが接触事件を起こしたあのシケイン)に「日立オートモーティブシステムズシケイン」という命名権も保有しているとのことで、モータースポーツに縁の深い企業。コーポレートカラーに塗ったスーパーフォーミュラのショーカーも展示されていました。

東京モーターショー 2017

その隣では、実際のスーパーフォーミュラのモノコックに収まって鈴鹿サーキットの一周を VR 体験できるコーナーも。フォーミュラカーのコクピットには初めて座りましたが、座っているというよりもほとんど「寝転がった状態で頭だけ起こしてステアリングを握っている状態」なんですね。これで二時間近いレースを走り続けるというのはかなり厳しい(;´Д`)ヾ。

VR 映像は CG ベースではなく一世代前の Gear VR を使った 180° 動画(後ろ半分はブラックアウトしている)にすぎないんですが、自分自身でもゲーム内で走り慣れている鈴鹿をスーパーフォーミュラのシートに収まった状態でドライブできる(まあ、映像に合わせてステアリングを切り、ペダル(実際にはない)を踏んでいるだけですが)というのは燃えるものですね。

東京モーターショー 2017

そういえば日立はインディカーにおけるチーム・ペンスキーとエリオ・カストロネベスのスポンサーでしたね。以前のインディジャパンの際にもマシンに大きく HITACHI のロゴが掲げられていました。エリオ・カストロネベスと言えばこれまでにインディ 500 を三度制覇し、今年もファイナルラップまで佐藤琢磨と激しい優勝争いを繰り広げた偉大なドライバー。来季は活動の場を IMSA(スポーツカーレース)に移すとのことですが、日立のパーソナルスポンサーは継続するのでしょうか。

東京モーターショー 2017

日立の隣、デンソーブースでも VR。こちらはフリーローム(動き回れる)型の VR を使って、自動運転のためのセンサ技術や制御技術の訴求を行っていました。訴求内容自体は日立オートモーティブとよく似ていて VR を使っている点でも共通だけど、こちらはゲーム風の演出で全くイメージが違う。こちらも少し先の未来の技術の話ではありますが、同じような題材でも対照的な展示をしているのが興味深い。

東京モーターショー 2017

こちらは東京モーターショー公式がやっている VR アトラクション「THE MAZE」。30 台の PSVR をネットワーク接続し、自動運転を使ってゴールまでの到達を競うゲームです。TMS の公式アプリで予約する必要があったんですが、二時間先までの枠が常に満席。私もちょっと待って枠が解放された瞬間に確保しました。
しかし PSVR をかぶった人が 30 人並んで座っている光景というのもなかなかすごいものがありますね...。

東京モーターショー 2017

遊び方はこんな感じ。進行方向を視線(頭の向き)で入力して選ぶだけ、あとは自動運転が全てやってくれます。道中、他車や路上の様々なステーションと通信することで交通情報を入手したり、電力をチャージしたりしながらゴールを目指します。ゲームという体裁を取った自動運転・AI・EV・コネクテッドカーの啓発コンテンツになっています。

東京モーターショー 2017

THE MAZE で使われている PSVR は新型(CUH-ZVR2)でした。まあ自宅にある初代とはケーブルとヘッドホン端子の位置くらいしか違わないし、特にスタッフの方に手伝ってもらわなくても楽勝で装着できる...と思ったら、ディスプレイの位置調整ボタンが見当たらない!よく見たら新型ではボタンがディスプレイの下部ではなく上部についているんですね(;´Д`)。新型の実機には初めて触ったので、意外にも戸惑ってしまいました。

また PSVR にはサードパーティ製の専用ヘッドホンである「MANTIS」が装着されていました。これちょっと気になっていたんですよね。Oculus Rift についているヘッドホンのように装着や位置決めがしやすいヘッドホンですが、密閉性はないし 1 万円するヘッドホンの音質とは言えないし、ちょっと微妙。使いやすさという利点はあるんですが、価格がなあ...3,000 円くらいだったら買っていたと思いますが。

東京モーターショー 2017

あとこちらは VR ではありませんが、これまた TMS 公式の展示「THE FUTURE」。ドーム型スクリーンを使った近未来のクルマ社会を感じさせてくれる映像展示でした。事前にスマホアプリを使って参加者が「自分のクルマとの付き合い方」のアンケートに答えることで、TMS の来場者がこれからのクルマ社会に対してどういう傾向の考え方をもっているかと合わせて提示してくれます。

東京モーターショー 2017

テーマは自動運転、コネクテッドカー、カーシェアリングといった自動車業界のキーワードについて、それぞれ起こりえる未来像が描かれています。技術的にどう実現するかではなく「こういう未来がきっと来ますよ」という話。各メーカーのブースも自動運転関連はこういう内容のものが多く、自動車業界が今後数年をかけて世の中に導入していく新たな仕組みに関して、業界を挙げて社会的コンセンサスを取っていきたい、今回の TMS はその始まりなのだ、という強い意志が感じられました。

