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ハミルトンはメルセデスに、ペレスはマクラーレンに

メルセデス ハミルトンと3年契約 – GPUpdate.net
マクラーレン ペレスと複数年契約 – GPUpdate.net

日本 GP を前に、今週は F1 関係のニュースも一休みかな…と思っていた矢先に驚くべきニュースが。ハミルトンがマクラーレンを離脱し、メルセデス AMG と 3 年契約。入れ替わりにペレスがマクラーレンと複数年契約、という衝撃的な移籍が発表されました。

バトンがチームと複数年契約を交わしたのに対して、ハミルトンがマクラーレンと主に契約金の点で交渉がまとまっていないという噂は以前からありましたが、ハミルトンがテレメトリーデータを Twitter に投稿した事件など、昨今チームとの関係がうまくいっていないと思わせる言動や状況もいくつかありました。それでもメルセデス移籍の噂はマクラーレンとの交渉を有利に進めるためのブラフだろうと思っていたら、本当に移籍とは。
マクラーレンはハミルトンにとっては少年時代から接してきたチームでしたが、最大の支援者だったロン・デニスがチームを離れ、ハミルトンと同じくらい速くてワールドチャンピオンの肩書きを持つバトンが入ってきて、それまでのようにマクラーレン自体が「チーム・ハミルトン」でなくなってきたことは事実でしょう。それでも現に今シーズン最多タイとなる 3 勝を挙げ、最速マシンを擁するマクラーレンから、参入以来今季ようやく 1 勝を挙げたばかりのメルセデスに移籍するというのは、明らかに自身の 2 度目のワールドチャンピオンの可能性を潰してしまったようなもの。移籍先がレッドブルやフェラーリというならまだしも、常に撤退の噂がちらつくメルセデスですし、私がハミルトンの立場だったら、減俸を受け入れてでもチャンピオン獲得の可能性が高いチームに残るほうがレーサーとして得策だったと思うけどなあ(2007 年のアロンソのように、最速マシンでありながらチーム内で孤立した状況であれば、話は別だけど)。極端な言い方をすれば「金でレーサーとしての将来を棒に振った」という印象。

これでメルセデスはハミルトンとロズベルグの 2 人体制。自動的にミハエル・シューマッハーのシートがなくなったことになりますが、マッサの後任としてフェラーリに電撃復帰、というサプライズでもない限り、このまま引退→メルセデス F1 の幹部としてチームに残る、という可能性が最も高いのではないでしょうか。


そして同様に驚いたのがペレスのマクラーレン移籍。ペレスはデビューイヤーの昨年から印象的な走りを見せ、今季既に表彰台 3 回という結果を残していますが、フェラーリ・ドライバーズ・アカデミー出身のペレスがフェラーリではなくマクラーレンに移籍というのがまずサプライズ。ただ、アロンソが絶対王政を敷くフェラーリでセカンドドライバーに甘んじるのと、曲がりなりにも対等に扱ってくれるマクラーレンでバトンの経験に学ぶのとではどちらが良いか?そしてマシン開発の基礎体力としてどちらが優秀か?を考えれば、マクラーレンは最良の選択肢でしょう。ただ、個人的にはバトン+ハミルトンという長所短所が対照的なコンビがけっこう気に入っていたので、「二人ともタイヤに優しい」新しいコンビはメリハリがなくてつまらないなあ、とは思います。

ペレスの移籍で気になるのはやっぱり可夢偉の動向。仮にペレスが残留だった場合、「結果を残せてスポンサーも持ってるエースドライバー」がいるならある程度安定したポイント獲得は期待できるわけで、「けっこう速いけどお金持ってないセカンドドライバー」よりも「速さはそこそこだけどお金持ってるセカンドドライバー」のほうが特に台所事情が厳しいザウバーにとってはありがたいわけで。かつ、今季の好成績でザウバーのシートは買い手市場。正直言って可夢偉の残留はかなり難しいと思っていました。が、こうなってくると可夢偉は開発もできるエースドライバーとしてチームに残留し、セカンドはまたフェラーリの育成ドライバーか他チームからスポンサー持ち込みで…となる可能性が高いのではないでしょうか。可夢偉よりも実績のあるドライバーが市場に出て、結果総取り替えという可能性もありますが、ザウバーは比較的継続性を重んじるチームですし。

現時点での来季シート状況はこんなところでしょうか。

  • レッドブル: ◎ヴェッテル、◎ウェバー
  • マクラーレン: ◎バトン、◎ペレス
  • フェラーリ: ◎アロンソ、△マッサ?
  • メルセデス: ◎ハミルトン、◎ロズベルグ
  • ロータス: ○ライコネン、○グロジャン
  • フォースインディア: ○ディ・レスタ、○ヒュルケンベルグ
  • ザウバー: ○小林可夢偉、△アルグエルスアリ?/△ピック?/△グティエレス?
  • トロロッソ: ○リカルド、△ベルニュ?
  • ウィリアムズ: ○マルドナド、△ボッタス?
  • ケータハム: ○コヴァライネン
  • HRT: △カーティケヤン
  • マルシャ: △グロック、△ピック?

この中で空きが出ている/出る可能性が高く、競争率が高そうなのはフェラーリとザウバーのセカンドシート。場合によってはウィリアムズにも人気が集中しそうです。個人的には可夢偉にはロータスあたりに移ってほしい気もしますが、グロジャンはそれなりに結果を出していることと、フランス系スポンサー(トタル)との関係を考えるとグロジャン残留は濃厚だろうなあと。
可夢偉はチーム戦略との歯車が噛み合っていない印象ですが、ペレスが抜けることになった今、これまでのような「おりこうさん」ではなく、リーダーシップを発揮してチーム自体を可夢偉自身のために全力を尽くす組織に変えていかなくては、来季以降の結果もついてこないのではないかと思います。アロンソとフェラーリの関係のように、マシンが駄目でも自分が引っ張り、それにチームが応えていくような信頼関係を築くことが急務。まずは来週の鈴鹿で今季最高の結果を出すことからですね。

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