東京モーターショー 2017

モーターショーには『グランツーリスモ SPORT』も出展していました。今回のモーターショーに合わせて発表されたコンセプトカー「イソリヴォルタ ザガート ビジョン グランツーリスモ」のモックアップが展示。今後ゲーム内にも追加コンテンツとして登場するとのことですが、フェラーリやランボルギーニとはまた違ったダイナミックなデザインがカッコイイ。ゲーム内で走らせてみたいですね。

東京モーターショー 2017

ブース内には GT SPORT の試遊台もあり。ステアリングコントローラとバケットシートを使った試遊台の他に、VR モードの試遊台もありました。が、VR の試遊台だけパイプ椅子というね...いかに GT SPORT 内での VR の扱いがオマケにすぎないかを改めて実感しました(;´Д`)ヾ。

以上、東京モーターショーのレポートでした。見に行ったのは実に十年ぶりでしたが、以前に比べるとコンセプト寄りの展示が大幅に増え、本当にクルマを取り巻く業界構造や社会構造が変わろうとしているんだなあ、ということを強く感じました。また「まだ実現していないけどこれから向かう未来」の提示に VR はやはり適していることもよく分かりました。数年後に振り返ったときに、2017 年のモーターショーが一つの転機だったと思うようになるのかもしれません。

投稿者 B : 21:30 | Soliloquy | コメント (2) | トラックバック

2017/11/03 (Fri.)

東京モーターショーに行ってきました (1)

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

東京モーターショーに行ってきました。

クルマにこだわりのある方と違って運転しない私が市販車について書いてもあまり価値のある記事にもならないので、ちょっと違う視点でレポートしようと思います。

とりあえずホンダブースから。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

ホンダブースの一番奥にはレース部門である Honda Racing のコーナーが大々的に展開されていました。中でも目玉と言えるのが、今年日本人で初めてインディ 500 を制覇した佐藤琢磨のアンドレッティ・ホンダの実車展示。ここにはさすがに人だかりができていました。あのサーキットを走ったクルマそのものが目の前にあると思うと、確かに高揚します。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

インディカーは以前インディジャパンで実車走行を見たことがありますが、当時とはシャシーも大きく変わり、現行マシンを見るのはこれが初めて。究極のエアロマシンである F1 と比べるとかなりシンプルな形状をしていますが、それでも 7 年前からすると空力付加物が増えました。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

サイドポンツーンはタイヤを覆うような形で大きく張り出し、リヤタイヤの後ろにもフェアリングが追加されています。リヤウィングも実質的に車幅いっぱい使っていて、車体の後半部分だけを見るとオープンホイールなのに LMP1 マシンのような形状になっています。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

シャシーはダラーラ製のワンメイクということもあり、マシン性能よりもドライバーとチームの力が物を言うインディカー。F1 とは全く違う論理のもとに進化してきたマシンをまじまじと眺めると、新鮮な発見がありますね。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

しかし琢磨の在籍したアンドレッティ・オートスポーツは来季ホンダエンジンからシボレーにスイッチ。ホンダドライバーである琢磨はインディ 500 覇者でありながらチームを放出され、来季は古巣であるレイホールに復帰することになります。レイホールはかつて琢磨自身がインディ 500 で優勝の一歩手前までいったチームだけに、来年のインディ 500 連覇とシリーズチャンピオン獲得への期待は高まります。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

インディアナポリスで琢磨が優勝した際に飲んだミルク瓶(伝統的に、インディ 500 勝者にはシャンパンではなくミルクが振る舞われる)まで展示されていました。トロフィーではなくミルク瓶というのが逆にインディ 500 らしいところ(笑。それにしてもこの瓶にもちゃんとロゴが刻印されているんですね。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

当然ながらマクラーレン・ホンダの F1 マシンも展示されていました。今年のカラーリングになっていますが、形状からして昨年の MP4-31 を塗り直したものでしょう。
しかもお子さん限定でコクピットに収まれるサービスをやっていて、超羨ましい!決して速くなかったマシンであっても F1 のシートに座れるというのは羨ましいです。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

今季のカラーリングを施したショーカーは初めて見ました。オレンジ部は光沢で、ブラック部はつや消しで塗装されているんですね。つや消しはロゴの視認性が高まることもあって近年のレースカーではトレンドになっている塗装手法です。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

スーパーフォーミュラのピエール・ガスリー車も展示されていました。来シーズンの F1 ではトロロッソ・ホンダのマシンを駆ることがほぼ確定しているだけに、要注目です。今季スーパーフォーミュラではラインキング首位に 0.5 ポイント差まで迫りながら、最終戦鈴鹿が台風のため中止、惜しくもランキング 2 位でシーズンを追えることになりましたが、この鬱憤は来季の F1 で是非とも晴らしてほしい。そして再来年はこのカラーリングのレッドブル・ホンダで走る姿を見せてほしいですね。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

よく見るとコクピット付近にソニー(アクションカム)と日立のロゴが。どちらもチームではなくカテゴリ全体のスポンサーとしてロゴが掲出されているようですが、一昔前ならこうしてロゴが並ぶこともまずなかったんだろうなあ、と考えると感慨深いものがあります。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

各カテゴリのエンジンも展示されていました。通常なら極秘事項でしょうが、どのシリーズもシーズン終盤だからこその展示と言えます。
こちらはインディカー用エンジン。V6 ターボという構造自体は F1 とほぼ同じですが、インディ用は見慣れた形状をしています。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

で、こちらが F1 用のパワーユニット。インディとは全く違う、複雑なデザインであることが一目で分かります。
V6 ターボエンジンの上下にエネルギー回生システムである MGU-K・MGU-H とエナジーストア(バッテリ)を抱えた大がかりなシステム。通常のエンジンとは桁違いのコストがかかることはもちろんのこと、この構造を空力優先で小型化した結果ホンダの三年間がどうなったか...ということを、実物の PU を見て改めて痛感しました。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

二輪車も展示されていました。こちらは MotoGP チャンピオンのマルク・マルケス車。傾けて展示した実車に跨がって MotoGP レベルのリーンインを体験できるというもの(笑。バイクに乗り慣れない女性なんかはまともに跨がっていられない角度でした。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

そして全日本モトクロス選手権のホンダワークス、山本鯨選手の実車。山本選手は先日のオフビで築いたリードを最終戦まで守り発の IA1 年間チャンピオンに輝いたとのことで、このモーターショーでは凱旋展示となりました。
私は今までほぼ四輪にしか興味がなかったので二輪展示はスルーしていましたが、今では二輪もまじまじと見るようになりました(笑。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

バイクをよく見ると、カウルには細かい擦り傷が無数にあり、エキパイには泥がこびりついています。先日の菅生での最終戦はどろんこ祭りのようなコンディションだったようですが(笑)、激闘ぶりがこのマシンの状態からも伝わってきます。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

続いてルノーブース。こちらにも F1 マシンが展示されていました。
ノーズ先端には「R.S.17」と書かれていますが、こちらもホンダブース同様昨年の R.S.16 をリカラーしてショーカー化したもの。カーナンバー「30」となっていますが、当のジョリオン・パーマーは既に更迭されてレースに出ていないのが哀しいところ。

あ、そういえばメルセデスブースを見てくるのを忘れた...あそこにも F1 マシンが展示されていたらしいんですが。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

ブリヂストン/ファイアストンブースにもインディの琢磨車がありました。こちらはモックアップのようです。
琢磨のインディ 500 優勝はモータースポーツファンくらいにしか話題になっていないように感じていましたが、やっぱり日本の自動車業界的には大ニュースだったことを実感しますね。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

ファルケンブースにはエアレースの室屋義秀のジブコ・エッジ 540 V3 が展示されていました!
佐藤琢磨と並び、今年のモータースポーツで大きなニュースとなったシリーズチャンピオン獲得。車の展示会でもこれだけ大きく扱われるとは。

東京モーターショー 2017

[ Sony α6000 | Carl Zeiss Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS ]

しかしよくみるとキャノピーは黒塗りだし、エアインテークは閉じられているし、これは実機ではなくモックですね...。タイトルスポンサーであっても実機を手配するのは難しかったということでしょうか。
まあ、エアレースは実機を間近で見る機会はそうそうないので、実機のサイズ感が分かるというだけでも貴重ではあります。

というわけで、モーターショーレポートはもうちょっとだけ続きます。

投稿者 B : 23:17 | F1 | Photograph | Soliloquy | Vario-Tessar E 16-70/F4 ZA OSS | α6000 | コメント (0) | トラックバック

2017/10/16 (Mon.)

レッドブル・エアレース 室屋義秀が年間チャンピオン獲得!

室屋義秀

INDIANA POLIS RACE REPORT:新王者が魅せた、不屈の精神力 | Red Bull Air Race

今シーズンこれまでに千葉大会を含む三勝を挙げ、年間チャンピオンを賭けて挑んだ最終戦インディアナポリスにて、マルティン・ソンカとの激しい戦いを制した我らが室屋義秀が優勝、念願の年間チャンピオンを獲得しました。おめでとう室屋選手!!

思い返せば第二戦サンディエゴでは往年のポール・ボノムを思わせる強さで完全勝利。次の千葉ではペナルティもあって薄氷の勝利ではあったものの、今季の室屋には運が味方している感がありました。しかしその後はブダペストでの 3 位以降伸び悩み、チャンピオンシップはマルティン・ソンカ、ピート・マクロード、カービー・チャンブリス、室屋の四つ巴の様相を呈します。そして全戦ドイツ/ラウジッツでは「ラウンドオブ 8 までに上位三人の誰かを直接対決で下し、ポイント差をできるだけ多く詰める」というアグレッシブな作戦が見事に功を奏し三勝目。首位ソンカと 4 ポイント差で最終戦を迎えていました。

しかし、そのインディアナポリスの予選では室屋のマシンにまさかのエンジントラブルが発生し、11 番手タイムに留まります。それだけならまだしも、ラウンドオブ 14 ではいきなりマルティン・ソンカと直接対決するという展開に。ここでソンカに勝てば逆転チャンピオンの可能性が高まりますが、決勝当日までに修復できなければ危ないのでは...とも思っていました。

室屋義秀

そしてラウンドオブ 14。室屋のマシンは無事修理できたものの、コースはパイロンが傾くほどの強風が吹いており、難しいコンディション。先攻の室屋はフライトでインコレクトレベルの 2 秒ペナルティを受けてしまい、のっけから厳しい状況。それでもペナルティ込みで 1 分 06 秒台というタイムは悪くなく、負けてもファステストルーザーとして残れる可能性がありました。
続くソンカのフライト。室屋のペナルティを見ながらも手を抜かず勝てるタイムを狙っているように見えましたが、終盤にまさかのパイロンヒット!3 秒のペナルティが加算されてしまい、結果として室屋に軍配が上がります。

これで室屋のチャンピオン獲得が濃厚になった...と思ったら、ペナルティ込みでもソンカが敗者の中で最速タイムを記録しており、ファステストルーザーとしてラウンドオブ 8 に生き残ります。

ラウンドオブ 8、室屋の対戦相手は今季マスタークラスに昇格したばかりのミカエル・ブラジョー。ここは難なく勝利し、ファイナル 4 へ。
いっぽうソンカの対戦相手はマット・ホール。今季こそあまり振るわないものの過去二年選手権 2 位を獲得している実力者であり、番狂わせも十分考えられるカード。しかしマット・ホールはインコレクトレベル+パイロンヒットで 5 秒のペナルティをもらい、ソンカが順当に勝ち上がりました。

ファイナル 4 は室屋、ソンカ、昨年の覇者ドルダラー、ベラルデの四人。室屋としてはここはもう勝つしかなく、それでもソンカが 2 位に入れば逆転チャンピオンは成りません。その間にドルダラーが割り込んでくれることを期待するしかない状況。最後の直接対決でチャンピオンが決まるというドラマチックな展開になりました。

室屋は一番手でのフライト。これまでのキャリアでの四勝は全て一番手もしくは二番手のフライトの結果であり、先に飛んで後のパイロットにプレッシャーを与えるのは得意としているところです。そしてこのフライトがペナルティギリギリの「攻めた」アタック。もう少し風があったらパイロンヒットしていたに違いないほどのスレスレで、通常ならエンジン出力が落ちてくるファイナル 4 でまさかの 1 分 03 秒台、マット・ホールの予選トップタイムよりも 1 秒以上速いトラックレコードを記録してしまいました。これにはさすがに鳥肌が立ちましたね...。
他の三人はここでこれを上回るタイムを刻むことはほぼ不可能。ペナルティなしでいかに一つでも上の順位を得るか、というレースになります。続くドルダラーもベラルデも 1 分 05 秒台のノーペナルティ、通常であればこれがトップタイムであってもおかしくない速さではありました。そして最終フライトのマルティン・ソンカは、一見ノーミスの美しいフライトであったにも関わらず終盤に伸び悩み、1 分 07 秒台で 4 位。この瞬間に室屋の今季四勝目と年間チャンピオン獲得が確定しました。

室屋義秀

どうやらソンカのほうもマシンに不調を抱えていたとのことで、終盤の失速はそれによるものかもしれませんが、これもまたレース。年間四勝、最終戦の最終フライトでトラックレコードという室屋の強さはチャンピオンに相応しいものだったと言えます。特にサンディエゴとインディアナポリスでの勝ち方は常勝ポール・ボノムに重なるものがあり、一昨年から室屋本人が口にしていた「勝つためのレースの組み立て方」をちゃんと実践してきた結果であることを改めて感じます。

それにしてもポール・ボノム引退後のエアレースは本当に実力伯仲していて、室屋以外にもドルダラー、ソンカ、マクロード、チャンブリス、ホールという強者揃い。マスタークラス二年目のコプシュタインも着実に力をつけてきていて、来季もさらなる激戦が予想されます。
そしてエアレースはパイロットがみんな魅力的なんですよね。他のレースと違って一人ひとりのフライトをじっくり観戦できたり、フライト前にインタビュー映像を挟む中継の構成の良さもあってパイロットの個性を把握しやすい。しかもマスタークラスでたった 14 人という人数の少なさもあってパイロット全員に経緯と仲間意識があり、他のカテゴリのようなドロドロした人間関係が(少なくとも表面上は)感じられないのもまた良い。全てのパイロットを満遍なく応援したくなる構造が、レッドブル・エアレースの熱量の高さを形作っているのだと思います。

今年のインディアナポリスはすごいですね。先日の佐藤琢磨のインディ 500 制覇に続いて、室屋のエアレースチャンピオンもここインディアナポリスで決定とは。北米のモータースポーツの聖地に立て続けに日本人選手の名が刻まれることは誇らしくもあります。そして室屋の応援に来ていた佐藤琢磨が頻繁に中継に写っていたことが、いかにインディ 500 ウィナーが米国でリスペクトされる存在なのか、というのを改めて知らしめてくれました。

ともかく、室屋選手本当におめでとう。来年はチャンピオンとしての凱旋レース、千葉に必ずまた行こうと思います。

※本エントリーに掲載した写真は全て千葉戦の際に撮影したものです。

投稿者 B : 23:31 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/09/06 (Wed.)

紗々さん 3rd 写真展「ナハトカ。」

ナハトカ。

ウチだけでなくあちこちの blog でおなじみ紗々さんの三度目の個展「ナハトカ。」が本日より代々木公園前 OCO Gallery にて開催されています。

【お知らせ】紗々3rd個展「ナハトカ。」開催決定!!|☆★ささのま!★☆
【注意事項】紗々3rd個展「ナハトカ。」について。|☆★ささのま!★☆

本当は週末にでもゆっくり行きたかったんですが、スケジュールを見たら今日くらいしか行けそうな時間がなかったので、仕事を定時で ササッ と抜け出して見に行ってきました。

ナハトカ。

今回のテーマは紗々さんご本人が那覇とかに旅をして見つけたすてきな風景を、すきなように撮った写真。

過去二回の写真展と比べて、あれ作風変わった?と。
以前の写真展はそれぞれにテーマがあってそれはそれで良かったし、例えばシグマ dp Quattro の特性を意識した撮り方をしていたりして感心したものでしたが、今回はそれらとは違って自由に撮られた写真、という印象。
春にラジオの仕事を卒業されてから、いい感じに肩の力が抜けたんだろうなあ。

ちなみに、今回の写真は全て富士フイルム X-T2 で撮影したものだそうです。

ナハトカ。

今回の会場は一般のレンタルギャラリーということで、全体的に手作り感があって暖かい雰囲気。
用紙の選定からプリント、額装、設営まで自分でやったというから恐れ入ります。

私もカメラや写真は大好きだけど、個展やコンテストに挑戦しようという貪欲さはないからなあ...そこまでの情熱を傾けられる人は尊敬してしまいます。

ナハトカ。

物販コーナーもあり。
買った人には、ちょっとしたサービスがある、かも。

ナハトカ。

SNS でバズる写真がどんどん流れてくるようになって、無意識に自分も難しく考えてしまってシャッターが切れなくなる、みたいなことも多くなってきて。
でもこの写真展を見て、誰かの価値観に流されることなく、すきなものをすきなように撮っていいんだよ、と諭されたような気がしました。
今度ゆっくり時間が取れたら、頭カラッポにしてカメラ提げて歩いてみようかな、と思えました。

「ナハトカ。」は来週月曜日まで(入場無料)。期間中はご本人も在廊。
代々木公園に散歩がてら、癒やされに行ってみてはいかがでしょうか。

富士フイルム / X-T2

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投稿者 B : 22:33 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/09/01 (Fri.)

一巡

12th

本日から 9 月。と同時に、この blog も開設から 12 年が経ちました。ついに干支が一周してしまった...。

Web や blog を巡る環境も当時とは随分変わって、もう書くのを辞めてしまった人や更新頻度が下がってしまった人も多いし、RSS やトラックバックも滅び行く流れ。こうやって個人 blog をチマチマ書き続けるのも時代遅れなんだろうな、とは思うけど、一瞬をアウトプットして流れて行ってしまう SNS のタイムラインよりも、多少なりとも考えを整理して綴っていけるこの形式が自分には合ってるんだと思います。

そうはいっても今後しばらくは仕事のほうがしんどい状況になりそうなので、いよいよ続けられないとか省力モードに入ることもあるかもしれません。でもここまで来たら日課だし、書かずに寝るのも気持ちが悪い(笑。というわけで、今後も続く限りチマチマやっていこうと思います。

投稿者 B : 22:12 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/08/27 (Sun.)

『鐵道魂』に寄稿しました

黒部峡谷鉄道

いつもお世話になっている YAS さんが先日立ち上げた鉄道情報サイト「鐵道魂」に寄稿しました。

北陸新幹線とトロッコ電車で行く富山・黒部峡谷の旅|鉄レポ|鉄道魂

夏休みに行ってきた黒部峡谷への旅行記です。

オマエ鉄道に対して興味ないくせになんで鉄道情報サイトに、というツッコミもあるかもしれませんが、このサイトは鉄道マニア向けの情報サイトではなく(そういう情報ももちろん載っていますが)、

  • 鉄道ファンのみならず、鉄道に興味の無い方でも楽しめるサイトを作ります。
  • 実際に編集部員が体験したものをレポートします。
  • 動画や写真、記事等で元記事がある場合は出典を明確にいたします。
  • 鉄道自体だけではなく、沿線で楽しめるグルメ情報等も紹介し、その地域に貢献することを目指します。
  • 140円の旅行プランから100万円の旅行プランまで、どのプランでも鐵道魂のオリジナルの視点を入れてレポートします。
  • (2017/8/27 付サイトポリシーより引用)
という理念に共感したため、寄稿させていただくことにしました。特に、近年は(WELQ 事件で多少マシになったとはいえ)無断転載に基づいた不正確な情報を垂れ流すバイラル旅行情報サイトが溢れかえり、自分自身も写真/記事盗用や「Google の検索結果がバイラルメディアだらけで信頼性のある情報に辿り着けない」という被害に幾度となく遭っていることもあり、鐵道魂のようにちゃんと編集部員やライターによる取材で作られている媒体にこそトラフィックが集まってほしい、という個人的な思いがあります。

まあ私自身には鉄道趣味がないので、たまーに出張や旅行、あるいは遠方の聖地巡礼に行ったついでに記事を書く程度になるでしょうが、今後も時々寄稿させていただこうと思います。

ちなみに他の方の記事には珍しい電車だけでなく、首都圏の電車スタンプラリー関連の情報や撮影スポット情報なんかもあったりして、読んでいると旅行、あるいはちょっとしたお出かけがしたくなってきます。ぜひ一度読んでみてください。

投稿者 B : 20:00 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/06/29 (Thu.)

不惑之惑

40

今日でまたひとつ齢を重ねました。

今回はついに十の位がひとつ上がってしまったわけですが、まだ正直ぜんぜん実感がありません。まあ、肉体的にはちょっとずつ昔のような無理ができなくなってきていて、自分の時間や体力のスキマに何でも突っ込んでとにかくやりたいこと全部やろう、みたいな生き方ができなくなりつつあることを感じてはいますが...。日本人男性の平均寿命を考えればそろそろ人生の折り返し地点なわけで、自覚しなくてはならない時期なのでしょう。

この歳になると一般的には惑いがなくなる、と言われているようですが、自分自身を省みるとむしろこの 5~6 年、迷うことが増えたなあ。まだ 10 年前のほうが自分のやりたいこととすべきことの方向性が一致していたし、がむしゃらにやればやっただけ成果が出る実感もあって、迷いがなかったように思います。そこからすると今の自分はなんだか情けないけれど、脇目も振らずにやりたいことだけやっていれば良かった 10 年前と、自分以外のことに対する責任が大きくなってきた今ではそりゃあ違うし、年相応のバランスの取り方が必要とされているんだと思います。

それなりに歳を取ったとはいえ、「今この瞬間の自分がこれからの人生の中で最も若く、最も可能性が開けている」ことには変わりありません。後悔しないように、でも無理はしすぎない程度に、そして何より自分自身が楽しむことを忘れずに、これからもマイペースでやっていこうと思います。

投稿者 B : 23:40 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/06/08 (Thu.)

レッドブル・エアレース千葉 2017 観戦記

レッドブル・エアレース千葉 2017

今年も現地観戦してきたレッドブル・エアレース千葉 2017。今年で三年目ですが運営状況が毎年変わるので、来年の自分への参考の意味も込めて昨年同様に観戦記をまとめておきます。

海浜幕張駅前は例年通りショーアップされていて、駅に着いた時点から観戦気分が高まります。ただ私が駅に到着した AM7:30 時点ではまだセットアップ中という感じで、このレッドブルカーも微妙に駐車位置合わせ中(笑。ナンバープレートが全車「283(ツバサ)」で統一されているコダワリが細かい。

レッドブル・エアレース千葉 2017

今年の観戦はスタート・ゴールエリアで行いました。去年のカメラマンエリアはチケット代が高い割に完全砂浜エリアで、腰は下ろしにくいしそもそも砂が機材に悪いし、辛かった印象の方が強い。撮影も大事だけどそもそも観戦自体が楽しめないとね、ということで通常の観戦エリアでゆったり楽しんだ方がいいだろうと判断しました。
海浜幕張から徒歩で会場に到着したのは AM8:00 頃。既に行列はでき始めていましたが、この時間帯であれば十分にいい場所が確保できます。

レッドブル・エアレース千葉 2017

というわけで無事スタート・ゴールエリアのうちカメラマンエリア寄りの舗装最前列を確保することができました。上の写真では分かりづらいですが、この前は階段状になっていてさらに三列くらい並べますが、カメラを使うならこの位置で座って観戦するのがベスト。ちなみにこれより後ろの列はフラットなので、レース開始後は多くのお客さんが立って観戦していました。そういう意味でも、この場所は理想的と言えます。

レッドブル・エアレース千葉 2017

ただし、最大の誤算は「スタート・ゴールエリア」と言いながら実際はスタート・ゴールパイロンからむっちゃ遠いということ(;´Д`)ヾ。名称からするとスタートやゴールシーンを最も近い位置で見られるエリアだと思うじゃないですか!これはいくらなんでも詐欺っぽい。チケット販売開始時点ではコースレイアウトが発表されておらず(決まってもなかった可能性大)、チケットを買ってしまってから大会直前になってようやく配置が分かるという。エリアの名前のつけ方以前にこの販売プロセス自体に問題があると思う。
全般的に、エアレース千葉の運営は年々改善されているとは思いますが、今年はこれが最大の不満でした。まあロードレースと違ってどのエリアからでもコース全域が見渡せるだけマシですが、いくらなんでもなあ...。

レッドブル・エアレース千葉 2017

飲食系の屋台もだいぶ改善しました。一昨年はそもそも数が少なすぎ、去年は数は増えたけどステーキ丼と串焼きの店だらけ、という状況からすると、店舗数もバリエーションも増えて選びやすくなりました。また飲料も公式のレッドブルバー以外の屋台でもソフトドリンクが買えるようになり、現地での飢えや脱水症状のリスクはほぼなくなったと言えます。飲食物も原則は熱中症対策のための飲料 600mL のみ持ち込み可というルールでしたがけっこうチェックが甘いようで、ちょっとしたピクニック状態になっているお客さんも見かけました(笑。

レッドブル・エアレース千葉 2017

ドリンクは会場価格ということでちょっと高いよなあ、と思いつつ、夏日の暑さのせいでついつい飲んでしまうわけです。アルコール入りのレッドブル(ヘネシー、ウォッカ、ピーチツリー)、ウォッカとピーチツリーはキリンの安いやつだったのでヘネシー(VS)が一番コストパフォーマンスいいよなあ、と思ってヘネシーばかり飲んでいました(笑
レッドブルなんて普段は飲んでも日に一本なので、エアレースの日だけ特異的にいっぱい飲む日になっています。

この日は海風が強く、特にラウンドオブ 8~ファイナル 4 の時点ではかなりの横風が吹いていました。↑はその様子を撮った動画ですが(RX100 III で撮ったので内蔵マイクが拾っている風の音がひどい)、これパイロンの高さが 25m なことから考えると先端は 1~2m の幅で揺れてるんじゃないですかね?パイロットはこの間を通過しなくてはならないというのだからシビアです。ファイナル 4 でドルダラーがパイロンヒットしてしまったのもこの横風の影響とみて間違いないでしょうし、ラウンドオブ 8 以降でインコレクトレベルを犯したパイロットの多くもその影響を受けたものと思われます。ある意味室屋にとっては神の風だったのかもしれません。

レッドブル・エアレース千葉 2017

いろいろあったけど、室屋の優勝によって「すべて良し」という気分になりました(笑。
鈴鹿の F1 は運動会とかぶる時期なので行きづらいけど、エアレースは今のところそういった悩みがないので、都合がつく限り来年も現地観戦したいと思います。

投稿者 B : 23:55 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/05/22 (Mon.)

TSUBAME 2.5

詳報:トヨタが頼った謎のAI半導体メーカー:日経ビジネスオンライン

週明け早々、「謎の AI 半導体メーカー」が話題になっていましたが(↑はタイトルとリード文の釣り感がひどいけど内容は至極真っ当な記事です)、私はちょうど先週末にこの「謎の半導体メーカー」のプロセッサを搭載したスパコンを見学してきたところだったので、時流に乗ってその話をしたいと思います。

最近あんな映画こんな映画でネタにされがちな東京工業大学内のイベントで先週末、同校が誇るスーパーコンピュータ「TSUBAME」が一般公開されていました。

TSUBAME とは | [GSIC]東京工業大学学術国際情報センター

TSUBAME 2.5

「TSUBAME」は初代から NVIDIA 製のスパコン/学術計算向け GPGPU を採用したスーパーコンピュータであり、現行世代の「TSUBAME 2.5」では Kepler 世代の GPGPU を搭載しています。

日本国内のスパコンでは理研の「京」が最も有名でしょうが、この TSUBAME はその次くらいに名が知れていると言えるかな?現行構成になってから既に 4 年近くが経過しており、絶対的な演算性能ではもう世界トップクラスとは言えませんが、電力効率(消費電力あたりの処理性能)では現在でも世界トップクラスを維持しているとのことです。
ちなみに「京」では富士通がこのコンピュータのために開発した SPARC64 VIIIfx プロセッサを搭載していますが、TSUBAME 2.5 は Intel Xeon プロセッサと NVIDIA Tesla K20X GPU、つまり一般的な PC に近い構成のハードウェアになっています。TSUBAME のキモは CPU よりも GPU であり、複雑な CPU の性能をとにかく上げるより、よりシンプルな構成のメニイコア GPU で並列処理性能を高めるアプローチを採っている点。例えば PC では近年 CPU の性能向上が頭打ちになってきているのに対して、GPU は効率向上とコア数増加でまだまだ性能の伸びしろがある状況を鑑みれば、この構成の合理性が解るでしょうか。

TSUBAME 2.5

TSUBAME はスパコンといっても PC アーキテクチャベースであり、見た目もちょっと大きめなブレードサーバという印象で、単体で見てもラック単位で見てもけっこう地味(笑)。京のように筐体が「どーん」と鎮座する圧倒感もなく、あまり感慨が湧きません(ぉ。マシンルームの広さも一見、大企業や金融機関のサーバルームよりも狭いのでは?というくらいこぢんまりとしていましたが、説明してくれた方(助教かポスドクっぽい)によると「隣にも同じ規模の部屋がもう一つある。壁をぶち抜いてどーんとスパコン風に見せる案もあったが、その議論をしている最中に東日本大震災が発生し、見栄えよりも耐震性優先ということでそのままになった」とのことでした(笑。

見るとユニットは NEC 製、ラックは HP 製(隣の部屋をちらっと覗いてみたら、そちらのラックは APC 製っぽかった)。サーバとラックのメーカーが別というのも珍しい気がしますが、このラックは「冷蔵庫のようになっており、放熱ではなくラックごと冷やす仕組みになっている」とのことなので、構造重視でラックを選定したのかもしれません。そういえば最近の PC パーツもヒートパイプを使ったり、GPU の冷却もファンによる吹きつけではなく基板ごとスリーブで覆ってファンで強制排気だったり、熱を発散するのではなく閉じ込めて管理するのがトレンドになっていますよね。私はスパコンや半導体は専門外ですが、そうやって PC ハードウェアの視点で見ると理解できるような気がしてなかなか興味深い。

ちなみにこの TSUBAME はこの夏に「3.0」の導入を予定しているとのこと。

世界最高レベルを目指す東工大のスパコンTSUBAME3.0、2017年夏に稼働開始へ ~高温水を利用しトップレベルの冷却効率。機械学習やビッグデータ解析をターゲットに - PC Watch

3.0 では GPU を Kepler から一気に二世代更新して現行の Pascal アーキテクチャに切り替えるようです。Pascal といえばグラフィック用途でも GeForce GTX 10 シリーズは旧世代から大幅な性能アップを実現し、PC VR のエントリー価格を一気に引き下げた功労者でもあります。これをベースとしたスパコンであれば、TSUBAME が再び処理性能でも世界トップクラスに入ってくる可能性が見えてきます。

久しぶりにアカデミックな世界に触れていい刺激になりました。TSUBAME 3.0 が公開される機会があれば、また見に行きたいと思います。

投稿者 B : 23:01 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック

2017/03/29 (Wed.)

紗々さんの『MUSIC SALAD』最終回

bayfm78 月~木の正午から放送されている『YAMAMAN presents MUSIC SALAD from U-kari STUDIO』の水曜日を 4 年にわたって担当されてきた紗々さんが、本日の放送をもって卒業されました。

YAMAMAN presents MUSIC SALAD from U-kari STUDIO

YAMAMAN presents MUSIC SALAD from U-kari STUDIO

私はちょうど仕事の山を一つ越えたところで休みが取れたのと、仕事の都合で行けなくなった方に託されたような気がしたので、4 年ぶりにユーカリが丘まで応援に行ってきました。
いつもコスプレ等の凝った服装で放送に臨んでいる紗々さんですが、今日は卒業ということで(?)和装での登場でした。番組の方針で撮影 NG(放送後にスタジオ前でツーショット撮影はしてもらえるんですが、これも写真公開 NG)なのが残念です。

YAMAMAN presents MUSIC SALAD from U-kari STUDIO

最終回とはいっても番組はいつもの通り進行するわけですが、それでも「これで最後」という雰囲気は漂っているもので。番組のラストにかかる「サラドレ」が、最初から最後までいきものがかりの『Yell』だったのも、リスナーから紗々さんへの応援のメッセージなのでしょう。スタジオ前には、平日昼間にもかかわらず 70~80 名のリスナーが集まっていました。

YAMAMAN presents MUSIC SALAD from U-kari STUDIO

4 年前は全体的にわたわたしていた雰囲気もあったけど、今ではすっかり安定感のあるパーソナリティになりました。最近ではイベント司会等もマルチにこなせるまでに成長されただけに、これでラジオが聴けなくなってしまうのは寂しくはありますが、新しいチャレンジのための卒業ということで、祝福して送り出したいと思います。

私はこれまでに何度かメッセージも読んでもらえたし、先日は番組のシールも当たったので、個人的には思い残すことはありません。
この番組のおかげで FM ヨコハマで放送されている松重豊さんの番組『深夜の音楽食堂』を聴くようになったし、最近何かとラジオづいています。意識してラジオを聴くようになったのって十数年ぶりだけど、テレビとも SNS とも違うこの距離感、やっぱりいいなあ。

紗々さん、4 年間本当にお疲れさまでした。人生の新たなステージでのご活躍を心から祈っています。

投稿者 B : 17:33 | Soliloquy | コメント (0) | トラックバック